インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて   作:如月ユウ

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タイトル通りメシテロです


46話 ロシアの朝食

バラバラになっているガンプラのパーツの周りにあるのは新しく作ったバックパック。

デュノア社の第3世代の機体はまだ未完成で別の作業として自作のストライカーパックを作っている。

 

「時間は…午前4時か。タイマーを1時間にセットして仮眠しよう」

 

目覚ましの時間を設定して耳にヘッドホンを付けて目を閉じる。

 

 

 

 

また家族の夢をみた。

お父さんとお母さんの姿はあの時と変わらないのに僕と姉ちゃんは今の姿だった。お父さんとお母さんが歩きはじめると姉ちゃんが別の方に歩いていく。

 

『姉ちゃん、何処行くんだよ? お父さんとお母さんと同じ場所に行くんじゃないの?』

 

僕の言葉には何も言わずにどんどん行ってしまう。お父さんとお母さんもそのまま何処かに行こうとしてる。

 

『姉ちゃん、お父さんとお母さんが行っちゃうよ! はやく追いかけないと!』

 

何度言っても聞こえてないのかみんなの距離がどんどん離れていく。

 

『待ってよ、行かないでよお父さん! お母さん! 姉ちゃん!』

 

どうすれば良いのか分からずそのまま立ちすくんでしまう。

 

 

 

 

「お父さん! お母さん! 姉ちゃん!」

 

追いかける事が出来ずに叫ぶと目が覚めた。

 

「夢……そうだよね。お父さんとお母さんはいないから夢を見てたんだ」

 

深くため息をついて天井を見る。

 

「なんでお父さんとお母さんの夢を見るんだよ……もういないんだから割り切れよ……」

 

涙が出そうになりながらも堪える。

お父さんとお母さんはもういない……僕の血の繋がった家族は姉ちゃんだけだ。

 

「まだ20分しか経ってないのか」

 

時計をみると午前4時20分。アラームがなるまでまだ30分以上もある。

 

「いいや、続きをやろう」

 

アラームの設定を消して機体製作を再開する。

 

──ガチャリ。

 

「ガチャリ?」

 

今、鍵を開けた音がしたよね?

ISを展開して曲がり角に身を隠すと扉が開く音が響く。ゆっくりと影が見えて、その姿が曲がり角から姿を現した。

 

「動くな!」

 

部屋に入った侵入者にルプス・ビームライフルをむける。

 

「ま、待って悠人君! 私よ!」

 

声の主は更識先輩で両手をあげていた。肩には手提げバッグを背負っている

 

「先輩、どうして来たんですか?」

「来た理由を言うけど。その前にそれ、むけるのをやめてほしいかな」

 

苦笑いしながら扇子でルプス・ビームライフルをつつく。

 

「驚かせてすいませんでした」

 

侵入者は更識先輩だと分かってISを解除する。

 

「なんで来たんですか?」

「昨日、言ったでしょ? 明日の朝からご飯を作るって」

「鍵はどうやって手に入れたんですか?」

「最初の一ヶ月は同室だったじゃない? 個室になった後、護衛を理由に織斑先生に頼んで合鍵造って貰ったの」

 

二対となっている菱形ストラップが付いた1040号室の合鍵を持っていた。

 

「朝とお昼を作るなら、なるべくはやく来たほうが良いかなって」

「早すぎですよ。まだ4時半になったばかりです」

「寝ている悠人君の寝顔を見ようと思ってね」

「寝顔って……」

「あら? 添い寝のほうが良かったかしら?」

「先輩っ!」

「ふふっ、冗談よ」

 

持ってきた食材をキッチンに置きに行く。こういう風にからかわれて過ごすのは入学して間もない頃、以来だな。

 

 

 

 

キッチンを借りて朝食と悠人君がお昼に食べるお弁当を作っていた。

 

「まだ寝ていると思ったけど」

 

はやくてもせいぜい5時過ぎに起きるだろうと思って30分前にこっそり部屋に入って驚かせようとしたがもう起きていたとは思わなかった。

 

「時間がないからカップラーメンで済ましてるって言ってたわね」

 

もしかしなくても睡眠時間を削ってまでやってるでしょうからちゃんと寝ていないわよね。

 

「夏休みまでには完成させないといけないから無茶しそうね」

 

男の子って無茶をするのが好きね。

身体を壊そうとしてもお構い無しにやって、ボロボロになって、それがカッコイイと思い込んでる。

 

「悠人君もそう考えているのかしら……」

 

 

 

 

「もう少しで出来るわ」

 

更識先輩の声と共にキッチンから良い匂いが部屋中に漂っていく。それと同時にお腹が鳴った。

 

「まだ途中だけど先輩が作ったご飯を先にしよう」

 

ガンプラのパーツを箱に入れてテーブルを綺麗にすると更識先輩が作った料理が運ばれる。

 

「ホットケーキですか?」

「これはブリヌイ。ロシアの家庭料理よ」

 

ブリヌイと呼ばれるパンケーキには蜂蜜がかかっていて、その他にホウレン草と玉ねぎを和えたサラダや紅茶とジャムが置いている。

 

「サラダはシュピナニ・サラート・ス・ヤグーラタン。ジャムは部屋から持ってきたの」

「しゅびなに……なんだって?」

「シュピナニ・サラート・ス・ヤグーラタン。ホウレン草と玉ねぎを炒めてヨーグルトで和えたサラダよ」

 

へぇ、ヨーグルトをサラダに使うんだ。

 

「ジャムってブリヌイに付けて食べるんですか?」

「これは紅茶用。ロシアだとジャムをスプーンですくって食べながら紅茶を飲むわ。ウォッカやラム酒、ワインを垂らして飲むこともあるけど未成年だからお酒はダメよ?」

「それぐらいは知ってますよ」

 

未成年でお酒はダメ、絶対。あと飲酒運転もダメ。

 

「あとの話は食べながらにしましょう」

 

更識先輩が作ったロシアの朝食をいただく。

 

「ロシアの料理といえばボルシチって聞いてますが」

「確かにそうだけどボルシチの発祥はウクライナよ」

「そ、そうなんですか?」

 

はじめて知った。料理番組でもロシアの定番料理はボルシチとも言ってたから。

 

「ボルシチ以外にピクルスやミートボール、魚、マッシュルームのスープもあるわ」

 

スープ系が多いな。ロシアは寒い地域だから温かいスープを飲んで身体を暖めるのかな。

 

「このサラダ美味しいですね。ヨーグルトをサラダにかけるとは思いませんでした」

「そのまま食べるかケーキの材料にしか使わないから驚くわよね」

 

ケーキの材料……ヨーグルトケーキのことか。あれってチーズケーキよりもさっぱりしていて甘い物を食べたいけどカロリーが気になるな~と思ったときに良い。

 

「ふぅ……ごちそうさまでした」

「お粗末さま、美味しかった?」

「はい、すごく」

 

ティッシュで口周りをふいて、食べ終わった皿をかたそうとしたら更識先輩が作った人が最後までやると言って皿を持っていった。

 

「ジャムを食べながら飲むんだよね?」

 

スプーンですくって一口……ん、うまい。これはブルーベリー?そのまま紅茶も飲むと口の中にジャムの甘さが広がる。

 

「紅茶のお代わりは?」

 

皿を洗い終わって紅茶を淹れたポットを持って戻ってきた。

 

「頂きます」

 

飲み干したカップに淹れたての紅茶が注がれる。

 

「どう、悠人君? 私の手料理は?」

「すごく美味しかったです」

「そう言ってくれると作ったかいがあったわ」

 

自分のカップに紅茶を注いでジャムを食べて飲んだ。

 

「機体のほうは順調?」

「はい、脚部はMk-Ⅱを使って、腕はインパスル、ショルダーアーマーはジェスタのを使いました。それ以外はストライクです」

 

箱にいれたオリジナルのガンプラとRGストライクを取り出してテーブルに置いた。

 

「今、ジェスタのショルダーアーマーにビルドストライクと同じ大型スラスターを付ける作業をしてます。それが終われば設計図の製作と塗装をして終わりですね」

「凄いじゃない! 私も専用機を開発したけどかなりの時間を使ったわ。それなのにたった数週間で完成させるなんて、才能あるんじゃないかしら?」

「い、いえ。僕はただガンプラを作っただけです。それをISに開発する知識なんて全くありません」

「それでもよ。それに……ミステリアス・レイディは私一人で造った訳じゃないし」

「造ってない?」

 

でも、簪から聞いた話だと専用機を一人で開発したって聞いた。

 

「実はほとんど完成していて虚ちゃん……本音ちゃんのお姉さんと薫子ちゃんに手伝ってもらって造ったのよ」

「簪はその事は?」

「知らないわ。ほら、私って周りから完璧とか言われてるでしょう?」

 

確かに更識先輩の言うとおり自他も認める完璧超人で僕も同意見である。

 

「更識家当主である以上は完璧で在り続けないといけないと思ったけど意地張っていたかもしれない。そのせいで簪ちゃんを傷付けて……」

「でも、仲が修復したからいいんじゃないですか。先輩も認められたくて努力したんですよね?」

「結果的にはそうなるかもしれないわね。悠人君には感謝しきれないわ。本当にありがとう」

 

お礼を言って頭をさげた。

 

「僕は自分に出来ることをしただけです。ISに関しては素人ですし、それにくらべて一夏は僕と違って勉強もスポーツも出来ます。本当に僕よりも……」

「けど、一夏君にも出来ないことは」

「今は出来なくても一夏なら簡単にやり遂げますよ。僕よりも実力はありますから」

 

一夏は僕よりも物覚えが良くてどんどん上達していく。

 

「同じ男子なのになんでこうも差が開くんでしょうね。僕には向いてないのかなってときどき思うんですよ。あ、先輩を困らせたいから言った訳じゃありませんよ。実際にそうなんですから」

 

皮肉っぽくなったが事実は変わらない。僕よりも一夏のほうが実力があるのは分かっているから。

 

「大丈夫よ」

 

手が暖かく感じると先輩は自分の手を僕の手に置いた。

 

「一夏君が凄いのは認めるけど悠人君にしかないものがあるわ」

「僕にしかないもの? それって」

「それは秘密、答えは自分で見つけるものよ?」

「もしかして僕に言うのが恥ずかしいんですか?」

 

わざとらしく笑って反撃をする。僕だって男だ。やられっぱなしは情けない。

 

「き、聞きたいのかしら?」

「はい、是非とも」

「え、えっと……」

 

あ、これちょっと楽しい。先輩って受けが弱いのかな?

 

「と、年上の人をからかうんじゃない」

 

ペシンと扇子で頭を叩かれた。

 

「年上と言っても一歳差じゃないですか」

「言ったわね! お姉さんを怒らせたらどうなるか教えてあげるわ!」

 

今度は首にロックをかけてわしゃわしゃと髪を撫でてきた。

 

「あ、あの! あたってます! あたってますから!」

「何があたってるって?」

 

この人、わかって言ってるつもりだ。というよりも暖かくて柔らかいあれを押し付けてる。

 

「ほらほら、何があたってるかお姉さんに教えなさい?」

 

わざとだ、絶対わざと言ってる。

 

「あら~? もしかして言えないのかしら~?」

 

ニヤニヤしている更識先輩にカチンときた。

こうなればヤケクソだ!自爆特攻なんて知るか!山田悠人、吶喊(とっかん)します!

押し付けている大きい胸を顔から突撃する。さらに逃げないように腕を回した。

 

「ちょ、ちょっと悠人君!」

「せ、先輩が悪いんですよ。僕だって男なんですから!」

 

こんなことを予想しなかった更識先輩は慌てている。顔全体が柔らかい胸に包まれている。

 

(なんだろう、この懐かしい感覚……思い出せない……誰だっけ? こんな風に抱き付いてくれたのは……。シャルロットは腕だけで姉ちゃんはここまで強く抱きついたことはない……)

 

もしかして──

 

「おかあ……さん?」

 

 

 

 

「おかあ……さん……」

 

抱き付く感覚がなくなると身体全体を私に預けていく。

 

「……悠人君?」

 

声をかけても反応しない。よく見ると寝息をたてている。

 

「寝ちゃったのかしら」

 

この体勢だと少しキツいので起こさないようにゆっくりとベットに運んだ。

 

「疲れているようね」

 

機体開発に専念しているから寝不足のようね。

 

「お母さん……か」

 

数年前に親を亡くしたから思い出しちゃったかもしれない。まだ二桁すら越えてない年齢で親を亡くし、行きたい高校のパスも取消され、襲ってきたISに似てるから疑われて、まるで──

 

「理不尽……」

 

そう言わざるを得なかった。

一夏君が輝く分、悠人君が乏される。まるで私が完璧になったせいで簪ちゃんが傷付いたように。

 

「似てるわね……」

 

私は一夏君に似ていて、簪ちゃんは悠人君に似てる。才能があった私に簪ちゃんは嫉妬していた。

 

「なら、悠人君は一夏君に嫉妬しているのかしら……」

 

寝ている悠人君を見ながら独り呟く。




ということで新機体の元は決定しました

肩部:ジェスタ
腕部:インパルス
脚部:ガンダムMk-Ⅱ
胴体、腰部、足裏:ストライク

頭部がまだなのはバイザー式の頭部にする予定で話のひとつとして入れます
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