だから自由に書ける!!
ただいまIS学園の食堂でクラスの女子にケーキ作りを教えている四五六です。
何故こうなったかと言うと、俺が簪さんと楯無さんにクリスマスケーキを作って食べてもらおうと考えていたのだが、考えている場所が悪かった。
俺は簪さんと楯無さんには秘密にしようとして部屋ではなく教室で考えていたのだが、それがいけなかった。ついつい考え事に夢中になってしまいついうっかり一夏からの「四五六って料理上手だったけどケーキも作れるのか?」と言う質問に「出来るよ」と答えてしまったのが運の尽き。気が付いたらクラス中の女子に頼まれて(鬼気迫る勢いで)仕方が無く教える事に。
「えっとまずは俺が手本を見せながら作るので見ていてください」
引き受けてしまったものはしょうがないので諦めてケーキを作る事に。ちなみに人数が多いので学校の食堂の設備を借りて作ります。
で一つ一つ丁寧に作業をして見ている人にもわかりやすく説明しながら作っていきデコレーションが完成するところまでを一通やってみてからクラスの女子に向けたら、なんと言うかすごい唖然とした表情をしていた。
「……あの、何か分からなかった事でもあるかな?」
「ううん、そうじゃないけど一二三君って凄いんだね」
「そう?」
「そうだよ!!こんなケーキお店でしか見たことないよ」
そうなのか?俺としては普通に作ったのだが……
「じゃあとりあえずこのケーキを食べてから実習を始めようか」
「食べていいの?」
「いいよ。残しておいてもしょうがないしね」
そう言いながら俺は作ったケーキに合う紅茶の用意をし始めた。ちなみに最初から皆に食べてもらうように考えていたので作ったケーキは6号サイズ(直径約18cm)を5つほど作っており紅茶も合うのを最初のうちに用意しておいたのだ。
「じゃあ、いただきます」
クラスの女子の皆が一口食べ、数秒後に全員撃沈した。
「……えっと口に合わなかったかな」
以前もどこかで見たような女子の行動に頭を傾げながら聞いてみて返ってきた言葉は
「「「とっても美味しいです」」」
というお褒めの言葉だったので一安心した。ちなみにこの時の女子一同の心の中の声はこんな感じ。
(((女性として負けた気がする)))
その後はいつもならワイワイと喋りながら食事をしているのにこのときだけはカチャカチャと食器の音だけが響き食べる女子たちは皆なんか目が潤んでた。なんでだ?最後に食後の紅茶を出してまた撃沈していたがなんだったんだ?
さて、食事が終ったところで実習に入る事に。
「其処はもっとしっかりと混ぜて」
「そうそう。ゆっくりと丁寧にね」
「うん。上出来上出来」
こんな感じに全員に気を配りながらも的確なアドバイスをしていく俺。そうして数時間後には全員が大きな失敗も無く上手にケーキを作る事が出来た。
その後皆にお礼を言われ、ついでに試食して感想を、とのことで一人一人に感想とアドバイスをしてお開きに。
一口二口だけとは言えクラス全員分のケーキを食べるのはきつかった。
みんなの試食が終った後俺は、生徒会室に向かった。
「失礼します。一年一組、一二三四五六ですが」
「四五六君?どうそ」
「失礼します」
生徒会室に入った俺の目に入ったのはうず高く詰まれた書類をひたすら処理している楯無さんとその補助をしている虚さんの姿だった。
「いまちょっと手が離せないんだけど、何か急用かしら?」
「いえ、ケーキを持ってきたんですけど」
「ケーキ?」
手を止め此方を向く楯無さん。
「日ごろのお礼とクリスマスという事でケーキを作って持ってきたんですけど……」
「……虚」
「このペースなら30分は取れるかと」
「ありがとう。じゃあ四五六君お願いね」
すでに俺が持ってきたケーキに目が釘付けの楯無さん。
「分かりました」
「速くお願いね」
「……会長」
笑顔で言う楯無さんを見てため息をつく虚さん。
「……ではどうぞ」
「いただきま〜す」
切り分けたケーキをお皿に乗せ一緒に紅茶も出して食べてもらう。
「うん、四五六君が作ったケーキはおいしいわ〜」
「本当ですね、お嬢様」
「そう言って貰うと俺も嬉しいです」
ニコニコと笑顔でケーキを食べる楯無さん。その笑顔を見て一言。
「普段の笑顔よりもこっちの笑顔の方が俺は好きですね」
「な!も、もう四五六君そういう事急に言うの禁止!!」
顔を赤くしながらあたふたする楯無さん。
「…………すごく、いいです」
そんな楯無さんの姿をうっとりとした表情で見ている虚さん。俺と目線が合った時、いい笑顔をしながらグッと親指を立てたので俺もグッと親指を立てておいた。
その後俺と虚さんで楯無さんをからかったあと今度は寮長室に向かう。
「すみません。織斑先生居ますか?」
「……一二三か、何のようだ」
「ケーキを届けに来ました」
「……ケーキ?」
不思議そうな顔で見てくる織斑先生。
「今日ケーキを作る機会があったので日ごろのお礼という事で」
「……そうか、すまないな一二三」
渡したケーキを見る織斑先生の顔はいつものような凛々しい顔つきではなく優しい雰囲気の笑顔をしていた。
「……織斑先生」
「む、なんだ?」
「気になる人に今の笑顔見せたらイチコロですよ」
「なっ!!」
「では俺はこれで失礼します」
俺の言葉に驚いている隙にその場を離れる俺。後ろからなにやら声が聞こえたが気にしない。
「ただいま」
「……おかえり、四五六君」
何か作業をしていた簪さんが手を止め俺に向かって挨拶を返してくれた。
「?何か作ってるの」
「秘密。だから覗かないでね」
「わかったよ」
何かいいにおいがしていて気になったがそういわれたからには見ることが出来ないので大人しく自分の机の上で自習をしていた。
しばらくして、簪さんに声を掛けられる。
「四五六君、ちょっといいかな」
「なにかな」
呼ばれて振り向き目に入ったのは
「ど、どうかな?似合うかな」
真っ赤な顔をしながらミニスカサンタの服装をした簪さんがいた。
「……」
「な、何か言ってくれないと恥ずかしいよぅ」
徐に右手を上げてグッと親指を上げ笑顔で言い放つ。
「とてもすばらしいです」
俺の鼻から愛情がたれていた。
「うぅ……」
その言葉にもじもじとし始める簪さん。グハッ!!簪さんのかわいさに吐血しそうだ。
「そ、そうだ!四五六君」
話題を変えようと声を上げる簪さん。
「その、えっと、ケーキ作ってみたから食べよ」
「ケーキ?……分かった」
そういって持ってきたのはちょっと粗が目立つけど美味しそうなケーキだった。
「その、四五六君……あ、あ〜ん」
フォークにさしたケーキをこちらに向けて真っ赤な顔でそうしてくる簪さん。その姿だけでこっちは萌え死にそうです。
「ど、どうかな?」
差し出されたケーキを食べるとちょっと不安そうに聞いてくる簪さん。
「ん、美味しいよ。とっても」
「よかった」
安堵の表情を浮かべる簪さん。その後一緒に食べ合わせながら楽しく一夜を過ごした2人。
次の日に自分達がした大胆な行動にベットの中で悶える2人が居たとか居ないとか
後日、四五六が作ったケーキを食べて落ち込む簪さんを必死に慰める四五六の姿があった。
シングルベール、シングルベール、苦しみます〜
彼女とイチャイチャしてるリア充は爆発しろ!!四五六貴様もだ!!
おまけ
「ま、まったく一二三のやつめ」
別れる直前に言われた言葉に動揺している間に逃げた四五六の事に文句を言っている織斑先生。
「何がイチコロです、だ。まったく……」
そう言いながらも貰ったケーキを大事に持っているあたり本気ではないようだ。
「……ケーキ、か(最後に食べたのは何時だったかな……)」
ふと自分が最後に食べたケーキの事を考える織斑先生。
「………………まあいい」
最後に食べた頃の年代を思い出しとても複雑な表情をする。
「一二三の奴、どんなケーキを作ったのだ?」
テーブルの上を片付けケーキの入った箱を開けてみると
「……わぁ」
其処に入っていたのは美味しそうにデコレーションされた複数の一口ケーキとシンプルな見た目のショートケーキが入っていた。
「……」
無言で一つ食べてみる。
「おいしい」
その表情は最強のIS操縦者としてではなく、織斑千冬という一人の女性としての笑顔だった。