正義の劔冑   作:ポムポムプリン

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善悪相殺
運命の夜


物語はちょっとした歯車の違いで変動していく。

これはありえもしない物語。

 

「ッ―――――誰だ…………!!!!」

 

校庭で戦っている二人を固唾を呑んで見ていた事が気づかれてしまった。だが、あくまで常人の枠に入る衛宮士郎には仕方のないことなのかもしれない。此処の戦場は余りにも常人には場違いすぎた。

三十六計逃げるに如かずという言葉があるが常人では抵抗する事はおろか逃げきることも出来ないだろう。だからと言ってこの場に居ても何も解決はしない。

あの戦いを見てあの二人は人を殺すことに躊躇しない事はなんとなくとだが分かった。

ならばこの場に残り殺されてしまうぐらいなら少しでも生き残る可能性がある逃走を実行する。

 

「――――――――ッ」

 

踵を返し逃走を実行したがこんな速度では足りない。だから唯逃げるだけではダメだ。普通に逃げるだけではこの身が無事なまま逃げ続けれるのも残り僅かな時間だろう。手近にある校舎に辿り着く前に俺は殺されてしまう。

・・・・・・・・・・・・・・・・ならば

 

「――――同調(トレース)開始(オン)

 

常人ではなし得ないことを衛宮士郎は実行する。即ち己の体に強化を掛けて校舎まで全力疾走である。

何故か鍵が開いていた校舎に入り込み強化を掛けた体で廊下を全力疾走を続けて振り返って見るとアイツの姿はなかった。

 

「ハッ…ハッ…ハッ…ハッ…………ふぅ」

 

近くの教室のドアが何故だか開いていたので入り込み壁に寄りかかり息を整える。どうやら振り切れたようだ、それに辺りは先程の光景が嘘のように静まり返っていた。

 

「なんとか、振り切れたか・・・?」

 

辺りを見渡して見ると何かが近くの机の下に置いてある。目を凝らして見てみれば木製の箱に装甲悪鬼村正と刻まれている。誰かの忘れ物かなと思ったがこんな事を考える余裕が出来たことに大きく息を吐き安堵をしたがヤツらを振り切れていた筈もなく、窓ガラスが割れた音がしてあの青い男が目の前に飛び込んできた。

 

「よぉ、随分と逃げるのが早いな。探したぜ?」

 

そう言いアイツは槍を構える。

 

「見られたからには悪いが坊主、大人しく死んでくれや」

 

振り落とされるのは一撃必殺。常人には反撃する事どころか視認することは不可能だろう。だが槍が一直線に急所に放たれるのは分かる。ならばまだ強化の効力を失っていないこの身で全力を持って回避に徹する。

 

「なんだとッ?!」

 

アイツが驚いている隙に手近のロッカーにあったモップを取り出した。

 

「――――同調(トレース)開始(オン)

「――――構成材質、解明」

「――――構成材質、補強」

「――――全行程(トレース)完了(オフ)

 

モップに強化の呪文を掛け終わえ、モップを構えアイツに向き合う。

するとアイツは納得したような顔で

「ほぅ、ひょっとしなくても坊主は魔術師なのか。それで逃げ足が速すぎた訳か、合点がいったぜ」

それで、とアイツは続けた。

 

「サーヴァントもつけずに敵情視察をマスーだけでやるってのもあんまり聞かない話だがなぁ。坊主のサーヴァントは何処だ?まさかマスターのピンチだってのに寝てるなんてことはないだろ?」

 

「マスター?サーヴァント?何を言ってるんだ?」

 

そう言うとアイツは頭に手を当てて

 

「あー、オレの勘違いか。ふむ………重ねて謝るが悪いな坊主。今、オレのマスターからも連絡があった。そこの魔術師の処理はお前に一任するってな。英雄同士(オレ達)の戦いに水を差したんだ殺されても文句は言えないよな?」

 

そういうと一閃を放ってきた。

 

「ッ………!」

 

慌てて受け止めたモップは一撃で粉砕されてしまった。

次のあいつは本気だ。俺は反応することすら出来ずに殺されてしまう。

 

「まあこんなもんか。案外お前が7人目だったかもしれないが今更言ってもどうもならないわな。それじゃああばよ」

 

俺はこんな所で、あの日の誓いを果たせずに死んでしまうのか…………

………巫山戯るな。こんな所で、こんな奴に、訳も分からずに

「殺されてたまるかーーッ!!」

必死に叫び急所に当たらないように手を突き出すとナニカが抜ける感触がして辺りを大きな光が覆った。

 

「サーヴァントセイバーだ、マスターの要請により参上した。ーーーー問おう、貴方が私のマスターか?」

 

そいつはまるで爺さんのようだった。勿論爺さんにそっくりだとかそういうわけではなくそもそも女性であったし雰囲気も体格もまるで違っていたが不思議と目は爺さんと同じに見えた。

「おいおい、こんな土壇場でサーヴァントを呼ぶなんてよ。最初に仕留めれなかったオレが悪いのか、はたまたボウズの運が良すぎるのかな」

 

あいつが頭を掻きながら槍を構える。

 

「成る程、把握はした。マスターは敵サーヴァントに襲われているのか。先ずはこいつに退場してもらおう」

 

「鬼に逢うては鬼を斬る 仏に逢うては仏を斬る ツルギの理ここに在り」

 

もの憂げな顔をした女性が口上を述べ現れたのは全身を血で赤く染めたような甲冑だった。

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