簪さんの胸の中、温かいナリー……って違う!!
ど、どうする!?このまま誤解されたままではばれた時ヤバイ、シスコンさんに殺されかねん。かと言って振りほどくわけにもいかない。内気な彼女がここまでしてくれているんだ。無理に振りほどいたら彼女を傷付けかねん。それは出来ないよ。男として。
ならば、取る方法はただ一つ!!
「四五六君?……寝ちゃったのかな」
気絶有るのみ!!
(こうしてメガネが無い四五六君って結構カッコいいかも//)
「ハッ!!」
気が付いた時俺は自室のベットの上で寝ていた。時計を見ると朝の4時過ぎ。どうやら気絶した後ここまで運んでくれたようだ。
(は〜。にしても昨日はビックリしたな〜。まさか彼女があんな事してくれるなんて……)
そう思いながら静かにベットから抜け出し、部屋にあるキッチンでお弁当の準備を始める。
(原作ではそんな事出来るような人物じゃなかったような……いやいやいかんなこの考えは。彼女はもう空想の人物じゃなくて実在の人物なんだから、こんな考え方は失礼だよな)
考え事に耽っていても体は勝手に動き、手際よくお弁当を二つ作っていた。
「よし、こんな所かって何だこれ!?」
出来たのは無駄に豪勢なお弁当だった。
「……どうしよう、これ」
普段通りに朝食を済ませ、教室に向かう時簪さんは珍しくもう起きていたので、部屋から出て行くとき、「……昨日は、その、ありがとう//」と、とりあえず感謝の言葉を出して出て行った。
部屋のドアを閉めるとき、何か沸騰した時の音が聞こえた気がしたが気のせいだろう。
さて、教室に着きいつも通りに授業が始まりお昼になった時、即座に教室から離脱しようとしたら、「お待ちになって、一二三さん!!」と大声で呼び止められた。
振り向くと、其処には少し緊張した表情で立っているオルコットさんの姿が。
「……えっと、何か?」
「その……一二三さん、以前の失言、申し訳ありませんでした!!」
そう言い深く頭を下げるオルコットさん。
「ちょ、何を……」
「これはセシリア・オルコット一個人として、そしてイギリス代表候補生として正式に一二三四五六さんに謝罪を申し上げているのです」
頭を上げ目を合わせ言い放つオルコット。
「どういう事だ?」
「セシリアは昨日のパーティーが始まってから皆の前でこの前言った事に対して謝罪したんだよ」
「織斑……」
「私は一夏さんと出会うまで、その、女尊男卑の思考に染まってしまっていて男だから、そんな事だけで相手の事を見ることもせずに見下していました。でも一夏さんとの試合で私はその考え方を改めました。このような考え方では一二三さんに指摘された通り、私だけではなく祖国の品位すら落としかねる、と」
涙ぐみならが話すオルコット。
「ですから、今更かも知れませんが誠に申し訳ありませんでした」
そして再び深く頭を下げるオルコット。
「い、いや、その、頭を上げてください、オルコットさん。オルコットさんがこうして謝罪をしてくれたなら俺は気にしてませんから」
「一二三さん……ありがとうございます」
オルコットさんは周りのクラスメイトに「よかったね」とか言われながら慰められていた。ってかここで「その謝罪、お断る!!」等と言いでもしたら今後の生活に多大なる支障が出るからな。……それに“俺”は気にしていないよ。
まあ、周りの人たち、特に政府とか面子が大事な人たちがこのことを知ったらどうなるかは知らないけどね。
「……そうだ!四五六、今日は一緒に食事しないか?」
「……え?」
「ほら、四五六っていつも昼になるとどっかいって、一緒に食事したことって無かったからさ」
「それは……」
「な、いいだろ」
何故かキラキラと目を輝かせながら言ってくる一夏。
「……ハァ、分かった。一緒に食事しようか。」
「そっか!ならセシリアと箒も早く行こうぜ!!」
ごく普通にオルコットと篠ノ之を連れて行こうとする一夏。
「おい、織斑」
「なんだ?」
「オルコットさんと篠ノ之さんも一緒なのか?」
「ああそうだよ。飯は一緒の方が美味しいだろ?」
何言ってるんだ、と言わんばかりの表情で返事をする。
「……ハァ」
「?」
何故俺がため息をついたのか解らないという表情を浮かべる織斑を引きつれ、食堂に着く4人。
「何食べよっかな〜」
「先に席、確保しておくぞ」
「おう、って四五六、食券は?」
「俺は弁当だよ」
「そうなのか……なら早く行くな」
そうして席を確保して、少ししたら3人が来た。
「待たせたな」
「待たせましたわね」
「すまない、遅くなった」
「気にするな」
そうして3人が来たので俺は鞄から弁当箱を取り出す。
「かなりでかいな、いつもそんなに食べてるのか?」
「いや、食材が痛みそうだったから使い込んだらこうなっただけだ」
「ふ〜ん。少し貰ってもいいか」
「良いぞ」
そうして蓋を開けたら
「なん、だと……」
「まあ」
「美味しそうだな〜」
三者三様で驚かれた。
「卵焼きで良いか?」
「おう!」
織斑にとりあえず卵焼きをあげる。
「もぐもぐ……すっげ、メッチャうめえ!!」
「そうか?」
「ああ、まじで美味かったよ」
「それは何より」
そうしてもぐもぐと食べていたらオルコットさんと篠ノ之さんがこちらを見ていたのでしょうがないから、から揚げと、ミニハンバーグをお裾分けした。
「えっと、よろしいので?」
「いいよ。と言うか食べ切れそうにないからどうぞ」
「すまんな、ではいただく」
二人とも俺のおかずを食べた数秒後、撃沈した。
「ど、どうした。不味かったか」
「……いえ、とても美味しかったです」
「……ああ。おいしかった」
「なら、いいんだが……」
((男性なのにここまでおいしい料理が出来るなんて……))
なにやら二人ともへこんでいた。
さて、いろいろあったがこれにて一件落着として、明日から地味な生活に戻れると思っていたら「生徒会から呼び出しします。一年一組、一二三四五六君。一二三四五六君は至急生徒会室に来てください。繰り返します。一年一組〜」と呼び出された。
ごめん。簪さん。もう君にお弁当は作れないかも……