東方妹従者 ~変態の潜む紅魔館~   作:丁太郎

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4.【理性と撮影会】

 今日はなんて幸せな日なのだろうか。

 

「フラン様ハアハア」

 

 ああ、私は本当に幸せ者だ。主人となってくれたのがこんなに可愛らしく、無邪気で健気な可憐なお嬢様で。もうその魅力だけで、私、蒼波は……もう……。

 

「落ち着きなさい」

「痛ッ!」

 

 何の気配も感じさせず、後ろからいきなり殴られた。何故だ。私はただあの可憐なお嬢様をこの脳内画像フォルダ(100TB)のお気に入りに入れようとしていただけなのに。

 振り返ればそこには、咲夜が少し拳を握った状態で立っていた。なにそのポーズ可愛い。

 

「痛い」

「少しは落ち着きなさい。心の声が駄々漏れになってるわよ」

「お嬢様にさえ聞かれなかったらいいのよ」

「全く…………」

「でも咲夜だってあのお嬢様達は可愛いと思わない?」

 

 そう言って私はベランダの方を指さす。

 そこにはお嬢様らしい赤色のワンピースをまとったフラン様と、同じようにだがこちらは白を基調とした少しおしゃれで大人っぽいワンピースをきたレミリア様がいた。

 そしてその横でバシャバシャとフラッシュを焚きまくる鴉天狗、通称マスゴミ自称清く正しい射命丸文。

 

「従者権限で全部買いとれないかしら」

「従者にそんな権限あるわけないでしょ」

 

 しまった。またも独り言を抑えきれなかった。

 まあ咲夜も少しそわそわしているところを見ると、彼女もまたお嬢様達の魅力には勝てないようだ。視線もバッチリ向いているわけだし。

 とまあ、そんな感じで咲夜を眺めていたら、視線に気づかれてしまった。おや? 覗き見していることがバレて恥ずかしいのかな? 頬が赤くなってますねぇ、ニヤニヤ。

 

「…………」

「…………」

 

 あ、あれ? 黙っているのだ彼女は。少し気まずい……。おおっとぉ、あの咲夜が目をキョドらせている!

非常に貴重だ! ………だが、今の私も大差ないから特に優越感はない。Oh……。

 

「そ、それにしても、文が取材以外で仕事するなんてね」

「『文々記号。新聞』にのせるらしいから、あながちいつもとは違うわけではないみたい」

「ふぅん、号外なら貰っとこうかしら」

「そこは抜かりなしよ。既に写真を幾つか融通するよう交渉しておきましたから」

 

 フッフッフ。この私が何の対価もなくお嬢様達の麗しい姿を売るわけないだろう。そこのとこはバッチリである。もちろん出演料のほうもたっぷりもらうわけだし、文も号外が売れるなら喜んで弾んでくれるだろう。これは両者ウィンウィンな関係なのだよ(死語)。

 そうやってしばしの間お嬢様達を眺めながら咲夜との会話する。実はこのメイド、私に勝るとも劣らないレミリア様LOVEを持っていたりする。流石メイドとでも言うべきか。まあ、たまに私の方も負けじと情熱を語ったりするのでその時はかなり激しい舌戦になったりするものだ。だいたいお嬢様達に止められるけど。でもそんなお嬢様達も(ry

 いつのまにか咲夜が紅茶を淹れてくれたようなので有り難くそれを受け取り、一口飲んでみる。

 んー、いつもながら彼女が淹れる紅茶は最高だ。茶請けも完璧だし、茶葉の保存方法にも拘っているのだろう。この前借りに行った時もごそごそやってたし。こうしてゆったりくつろいでいると改めてその凄さを実感する。ちなみにその咲夜は炎天下の中、日焼けし始めたお嬢様達を心配そうに見つめていた。

 いや、私としては日焼けしたお嬢様達も可愛いと思うんだ。彼女達だってもう幼いわけじゃないし、重傷になるほど日にあたることはないだろう。文が止めると思うしね。

 と、ここでようやく文が私達に気づいたようだ。

 

「あ、咲夜さんと蒼波さんじゃないですか。居るなら言ってくださいよ」

「結構な時間此処にいたのに、気付かなかったのは文じゃないですか。おかげで咲夜の紅茶を独占できました」

「へぇ……独占ですか」

「ちょ、「そりゃあ咲夜を独占なんてなかなかできないですからね。レミリア様には悪いですけど」

「フンフン…………『紅魔館に吹き荒れる百合の嵐』『従者同士の」

「それ載せたら○すわよ」

「すいませんでした」

「全く、蒼波も止めなさいよ……って、居ないッ!? チィッ!!」

 

 パチン

 

「あれ? 咲夜さん? メイドにあるまじき舌打ちが聞こえましたけど……そういえばこの血は何でしょうか」

 

 

 

 

        *    *    *    *

 

 

 

 

 お嬢様ああああぁぁぁぁ!!

 今、蒼波が参りますよ!! どうかその可憐な笑顔を私に向けてくださいませ!! その赤ワンピを着た今幻想郷最高に可愛いお嬢様をこの駄執事に抱き締めさせてください!!!

 

 

 

 ドドドドドドドド

 

 

 

「ん? あら、蒼波じゃない」

「あ、蒼波!」

 

 ヒャッホオオオオオウウウゥゥ!!

 

 

 ああ、なんて華やかになられたのでしょうか、なんて可愛らしいのでしょうか、なんで愛らしいのでしょうか、なんて愛くるしいのでしょうか、お嬢様あああああああああああああああ!!!!!

 

 パチン

 

「そこまでよ」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 そして私の視界に映るのは幽香の花畑(ねつ造)で微笑むフラン様の姿ではなく、いつもの見慣れた仕事部屋だった。

 

「ちょ、咲夜!? お嬢様でワンピースが笑顔を私はなんてもったいないことを!!!」

「色々落ち着きなさい、ほら」

「あ、これはどうも」

 

 紅茶を一口。うむ。実にいい香りだ。流石は咲夜。どんな状況でも決して妥協はしないその姿勢。ひそかに尊敬しているぞ。

 

 

 …………。

 

 

 違うッ!! 今はそういうことじゃなくて

 

 

「咲夜! なんでフラン様を私から引き離したのよ」

「いや、貴女を妹様から引き離したのよ」

「なるほど」

 

 

 

 ………………。

 

 

 

「レミリア様~、咲夜が苛めます~」

「ちょっと、蒼波!?」

 

 へっへっへ。私を苛めるとどうなるか思い知るがいい咲夜よ。

 

「…………貴女、レミリア様に告げ口して何する気なのよ」

「………………………。」

 

 しまったぁ………! この蒼波、一生の不覚……!

 

「で、なんで私とフラン様を引き離したの?」

「質問を質問で返すのはいけないことだけど…………貴女、妹様に近付いてその後どうする気よ」

「…………(たらり)」

「無言で鼻血を出さないの」

 

 おっと、いかんいかん。つい、お嬢様のあられもない姿が…………。確かにさっきの私は理性が崩壊していたような気がする。もし、あの場で少しでもおかしな挙動をしてたら、間違いなく文にネタにされたでしょう。

 

「……確かに余りにも軽率な行動だったわ。反省します」

「どうだか。全く、もう少しでいいからその行動を抑えれば完璧な従者なのに……」

「ちょっと、それは聞き捨てならないわね。私のほうが咲夜よりも従者歴は長いのよ?」

「それとこれとは別よ。私のほうがお嬢様の従者としてうまくやってるわ」

「いやいや、貴女とはいえそこは譲るわけにはいかないわ。そもそも咲夜だってレミリア様の盗撮画像文から買っているじゃないの」

「む…………これだけは言いたくないんだけど…………。私、知っているのよ。貴女が眠りに就いた妹様を一刻近くも抱きしめてから自分の部屋に向かうこと」

 

 ふぁっ!?

 

「なななな、何故にそれを!!?」

「だから言いたくなかったんだけど………」

 

 もしや今までの私の行動は全て咲夜に筒抜けだったのか!! もしかしてフラン様もそれを知っていたりするのか!? 実は今までのは寝たふり――――!?

 

「まさか、私の秘密を知っていたなんて………。やっぱりメイド長は伊達じゃないわね」

「そうね。でもこれでわかったでしょ? 貴女をフラン様から遠ざけた理由が」

「?」

 

 そんな話だったか? てっきりどっちが従者として完璧かどうかを………ん? なんか忘れてないか?

 

「……貴女の暴走が原因じゃないの」

「そうだっ! フラン様のワンピースっ!!」

 

 急いであのフラン様レアverのお姿をこの脳内に収めねば!!

 理性はちゃんと機能しているし、今のままなら冷静にレアフラン様との一時を楽しむことが出来るだろう。その時間のために、今は一秒ですら惜しい!

 

 うおおおおおおおおおお!!!!

 

 

 

「…………いつまでも手間のかかる姉さんね」

 

 

 

 

 

 

      *    *    *    *

 

 

 

「もうっ! どこいってたのよ蒼波。せっかくきてみたのに」

「申し訳ありません。ミスを仕出かしてしまったもので咲夜から説教を少々」

「ふぅん。べつに気にしないのに」

「ですが」

「わたしは蒼波がいればいいの!」

 

 おっとこれは一大事だ。

 何が一大事って、ただでさえ破壊力満点な危険なセリフを、今その恰好で、この状況で、しかも上目遣いで言われたら

 

(いけない。このままでは私の中の熱い物が)

 

 現に今、私の心臓は大きく脈打って、頭の芯は甘く痺れ、腕は何かを求めるかのように彷徨っている。

 

 

 

 そして、ついに限界を超えて――――

 

 

 

「あのー、蒼波さん?」

 

「………。ハッ」

 

 

 ――――いつのまにか私はカメラを構えて、ひたすらフラン様を撮っていた。

 

 ふむ。

 

 

 パシャッ、パシャ、パシャシャシャシャシャシャ………

 

「ちょ、蒼波さん!? なんで連写を始めるんですか!? ああ、メモリが、電池がぁ……。待ってください、この後も取材の予定が」

「またとない機会ですし、フラン様。私は記念として御姿を写真に収めたいのですが」

「うんっ! いいよ」

 

 まあ、既に撮りまくってるけど。

 こうして、撮影会の大義名分を得て、楽しい楽しい時間が幕を開けた。

 どっぷりと日が暮れても終わることはなく、深夜になってもカメラの音が響き渡ったという。が、私には何に起こったのかよくわからない。

 途中、文が諦めたような表情で

 

「次は紅魔館特集ですね……」

 

 と呟いていたが、私には何の事だかさっぱりわからない。

 よくわからないので次の文々。新聞は1ダースほど注文させて貰った。

 わからないと言えば、咲夜の写真も大量に保存されていた。

 不思議なこともあるもんだなぁ、と文に拡大印刷を頼みながらつくづくと実感したのはいい思い出だ。

 

 

 

 

 

「いつまでやってるの蒼波」

 

 …………。

 

「なんで急に黙るの?」

 

 …………。

 

「ちょ、ちょっと足取りが怖いんだけど」

 

「ね、ねぇ、その手に持っているのは何? まさかとは思うけど」

 

「ちょっと、お嬢様まで!?」

 

 ……。

 

 ……………。

 

 

 ………………………。

 

 

 

 

 

 いやー、楽しい一日だった。




欲望のままに書くと、文章がぐだりますね。
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