アニメ アイドルマスターシンデレラガールズ 3rd SEASON (完結)   作:栗ノ原草介@杏P

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第6話 〝Like a four leaf clover 〟
 Aパート 1


 

 

 

「それでは、リハ、始めまーす」

 

 スタッフの合図を受けて、スポットライトが点灯する。

 特設ステージの中央に立つ、二人のアイドルに注目が集まる。

 

「みなさーん。退屈、してますかー?」

 

 十時愛梨の掛け声に、スタッフ達が「退屈でーす」とレスポンスをする。

 愛梨の隣に立った川島瑞樹が、うんうんと頷いて――

 

「わかるわー。じゃあ、そんな退屈を、対決で解決しちゃいましょうっ!」

 

 司会の二人が、息を合わせて――

 

「頭脳でどん! ブレインキャッスル。スペシャル特番!」

 

 BGMが流れて、すべてのライトが点灯する。

「こうして二人で並ぶのも久しぶりね、愛梨ちゃん」

「そうですね、川島さん。懐かしい衣装を着て、懐かしいステージに立って、何だかとっても嬉しいです」

「わかるわー。でもね愛梨ちゃん、今回の特番は、ただ懐かしいだけじゃないのよ。なんと、クイズで優勝したチームには、とってもすごい賞品があるの」

「今までは、勝てばアピールタイムゲットで、負けたチームは罰ゲームでしたが、今回は――」

「なんと、新曲のCDを製作する権利をゲットできまーす!」

「うわぁー、これはすごいですね。なんとしても優勝して、権利を勝ち取りたいですね」

「新曲のCDをかけてクイズで対決するチームは――」

「この4組ですっ」

 

 出場を控え、暗幕の裏で待機する智絵里の、手と足が震えていた。

 もちろん、緊張もある。

 けど、それ以上に、この仕事に対する意気込みがあった。

 久しぶりに、キャンディアイランドの衣装で、テレビに出演できる。

 そして、クイズで優勝できれば、CDを――

 

「かわいいボクと――」

「野球!」

「どすえー」

 

 聞きなれた声がして、ステージが盛り上がる。

 この番組の常連ユニット――KBYDの登場に、顔馴染みのスタッフ達が歓声を上げる。

 

「この番組といったら、この3人は欠かせませんね」

 愛梨の声に、フフーンという得意げな鼻息が続く。

「まあ、ボクのかわいさがないと、番組が成り立ち――」

「今回は、優勝目指してホームラン、狙っていくよ!」

「いつもより、気張っていきたいと、思っておりますぇ」

「ちょっと! ボクの台詞が途中ですよ! もっと、ボクのかわいさを、みなさんに伝え――」

「はい、それでは続いてのチームは、こちら!」

「ちょっと川島さん! ボクの台詞がまだ――」

 

 閉じられていたカーテンが、開いた。

 ライトのまぶしさに、一瞬、目を閉じた。

 良く磨かれて滑りやすい床。

 パステル調の色彩を放つ特設ステージ。

 その先に、川島瑞樹と十時愛梨の笑顔があって、KBYDの三人が、不敵な笑みを浮かべている。

 一年前の収録を思い出す光景だが、あの時とは、違っている。

 違っていると、思いたい。

 初めてのTV収録を前に怖気づき、観客をカエルに見立ててステージに上がったあの時よりも、成長していると思いたい。

 

「KBYDの公認ライバル、キャンディアイランドのみなさんです!」

 

 愛梨の紹介に続いて、3人で声をそろえる。

 視線だけでタイミングをはかり――

 

「キャンディアイランドでーす!」

 

 声が、ぴったり揃った。

 自然な笑みを添えるだけの、余裕があった。

 

「ひさしぶりですね」

 

 小指を立ててマイクを持った幸子が、宣戦布告とばかりに笑う。

「以前は引き分けでしたが、今日は負けませんよ。なんたって、ボクのかわいさを世に知らしめるスペシャルなCDの製作がかかっているんですから!」

「え、そんなCDなの?」

「さあ……。さちこはんの中では、そうなってるみたいどすぇ」

 怪訝な顔をする姫川友紀と小早川紗枝の意見を、幸子はコホンと空咳を入れて一蹴し、再びキャンディアイランドへ視線を向ける。

「とにかく、今回のクイズは、この世界一カワイイこのボクが――」

「はーい幸子ちゃん。そんなところで、続きは本番でよろしくね」

「えっ、ちょっと、川島さ――」

 

「続いては、この番組を〝終わらせた〟という伝説を持つ、あのチームの登場です!」

 

 BGMが鳴り響いた。

 カーテンの向こうから、及川雫と大沼くるみが現れた。

 男性スタッフから、今までとは毛色の違う歓声が飛んだ。

「もぉー、及川牧場から来ました、及川雫と――」

「あのっ、大沼くるみでしゅ……。クイズは、苦手でしゅけど、がんばりまっ、あっ……」

 くるみが、盛大に転んだ。

「くるみちゃん! 大丈夫ですか? つかまってください」

 雫が、手を貸して起こした。

 湿度の高いくるみの目から、大粒の涙がこぼれた。

「ううっ、ごめんなしゃい……。くるみ、どじだから、ぷろでゅーしゃーにも、気をつけるようにって、言われてたのに……」

「大丈夫ですよー。怪我はないですかー?」

「ふぁい……」

 二人のやりとりに、スタッフの間から拍手が起きた。

 暖かい雰囲気に、司会の愛梨も、笑みを浮かべて――

「ということで、BBチームのお二人です。よろしくお願いしますね」

 愛梨の視線を、瑞樹が受け取る。

 スタッフに合図を送り、照明を落とす。

 

「そしてラストは、初登場のダークホース。その実力は未知数の、このチーム!」

 

 スポットライトが、ステージの入り口を照らしだす。

 BGMの代わりに、鼻歌が響く。

 

「フンフンフフーン、フンフフー……」

 

 スポットライトに金髪を輝かせるのは、黙っていれば美人の称号をほしいがままにする――

 

「フレデリカ!」

 

 宮本フレデリカが、楽しそうに笑った。

 そしてその後ろに、もう一人のアイドルが。

 彼女は、花の香りがすると自称するフレデリカのにおいに釣られるように、鼻を鳴らして――

 

「スンスンススーン、スンススー……」

 

 学者のように白衣をはおり、怠惰な服装の中に色香をただよわせる――

 

「志希デリカ!」

 

「ちょっと志希ちゃん、混ざってるよー?」

「にゃははー、フレちゃんのにおいをハスハスしてたら、あたしの中で化学反応が起きて半分フレちゃんになっちゃった」

「そっかー、じゃあしょうがないね」

「そゆことー」

 

「いやっ、誰か突っ込んでよ! そのままスルーしちゃだめでしょ、この会話!」

 

 瑞樹に突っ込まれても、二人のアイドルは穏やかに笑っていた。

 見るからにマイペースな二人に、威圧感は無かった。

 BBチームと同じく、盛り上げ役なのかと思われたが――

 

 志希とフレデリカのチーム――〝レイジー・レイジー〟は、ずば抜けていた。

 

 リハーサルとはいえ、台本無しの真剣勝負でクイズ対決が行われた。

 それが終わった時、スタジオは異様な空気に包まれていた。

 

 レイジーチーム以外の点が、0だった。

 

 一ノ瀬志希が、誰よりも早く、クイズの問題に正答した結果だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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