どうも、先日この世界で始めて「八卦龍」を使った実戦を体験した四五六です。
初めての実戦。オルコットさんとしたふざけた試合ではなく、本気での戦い。……恐かった。本当に恐かった。
MIKUによる戦闘補助が無かったら、「八卦龍」と言う規格外の機体じゃなかったら、きっと俺はあの時、倒されていた。いや下手をしたら死んでいたかもしれなかった。
ならなんであの戦いに割って入ったのか、それはあのままだったら一夏からISコアが奪われていたからだ。
一夏からISコアが奪われる。それはこの先の話の展開が分からなくなってしまうから俺はあの戦いに割って入ったんだ。
けど後から思い直したら、その考えこそこの世界で生きている人間を俺は唯のキャラクターとしてしか見ていない、という事だった。
俺はこの世界の人間はすでに小説のキャラクターではないと、実際に生きている人間だと、意識していたのに、結局心の何所かで俺は小説のキャラクターというメガネ越しに見ていた、と言う事だ。
だから、一夏からISコアが奪われたらこの先の展開が分からなくなる、と言う勝手な理由であの戦いに入り込み、ランスターを倒した。
本当に、俺がこの世界を実際の物と考えていたら、俺があの戦いに入っていく理由など無い。「八卦龍」の中の情報が流れ出てしまったら、本当に世界大戦の引き金になるかもしれないんだ。
なのになのに、俺は、俺は……
「四五六君、大丈夫?」
「ゴホッ……だ、大丈夫だよ。かんざ、ゴホッゴホッ」
「無理しないで。風邪引いてるんだから」
「……ごめん」
どうやら風邪のせいで上手く考えられないようだ。
風邪を引いたのはあの戦いの後、学園から離脱して海中に飛び込み結構な深さまで潜り其処から少しづつゆっくりと地面沿いに上がって行きあと数十メートルのところで「八卦龍」を解除してISスーツで泳ぎ海面から出て誰にも見つからないようにこっそりと隠れながら移動し部屋に入り着替えて、戦いの精神面での疲労とまだ4月なのに数十メートルとは言え冷たい海水の中を泳いで移動し、その後も部屋に戻るまでぬれたままで移動したせいで精神、身体共に疲労したせいで風邪を引いたようだ。
「八卦龍」を装備したまま海面から出たら良いじゃないかと思ったのだが「八卦龍」意外とでかいから目立つんだよね。さらに学園近くでは捜索隊が飛び回っていたので装備したままでは目立つし海面から出てすぐに移動するにはISスーツのままの方がよかったんだよね。
ちなみに俺のISスーツは一夏ほぼ同じモノなので胸と越しまわり以外は露出してるんだよね。だから水中は寒かった。
「ごめんね、簪さん。お弁当作れなくて」
「ううん。無理しなくて良いから。だから今日はゆっくり休んで早くよくなってね」
「ありがと……じゃあちょっと休ませて貰うね」
「おやすみ、四五六君」
風邪引いた俺に優しくしてくれる簪さん。……でもその優しさが今の俺には辛い。
「……ん、あ?」
「あら、起こしちゃったかしら」
「楯無、さん?」
ぼやけて見える視界には心配そうな顔をした楯無さんの姿が。
「四五六君が風邪を引いたって聞いたからお見舞いに来たのよ」
「そうで、ゴホッゴホッ」
「ダメよ、無理しちゃ」
「すみません」
体を起こそうとしたが力が入らず倒れこむ。
「ゼリー持ってきたけど食べれる?」
「……すこしだけなら」
お見舞いの品であろう数種類のゼリーのなかから一つを取りだしてスプーンですくい口元に持ってくる。
「そう。じゃあ、あーんして?」
「……あーん」
風邪を引いていて上手く思考が回らないせいか楯無さんの行動に素直に従う俺。
「……フフ。子供の世話をしてるみたい」
「……」
ちょっと恥ずかしくてそっぽを向く俺。
「拗ねない、拗ねない」
「……拗ねてないです」
「フフ」
そうやってゆっくりと時間を掛けてゼリーを食べ終えてからしばらくの間無言の時間が過ぎる。でもその時間は穏やかだった。
「そろそろ、私は戻るわね」
「今日は、ありがとうございました」
「ううん、いいのよ。普段のお礼よ」
「そう、ですか」
「そうよ。じゃあお大事にね」
楯無さんが部屋から出て行って一人になり、再び眠りに尽く俺。
「ここは?」
俺は気が付くと廃墟に立っていた。
「なんで、廃墟に……」
だが、この廃墟はどこかで見たような……
「……これ、は」
廃墟の中に埋もれている廃材の中に見覚えのあるものを見つける。
「これはIS学園の……まさ、か」
まさかと思い、あたりの廃材を見て回る。
「やっぱり、此処はIS学園……」
そう。廃墟だと思っていたのは変わり果てたIS学園だった。
「っ!!……そうだ、皆は」
その場所から走り出し、アリーナや教室があった場所を探すも何所もかしこもボロボロになっていた。そして最後に寮があった場所に来て、俺は見た。見てしまった。
「あ、あぁぁ」
其処には血まみれで倒れ、体中をズタボロに引き裂かれた簪さんの姿が……
「うわぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「うわぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
ベットから跳ね起き床に転げ落ちる。
「四五六君、大丈夫!?」
俺の叫び声に起きた簪さんが俺の顔を覗き込む。その顔は俺には血まみれに見えた。
「ヒィ!!」
それに驚き、恐怖し、無様に這いつくばって部屋の隅で小さくなる俺。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
顔を両手で抱え込みひたすら謝り続ける俺。
「……四五六君」
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
「……大丈夫、大丈夫だよ」
かつて屋上で抱きしめてもらったように優しく、抱きしめる簪さん。
「大丈夫、此処に四五六君を傷つける人はいないから……」
「あ、うぅ……」
「大丈夫、私がいるから、安心して、ね?」
「ごめん、なさ……」
簪さんに抱きしめられ、それに安心したのか気を失うように眠りに尽く俺。
「大丈夫、大丈夫だからね、四五六君」
もうヤダ。書いてる内にだんだんと話が暗くなってくる。
このままだと四五六が簪さんに依存しそうだよ。誰得だよ、オリ主のヤンデレ化って。しかも男。
誰か俺にポジティブな発想を!!
没ネタ
ゼリーを食べ終えた後の話
「さて、四五六君どう?まだ食べれる?」
「いえ、もう良いです」
「そう……って四五六君のパジャマ、汗で湿ってるわね」
「そう、ですか?」
「そうよ……そうね。着替えましょうか」
「え?」
其処まで聞いたあと気が付いたら上着を脱がされ上半身を温かい濡れタオルで拭かれていた。
「シャワーはまだ一人じゃ無理そうだからタオルで我慢してね」
「は、い……」
「でも、私と一緒だったら入れるかもね?」
楯無さんは冗談で言ったつもりだったのだろうが今の俺は風邪で意識が朦朧としていたのだ。つまり
「じゃあ、お願いします」
「え?」
「しゃわー、あびたいです」
「いえ、ちょっと四五六君」
「たてなしさん、おねがいします」
「え、いや、ちょっと……」
此処まで書いてこの後シャワーに入れるかどうかであたふたしている楯無さんに授業から帰ってきた簪さんと鉢合わせする、そんな感じに書こうとしてそのままBADENDにしかならなくなったので止めた。