インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて 作:如月ユウ
仕事に行くまで布団から出ません、出たくありません
「以上が山田が説明した正体不明のIS…以後ガンダムと呼ぶ。その機体についての説明だ」
ガンダム……架空の兵器である物が目の前に現れていて戸惑いが隠せない。数ではこちらが上だが性能はあちらが上。
「織斑先生、少し席を外してもいいですか? 10分……5分で戻ります」
「構わないがなにをするんだ?」
「少し、1人になりたいんです」
「わかった」
千冬さんの許可をもらって大宴会場を退出した。
◇
「くそがっ!」
誰もいない廊下で壁を殴った。
なんで……なんでガンダムが出て来てんだ。よりによってSEEDシリーズの機体、最悪なことにラウ・ル・クルーゼが乗っていたプロヴィデンスまで一緒にいる。
あのガンダムはドラグーンがあるから広範囲のオールレンジ攻撃をするので全滅もあり得る。
「喚いていても何も解決しない。どうすればいいか考えないと」
4機のガンダムの特性を知っているのは僕だけ、口頭で説明して理解出来ているのは簪ぐらいだろう。
「すぅ……はぁ……」
大きく息を吐いて呼吸を整えると大宴会場に戻る。
◇
「すいません、少し頭の中を整理してきました」
「無理もない。架空の兵器が実在して混乱するのは当たり前だ」
襖を閉めて、空中投影ディスプレイの近くまで歩く。
「山田、お前には申し訳ないが今回の作戦はお前に全て任せて大丈夫か?」
「そう言われると思っていましたよ」
ISなら千冬さんが作戦を考えると思うが今回の場合は相手がガンダムだから訳が違う。
さて、4機のガンダムをどうするか考えないと……いや、その前に大事なことを伝えないといけない。
「まず、作戦を伝える前にガンダムについてですが有人機であっても生死問わず全機破壊を推奨します」
「生死問わず破壊って……殺すのかよ!」
「そうだよ一夏」
人殺しをしろと言って一夏が激怒をしているが僕は平然と答える。
「ストライクもそうだけどガンダムは元々戦争目的につくられた兵器。この4機にはISのシールドエネルギーに加えてPS装甲を兼ね備えている可能性がある。束さんでもつくることが不可能なこの機体を誰が手放すと思う?」
「姉さんがつくれないだと……」
ISの開発者でその妹である箒はその事実に耳を疑う。
「おい、悠人それって本当に」
「ゆっくんが言ってることは本当だよ」
天井から声が聞こえると束さんが屋根を外して顔をだしていた。忍者かよ。
「とうっ」
シュタッ!と1回転して畳の床に足をつけた。
「ガンダムの武装ならともかく装甲に関しては完全にお手上げだよ。電圧を流して物理兵器を無効化する金属なんて天才の私でもつくれない代物だからね」
ドラグーンはつくれるのか。まあ、あれはブルーティアーズのビットと同じだし、イギリスで開発してるから束さんがつくれないわけがないか。
「もしアメリカやイスラエルが正体不明のISがガンダムだと知って束さんがつくれない代物だと気付いたらを見逃すと思う?ですよね織斑先生?」
「……実は上から可能ならこの4機を捕獲をしろと言われた。他のISとは違って未知な部分が多く、捕獲して研究するつもりだろう。この機体はコアがなくてもバッテリーさえあれば動く。そうだよな山田?」
「はい、SEEDシリーズのガンダムはバッテリーや核エンジンさえ残っていればISと同じエネルギーシールド同様の機体です。これが存在すると新たな戦争の火種となります」
戦争。
それは地球が誕生してからずっと行われていたこと。ときに歴史に残り、ときに悲劇に遭う。今現在でも行われている哀しい行為。
「ガンダムを戦争で使われたとき死ぬ人数とこの機体のパイロットが死ぬ人数を天秤にかけた結果。パイロットを殺すことを選んだ」
「だけど」
「嫌なら外れていいよ」
殺す必要がないと言っている一夏にやりたくないなら外れろと言う。
誰しも人殺しなんかしたくない。人を殺して快楽を持つ者やショックを受けないのは異常者だ。
だが、このままガンダムを放置していたら他の場所に被害が遭ってしまう。現にアメリカとイスラエルでは被害を受けている。
「これはスポーツでも遊びでもない。生きるために他者の命を奪う殺し合いなんだ」
殺すという言葉に誰もが不安になっている。
「仮に誰も参加しなくても僕は1人でやるつもり」
「あんた本気で言っているの!?」
参加するのか聞いていないが誰も参加しないのを想定して話すと鈴が詰め寄る。
「本気も何もここでやらなければ誰かが死ぬことになる。誰も参加しないなら僕1人だけでやるつもり」
「悠人は怖くないの? 人を殺すことが」
恐る恐るシャルロットが僕に人殺しを出来るのかと聞いてくる。
「新たな戦争の火種となるガンダムを目の前にして指をくわえて見てるわけにはいかない。同じガンダムの名を持つ機体のパイロットとしてね」
少しだけ格好つけて戦うことを選んだと言う。
「私は参加する」
この言葉を言ったのはラウラだった。
「今はIS学園の生徒とはいえ私の本職は軍人だ。市民を守るのが軍の務め。市民を守るため人殺しをすることもある。それが今ということだけだ」
「わ、私もやります。ガンダムなら私も詳しいですし、更識家は対暗部用暗部組織。裏社会で暗躍して人を殺すこともあります。だから私も悠人君の手伝いをします」
簪も一緒に戦うと言ってくれた。
「アタシもやります。人を殺すのは怖いですけど……悠人だけ行かせるわけにはいきません。こいつは無茶ばっかりするやつですから」
こいつって……まあ、いいか。
「私も行きます。悠人には私が一生涯かけても返せない恩があります。だから私も悠人と一緒に戦います」
シャルロットも僕と一緒に戦ってくれるんだ……ありがとう。
「残るはお前らだ。今回の作戦は山田に一任した。だから私はお前達が参加することを強制しない」
残った一夏、箒、セシリアさんはどうするのか迷っていると
「わたくしも参加します。
代表候補生としてのプライドと自分の家の誇りのためにセシリアさんも参加してくれるそうだ。
「私もやります。姉さんから受け取ったこの紅椿と共に」
手首につけている2つの鈴……待機状態である紅椿を触れて箒も参加してくれた。
「残るは織斑だがどうする? 人殺しをしたくないならおりても構わない。誰しも殺人の罪を背負いたくないものだ」
「俺も」
「一夏」
この雰囲気だと自分の意思とか関係なく参加すると言うと思う。だから先に言っておきたいことがある。
「無理して参加はしなくてもいい。周りの雰囲気に流されて参加したと感じたら一夏だけ外す。これは殺人という重い罪を背負うことなんだ。参加したくないと言っても誰も文句はいわない。僕は人殺しをしろと強要はしない」
周りが参加すると言って自分だけ参加しないのはおかしいと思われると感じたんだろう。
「一夏、なぜ参加するか理由を聞きたい」
「……俺は千冬姉や真耶さんに守られてばかりだった。もし、俺が誘拐されていなかったらモンドグロッソ二連覇を果たせた。俺が千冬姉の誇りを汚したんだ」
自分は無力だと実感して悔しそうにしている。
「俺はもう守られる立場から卒業したい。守られる俺じゃなくて守る俺になりたいんだ。千冬姉からもらった力で」
千冬さんから引き継がれた雪片……今の雪片弐型のことを言っているんだろう。やっぱり一夏は僕より信念があって強いよ。
「わかった。一夏、ガンダムを一緒に倒そう」
「あぁ!」
「全員参加と考えていいんだな?」
千冬さんが僕達に全員参加でいいのかと聞いてくる。
「はい、織斑先生」
「よし、作戦に参加するメンバーが決まった。山田、作戦内容を伝えろ」
頭をフル回転させて各々の機体の性能と特性を元に相性や性格、武装について考える。
「今回の作戦はガンダムの破壊を目的にします。ですから僕達はどのガンダムを相手にするか重要です」
「誰がどのガンダムと戦うということ?」
「そう、みんなが相手するガンダムは僕自身で判断します。不満や質問は遠慮なく言ってください」
全員が頷くと僕は作戦内容を話す。
「僕達が相手をするガンダムですが一夏と箒はカラミティガンダム。シャルロットと簪はフォビドゥンガンダム。鈴とセシリアさんはレイダーガンダム。ラウラは単独行動で臨機応変に動き、プロヴィデンスガンダムは僕1人で戦う」
「ちょっと待つんだ嫁! なぜ、私は1人なんだ! 嫁と一緒に行動するんじゃないのか!」
自分だけが単独行動になっているのに納得が出来ていない。
「ラウラ、ガンダムがどれだけ強いのか実際体験したでしょ?僕のストライクで」
「それはそうだが……」
「幸い、僕達のほうが数は多いから2対1という戦略ができる。これはアドバンテージとしてはかなり大きい」
単独で複数を相手するのは苦しい状況になる。それは学年別トーナメントで誰もが体験している。
「なら、なぜ嫁は1人で戦わなければならない」
ラウラの言葉は誰もがそう思っているだろう。8対4というアドバンテージなので2対1では問題ないと思っているがそれは少しだけ違う。
「ラウラが単独行動なのはちゃんとした理由がある。もし、この中にいる誰かが戦闘不能になって戦えなくなったらその人の分を補うのがラウラの役目。僕がプロヴィデンスとタイマンを張るのはみんながガンダムを破壊するための時間稼ぎだよ」
「そんな無茶苦茶過ぎるわ! なんで悠人がやる必要があるのよ!」
「そうですわ。それなら代表候補生であるわたくし達に任せれば」
「プロヴィデンスのドラグーンがどれだけ恐ろしいのか知っているの?」
鈴は感付いているがセシリアさんはイマイチ理解していない。
「あれはセシリアさんのビットよりも数が多く、ひとつのドラグーンで複数のビームを撃つ。オールレンジで使われたらどうなるか?」
プロヴィデンスがドラグーンを使ったシーンをディスプレイに映した。
「ゲーセンにあるエクバの動画だけどこれを見ればドラグーンの恐ろしさはわかるよ」
SEEDの機体ではないガンダムがプロヴィデンスのドラグーンから放たれる計43のビームの雨に被弾する。
「これは……」
ブルーティアーズのビットよりも数が多いビームを見て驚いた目をしている。
「ゲームの中だからそれほど大したことはないけどこれを現実でしかも目の前でやられたらどれだけ恐怖するか」
もし、この動画のシーンが自分にきたらどうなるか。その恐怖を身を持って知ったと思う。
「どうして僕がプロヴィデンスの相手をしなければならないのか。それは全員の機体の特性からして僕が一番適任だからだよ」
「なんで悠人なんだ?」
「簪、ストライクはどういう機体か分かる?」
「ストライクガンダムは装備換装型機体。各ストライカーパックには予備電源を兼ねたバッテリーが内蔵されていて、ストライカーパックから電源を補給して戦線にすぐ復帰出来る」
「それにストライクはPS装甲。ISのシールドエネルギーが切れてもストライクのバッテリーが残っているなら戦える。そして予備バッテリーであるストライカーパックは僕の
理論上半永久的にエネルギーを持っているプロヴィデンスガンダムの相手をするのはバッテリー式であるが複数の予備バッテリーを所持しているストライクが一番良いと一夏に説明した。
「だけどそれって俺の零落白夜を使えば」
「一夏がカラミティガンダムを担当するには理由がある」
「理由?」
「カラミティガンダムは近接格闘になると不利になる。箒の紅椿から放たれる遠距離の斬撃でカラミティガンダムの動きを制限して一夏の零落白夜でシールドエネルギーとTP装甲を一気に削り落としてほしい」
「そうか、それが俺の役目なんだな。わかった」
「シャルロットと簪がフォビドゥンガンダムなのは対ビーム防御用のゲシュマイディッヒ・パンツァー対策。TP装甲とはいえ、連続でビーム兵器を食らえばフェイズシフトダウンを起こす。簪の装備にはビーム兵器があって、シャルロットの武装は実弾オンリー。通常の場合なら簪のビーム兵器で攻撃、ゲシュマイディッヒ・パンツァーを使ったときはシャルロットの実弾兵器で攻撃。フォビドゥンの状況に応じて交代して戦ってほしい」
「うん」
「わかったよ、悠人」
「鈴とセシリアさんがレイダーガンダムなのはMA形態から接近してMS形態で攻撃してまたMA形態で離脱という戦法を崩すため。鈴が相手をしてレイダーガンダムが離脱するときは必ず隙が出来る。その瞬間をビットで狙い撃ちして鈴の衝撃砲で追い討ちといった感じで戦ってほしい」
「わかった」
「わかりましたわ」
「作戦は以上ですが質問がある人はいますか?」
「はいは~い。もし奇跡的に正体不明のガンダムの損害が少なかったら束さんがもらっていいですか?」
手をあげてジャンプしているのは束さん。PS装甲及びTP装甲は束さんでもつくれない装甲だから咽から手が出るほど欲しいだろう。
どうするか……。
「それはガンダム全機壊して損害状態を見てからで良いですか?」
「全然おっけーだよ」
言質をとった。それに複数の証人もいるから大丈夫だろう。
「他に質問はありますか?」
ラウラだけ不満そうにしているが僕の考えた作戦には質問をする人はいない。
「質問がないならこの作戦で行う。各自、ISの調整と武装のチェック、シールドエネルギーの補充を済ませろ。作戦は2時間後に開始する」
千冬さんが手を叩くと僕は大宴会場を出た。ストライクとストライカーパックの調整と不具合を調べようとしたらラウラが僕に近寄る。
「嫁よ、なぜ私だけ単独行動なんだ。作戦の内容は納得しているが嫁だけ1人なのは納得出来ない」
「心配してるの?」
「当たり前だ。お前は私の嫁、心配するのは普通だ」
僕を心配してくれるのはとても嬉しいがこうでもしないとガンダム破壊の成功率が減ってしまう。
「ラウラ、なんでラウラだけ単独なのは戦闘不能になった人のバックアップだけじゃないんだ」
「バックアップ以外にもあるのか?」
「そう、バックアップよりも大事なこと……というよりそっちがラウラの本当の役目」
「私の本当の役目?」
「ラウラの機体シュヴァルツェア・レーゲンの武装であるAICを使った拘束がラウラの役目なんだよ」
「AICだと?」
「意識をかなり集中しないと使えないけど、それでも相手を拘束して動けなくするのはかなり強力な兵器だよ」
ワイヤーやネットで拘束する兵器はあるが意識だけで拘束する兵器なんてガンダムの世界にもない。これは有効活用しないと
「それが私の本当の役目なのか」
「そう、ラウラにしか出来ない役目だよ」
「そうだったのか……すまない。嫁はそこまで考えていたとは思わなかった」
「ラウラなら自分の機体について理解していたかと思っていたんだけど」
「そ、それは……」
あれ、気付いてなかったのか?
「ラウラって意外と抜けてる部分あるよね」
「嫁のことばかり考えているからかもしれない」
なんかそういうキャラいたよね。アニメ版だと有名なネタである……。
「いかんいかんいかん」
あれは本当に黒歴史だ。僕も好きなキャラだし、ファンの人や制作者にも精神的な衝撃をあたえた。
「どうした嫁?」
「い、いや。大丈夫だよ」
ラウラの身体付きで思い出したけど貧乳はステータスだ!という言葉を誕生させたキャラがいたな。
「僕はストライカーパックに不具合があるか調べるからラウラも準備しといて」
「了解」
さて、新しく送られたストライカーパックの調整をしよう。
◇
昼食をとり、食休めをして今の時間は14時
「みんな、装備やシールドエネルギーは満タン?」
「あぁ、大丈夫だ」
「私も問題ない」
「いつでも行けますわ」
「アタシも大丈夫よ」
「僕も大丈夫」
「わ、私も準備はできてる」
「私も行けるぞ嫁」
僕を含めた全員がISスーツを着て、自分の専用機を装着している。
「作戦は聞いたと思うけどもう一度言うね。今回の作戦はガンダムの破壊、パイロットの生死問わず機体を破壊する。ここまで来てやめる人は言って」
僕の質問には誰も答えず、降りる人はいないようだ。
「みんなには本当に申し訳ないけど、僕の我が儘のために人を殺すをことを許してください」
「なに言ってんだよ悠人。まだ人が乗っているって決まったわけじゃないだろ?」
「一夏の言う通りまだ決まったわけじゃない。もし、乗っていないなら思いっきり戦える」
「そうですわね。有人機ならともかく無人機なら遠慮なく戦えますわ」
「悠人、前に言ったけどあんた一人で背負う必要はないわ。もし人が乗っていたらアタシ達もその罪を背負うわ」
「そうだよ。僕達も悠人と一緒に人殺しの罪を償うよ」
「悠人君、私達は大丈夫だからね」
「嫁よ、安心して前を見ろ。共にガンダムを倒そう」
みんながそれぞれ覚悟を持って僕の作戦に参加してくれた。
「来い! パーフェクトストライカー!」
僕の背中に装着されるエールストライカーには右側に対艦刀のシュベルトゲベール。左側に超高インパルス砲アグニ。左右の肩にはソード、ランチャーに付けられる武装が装着されている。
学年別トーナメントの後に追加されたエール、ソード、ランチャーの3種の装備を統合した全領域型ストライカーパックである『マルチプルアサルトストライカー』
通称パーフェクトストライカーパックである。
「山田悠人、ストライク、行きます!」
僕達はSEEDの世界から現れたガンダムを破壊するために空を飛んだ。
みなさんがもし剣を装備するとき一刀流と二刀流どちらを想像しますか?
活動報告に新しく追加を書きました