魔法少女&仮面ライダー育成計画 〜Episode of Mirror Rider〜   作:スターダストライダー

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遂に50話目を迎える事が出来ました! これからも応援よろしくお願いいたします!

そして今回はタイトル通り、アイテム追加の回です。また、今回は本編同様の武器に加えて、オリジナル武器を多数導入してます。


50.激レアアイテム

本来なら5人目の脱落者が発表されるはずだったこの日、九尾達が拠点に選んだ場所は、大病院の屋上だった。理由はもちろん、そこに入院しているラ・ピュセルこと岸辺 颯太と共に、ファヴとシローからの通達を確認する為だ。まだ歩くには魔法少女姿でも困難ではあるが、九尾とスノーホワイトのフォローで、どうにかして屋上まで連れて来ることが出来た。

が、ラ・ピュセルは屋上についてからも、膝を曲げて、フェンスにもたれながら顔を下に向けていた。オルタナティブの死によりその週の脱落者は出なかった。が、恩師の死は彼女に相当堪えているようだ。見兼ねたトップスピードがラ・ピュセルに近寄って肩を強く叩く。

 

「元気だしなって! そりゃああんたの気持ちは分からなくないけどさ。いつまでもメソメソしてたって何も変わんねぇぞ?」

「……」

 

ラ・ピュセルは力弱く首を横に振る。ため息をつくトップスピードだが、この程度では折れないと言わんばかりに、袋の中からタッパーを取り出して、中身を見せるように押し付けた。煮物とメンチカツだった。

 

「まぁとりあえず食えよ。これ美味いぞ。こいつを食ってちったぁ元気になれよ。食い物腹に入れとけば嫌な気分も吹っ飛ぶしさ!」

 

その場の空気を変えるように笑いながらタッパーを差し出すトップスピード。ラ・ピュセルはお礼を言ってから咀嚼した。煮物の汁で下面が湿ってしまっており、デリカシーの無さが伺えるが、味は中々のものだった。特に煮汁に浸っていない部分はサクサクとして、歯ごたえが良かった。ほんの僅かではあるが、鬱な気分が晴れたようにも見える。

 

「誰だって大切な人いなくなったらショックでやられそうになるけどよ。後ろばっか見てても変わらない。前を見てハイな気持ちで進まなきゃいけないんだ。……あたしは、あの人を失って、やっとそれに気付けたんだ」

「……?」

 

トップスピードの最後の部分の呟きだけが小さかった為、両隣りにいた龍騎やリップルは首を傾げたが、それ以上言うつもりはなさそうなので、気にしない事にした。

 

「それにしても気になるのは、シロー達の言っていたアイテムの追加だな」

「うん、それそれ。どんなアイテムが出てくるんだろうな……?」

 

ライアと龍騎が話し合っていると、ちょうどそのタイミングでファヴとシローからメッセージが送られてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファヴ:『えぇー。それでは、先日お知らせしたレアアイテムの解禁をするぽん!』

シロー:『アイテムは、魔法少女側に5個。仮面ライダー側に5個。そして両者で共有可能なアイテムが3個。つまり計13個のアイテムがダウンロード可能となった。なお、共有アイテムに関してはペアが残っている者だけしか購入できないので、そこだけは注意するように』

ファヴ:『数が多いから、個々の紹介は省かせてもらうぽん。詳しくは『アイテム購入』という項目にあるから、そこをチェックするぽん』

シロー:『どのアイテムも1人で複数個の購入は可能だが、先着1名限りだ。決断は早めにすることだ』

ファヴ:『それじゃあ、アイテムを上手く使ってキャンディー集めを頑張るぽん! また来週!』

 

 

 

 

 

 

 

 

『アイテム購入』

 

【魔法少女サイド】

 

・四次元袋(10)……どんなものでも無限に入れられる。

・透明外套(25)……羽織った人は誰からも見えなくなる。匂いもなくなる。

・武器(5)……簡単には壊れない武器。種類はリストの中から選択するように。名称は各自で決めても良い。

・元気が出る薬(3)……テンションが上がる薬。怪我は治らない。10錠入り。

・兎の足(6)……大ピンチの時にラッキーな事を起こす。それでピンチから救われるかは持ち主次第。

 

【仮面ライダーサイド】

 

・コントラクト(8)×2……目の前のモンスターにかざすと、同じ姿のモンスターと契約した扱いになり、アドベントや武器、ファイナルベントが使える。

・ディメンションベント(5)……自分の思った場所へとワープできる。

・カースドベント(10)……対象の相手を弱体化させる。

・サイズベント(20)……切れ味の良い大鎌を召喚する。

 

【共通(ペアで残っている者のみ)】

 

・復活の薬(30)……元気が出る薬と違って、瀕死になっている人に使うと全回復する。一度しか使えないので使い所をよく考えるように。

・金の指輪(7)……指につけた指輪を突き出すと、バリアが張られて守ってくれる。

・身代わり人形(3)……一度だけ攻撃を受けた時に身代わりになってくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ〜。魔法の国特性アイテムか〜」

「確かにどれも凄そうなやつばっかりだなぁ」

「これなんて面白そうじゃねぇか。『透明外套』とか。買っちゃおっかな!」

「じゃあ、この『コントラクト』とか使えそうだな。これ使えば仲間が増やせるって事だし」

 

龍騎とトップスピードが興味津々にマジカルフォンの画面に目をやって、アイテムを吟味していた。九尾、スノーホワイト、ラ・ピュセルも黙り込みながら見ていた。ナイトとリップルはきな臭さしか感じられないのか、購入する気はなさそうだった。

 

「んじゃあ早速こいつを」

「! 待て2人とも!」

「ど、どうしたんだよライア」

 

龍騎とトップスピードが購入のために画面をタップしようとしたその時、それまでジッと画面を睨んでいたライアが呼び止めた。皆の視線がライアに集まる中、彼はマジカルフォンを操作して、シローを呼び出した。

 

『呼んだかね?』

「シロー。確認しておきたい事がある」

 

そう言ってライアはアイテム購入の画面を指差した。

 

「『仮面ライダー育成計画』も『魔法少女育成計画』も、アプリゲームにおいては無課金だったはずだ」

『もちろんだ。お金は一切とらない』

「ならもう1つ聞くが、このアイテムの名前の横についている数字は何を指している?」

 

ライアが最も気にしていたのは、アイテムの名前と共に設定されていた数値だった。無料であるはずのソーシャルゲームが提示する、この数字の意味とは……。

 

『お金は払う必要はない。ただし、代価は支払ってもらう事になる』

「代価……?」

 

皆の疑問に対し、シローは淡々と答えた。

 

寿命(・・)だ』

「っわっぶねぇ⁉︎」

「ちょ⁉︎ キャンセル、キャンセル!」

 

これを聞いた龍騎とトップスピードはひどく慌てて、スタート画面に戻してから、荒げた息を整えた。無論、動揺が走ったのは2人だけでなく、その場にいた全員も、同じように気持ちを落ち着かせた。

 

「ちょ、ちょっと! そういうの先に言えって! もう少しで寿命縮めちゃうとこだっただろ⁉︎」

「つーかさ。ここにあるアイテムって人助けに必要か? 俺にはそうは見えねぇぞ?」

 

トップスピードの言うように、彼らにはパートナーシステムがある以上、武器がないわけではない。これでは助かりたいという思考と矛盾しているようにも見える。寿命を縮めてまで買う者がいるのか、疑問に思うところだが……。

 

『強い魔法のアイテムを作製するには、それ相応の代償が必要となる』

「随分簡単に言ってくれてはいるが、それをするだけの価値はあるのか?」

 

ナイトの呟きに反応したのかは定かではないが、シローは説明を続けた。

 

『モンスターを動きが例年に増して活発化しているのは間違いない。パートナーシステムによって追加された武器では対処できない部分も出てくるだろう。言ってみれば、これはこの場にいる者で例えるならスノーホワイトやトップスピードのように戦闘向けの魔法を持っていない者への救済措置でもあるのだ』

「救済、措置……!」

「バカな……! そんな説明だけで納得するとでも……!」

 

スノーホワイトが驚きながらも考え始め、ラ・ピュセルがシローの意見に強く反対している。

 

『他の者と差を縮めるにはアイテムの購入が近道となる。今そこにある危機に比べれば、あるかどうかも分からぬ寿命など、些細なものだと私は思うがな』

「そんなわけ……!」

『ない、と言い切れるのかな? 現にラ・ピュセル、君は大きな痛手を受けている。自分の身は自分でしか守れない以上、早めに購入する事をお勧めするよ』

 

シローはそう勧めるが、誰1人としてアイテム購入に動く者はいない。と、そこへシローがこんな言葉をかけた。

 

『オルタナティブの死を、無駄にするつもりかね?』

「……!」

 

その言葉に真っ先に反応したのは九尾だった。

 

『勇気を示せ。本当に現状を打破したいのならば』

「……俺が、買えば」

 

九尾は改めて画面に目をやった。

アイテムを手に入れれば、寿命を失う。最短で3年、最長で30年。数字を見ているうちに、呼吸が荒くなっているのに、本人は気づいていなかった。

ふと目に付いたのは、寿命20年と引き換えに手に入る攻撃系の、『サイズベント』と呼ばれるカード。他のアイテムと違って、代価が高い部類に入っているのは、それだけ高性能なアイテムなのだろう。

震える指先でタップしようとしたのを見たスノーホワイトが、慌ててその腕を掴んだ。

 

「や、止めてだいちゃん! アイテム買っちゃったら、寿命が……!」

「分かってる! でも……!」

 

スノーホワイトに続き、ライアも必死に説得し始めた。

 

「考え直せ九尾! シローの言葉に惑わされるな!」

「けど……!」

 

けど。これでベルデを殺せるだけの力が手に入るのなら。大切なものを壊された苦しみを向こうにも味わえさせる事が出来るのなら。

そこまで思考がたどり着いた時、九尾は腹をくくっていた。スノーホワイトを無理やり振りほどき、龍騎達の叫び声を背に受けながらも、迷う事なく画面をタップする。

 

『そーるどあうと!』

 

……が、サイズベントの購入画面に表示されたのは、上記の文字。

 

「ソールドアウト……売り切れ……⁉︎」

 

九尾の声に反応したのか、他の一同も画面に目をやる。

 

「ほ、本当だ! ってかこれ、全部売り切れてないか⁉︎」

「マジで⁉︎」

 

龍騎の言った通り、別のアイテムをクリックしても、同じ文字しか表示されない。

 

「そんな……!」

「信じられねぇ……! 何でそんな簡単に」

『やれやれ。だから言ったのだよ。早い者勝ちだからすぐに買うべきだと。皆、こうして即決しているのだ。これで今の君達は多少なりともディスアドバンテージを背負った状態にあるという事だ』

「……っ!」

『「先んずれば人を制す」ということわざがあるだろう? まぁ、この結果が後々活動に響かないように祈るよ。それでは、これで失敬させてもらうよ』

 

そう言ってシローはその場から姿を消した。ビル風に吹かれながらしばらく呆然としていた一同だが、やがて龍騎が口を開いた。

 

「どうして……。みんな命削ってまでこんなアイテムを……」

「だよな……。ぶっちゃけこのままじゃ、マジの争いに……」

 

トップスピードがそう呟いた直後、屋上に大きな音が響き渡った。九尾がマジカルフォンを力強く地面に叩きつけた音だ。皆の様々な視線が集まる中、九尾は拳を固めながら不貞腐れたかのように地面に座り込み、フェンスにもたれてため息をつくと、そこからずっと黙り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ここでイベント終了後の、各々の動向に目を向けてみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかしアレですね」

『ぽん?』

 

山の奥にある小屋の中では、クラムベリーとファヴ、オーディン、そして先ほど九尾達と会話していたシローが今回のイベントについて話をしていた。

 

「アイテム追加によって、『強い者を残す』という本来の目的がブレやしませんか? まぁ、燃料投下を任せるように言ったのは私なのですが」

「アイテム次第で弱い者が強い者を倒す可能性がある、という事だな」

 

腕組みをしているオーディンの問いかけに、クラムベリーは静かに頷く。だが、ファヴとシローはそんな事を全く気にしていないらしく、こう言ってのけた。

 

『戦場において、強者がふとした手違いで死に至る事は、珍しい事ではない』

『まぁ要するに、その程度で死ぬなら所詮はその程度の強さしか持ち合わせていなかったってだけぽん』

 

その言葉を聞き、オーディンの脳裏に、過去の記憶がよぎった。

 

 

 

〜何十人もの、『人の形をした何か』があちこちに散らばり、血の海と化した閉鎖空間〜

〜この世のものとは思えない化け物を前に、他者から浴びた血に染まりながらも生き残ろうとして対峙する、2人の少年少女〜

 

 

 

 

『……ーディン。オーディン。どうした』

「っ。何でもない」

 

シローに呼ばれて冷静さを取り戻したオーディンはそう呟いた。

 

『だいたい、アイテムの追加如きで死ぬなんてヒーローとしては成り得ないし、つまりは脇役が死ぬべくして死んだ事と同じぽん』

 

不意に、立体映像として姿を現している球体の白黒マスコットキャラクターの口が歪んだ……ように、2人には見えた。

 

『なぁ。あんたらは強い奴と戦ってりゃ満足なんだろ? 強いやつだけが勝ち残れない従来の『選抜試験』が気に食わなかった。だからファヴやシローと手を組んで、この試験を始めた』

「「……」」

『だったら、これで良いんだよ。小賢しさや要領の良さだけで生き残ろうとしてる奴らが本物のヒーローにぶっ殺される展開。これこそが本来あるべき魔法少女、そして仮面ライダーを育て上げる、『人材育成計画』に相応しい選抜方法なんだよ。……と、いう事ぽん』

 

そこでファヴは言いたい事を全て言い切ったらしく、空中で一回転し、元の表情に戻った。

続いて、シローが声をかけた。

 

『全力で戦い、人間としてではなく、強者としての答えを見つけたいのが、お前達の願いだったな。こうして叶えてやるようにしているのだ。人間というものにどれほどの価値があるのかを知りたいという私の要望、そして』

『ファヴの、より刺激的な見世物が見たいって要望にも応えてもらうように頑張ってほしいぽん。そういう契約だったぽん、マスター』

「……1つ聞きたい」

『何ぽん?』

「その見世物には、我々も入っているのか?」

『さぁな』

 

2匹は表情を変えない。否、それは2匹と最も関わりの深い魔法少女と仮面ライダーも同様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に、良かったのですか? だってそれは、7年という寿命を削って……」

「良いのよ。これぐらいしないと生き残れないかもって思うと、やっぱり、ね」

 

廃墟と化したスーパーの一角では、7年という代価を支払って『金の指輪』を購入したファムが、右手の中指につけられた金の指輪を見せた。シスターナナが心配そうに見つめるなか、ウィンタープリズンはジッと指輪を見つめていた。

 

「……このタイミングでのアイテム解放。何か裏があると見て間違いないと思うが……」

「分かってる。でも、こうでもしなきゃ。先生の分まで、生き残らなきゃ」

 

ファムの決意は固い。ウィンタープリズンもシスターナナも、それ以上何も言わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王結寺では……。

 

「ふ〜ん。これが元気の出る薬かぁ。んでもってこっちが身代わり人形だね」

「あぁ、買っちゃった……。これで私もお姉ちゃんも3年寿命が縮んじゃった」

「しょーがないじゃん。みんな買っちゃってたし、リーダーやスイムスイムがアレを買っちゃったのを見たら、さすがにねぇ……」

「だったらタイガに買わせれば良かったんじゃね? パートナーなんだし買えたでしょ?」

「なーに言ってんのよ。2人揃って初めてピーキーエンジェルズって名乗れるんだから。先に逝くなんてさせないから」

「おぉ。お姉ちゃんマジクール」

 

ピーキーエンジェルズを含め、ベルデチームが購入したものを披露していた。

ダウンロードアイテムの販売が開始されたという連絡がベルデから入り、リーダーである彼は購入を即断した。大手会社の社長特有の攻めの姿勢だった。

当初ピーキーエンジェルズは購入に反対していた。寿命という対価が大きすぎると思って、支払いたくないと渋っていたからだ。が、2人の目の前でベルデが、更にはそれに便乗してスイムスイムが高い対価を支払った時には、さすがに言い返せなくなってしまった。

ベルデは20年の『サイズベント』という高い対価を支払ったのだ。スイムスイムに至っては25年の『透明外套』を購入しており、それらの行為を目の当たりにして、ピーキーエンジェルズは異を唱えにくくなってしまい、結果的にユナエルが最短の3年を対価とした『元気が出る薬』を購入した。妹が買ったという事もあり、姉も便乗して痛み分けとは言わないが、同じく3年の『身代わり人形』を購入したのだ。

 

「で、たまはその武器を購入したんだ。薙刀ってやつか」

「こ、これが、自分の身を守るのに、良いって、思ったから……。それに、スイムちゃんが、これを買ってほしいって言ってたから……」

「ふ〜ん。で、アビスはそのカードか。どんなカード?」

 

5年の『武器』を購入したたまの次に、同じく5年の『ディメンションベント』を購入したアビスに声をかけたのは、8年の『コントラクト』を購入したガイだった。

 

「自分の思った所にワープできるカード、か。万が一に備えて撤退も可能となるわけだ」

「こっちは契約のカードだから、まぁ、ゲームが盛り上がるには役不足かもしれないけど、面白くなりそうだからいいや」

「そうなんだ」

 

チームの中では唯一アイテムを手に出来ていないタイガが、カードを覗き込んだ。と、ここでたまがスイムスイムに声をかけた。

 

「でもスイムちゃん。25年も早く死んじゃうのに怖くないの?」

「怖い。でも、これは必要だから」

 

そう呟いたスイムスイムは透明外套をたまに差し出した。

 

「えっ?」

「交換してほしい。たまにはこれの方が魔法に合う。その武器は私の魔法に合う」

 

多くの寿命を削ったスイムスイムが、安価な武器を使用しようとする事に、一同は訝しんだが、リーダーのベルデは特に異議を唱えない。なので自然な形でトレードは成立した。

薙刀とはいうが、どちらかというと出刃庖丁を大きくしたような形の武器をじっくり見て、ピーキーエンジェルズはわざとらしく言った。

 

「おぉ、切れ味ヤバそう」

「アレに斬られたくねーなー。ってか名前どうすんの?」

「そーそー。勝手につけても良いんだよね」

「ルーラ」

 

即決だった。

元リーダーの名前をそのままつける真意は分からなかったが、本人がそれで良いのなら、という事で、ベルデも反対しなかった。

そんな中、たまは考え込んでいた。頭の回転が遅い彼女でさえ気づいているのだから、当然周りはその気でいるはずだ。

今回のアイテム導入は、きっとキャンディー集めの促進とは別の意味合いがあるはずだった。先日、オルタナティブを殺害する現場にいたたまには、それが否が応でも分かってしまった。それでもなお、先の見えぬリーダーの思惑に、気弱な魔法少女は思わず身震いした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

月明かりの下で、漆黒の魔法少女、ハードゴア・アリスは先ほど購入した『兎の足』を掲げて見つめていた。その代価、6年。その隣では、パートナーのリュウガが、10年の『カースドベント』を手にとっている。

 

「……1つ聞きたい」

「……なんでしょうか」

「お前がそれを購入した理由はなんだ。俺にはこれを使ってやるべき事がある。だがお前にはない」

「……これを、渡したい人が、います」

「……そうか」

 

リュウガはそれ以上追求しない。如何にパートナーといえど、個人の意向に口出しはしないように出会った当初から約束していたからだ。

と、不意にハードゴア・アリスは立ち上がり、リュウガに尋ねた。

 

「……お聞きしたい事が、あります」

「なんだ」

「……白い魔法少女、スノーホワイト。それから、白い仮面ライダー、九尾。……2人がどこにいるか、知ってますか」

「……さぁな。俺も極力他人との馴れ合いは避けていた。馴れ合ったところで、最後には裏切られる。俺はそれを直に味わった」

「……そう、ですか」

 

それでは、今日は失礼します、と言って立ち去ろうとするハードゴア・アリス。もう家に帰って休むのだろう。そんな彼女の背中越しに、リュウガは声をかけた。

 

「ただ、その2人が担当していた区域は、過去ログで絞り込める。後で、送ってやろう」

「……ありがとう、ございます」

 

ハードゴア・アリスは振り返って礼を言うと、そそくさと立ち去った。1人残されたリュウガは、カードをVバックルにしまうと、再び月を見上げた。満月が、太陽のように眩しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、こちらはゾルダ&マジカロイド44ペア。

 

「で、何か買った? アイテムの方は」

「買わなかったデス。寿命が惜しいものデスから。そういう先生はどうなんデスか?」

「俺もだ。なんていうか、かったるいっていうか……。別に寿命云々じゃ無しに、こういうのって俺の趣向に合わないっていうかさ」

「先生らしいデスね」

 

ゾルダの言葉に、マジカロイドは同意する。この2人はアイテムを買う気はハナから無かったようだ。

 

「けど、アレデスよね。オルタナティブが死んで、その週に脱落者が出なかったわけデスから、これはやはり……」

「だろうね。要はその週に誰かが死ねば、キャンディーの多寡なんて関係なくなる」

 

つまり、『誰かを先に殺しておけば、自分が脱落しなくて済む』という事だろう、とゾルダは語る。

 

「正直、その方が手っ取り早いけどね。このまま進んでも、上位との差は動かないだろうし。それにオルタナティブは巻き込まれて、先んじて死んだ。んでもって向こうは事故としてみんなを納得させて、警戒が薄れたところでアイテム追加ってわけだ。よく出来てるよ、この流れ。案外俺と似通ってる感じがするし、仲良くなれそうだ」

「激しく同意デス」

 

マジカロイド44も、足をブラブラさせながら呟いた。

 

「ま、アイテム無くったって、それなりに充実してると思うよ、俺た……」

 

そこまで呟いたその時、ゾルダは唐突に口に手を当てて咳払いし始めた。しかも、それが途切れる事なく、しばらく続いた為、マジカロイドは慌ててゾルダの背中をさすった。

 

「先生……!」

「あ、あぁ悪いね。ちょっと寒くなっちゃって。もう冬も近いからだな」

 

ハハハと笑うゾルダだが、マジカロイドの表情は笑っていない。アレが単なる咳だとは思えないからだ。

 

「んじゃあそろそろ帰るか。家に帰って、ゴロちゃんのあったかいスープでも飲もうよ。今日はこっちに泊まってくか?」

「デハ、お言葉に甘えさせてもらいマス」

 

そう言って立ち上がる2人。

この時、ゾルダはパートナーに見えない位置で口を覆っていた右手を後ろに隠しながら歩いていたのだが、マジカロイドにはとっくにお見通しだった。その右手のひらについていた液体の正体に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城南地区のとあるクラブのVIPルームにて、王蛇とカラミティ・メアリが腰掛けながら、各々が獲得したアイテムを見せびらかしていた。当然この2人に寿命の概念など通用するわけも無かった。

 

「この袋、中々に便利だよ。10年は安い買い物だね」

 

琥珀色の液体が注がれたグラスを口に持って行きながら、カラミティ・メアリは購入した『四次元袋』を眺めている。その一方で、王蛇が購入したのは……。

 

「しかしアレだね。あんたも肝っ玉が随分と据わってるやつだねぇ。30年ものを購入したのを見た時は、さすがにブルっちまったよ」

「……フン」

 

鼻を鳴らした王蛇の目の前の小机には、緑色の液体が入った瓶と、無地のカードが置かれている。

王蛇が購入したのは、8年の代価を払う事となった、ガイと同じ『コントラクト』のカード。そして注目すべきは30年という破格な代価でもある『復活の薬』だった。死にかけていたらそれを使って全回復するという観点からも、30年という代価は妥当なのかもしれないが、やはり手を出しにくいのか、誰も手をつけていなかった。

とはいえ王蛇も最初からそれらを購入する気は無かった。元々武器系統のものが欲しかった王蛇だが、1人だけメッセージを確認するのが遅れてしまったが故に、売れ残っていた2つのアイテムを、止むを得ず購入したのだ。当然求めていた物が購入出来ずにイライラしていた為、彼の周りには割れたグラスが散らばっている。

これにより王蛇は計38年という寿命を縮めた事になるわけだが、彼自身全くそれを気にしてはいない。

 

「寿命がどうした。俺は今戦えればそれでいいんだァ……!」

「あんたらしいよ。こいつと組ませてくれたファヴやシローにも、ちったぁ感謝しておくか」

 

カラミティ・メアリは、この日何本目になるだろう、新しい瓶を手に取り、氷の入ったグラスに注ぎ込む。魔法少女となっている今、頑健な肉体によってアルコールで酔う事もない。

すると、王蛇が何の予兆もなく立ち上がり、部屋を出ようとした。

 

「どこ行くんだい」

「いい加減待ってるのも飽きた。向こうが来ないなら」

「こっちから1人、殺ってく。そういう事だね。ま、好きにしな」

「……ハッ」

 

仮面の下で狂気的な笑みを浮かべた、紫のライダーは、首を回して音を鳴らし、そして呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャンディー集めだけじゃタルい。こっちから遊びに行ってやるぜェ……」

 

 

 

 




最後の方でも分かる通り、次回、いよいよあいつが動き出す……!

そして、もう知ってるかと思いますが、あの浅倉改め王蛇が、エグゼイドのスピンオフ作品『仮面ライダーブレイブ』にて、電撃復活! おまけにタイガも姿だけですが登場するようですし、これはビックリしましたね! めでたく15周年を迎えた『仮面ライダー龍騎』ですが、どのように東映が祝っていくのか、今年も楽しみが増えますねぇ……!
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