インフィニット・ストラトス ただあの空を自由に飛びたくて   作:如月ユウ

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今回は悠人対響弥の模擬戦


アフターストーリー『自由と喪失者③』

今日のIS授業は響弥との模擬戦であり、カタパルト射出場で準備をしている。

 

「響弥の機体はストライクをコンセプトにしてるんだよね?」

「うん、二振りの刀とビームシールドとライフルを基本装備として背中のビットはスラスターの代わりにしてる」

「使っているライフルはユニコーンのビームマグナムと同じ外見だけど使っている物はビームを纏った実弾。再装填はカートリッジの手動式だからリロードに隙がある」

「特化パッケージだがあれにも弱点もある。射撃型は機動力が低く、近接型は射撃が出来ない。ビットのパッケージは数が多いが活動時間に制限がある」

「そしてなにより雪菜のサポートがあって換装しているからプライベートチャンネルを使ってバレないようにしても装着に時間がかかる」

 

シャルロット、簪、ラウラは先に響弥と模擬戦していて、武器の特徴やパッケージの長所短所を調べて対策を練っている。

 

「一番危険視したほうがいいのが近接型パッケージの大剣だ。あれは雪片の零落白夜になることが出来てビームサーベルだとつばぜり合いが出来ない」

 

専用機がストライクからフリーダムになってからはアーマーシュナイダーは廃止されて接近戦をするにはラケルタ・ビームサーベルを使わなければならない。

 

「それだけ情報があれば十分だよ。ありがとう」

「勝算はどれくらいある?」

「三割くらいが良いほう。観客席で観てたけど訓練の質が違うのがわかる」

 

響弥達の世界にいる刀奈さんとは生身の格闘技限定だが何度か勝利しているらしい。

僕はいまだに一勝できず、連敗を重ねているからどれだけ強いかわかる。

 

「じゃあ、行ってくるよ」

「頑張って」

「私達では無理だが嫁ならいける」

「気を付けてね」

 

フリーダムを展開して装着してカタパルトに脚部を固定。

 

『カタパルト接続完了。進路クリア、発進どうぞ!』

「山田悠人、行きます!」

 

シグナルランプがゼロになり、カタパルトが稼働して勢いをつけてフィールドへ射出される。

 

(あれが響弥の専用機である『絶月』)

 

機体は顔を除いた全身装甲で黒い装甲に所々に金色が施していて色合いはアストレイゴールドフレーム天ミナに似てなくもない。

 

『それでは両者、所定位置へ』

 

審判であるエドワース先生の案内でそれぞれの位置に移動。

 

「…………」

「…………」

 

挨拶をかわすことなく、お互いの機体を眺める。僕も響弥も相手の動きにどのように対策すればいいか、思考を巡らせている。

 

『それでは……試合開始!』

 

最初に動いたのは僕で後方に下がってバラエーナ・プラズマ収束ビーム砲、クスフィア・レール砲を展開してルプス・ビームライフルをのトリガーを引いて一斉射撃。

響弥は左下に回避して接近しながらビーム・マグナム・カスタム(骸火)で応戦、ルプス・ビームライフル以上の火力と射線上から紫電が帯びてラミネートアンチビームシールドで機体を隠して防ぎながら余剰熱でシールドエネルギーが削れないようにする。

 

(高火力かつ小型化してるから排筴に時間がかかっている)

 

ガシャンと音を立てながら撃ち終わったマガジンを切り離して連結しているマガジンを新たに接続している。

背中にある翼の一部が切り離されて僕に向かって飛んでくる。

 

(原理はセシリアさんのブルー・ティアーズと同じだが)

 

シャルロットの情報通りドラグ・ファングはただの自律兵器で射撃武器は一切なく、相手に当てるだけの兵器。

 

(数が多いが真っ直ぐしか飛ばないから回避は難しくはないけど)

 

16機を相手にすると、じり損になるので上昇したり降下したり、左右に移動しながらドラグ・ファングの網目を潜っていくが前方と後方から挟み撃ちにされた。

 

(左右からだと別のがやってくる……なら!)

 

ふくらはぎに設置されているスラスターで急停止して180度回転して真下(・・)に回避すると上ではドラグ・ファングが通り過ぎていく。

 

(プロヴィデンスのドラグーンみたいにビームを撃たないならドラグ・ファングの対処は容易)

 

正直な話、セシリアさんのブルーティアーズのほうがまだ苦戦する。

ドラグ・ファングを戻して拡張領域から大型バスターキャノン。腰にレールガンと骸火を装着した。

 

(砲撃防御型パッケージ『雪』を出したか。装備だけはフリーダムに似ている)

 

バスターガンダムと同じように支援砲撃を目的とした装備でランチャーストライカーパックを装備したストライクみたいに至近距離の武器はない。

 

(選択肢は射撃か格闘のふたつ……)

 

遠距離からの射撃をするか、弾幕を掻い潜って接近して格闘戦をするか。どちらもメリットがあってデメリットもある。

 

(ここは……高機動空戦(ハイマット)モード!)

 

バックパックの翼を展開させて高機動に移動して遠距離からピクウス76mm近接防御機関砲とルプス・ビームライフルを撃つ。

下手に近付けば近接パッケージを出されてしまい、先手をとっても零落白夜に似た機能を持つ大剣の餌食となる。

ここは時間をかけて堅実にダメージを与えよう。

しばらく撃ち合いをしていると響弥が換装装備を変えて両腰に『八重霞』と『鬼百合』を帯刀して背中に短槍と大剣をドラグ・ファングが大剣に装着。

身体に纏っていた装甲はほとんど消えたことにより『雪』よりも加速力が上がっている。

 

(あれが高機動近接特化パッケージ『月』か。防御を犠牲にして機動力を上げて回避しながら接近戦だろう)

 

さながらM1アストレイの『高い機動性により敵の攻撃を回避する』ことをコンセプトに開発された装備だろう。

両腰の『八重霞』と『鬼百合』を抜刀して接近したのでラケルタ・ビームサーベルを二つ抜いて二刀流同士の格闘戦が始まる。

『鬼百合』は普通の打刀で『八重霞』は刀身が鞭のようにしなる特殊な刀をしているがどちらも実体剣なので手足を使って刀身の軌道を反らしたり出来る。

 

「がっ……」

 

義手である右手から爆発的加速を出して顔面を殴り、一瞬だけ頭の中の平行感覚がおかしくなる。

 

「いっ、てぇな!」

 

お返しとばかりに殴り返すが素肌ではなく装甲を狙ったのは少しばかりの温情である。

 

「なにするんだ……っよ!」

「それはこっちのセリフ!」

 

手に持っていると邪魔になるので獲物を捨てて模擬戦から男同士の喧嘩に変わる。

どちらも更識流の型を使っていて質や練度は圧倒的に響弥が上だが僕はドイツで軍用格闘術を習って武装した相手を無力化する技術も叩き込まれた。

 

(ラウラから教わった使う技を絞って……そこだ!)

 

放たれた拳を受け流して掌底のカウンターを仕掛けるがそれを簡単に受ける響弥ではないので腕を払って軌道をずらす。

拳を放ち、受け流して、蹴りを交差させて、頭突きをかます。

 

『は~い、試合時間はもう終わってるから喧嘩はそこまで』

 

ブザーが鳴る音に気付かなかったか試合は終わっていてエドワース先生の放送で殴り合いをやめる。

 

『シールドエネルギーの最大値から減少値を計算して多く与えたのは舞原先生だったので勝者は舞原響弥先生』

「ひさびさに面白い喧嘩ができた」

「女の子には吹っ掛けられないからね」

 

負けしまったがあまりスッキリしない模擬戦で不完全燃焼。

これはなにをして解消させるか。

 

 

 

 

ピットに戻って備え付けのベンチに座ると肺の中にある空気を全部出すように息を吐いた。

 

「ぷはぁ……はぁ、はふぅ……」

「ちょっとこの汗、尋常じゃないわよ」

「全身から吹き出て……大丈夫なの?」

「だい……じょうぶ……」

 

汗が身体中から流れ出て、深呼吸しようにも呼吸が乱れて空気がうまく吸えない。

 

「悠人君、これ使って」

「落ち着いてゆっくり時間をかけて呼吸を繰り返すのよ」

 

酸素スプレーを出した簪がマスクを口と鼻にあてて噴出してくれて刀奈さんが背中を擦ってくれる。

 

「もう良くなったよ。ありがとう」

 

酸素スプレーを外して、自分で呼吸を整える頃には落ち着いた。

 

「いったいどうしたんだ。試合前や戦っている最中はなんともなかったのに」

「本当は怖かったんだ」

「怖かった?」

「戦っているうちに響弥にある何か(・・)が襲ってきて。殴り合いになったときにはその恐怖は無くなった」

 

開始する前はなにも感じなかったが強化パッケージを装着してから気配を察知して渦巻くような何か(・・)が纏わりついて恐怖に飲まれないように歯を食いしばって耐えていた。

 

(響弥……君は家族を亡くしてなにを得たの?)

 

僕と同じように親がいない君はその力を何のために使うの?

 

 

 

 

悠人との模擬戦は俺が勝利したが心の中は曇ったままで腑に落ちない気持ち。

 

「難しい顔をしてますがどうしました?」

「今日の模擬戦は舞原からしてどうだった?」

「そうですね……」

 

顎に指をあててどう思ったか考えていく。

 

「今までみなさんと戦って一番やりずらい相手でしたね。射線やパターンも読まれて回避も独特で特に最後は驚きました」

「癇に触ったか、殴り返されて。それで俺も殴って喧嘩になってしまった」

 

開始直後の一斉射撃は回避前提でわざと色んな方向に撃っていて直接当たりはしなかったが擦ってしまった。

骸火とドラグ・ファングは回避されて『雪』での射撃戦では不利と感じて『月』に換装してアロンダイトを使った接近戦をしようと義手で殴って怯んだ隙に出そうとしたが殴り返されて終わった頃には悠人の手の平で踊らされていた。

 

「ドラグ・ファングを上手くかわされたから『花』を使うのは控えたが」

「それで正解でした。山田君にとってはファング・ドラグーンとシールドドラグーンは的でしかなくてお互いに開発した機体の話をして『花』のパッケージの説明をしたら『数が多ければ良いと思ったら大間違い』と言われて『欠陥しかない武器』だとハッキリ言われました」

「使うのはかなり大変だが欠陥って言うのはさすがに」

「私にも技術者としてのプライドはありました。それで反論をしましたが『機体は操縦者を守るためにある。それを忘れたら技術者ではなくただの狂気に呑まれた技術者(マッドサイエンティスト)だ』と……悔しかったですね。山田君が言ったことが正しくて、搭乗者のことを第一に考えてました」

「慰めっぽい言い方だが舞原が開発したやつは満足してるぜ?まあ、ビットのほうは頭が疲れるが」

「戻ったらドラグ・ファングと『花』を優先的に改善しようと思います」

 

パッケージの改良をすると意気込み落ち込んだ気持ちが吹き飛んだようでなんとかなったな。

 

「模擬戦をして思ったがあいつは俺に対して手加減をしてると感じたんだ」

「手加減ですか?」

「無意識にしているというか本来の力を出し切れていないような……」

 

歯切れが悪い例えになったが実際そう思えたんだ。『能ある鷹は爪を隠す』という言葉もあるが別に隠している訳でもなく、全力でやっているのはわかる。

 

(悠人……お前はなぜ力があるのに抑え込んで戦っている?)

 

本来の性能だと危険だからリミッターをかけているからか?それとも本気を出したら相手を殺すからなのか?




もし『花』を使ってましたら高機動一斉射撃(ハイマット・フルバースト)をされてほとんどのビットは破壊されてました
それで欠陥と言った理由は使用時間があってそれを過ぎたら操縦者の命がないことです
悠人にとっては大激怒なことで『命の保証が出来ないならはじめから装備に入れるな』や『命を守る機体が逆に奪ってどうする』と雪菜に言いました

最後の会話ですがお互い『ドミナント』と『種割れ』について知りません
何かを持っているという気配は感じてました
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