東方妹従者 ~変態の潜む紅魔館~   作:丁太郎

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久々の更新


9.【地霊殿・緊縛】

 

 フラン様の魔力を辿れば、予想通り地霊殿へとつく。ふふん、これが従者ですよ。

 

「ほら、着いたよ。ここが地霊殿だ」

 

 ……うん。辿っていただけだから。お燐に案内されてないとは言ってないし。別に嘘でもないし。そもそもお燐がいるのに私が出る幕などないだろう。地下に来たことすら初めてなのに。

 

「あまりウロウロされても困るから、ご主人を見つけたら大人しくしてなよ」

「それはお嬢様にお伝えください」

「だよねぇ」

 

 ハァ、とため息をつくお燐。

 そういや、サトリの妹のほうは相当自由人だって聞いたことがある。なるほど……。

 

「お燐……私は仲間ですから」

「ああ……なんかありがと」

 

 でもごめん。

 

 

 落ち込んでるお燐がすごくかわいいと思いました。

 

 

 

    *    *    *    *    *

 

 

 

「お嬢様の魔力はこっちから、っと」

 

 お燐と別れたあと、私は地霊殿へ入ってお嬢様のもとへ向かっていた。魔力の残滓にばっかり意識がいってどう進んだかは全く覚えてないんだけど、まあお嬢様と合流できれば問題ないでしょう。何度か来たことあるっておっしゃってたし。

 それにしても、流石サトリの従者。意味深なセリフ残して立ち去りやがって、次会ったらメチャクチャ|(意味深)してやる。もう、可愛いな本当に。

 しかしまあ何とも言えないこの感じ。やっぱ怨霊と妖怪ってもとより相容れない物だっていうのがはっきりわかる。不快感+居心地の悪さを足して二で掛けたような奇妙な感覚だ。私、人間なんだけど。

 お嬢様の友人宅に文句言うわけじゃないんだけど、あまりここにはいて欲しくないな。吸血鬼って幻想郷では外来種っぽいけど、妖怪に近いだろうし、怨霊の悪影響が心配だ。早く見つけないと。

 ん? 近くに素晴らしい気配が。

 

「お嬢様? ……と知らない人がいますね……」

 

 しかし、なんだろうこの気配は。お嬢様であることは間違いないんだけど、どこか一風変わって、いやホント素晴らしい。何が起こってるかわっぱりわからないけど、とりあえずいいことだ。謎の第六感が私にそう告げている。実は新しい能力だったりして。

 んなわけないか。

 

「善は急げ、です」

 

 探索(サーチ)モード全開。目標を補足。全力で現場へと向かう。こういう時、咲夜がいると楽なんだけどなぁ。時を止めるなり、目的地までの空間を操るなりして移動時間をなくせるからね。その点あたしの能力はホント不便だ。なんだよ流れを操るって。抽象的にも程があるでしょうに。色々応用が利くし、幅があるから都合はいいんだけどわかりやすさで言うとなぁ……。メタァ。

 

 そんなくだらないことを考えていると、もう目的の部屋へ着いたようだ。

 

「この部屋ですね」

 

 うむ。素晴らしい気配はまだ続いている。この扉の向こうで何が行われているんだろうか。

 

 ええい、辛抱たまらん。突入する。

 

 

 

 

 

 

 目に入ったのはまずお嬢様。

 だけど、どこか普段と様子が違う。

 縛られているのだ。

 

 成長途中の小さな蕾が糸に押さえつけられて、それとなく自己主張をしている。

 乱れた服から見えるお腹が、少し汗ばんでいて何とも言えない劣情をそそる。

 そして、こんな私に助けを乞うような涙目。でも、動けない。動けないお嬢様。縛られたお嬢様。

 

「蒼波ああぁぁあああぁぁあぁ!! これ解いてェ!!」

「フランちゃん、そんな泣かなくてもいいじゃんー」

「ねばねばするんだもん!! こいしちゃんもなんで解いてくれないの!?」

「え? 何となくー」

「もう!!」

 

「お嬢様……蒼波は幸せでした……」

 

 いやいや、助けましたよ。

 血()を止めれば鼻血なんて出ませんよ。なんか息苦しくなったり意識がヤバくなったり寒くなってきたり手足がしびれたり死にそうになってたりするけど多分大丈夫。

 

「ありがとー蒼波ー」

「いえいえ当然です」

 

 お嬢様の寝てたベッドに合法的に寝るためならどんな手も惜しまない。

 

「ちょっと休憩します」

「蒼波?」

 

 

 ああ、お嬢様の香り……。

 

 

     *    *    *    *

 

 

 

「楽しんでいるようで何よりですね」

 

 私が目を覚ますと、お嬢様はすでに遊びに出かけた後だった。うん。そうだよね。お嬢様、優しんだけど、ちょっとあれだから。どっかの氷の妖精みたいなあれだから。程度はマシだけども。

 

「でもしっかり看病してくれてたみたいですね……」

 

 額に乗せられた濡れタオル。そもそも病気じゃないんだけどさ。なんか騙したみたいで申し訳ない。

 ああ、もうこの優しさとさっきの光景だけで軽く《自主規制》。

 こういう時に限って文のカメラを忘れるんだよ。全く。脳内メモリにはお気に入りで登録してあるから忘れっこないけど。

 さて、そろそろお迎えに行かないと。

 

「もう少し堪能したいところですが……」

 

 名残惜しい。非常に名残惜しい。最近お嬢様のベッドで横たわることないからなー。くそう。仕事を蔑ろにはできない従者の性よ。

 そう言えば、お嬢様の友達の名前聞いてないっけ。妹の方かなきっと。お嬢様はこいしって呼んでたな。地霊殿の主人じゃないみたいだし、格式張った挨拶はしなくてもいいかな。それにきっとこいし様もあれだ。チルノだ。いや、馬の付くあれじゃないよ。純真って意味だから。違うからね。

 一応、お邪魔させてもらってるわけだし、主人にも会っておきたい。たびたびお世話になるだろうし、何より無許可で建物歩き回ったからね。紅魔館(うち)だったらブチギレだよ。

 この前なんかレミリア様の部屋に入っただけで咲夜にしょっ引かれるし、咲夜の部屋はなんかトラップしかけてるし、全く。方向音痴なんだから部屋間違えるぐらい許してよ。

 私は魔力が少ないから、残滓が感じられ無いんだよね。そりゃ部屋だって間違えるよ。

 さて、お嬢様の魔力は、っと。

 うん、建物の中だし、これならすぐに帰れそうだ。

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