インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて   作:如月ユウ

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ヒロイン達とまわりますが他のキャラも登場します


63話 学園祭巡り

「山田君が私達のクラスに来てくれた!」

「こっち、こっちに席にどうぞ!」

 

2組に行くと鈴と同じチャイナドレスを着ている生徒達が僕を見るなり、写真を撮ったりする。

 

「悠人を案内するのはアタシの役目だからさがった、さがった~」

 

うっとしそうに手で払いのけながら案内していく。

鈴のクラスも催し物である中華喫茶店は中華街にあるお店にあるような造りだ。

テーブルは中心が回るようなテーブルではなく長方形の物で椅子も背もたれをしても余裕がある長い椅子を使っている。

 

「それで? なに頼む?」

 

席に案内されると鈴が隣に座ってメニューが書かれたカードを渡された。

出してくれるものはゴマ団子や杏仁豆腐といったお菓子とデザート限定でお茶も数種類ある。

 

「アタシがオススメなのはお菓子三種セットね。一つの皿に焼き栗と月餅(げっぺい)とゴマ団子があってお茶も付いてるの」

「なら、それを頼んで……これは麻花(まはな)って呼ぶの?」

麻花(マーホア)ね。日本のかりんとうみたいなものよ」

「それも頼もう。蓮蓉包とマンゴープリン……あとタピオカミルクティーも」

「ずいぶん頼むのね。商売してるこっちからしては有難いけど」

「鈴も食べるんじゃないの?」

「アタシも?」

「だって休憩中でしょ?」

「えっ、まあ……奢ってくれるなら食べてあげるわ」

「上から目線なのがすごい気に入らないんだけど」

「はいはい、ゴチになりまーす!」

 

全く調子良いんだから。

 

「注文言うわよ、アタシ? 休憩中だけど注文を言うくらい問題ないでしょう?」

 

耳に差し込んでいるインカムという一種の通信機を使って僕が頼んだメニューを言う。

しばらくすると接客の人が僕が頼んだメニューを大皿で持ってきた。

 

「ティナ、ありがとね」

「いいのよ。ルームメイトだし」

 

鈴よりも高身長でセシリアさんと同じ金髪碧眼で長い髪をポニーテールをしている生徒にお礼を言っている。

彼女もチャイナドレスを着ていているが鈴と違ってスタイルが良く、特に胸がデカイ。

あの大きさはシャルロットと良い勝負かもしれない。

 

「名前、言ってなかったわね。私はティナ・ハミルトン。鈴のルームメイトよ」

「幼馴染がお世話になってます。鈴が同じ部屋だとうるさいって思うことはありますよね?」

「あ~うるさくはないけど山田君のことばかり言ってわね。惚気話って言うのよね?」

 

呆れながらも嫌そうにはしていない感じだ。

 

「いっぱい注文したけど、これ全部食べるの?」

「クラスの催し物でちょっと疲れてね」

「こいつ極度の甘党だからカボチャの煮付けとか甘くしてるのよ」

「私も甘いの好きでつい手を伸ばすから分かるわ」

 

話をするのはいいけど、そろそろ食べないと待っている人の迷惑になる。

まず、三種中華セットにある焼き栗から。

 

「砂糖とかの甘さはないね」

「栗本来の味を楽しませたいからわざわざ中国から取り寄せたのよ」

「ツテがある鈴のおかげで大量に購入出来てね。ホント、中国代表候補生様々だわ」

 

そういえばISの国家代表や候補生って自国の宣伝によく使われているらしい。

シャルロットはデュノア社の看板を背負っていて、簪は日本の倉持技研の看板らしい。

次に月餅を一口、饅頭と違って皮に厚みがあって中の餡は白餡を使っている。

咀嚼していると餡以外にも入っていて舌で転がすと固形のような物を感じる。

 

「餡以外に何を入れたの?」

「栗を少しだけ入れているの。ほら、メニューにも普通のと他にクルミとかナッツが入っている月餅もあるでしょう?」

 

栗饅頭ならぬ、栗月餅ということか。

今度はゴマ団子を食べてみよう。

胡麻でコーティングされて揚げたゴマ団子をかじると中の胡麻餡が熱くて口から離してしまう。

 

「あちち……」

「出来立てのほうを出してきたようね」

「山田君に出すから張り切ってたそうよ」

 

タピオカミルクティーで口の中を冷やそうと思い、タンブラーに刺したストローをくわえてタピオカと一緒にミルクティーを吸い込む。

タピオカミルクティーってお祭りの定番だよね。箒の神楽舞いに行ったときも頼んだし、このツブツブ感が癖になる。

喉を潤して麻花(マーホア)を食べてみよう。

 

「あぁ、これはかりんとうと一緒だね」

「アタシも日本のかりんとうを食べたとき麻花(マーホア)と同じと思ったからね」

 

お菓子三種セットにあるお茶を飲みながら一緒に食べている。

 

「そっちのタピオカミルクティー貰うね」

 

ばっ、と僕が頼んだタピオカミルクティーを奪って飲んだ。

 

「あ、ちょっと」

「タピオカからくる、この感触は懐かしいわ。まだ日本にいた頃は悠人と一緒にお祭りに行って頼んだっけ?」

「今のって……」

「間接キス……」

 

周りが鈴の間接キスに唖然して固まっていた。

 

「マンゴープリン貰うね」

「それ、僕が食べるやつだよ」

「いいじゃん、いいじゃん一口くらい。この蓮蓉包もなかなか良い出来ね」

 

それから注文した物を食べていくがほとんどが鈴の胃袋に入れられてしまった。

 

 

 

 

中華喫茶店で休息を取って、鈴は自分のクラスの仕事をするらしいので別れた。

 

「料理部が日本の伝統和食を作ってるらしいから一緒に行こ」

 

シャルロットが行きたかったのは日本の和食を振る舞っている料理部らしく料理部が使っている調理室に入った。

 

「へぇ~かなり豪勢だね」

 

東京のデパ地下のお惣菜コーナーのような感じで大皿には僕にとって馴染み深い家庭的な和食を取り揃えていた。

 

「あ、お久しぶりです悠人殿!」

 

シュヴァルツェ・ハーゼ隊の人達が僕を見ると取り皿を近くのテーブルに置いて敬礼をしてくれた。

 

「悠人、この人達は?」

「ラウラの部下だよ。ドイツ軍IS配備特殊部隊シュヴァルツェ・ハーゼ隊だよ」

「私達、シュヴァルツェ・ハーゼ隊はミハイル・カウフマン将軍の護衛任務のためにIS学園にやってきました」

「ですがクラリッサ副隊長がその護衛任務をすると言いまして学園祭が終了するまで自由に行動していいと言われて、今は日本の伝統料理である和食を食べに料理部へやって来たのです」

「将軍って?」

「クラリッサさんの隣にいた人で部隊を指揮している上官だよ」

「えっ、あの人だったの!? てっきりラウラのおじいちゃんかと思ってた」

「とは言うもののカウフマン将軍は私達にとって祖父のような存在です」

「少し事情がありまして、私達は家族がいなくて、カウフマン将軍の養子になりまして私達の祖父になってくれました」

 

シャルロットもラウラの出生を知っていて、家族という物が存在しない事で暗い表情をする。

 

「別に寂しいと思ったことはありませんよ」

「私達、シュヴァルツェ・ハーゼ隊は全員が家族です」

「そして悠人殿は私達にとって兄のような存在です」

「悠人がお兄さんか、優しそうで良いお兄さんかもね」

「はい! 悠人殿はとても素晴らしいお方です!」

 

慕っているで人が良い人だと言われると嬉そうに笑顔を見せた。

 

「自己紹介がまだだったね私はシャルロット・デュノア。フランスの代表候補生でデュノア社の一人娘なの」

「社長令嬢様でしたか! これはとんだご無礼をおかけしました!」

「そんな畏まらなくていいよ。私達はもう友達だからね」

「はい! お聞きしますがシャルロット殿は悠人殿のハーレムの一員とボーデヴィッヒ隊長から聞きました」

「そうだよ、私も悠人の彼女で他の子も悠人の彼女なんだ」

 

自分が選んだ和食を購入してテーブル席に移動して食べる。

 

「コロッケって色んな種類があるんだ」

「フランスのときに作ったのは普通のコロッケとメンチカツだったね」

「シャルロット殿も悠人殿が作った和食を食べたのですか?」

「私の家族に振る舞ってくれたの」

「和食はヘルシーと聞いてましたが本当にカロリーが低いのですね」

 

大皿の隣に値札があるがそれ以外にアレルギー表記やカロリーが書かれていて初めて買う人でも大丈夫なようにしている。

 

「和食もだけど餡蜜とかも作って貰ったの」

「私達のときは串で差した団子とぜんざいを振る舞ってくれました」

「日本ではデザートのことを甘味と言うと悠人殿が教えてくれました」

 

デザートもそうだけど海外の食事のカロリー数は本当に高いし、大きい物が多い。

特にドイツの料理は量が多く、一人前のメニューでもかなりの量で出される。

シュヴァルツェ・ハーゼ隊は女の子で構成された部隊なので軍隊とはいえ、それほど食べないだろうと思うが思った以上にガツガツ食べていて驚いた。

海外からすれば日本の食事のカロリーが低いだけなんだろうが。

 

「悠人殿が作る料理は美味しいですし、出来たら我が部隊の専属料理人として雇いたいものです」

「私のお父さんも同じこと言ってた。デュノア社の社内食堂で和食専門で作って欲しいほどだって」

 

僕を雇うよりも和食をちゃんと勉強した人を探したほうが良いんじゃない?

確かに和食は作れるけど箒に比べたらまだ下手なほうだし。

 

 

 

 

「ラウラが行きたいのは茶道部?」

 

シャルロットはシュヴァルツェ・ハーゼ隊と一緒にまわるそうで一度、別れて今はラウラと行動している。

 

「あぁ、日本の抹茶を飲んだり書道を体験することが出来るらしい」

 

日本の文化を体験するためか。

IS学園は海外から来た人ばかりだから人気があるだろう。

 

「おっ、山田君じゃん! 写真、撮っていいよね?」

 

許可をとる前にスマホを出して撮っているが学園祭でコスプレをしているから撮ってみたいんだろう。

 

「まず、こっちの部屋に書道の体験をして、次に茶室で抹茶と和菓子を食べるの」

 

茶道部の部長が案内してくれると使っている部屋は長テーブルとパイプ椅子があって書道で使う道具が置かれている。

 

「相変わらず下手ね」

「うっせぇな。もう一度だ」

 

僕とラウラ以外にもスーツを着た二人の女性が書道をしていてた。

二人とも金色の髪をしているがからかっている女性は髪が長く、筆を持っている女性は大胆にカットしている。

 

「あら? 貴方はもしかして」

「おい、ナタルどうし……あぁ、なるほど」

 

ナタルと言う女性が僕を見てもう一人の女性も見ると納得したかのように目を細めた。

 

「初めまして、私はナターシャ・ファイルス。米軍所属でアメリカ代表のIS操縦士者よ」

「イーリス・コーリングだ。同じく米軍所属でアメリカ代表のIS操縦者。ナタルとは相棒(バディ)の関係さ」

「あ、はい。山田悠人と言います」

「ラウラ・ボーデヴィッヒです。ドイツ軍所属でドイツの代表候補生です」

 

二人の女性……ファイルスさんとコーリングさんが自己紹介したので僕達も自分の名前を言った。

 

「やっと会えたわ。命の恩人さん」

「命の恩人?」

 

ファイルスさんが僕のことを命の恩人と言ったが会ったことはないし、何かした記憶もない。

 

「ナタルがシルバリオ・ゴスペルのパイロットなのは知ってるか?」

「シルバリオ……福音のことですか?」

「そうよ、あの子の仇を討ってくれてありがとう」

 

この人が臨海学校に現れたガンダムと戦った人なんだ。

やられたとはいえ、たった一人で4機を相手にしたから実力はかなりのものだろう。

 

「本当はすぐIS学園に行ってお礼を言いたかったけど怪我で入院してて機体の修理もしないといけないから遅れて、君の教室にも行ったけどタイミング悪く会えなかったの」

「中華喫茶店や料理部にいるって聞いて行ってみたが見付からなくて仕方なくここに来たってことさ」

「なんかすいません。二人にご迷惑をかけたらしく」

「いいのよ、こうして会えたのだから」

「二人は書道を体験しているんですよね?」

「えぇ、イーリったら何度も書いてね。下手なのが気に入らないらしい」

「ナタルが器用過ぎるんだよ」

 

筆はペンと違って柔らかいので慣れていない人が書いたら下手なのは当然だろう。

 

「嫁は書道は得意か?」

「中学校の授業でしかやってないから習い事をしてる人に比べたら下手だね」

「下手かどうかは私が判断する。さっそく書いてみろ」

「お手並み拝見と言ったところかしらね?」

 

ファイルスさんも期待したかのような目をしていて、プレッシャーが伝わってくる。

パイプ椅子に座って筆を持ち、墨をつけて半紙に書いていく。

 

「これはなんて読むの?」

「自由と言いまして英語ではフリーダムと読みます」

「これでフリーダムって読むのね。この二つの言葉はそれぞれどういった意味があるの?」

「上の文字は己……僕や私といった意味がありまして、下の文字はよってきた道筋という意味です」

「ふたつの文字を合わせると私がよってきた道筋という意味なの?」

「そんな感じですね。シルバリオ・ゴスペルは和訳で銀の福音と言いまして、日本語でこう書きます」

「シュヴァルツェ・レーゲンはどう書く」

「黒い雨だね。それはこうやって」

 

それぞれの専用機の名前を和訳して日本語で書いていく。

 

「なんでそんな上手く書けるんだ?」

「コーリングさんは力任せでやってるようですね」

「あら、どうしてわかったの?」

「半紙を見ればわかりますよ。文字は人を表すとも言います」

 

ファイルスさんが書いた文字は細くてバランスを崩さないように書いていて、コーリングさんの場合は力強く太く書いて男らしさがある。

 

「書くとき肩に力を込めすぎてますね。それでは余計、書きづらいので力はいれずに……後ろから支えても大丈夫ですか?」

「おう、頼む」

 

許可をもらったのでコーリングさんの後ろにまわって筆を持っている手を重ねる。

 

「まず、横に一線を書いてここは払わず止めて、筆を整えたら力を込めず上から左下にいくように行って最後に力を込めて払う。そして今度は右下も同じようにやる。次に下に移動させて縦に進めて少しだけ筆を跳ねる。縦の左右にちょんちょんと筆の先で書いてと」

「おぉ! 綺麗に書けた!」

「やるじゃないイーリ!」

 

『大』と『小』の文字を書いた半紙を見た、コーリングさんは目を輝かせてファイルスさんも称賛する。

 

「やっと満足いく物を書けた、サンキューな」

「いえ、あとは自分で書けるようになれば完璧です」

 

書いた半紙は茶道部の人に渡して茶部屋の前で靴を脱いで畳に座る。

 

「ラウラちゃんは畳を見て驚かないのね」

「はい、嫁の家で拝見しまして、初めて見たときはお二人と同じように驚きました」

「さっきから気になったが嫁ってあんたのボーイフレンドのことか?」

「そうです。日本では気に入った人や結婚を約束した女性には嫁と呼びます」

「前者はアニメやゲームとかで好きなキャラに指す意味で後者は一般的な常識です」

 

ちゃんと教えたのは良いが僕のことは婿とは呼ばず、嫁と言っているが言葉の意味を理解しているから大丈夫だろう。

 

「抹茶と茶菓子をどうぞ」

 

茶道部の部長さんが抹茶を点てた茶碗と4種類の茶菓子を出してくれた。

 

「桜とヒマワリ、柿と水仙。それぞれ日本の四季を象った形をしていますね」

「芸術的ね。写真を撮っても大丈夫?」

「はい、どうぞ」

 

茶道部の部長さんの許可を貰い、スマホを持ったファイルスさんは和菓子と抹茶を撮り終えて和菓子に手にとった。

 

「あまっ、むちゃくちゃ甘いな」

「イーリは甘いのは苦手だからね」

「甘いのが苦手でしたら塩大福という甘さを控えた和菓子もありますよ」

「塩を使うってことはしょっぱくないのか?」

「しょっぱくはありませんね。駅前のレゾナンスに売っていますので帰る前に寄ってみてはどうです?」

 

和菓子を食べ終えて茶碗に口を付けて抹茶を味わう。

 

「コーヒーよりも苦いな抹茶というのは」

「渋みと言いましてワインにあります味覚と同じものです」

「ワインと同じ感覚が抹茶で味わえるのね」

 

和菓子と抹茶を食べ終えて一礼をする。

 

「また来てね~」

「はい、時間があれば」

 

自分が書いた半紙を貰い、茶道部の部長さんに頭をさげて茶道部を出た。

 

「良い思い出が出来た。ありがとな」

「いえいえ、この後も学園祭を楽しんでください」

「ちょっと待ちな。せっかくの機会だ、一緒に撮ろうぜ?」

 

ファイルスさんとコーリングさんとツーショットをして最後に4人で記念撮影をする。

 

「ありがとうございますファイルスさん、コーリングさん」

「私のことはナタルいいわ。イーリも構わないでしょう?」

「あぁ、ファミリーネームは堅苦しい。私もイーリで良い」

「はい、僕のことは悠人と呼んでくださいナタルさん、イーリさん」

「次に会うときはフランクに話しかけてくれ。私達はもう相棒(バディ)だ」

 

拳を突き出したイーリさんに僕も拳を出してゴツンと当てた。

 

 

 

 

「一夏のご奉仕喫茶に行きたいんだ」

「本音の様子が見たくて」

 

簪は本音さんがいる教室に行きたいらしく1組に行くと長蛇の列になっている。

 

「あれって山田君じゃん!」

「ねぇ、それってコスプレなの? 何のアニメ?」

 

コスプレをしている僕と簪を見つけると写真を撮っていて、待ち時間中も写真を撮る人が多く、列を乱しそうになったときスタッフの人が対応している。

スタッフの皆さん仕事増やして本当すいません。

 

「おかえりなさいませ、ご主人さま~」

 

ようやく入ることが出来て1組に入ると本音さんも他のクラスメイトと同じメイド服を着ていて丈が合っていない制服とは違ってちゃんと手を出している。

 

「本音も接客係なの?」

「そうだよ~二人は休憩中?」

「うん、一夏のクラスが何やってるか気になってね」

「じゃあ、かんちゃんとヤマトをごあんな~い」

 

一夏のクラスの催し物である『ご奉仕喫茶』だが一言で言うと一般の学園祭ではあり得ないほど高級な造りだ。

テーブルや椅子はもちろん、食器も高級店が使っているような物で隣の2組とは桁違いの高級感がある。

 

「私がオススメなのはこの『メイドにご奉仕セット』」

「メイドにご奉仕セット?」

「頼めばわかるよ」

 

まあ、本音さんがオススメなら頼んでみよう。

『メイドにご奉仕セット』を頼むとアイスハーブティーに刺されたポッキーが出された。

 

「ポッキーとアイスティーだね」

「これは……なんで本音さんが隣に座ってるの?」

「ん~とね。これはメイドにお菓子をあげるセットなの」

 

注文してお菓子をあげる……って、300円で安いと思ったらどれだけぼったくりなんだよ!

これじゃあ300円のアイスティーを注文したようなのもじゃないか。

 

「謀ったね本音」

「さあヤマト、観念して私にお菓子を提供するのだ~」

 

悪魔だ、可愛い女の子を利用して悪魔のようなぼったくりをしているぞこのクラス。

ご奉仕しないといけないのでポッキーを本音さんに食べさせる。

 

「ん~、ヤマトからのあーんされてるから嬉しいな」

 

やめてください本音さん。

貴女の幼馴染がかなり怖い顔して僕を睨んでますから。

簪は注文したハーブティーを飲みながら僕が本音さんにあーんをしている姿を見ている。

 

「悠人君、こっち見て」

「どうしたのかんざ──」

 

簪が呼んだので顔を向けると近付いてキスをし、口に含んだハーブティーを流し込んできた。

いきなりのことで何も出来ず、口移ししたハーブティーを飲み込んだ。

 

「これならあーんよりも恋人らしい」

 

ふぅ……と一息ついてやり遂げたような表情をした。

 

「かんちゃん、積極的」

「何とも思ってないその顔が地味にムカつく」

「じ、時間もないし、他の場所に行こう」

 

周りの視線から逃げるように簪の手をとって1組の教室を出る。

 

「簪、なんであんな事を」

「だって、悠人君が本音にデレデレしてるから」

「それは……ごめん」

 

否定しようとしたがこれ以上気分を悪くさせたくないので謝る。

 

「お詫びにご所望をお聞きしたいのですが、いいがですお嬢様?」

「私とキスして」

 

シンプルでドストレートな要望ですね簪さんよ。

 

「ここだと人目につくから更衣室とかで」

「今、ここでやって」

「……わかったよ」

 

簪の髪を触れて額に唇を押し付ける。

 

「なんでおでこにキスなの?」

「何処をしてとは言われてないからね」

「……いじわる」

 

欲張りは身を滅ぼす……って言うからね。

 

 

 

 

「さーて、やっとお姉さんの番が来たわね」

 

簪と別れて最後に刀奈さんと学園祭をまわるが刀奈さんはメイド服ではなく地球連合軍の士官の軍服を着ている。

どちらかといえばメイド服より軍服のほうが似合っていると僕は思う。

 

「この格好って軍隊の士官で悠人君の服装は下士官なのよね?」

「そうですね。例えるなら艦長(マリューさん)パイロット(キラ)のような立場です」

「なら今の私達は上官と部下の関係ということね」

 

これ、絶対嫌な予感がする。刀奈さんのことだからなにか企んでいるに違いない。

 

「悠人君、お姉さんをエスコートしなさい。これは上官としての命令よ♪」

「了解、艦長(キャプテン)……」

 

『規則厳守』と書かれた扇子を開いて指揮(お願い)したので任務を全うすることにした。

 

「学園祭をまわるまえに正門に行きますがいいですか?」

「待ち合わせをしてるの?」

「友達と蘭がIS学園に来るので」

「チケットは一枚しか配布してないはずよ?」

「シャルロットとラウラから譲って貰いましてそれを渡しました」

「どうやって手に入れたの?」

「……2日連続、二人の部屋に泊まり込むのが条件でした」

 

チケットを貰うために二人の部屋に泊まるが周りは誰も見ていないので腕に抱き付くならまだしもキスをしたり首筋に吸い付いたりとスキンシップが激しかった。

ご飯を食べるときは食べさせ合いをして、テレビを見るは挟まれて、シャワー浴びるときも二人が洗ってくれて男の欲望が溢れて我慢出来ず襲いかかり、夜はまとめて美味しく頂いた。

 

「ちゃお、蘭ちゃん」

「お久しぶりです楯無さん!」

 

IS学園の正面ゲートの前で弾、蘭、数馬は虚さんにチケットを見せていた。

 

「虚ちゃん、お疲れ様」

「お嬢様、先ほどはメイド服の格好をしていましたがその格好は?」

「悠人君のクラスから拝借してもらったの」

 

学園祭をまわったら後で僕のクラスの手伝いをするのだろう。

 

「貴方が蘭ちゃんのお兄さん?」

「は、はい。五反田弾って言います」

「私はこの学園の生徒会長である更識楯無。今日は学園祭だから楽しんでね?」

「そ、そうさせてもらいます!」

 

背筋を伸ばしてガチガチに固まっている。

刀奈さんは綺麗な人だから初めて会うときは緊張する気持ちは分かるよ。

 

「お、いたいた。おーい弾!」

 

執事服を着た一夏が僕達を見つけると近づいた。

 

「なんだよ一夏その格好は」

「俺のクラスはメイド喫茶店のようなやつをやってて、俺だけ執事服を着てるんだ」

「僕のクラスはガンプラ展示をしててみんな、先輩と同じ格好をしてる」

「一夏はともかく悠人は納得だな。俺もまた執事服着て接客してーよ」

「お前が着ても似合わないだろ」

「なんだと! おい蘭、夏休みにバイトしたあの格好を見せろ」

「えっ、あれを見せるの?」

 

両手でスマホを持ち、もじもじと恥ずかしそうにしている。

一夏に見せるのが恥ずかしいだろうし、ここは助け船を出そう。

 

「これ、みんなで撮ったやつ」

「あぁぁぁぁ! 見せちゃだめです!」

 

蘭がメール添付で送ってくれた写真を見せると強引にスマホを奪った。

 

「私のメイド服、見ました?」

「あぁ、蘭のメイド服も良いな」

「あ、あぅ……」

 

顔を真っ赤にして頭から湯気が出ている。

奪われたスマホを返してもらい、校舎内にはいっていく。

 

「織斑君じゃん!」

「隣にいるのは山田君だよね?」

「生徒会長も一緒にいる」

「あの赤髪の二人って兄妹だよね?男の人、格好良くない?」

「隣の人も良いと思うけど」

「え~格好良さなら織斑君が上だよ」

「私は山田君派だな~」

 

女子が僕達を見るなり写真を撮ったりしている。

世界最強(ブリュンヒルデ)の称号を持った千冬さんの弟である一夏と生徒会長である刀奈さんがいるから目立っているんだろう。

「なんか注目されてるな」

「あ、あぁ……」

 

女子の視線に落ち着かない二人はキョロキョロと周りを見る。

 

「いらっしゃいませ……蘭、弾、数馬じゃない」

「お久しぶりです鈴さん」

「久しぶりね蘭。学園祭は楽しんでる?」

「はい、学園の学園祭は思ったより普通ですね」

「数少ない普通の行事だからね。ほとんどがISに関する行事ばかりだから」

 

入学して早々に『クラス別トーナメント』。6月には『学年別トーナメント』。7月の『臨海学校』では装備の試運転……ISが関わる行事が多いなこの学園は。

 

「ここに来たってことは頼むんでしょう? メニューはお菓子とデザートしかないけど」

 

席を案内されてメニューを貰い、何を頼むか選んでいく。

 

「僕はお菓子三種セットとタピオカミルクティー」

「俺はお菓子三種セットと蓮蓉包」

「お姉さんはお菓子三種セットと麻花(マーホア)にしようかしら」

「私はお菓子三種セットとマンゴープリンをひとつ」

「お菓子三種セットと月餅を3つ」

「俺は弾と同じのを」

「お菓子三種セットは人気ね。注文言うわよ。お菓子三種セットが5。蓮蓉包とマンゴープリン、麻花(マーホア)がひとつ。月餅が6つ。あとタピオカミルクティーがひとつ」

 

インカムを使って注文を言って一度、離れると大きいお盆をふたつもって戻ってきた。

 

「はい、あーん」

「あの……周りに人がいますから」

「私達は公認カップルなんだから遠慮しないの。悠人君、あーんして?」

 

公衆の場なのに気にすることなく食べさせようとして、やめさせようにも本人は手を退けようとはしないのでけっきょく折れてしまい、刀奈さんが手にとった焼き栗を食べる。

 

「あんな美人な人が彼女で食べさせられてるなんて……」

「どうして一夏と悠人ばかり……」

 

血涙が出そうな弾と数馬が羨ましいそうな目をしている。

 

「一夏さんはあまり驚いたりしませんね」

「見慣れた光景だからな」

「わ、私も楯無さんと同じようなことを……なんて」

「栗が食べたいのか?ほら、やるよ」

「あ、はい。ありがとうございます……」

 

自分の皿にある焼き栗を蘭の皿に置いた。

一夏よ、蘭が食べたいのは焼き栗じゃなくて食べさせて欲しいんだよ。

 

「それにしても美味しいわよね」

「鈴が先生になって教えてたようです」

「料理上手だもんね、鈴ちゃんは」

 

それからお互いの高校でなにをしたか話をしながら食べる。




ナタルとイーリを登場させました
イーリは悠人のことは可愛い弟分でナタルは元々愛想が良くて福音の仇を討ったのが重なって高めの好感度です
原作ではナタルは福音のテストパイロットですがこの作品では正式な操縦者です

ヒロインとのデート、誰が良かったです?
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