インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて   作:如月ユウ

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楯無視点です


39話 他者から見た自由の強さ

「まったく……なによ!」

 

彼は私が邪魔だと言った。私よりも実力の技術も下なのに……。

 

「でも、生徒である以上は守るわ」

 

最低な男子でもあるが学園の生徒でもある。生徒を守るのが生徒会長の役目。

 

「私は生徒会長で学園最強なんだから」

 

赤いISは腕に装着しているクローをビームサーベルにして斬りつけようとしているので蒼流旋で防いだ。

蹴り技を使おうとして足を振り上げようとしていると足にもあるクローからビームサーベルが出ていた。

 

「足にもあるの!?」

 

まさか両手足にビームサーベルを装着していたとは思わなかった。

足のビームサーベルを避けようにも腕のビームサーベルとつばぜり合いをしていて防ぐことが出来ない。

 

「させるかぁ!」

 

真下から悠人君がビームサーベルを持って赤いISと私の間に入っていき、赤いISにある足のビームサーベルと干渉する。

腰の折り畳み式レールガンを撃つと赤いISがシールドで防いでさがった。

 

「な、なんとか間に合った」

 

全身装甲で悠人君の素顔が見えないが息切れをしているのが分かる。

 

「勝手に行動しないでください。ただでさえシールドエネルギーが少ないのに……ミサイル! バスターか!」

 

緑色のISの両肩からミサイルが発射されると頭部に搭載されているバルカンを撃ちながらミサイルを破壊する。

ミサイルが無くなり、煙で姿が見えなくなると重装備をした青いISが煙幕から出て来てビームサーベルを持って近付く。

 

「煙からデュエル! 連携が上手すぎる!」

 

左手にあるビームサーベルで青いISの攻撃を防いで右足で腕を蹴り上げて回転蹴りして顔を蹴り飛ばしたら左足にビームが被弾する。

 

「死角からの射撃……ブリッツのビームか」

 

姿が見えないのに冷静になっている。どうしてそんなに落ち着いていられるのか。

 

「今のが先輩じゃなくて僕で良かった。PS装甲だからある程度は防げるし」

 

彼の言葉が態度が行動が私を苛つかせる。私の簪ちゃんの告白を捨てて他の子と付き合おうとするなんて

 

「簪、そっちは」

「貴方みたいな人が簪ちゃんの名を口にしないで!」

 

彼の機体を清き情熱(クリア・パッション)の爆発に巻き込ませる。

 

「先輩!? なにするんで──」

「これ以上、私の邪魔をしないで!」

瞬時加速(イグニッション・ブースト)をして体当たりすると大きく吹き飛ぶ。その隙を逃さずバランスが崩れた彼にもう一度清き情熱(クリア・パッション)お見舞する。

これで邪魔者はいなくなった。学園に侵入したあの機体をはやく倒さないと。

 

ガキン。

 

足が挟まれるのを感じて下を見ると大きなクローのような物が私の足を掴んでいた。

 

「なんなのこれ……」

 

外そうにも足をガッチリ挟んでいて両手を使っているのに何故か外れない。

 

「外れ……きゃ!」

 

捕まれた足から引き摺られるように身体が勝手に動く。

 

「誰なの……誰が私の足を掴んでいるの!?」

 

見えない何に引っ張り回される。何故掴まれているのか誰が掴んでいるのか分からない。

見えない敵に掴まれて逃げることが出来ない。

 

「いや……いや! 離して!」

 

見えない何かに掴まれて恐怖が襲ってくる。まるで夜中に歩いていて見知らぬ男がストーカーしているような恐怖。

 

「やめて、離して!」

 

足が掴まれて引っ張られて逃げられない。永遠に続くんじゃないかと思うくらい怖い。

だけどその恐怖はすぐに終わった。

急に引っ張り回される感覚がなくなり、そのまま投げ飛ばされる。

 

「えっ……」

 

訳が分からないまま思考が止まって壁に激突してしまう。足を掴んでいたクローはさっきの衝撃で外れたようだ。

 

「いた、い」

 

良くて骨折、悪ければ死んでしまう程の衝撃を痛いと言える程度まで私の機体が守ってくれた。この衝撃を守るのに残っていたシールドエネルギーが無くなった。

激突して崩れた瓦礫から起き上がると簪ちゃんが近付いてくる。もしかしたら簪ちゃんが助けてくれたかもしれない。

 

「足を掴んだクローを壊したのはもしかして簪ちゃんが」

「なにやってるの!」

 

なんで簪ちゃんが怒っているの?

 

「今、私達がやる事は侵入してきたガンダムを倒すことでしょう! なのに貴女はなんで悠人君にあんな事をしたのよ!?」

「違うの……あれは……」

「生徒会長でしょう! 学園を守るのが貴女の役目でしょう!」

「私は……簪ちゃんのために……」

「更識家当主なら楯無の座を持つその責任の重さを自覚してよ!」

 

簪ちゃんのためにやっていたのに全て否定されて私は……私は……。

 

「あ……うぅ……」

 

見たくない……聞きたくない。耳をふさいで目をつぶる。

 

「お姉ちゃん! 避けて!」

 

オープン・チャンネルから簪ちゃんの声が聞こえて目を開けると黒いISが右手にある大型のシールドに搭載されている細長い棒状の杭を三本射出させた。

 

「あ……」

 

細長い杭が私に向かって来ている。シールドエネルギーがないISはとても脆い。あんな物が当たったらひとたまりもない。移動しようにも恐怖で足が震えて動けない。

死というものを直感した。

 

ズシャ……。

 

私にきたのは痛みではなく抱き締められたような感触。打鉄弐式の左右のスラスターに杭が刺さり、私を抱き締めたのはその身体には血が出て

 

「簪ちゃ──」

 

抱き締めていた簪ちゃんが私を突き飛ばした瞬間、地面に突き刺さった杭が爆発をする。

 

「うそ……」

 

嘘だよね……簪ちゃんが私を庇って……爆発に巻き込まれた……。

私が悪いの?

簪ちゃんを追い出そうとしたから?彼を叩いたから?邪魔だと思って攻撃したから?

 

「簪ちゃん!」

 

煙が消えるとシールドを持った彼が簪ちゃんを守ってくれた。

 

「ゆうと……くん」

「大丈夫か!」

 

一夏君が近付くと彼と口論をしているような雰囲気をだしていた。多分、プライベート・チャンネルで話しているんだろう。

一夏君が悔しそうにして頷くと物理シールドを渡された。

左手にあるビームサーベルを腰にあるもうひとつのビームサーベルと連結させるとふたつのビームサーベルの刃が大きく伸びた。

 

「てめぇら……生きて帰れると思うなぁぁぁぁ!!!」

 

今までにない怒りと怒号と共に背中の翼が大きく開かれると上空にいるISに向かって飛んだ。

4機のISは彼に向かってビームライフルを撃つが全くあたらない。それどころか彼が撃つビームライフルに被弾している。ISに当てただけならただ彼の技量があるということ。

問題はその出力、さっきまで撃っていたビームライフルよりも大きくなっていた。

それだけじゃない。機体の速度も倍以上になっている。

 

「なんなの……あれ……」

 

4人がかりで相手をしても勝てなかったのにたった1人で圧倒している。

緑のISがふたつのライフルを連結させて大型ライフルにすると高火力のビームを発射した。彼は避けたりせずバックパックのビーム砲を前に動かすとふたつのビームが放たれた。ビーム同士が干渉して消え去ると思いきや緑のISが撃ったビームがかき消され、ふたつのビームが直撃、そのまま機体が破壊された。

 

「殺したの……?」

 

ISには搭乗者を守るために絶対防御がある。

例え、瀕死の攻撃を受けても絶対防御が機能していれば死ぬことはない。それなのに絶対防御すら簡単に貫いて搭乗者の命を奪った。

それから1機また1機と絶対防御を上回る出力を持つ兵器で破壊していく。

残った最後の1機は決死の特攻なのか彼に突貫していくが無慈悲にも連結されたビームサーベルで両手足を切断されて最後は胴体を真っ二つに斬られてバラバラとなって地面へと墜ちた。

侵入したISを全て無力化した彼は地面に足をつける。

 

「貴方、自分がやったこと分かっているの!? なんで搭乗者を殺したのよ!」

「更識先輩、あれには」

「一夏君は黙ってて、ISには絶対防御があるのにそれすら簡単に破られる出力を持っているの。その機体は誰から貰ったの。答えなさい!」

 

武器をしまった彼は一言も答えず、興味を持っていないのか。破壊したISに向かって歩いていく。

 

「人の話を聞きなさい!」

 

背後から蒼流旋を振るが──

 

「なっ……」

 

振り向かず片手で蒼流旋を防いだ。

それも刃が出ていないビームサーベルの柄で防いだのだ。

力を抜いて横に移動したのに気付かなく、反応が遅れて前に転んでしまう。

 

「待ちなさい。まだ終わってないわよ」

 

立ち上がると彼は破壊したISに触れてISのコアを取り出していた。

 

「ISのコア……それをどうするつもりなの?」

 

破壊したISに指を指した。何があるの?

 

「血が出てない? それにケーブル……これって無人機?」

コクリと頷いた。でもISは人が乗らなければ動かないはずなのにどうして。

それから破壊した他の機体にもあるISのコアを取り出すと上空へ飛んだ。

 

「何をするつもりなの」

「全員、ガンダムから離れてください」

 

優しそうな声でも怒りを含んだ声でもなく無機質な声でIS…ガンダムから離れるように言った。

言うとおりに離れると両腰のレールガンと背中のビーム砲、右手に持っているビームライフルを構えると一斉に射撃した。それは一度ではなく何度も何度も証拠を隠滅するかのように撃ち続けた。

撃ち続けて地面には煙が充満して破壊している機体の姿が見えない。

レールガンとビームを撃ち終わるとゆっくりと降りてゆく。

煙が消えてなくなると機体は元の姿が分からない程、無惨に破壊されていた。

 

「悠人、終わった──」

「近寄らないで!」

 

私達に近付こうとする彼に蒼流旋を構えるが歩くのを止めない。

 

「これ以上、近付くなら本気で」

 

息が乱れて腕が震える。

ISよりも上の性能を持った機体をたった1人で破壊した。シールドエネルギーが切れた私達では簡単にやられてしまう。

手が触れる距離まで近付き目をつぶってしまう。

足音が隣に聞こえて遠くなる。目を開けると私から通り過ぎていた。

 

「一夏、シールド」

「あぁ……サンキューな」

 

物理シールドを彼に返すとピットからラファール・リヴァイヴを装着した教員達が次々とフィールドに飛んでいく。

その中には箒ちゃん、セシリアちゃん、ラウラちゃんも専用機を装着して飛んできた。

 

「山田悠人、ISを解除して両手をあげなさい」

 

教員の一人が実弾式のライフルを彼に向けると他の教員も同じようにライフルを向けていた。

 

「ま、待ってください!」

 

簪ちゃんが彼を守るように両手を広げる。

 

「なんで悠人君に武器を向けるのですか! 悠人君はみんなを守るために」

「更識簪、彼から離れなさい」

「嫌です!」

「生徒会長、彼女の保護を」

「は、はい」

 

教員に言われ、彼から離れるよう簪ちゃんに言う。

 

「簪ちゃん、先生の言うとおりにして」

「やだ」

「お願いわがまま言わないで、お姉ちゃんも簪ちゃんが」

「今さら姉面なんかしないでよ!」

「か、簪ちゃん?」

「貴女が更識家当主になってからずっとみんなから比較されて、頑張って努力しても更識家の妹なら当然だと言われて……誰一人、私個人を認めてくれなかった。けど、悠人君は違った。悠人君は私個人をちゃんとみてくれた。私個人を認めてくれた。悠人君がいてくれたおかげで専用機が完成して友達が出来たの。悠人君がいなかったらずっと一人で過ごしてた。それなのに貴女は何なの! 悠人君に攻撃して! 悠人君はみんなを守ろうとしてたのに!」

 

泣いていた。

ずっと我慢していた苦しい思いをここで吐き出すように叫んでいた。

 

「私をみてくれない貴女なんかいらない! お姉ちゃんなんて!」

「僕は大丈夫だから離れて」

 

彼は自分は大丈夫だからと言って離れるように言う。

 

「嫌……だって悠人君に何かするに決まってる」

「大丈夫だよ。ちょっと離れるだけだから、すぐみんなと会える」

「本当に?本当に戻ってくる?」

「いつ戻るは分からないけど必ず戻るよ」

「……わかった」

 

彼に言われて頷くと簪ちゃんは私ではなく一夏君のほうに行った。

ISを解除した彼は両手を上げると待機状態のISを取り上げられて教員に囲まれてそのまま連れていかれた。




自己紹介ですが専用機とは別にしたほうが良いですか?
人物と機体を一緒にするか機体は機体説明にして別けるか
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