はてさて。絶望があるから希望があるのか。希望があるから絶望があるのか。どちらなんだろうと悩む今日この頃。
体育の時間で、比企谷くんがこちらをずっと見てきている。やだ!私に好意もってるの?きもっ。
なんてことを思いつつ、一人準備体操をしている。
「八幡!また!新作のラノベのプロット持ってきたから見てはくれまいか!」
「るせ!」
仲いいんだね、あいつら。似た者同士か。
きちっと調べはついてる。材木座義輝。自称剣豪将軍(爆笑)を名乗り比企谷くんの相棒とかなんとか。
彼は精神弱いと話を聞いた。絶望に落とすのも簡単だろう。
私はいたずらがてら絶望に染めてあげることにした。
「ねえ、材木座くん」
「はぅあ!?な、なんでござろうか?」
「材木座くんってさー、なんか能力使えるの?使えたら見せてくれない?」
「…………材木座、関わるな、いくぞ」
「はぷるるー。我の能力を見たいと申すか。ならばよかろう!我が能力を解放する時が来たっ!」
やっぱい痛いよこの人。
聞いてるだけで吐き気がするなー。おまけに吹き出しそう。
「我が能力、グンニグルハンマー!」
材木座くんはそう叫んだ。その叫びが虚空に消え、私によってかき消される。
「そのグンニグルハンマーって見えないけど?どこにあるの?」
「あ、いや、これは設定で」
「早速素に戻ったぞこいつ……」
「ふぅん。設定。なかなかの大根芝居だったよ!」
「なあ!?」
比企谷くんの目がどんどん腐っていく。どうやら私を睨んで来ているようだった。あまり仲よさそうには見えなかったのにどうやらやられたくないんだ。そこまでの仲なんだ。君たちは。
「それにさ、人に暴力加えるならこうしないと」
手刀を材木座くんの首筋に当たる。
「私がナイフとか刃物持ってたら殺されてたね、材木座くん」
「…………八幡。どうしよ。この女子怖い」
「剣豪将軍ともあろうものが、こんな隙だらけでいいの?あ、ごめん。それも自称(笑)の通り名だったか。恥ずかしい思いをさせてごめんね」
嘲笑混じりにそう言い放つ。
材木座くんはぷるぷる震えていて、とても気持ちが悪い。
「うわぁぁぁぁ!ま、ママーーーー!」
「抱きつくなこら!」
材木座くんが比企谷くんに泣きついた。だせえww
「その辺にしろ、神谷」
「そうだね。今日はこの辺にしておくよ」
「女子コワイ女子コワイ女子コワイ女子コワイ」
材木座くんの頭には女子コワイという言葉がインプットされた。
…………まあ、望んでいた結果と少し違うけど、まあいいかって感じかな。
完全に堕ちてないから、もうちょい貶さないと。
「ねえ、材木座くん」
「ひぃ!?」
「材木座くんって……ものすっごく付き合いづらいよね!」
「ざいもくざ〜……」
意気消沈とした材木座くん。
まあ、今日はこの辺にしておこうか。
さすが我らが材木座さん!タフだぜ!