インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて 作:如月ユウ
あれから数日が経ち、僕は藍越学園ではなくIS学園に入学した。
女学園だけあって入学式は僕と一夏しか男性はいなく女子の視線が嫌でも突き刺さる。
「ふぅ……」
教室でも同じように女子の視線が突き刺さる。
「なんで一夏と同じクラスじゃないんだよ……」
僕がいる教室は1年4組であり、一夏は1年1組にいる。
一夏だから1年1組なのか?せめて同じクラスならこの視線も和らげると思うが。
「はーい、みんな席について、SHRを始めるよ」
このクラスの担任らしき人がはいってきて、クラスの女子は自分の席に座る。
「今日からここの担任となったエドワース・フランシィよ」
誰も返事をせず、僕を見ていた。
「まあ、気持ちは分かるわ。私も男子生徒がここのクラスになるって聞いたとき驚いたから。じゃあ、出席番号順に自己紹介して」
出席番号順の人から立ち上がり自己紹介をしている。ちなみに出席番号順は誕生日ではなく、あいうえお順である。
「次は山田悠人君」
「は、はい!」
少し声を大きく出してしまい、ビシッと立ち上がった。
「「「…………」」」
周りの視線が痛いほど突き刺さる。
一夏も同じ気持ちなんだろうな……気持ちを落ち着かせるために深呼吸をして自己紹介をする。
「はじめまして山田悠人と言います。この学園にいる山田真耶先生の弟です。趣味はプラモ作りと料理です。よろしくお願いします」
頭を深くさげる。
今まで自己紹介したなかで一番緊張した。
◇
「このようにISは基本的な運用は基本運用は現時点で国家の認証が必要で刑法によっては罰せられ──」
教科書を読みながら授業を進めていくエドワース先生。他の女子も先生の言葉を聞きながらノートをとっていく。
「山田君、今のところでなにか分からないことはあった?」
「いえ、姉ちゃ……山田先生に入学前に教えてもらったので大丈夫です」
「うん、勤勉でよろしい。つまり──」
満足そうに頷いたエドワース先生がそのまま授業を続ける。
◇
午前の授業が終わりお昼休みになった。休み時間になっても心が休まることがないのは生まれてはじめてだよ……。
「えっと、食堂は……ここか」
お昼を摂るために食堂へと歩いた。食券式なんだここは
食券を渡してトレーに乗せられると僕以外の男子であるあいつがいた。
「一夏……?」
「悠人じゃねぇか」
一夏は僕を見つけるとトレーを持って近付いてくる。
「悠人、お前がいなくてかなり辛かったんだからな」
「それはこっちの台詞だよ。僕以外全員女子なんだし、息苦しいったらありゃしないよ」
あぁ、こうして同性と話すだけで心が軽くなるよ。
僕がここにいるのは一夏のせいだけど、ここはまだ許しておこう。
「一夏、彼は誰なんだ?」
腰まである長い髪をポニーテールにした女子が一夏の隣にいた。あれ?なんか見たことあるような……。
「誰って忘れたのかよ箒? 悠人だぜ? ほら、小学生の頃、一緒に遊んだだろ」
「悠人……あ、思い出した! 山田先生の弟の!」
一夏が箒と呼んだと同時に僕も思い出した。
篠ノ之箒。
僕と一夏と同じ小学校で小学4年のときに引っ越したんだった。
「ひさしぶりだね箒、一夏が箒って言わなかったら忘れてたままだったよ」
「それは私も同じだ。一夏が言わなかったら私も忘れたままだった」
「とりあえずテーブルに行こうぜ?話は食べながらでもいいし」
一夏の言葉に賛同して僕達はテーブルの席に座った。
「そういえば箒って剣道の大会優勝したんだよね?」
「なぜ、それを知っている」
「いや、普通に新聞に載ってたから」
「なんで新聞を見てるんだ」
「別に読んでもいいじゃん。それに今のは炭酸飲んでなんでゲップしているんだって言ってるようなもんだよ」
「うっ……む……」
「すげぇ、悠人……俺も同じことを言われたのに箒が反論出来ないとは」
僕の言葉に箒は黙ってしまい、一夏には称賛させる。
「それと一夏、お前なんで受験に来なかったんだよ。時間ギリギリまで待ってたんだぞ?」
「いや、道に迷ってな。適当な扉を開けたらISがあったから触れて……」
「その行動……ある意味敬意を評したいよ」
この馬鹿がISを起動しなかったら今頃……。
◇
「山田君、授業が終わった後、放課後は少し教室で待機してなさい」
「えっ、まあ……はい」
午後の授業が終わりようやく解放された。このまま家に帰ろうとしたがエドワース先生に呼び止められて教室で待機していてしばらくすると姉ちゃんが僕の教室にはいってくる。
「悠人、寮の部屋割りが決まったから鍵を渡すね」
「鍵?前に家から通うって聞いたけど?」
「政府から言われてね。無理矢理だけど他の女子と同じ部屋になったの。一ヶ月もすれば個室を与えられるんだけど」
政府よ、こんな羊の群れに狼を野放しにしないでほしい。もしかしたら襲ってしまうかもしれないんだぞ。
まあ、そんなことしたら捕まるのは僕だけどね。
「けど、寮なら荷物作らないといけないから一回、家に帰らないと」
「私が準備したから大丈夫だよ。服や下着とかはタンスにはいってたのを入れて、ゲームは中身見ないでケースにいれたから中にゲームがはいってるかどうかは分からないけど」
「大丈夫だよ。たしかソフトいれたままだったと思う」
「あと、ゲームと携帯の充電器もいれたから大丈夫だよね?」
荷物が入った大きめの旅行バックを僕に渡してくれた。
「夕飯は6時から7時、寮は1年生用食堂で摂れるから、大浴場は使えないけど部屋にシャワーがあるからそっちを使って」
「大浴場壊れてるの?」
「えっとね……悠人、ここは女子学園だから……」
あ~そうだよね。僕と一夏は男だから女学園の大浴場にはいると刑務所に直行に処されるからね。
「あぁ……うん。僕はイレギュラーとはいえここは女子の学園だから」
「これから会議があるからまっすぐ寮に行ってね?寄り道はダメだからね?」
「うん、わかった。ありがとう姉ちゃん」
服がはいった旅行バックと教科書がはいったカバンを持って教室を出た。
◇
「えっと番号が1040……ここだね」
鍵についているキーホルダーを確認してドアに鍵を差し込もうとしたが
「あ、開ける前にノックしたほうがいいよね?」
扉を三回ノックするが部屋から反応がない。まだ来てないのかな?
「とりあえずはいってもいいよね?」
鍵を差し込んで回すとガチャリと音が鳴り、扉を開ける。
「お帰りなさい。ご飯にする? お風呂にする? それともわ・た・し?」
バタンと扉をしめる。
なんだ今のは……裸エプロンの女子がいたぞ。
頭の思考が追い付かないとはこのことだろう。深呼吸をしてもう一度、扉を開けた。
「お帰りなさい。私にする?ワタシにする?それともわ・た・し?」
またバタンと扉をしめた。
なんだ……なんなんだこれは……IS学園で恒例のやつなのか?
ここは勇気を出して、扉をしめないように……。
三度、扉を開ける。
「お帰りなさい。わたし以外の選択肢はないわよ?」
ギブアップ。
思わず膝をついてorzという体勢をとってしまう。
「ねぇ……大丈夫?」
裸エプロンの女子が僕を心配している。気持ちはありがたいけど、この体勢になってるのは君のせいなんだよ?
「あの……IS学園ってこういうことをするのが恒例なんですか?」
「そんなことはしないわ。ちょっとしたイタズラよ♪」
さいですか……。
「自己紹介まだだったわね。私は更識楯無、このIS学園の生徒会長をしてるの」
「生徒会長?ってことは3年の先輩ですか?」
「残念ハズレ」
いつの間に手に持っていた扇子を開くと『不正解』と書かれていた。
「じゃあ2年生ですか?」
「正解」
扇子を閉じてまた開くと今度は『正解』と書かれていた。
「あの……えっと……先輩……」
「なにかしら?」
「その格好で話をするのはちょっと気が引けるので着替えてほしいんですが……」
「あら、水着に着替えてるわよ?」
突然、エプロンの裾を上げてきて思わず目をつぶる。あの格好で言っても信用出来ない。
「大丈夫よ、お姉さんちゃんと着けてるから。だから……ね?」
意を決して目を開けるとエプロンの後ろに水色のビキニを着けていた。
「本当は期待してたりして♪」
「えっと……その……」
「ふふっ♪」
開かれた扇子に『スケベ』と書かれている。
◇
「自己紹介まだでしたね。山田悠人です」
あれから水着から制服に着替えてもらった。
更識先輩の制服は他の女子とは少し違い、制服の上にカーディガンのようなものを着ている制服だった。
「たしか山田先生の弟君なんだよね?」
「はい、本当は家から通う予定だったんですが」
「政府に言われて寮生活をしろということでしょ?」
扇子を開いて『要人保護』と書かれている。
「君も一夏君と同じように各国企業に狙われている立場だからね。こればかりは仕方ないわ」
「えぇ……」
IS学園の人のおかげで家にはマスコミや国の大使、遺伝子学会の研究者まで来ることはなかった。一夏の家には来たらしいけど。
「安心して悠人君、私が君を守るからね」
「守るって先輩は生徒会長ですからそれなりに権限は持ってますけどさすがに……」
「生徒会長は他の生徒の手本となり、常に最強であれ」
おどけた声から真面目な声に変わり、扇子には『学園最強』と書かれてる。
「これでも私はロシア代表なのよ?」
「だ、代表!?」
なぜ、ロシア代表なのかは今は置いとくとして国の代表なのは驚きだ。つまりオリンピック選手と同じように実力があるということ。
それが本当ならそうとう実力があるということだ。
「それに更識家は対暗部用暗部の組織。私はその17代目当主なの」
暗部とかよく分からないがとりあえず、すごい組織だとわかった。それで楯無先輩はその暗部のリーダーということ。
「まあ、息苦しい話はここまでにして。これからよろしくね」
「は、はあ……」
「こ~ら、こういうときはちゃんと返事をする」
「よ、よろしくお願いします」
「うん、良い返事でよろしい♪」
ここに入学してから波乱に満ちた生活になりそうだ。
同居人は楯無さんになりました
まあ、この人なら安心して寝れますね
いや、安心は出来るか?