先日の簪さんのキスのことでなかなか眠れなかった四五六です。
先日の食材買出しと言う名のデート。デートか?……まあいいか。その終わりの時に簪さんから頬にキスをされました。
その時の簪さんの表情や、今まで簪さんが俺にしてくれた事を思い出し、俺は簪さんに好意を持っていることに気が付いた。
これが異性としてなのか、それとも別のものなのか、それは分からない。ただ簪さんを意識し始めているのは確かだ。
そんな事を考えていたらなかなか眠れなかった。いままでは気にしていなかった簪さんの寝息が気になってしまったのも原因の一つだと思う。
そんなこんなで次の日の朝。
「ふわぁ……おはよう、簪さん」
「おはよう、四五六君」
いつも起きる時間になり、起きてみると珍しく先に簪さんが起きていた。
「今日は、早起きだね」
「だって今日から料理、教えてくれるんでしょ?寝坊はしたくないもん」
微笑みながら話す簪さん。そのちょっとした表情を見て今まではなんとも無かったのだが、自分の思いを自覚した今では、それだけでちょっとドキドキする。
「っと、じゃあ始めようか」
「うん、お願いします四五六先生」
「……先生?」
「料理、教えてくれるんでしょう?なら先生じゃない?」
「先生……先生か」
「……いや、かな」
「ううん。いい響きだなって」
「そっか」
そうして始る俺と簪さんの料理教室。
「其処は、こうやって……」
「こう?」
「そうそう、上手上手」
いろいろな野菜の下ごしらえを教えたり
「このギリギリのタイミングが重要で……」
「ギリギリのタイミング……」
蒸し物で火が入り過ぎないギリギリのタイミングを見せたり
「彩りを考えつつも栄養バランスも考える」
「……大変だね」
調理し終わった物の飾りつけを一緒に考えたりして楽しく料理が出来ました。
「……うん。初めてにしてはなかなか上手に出来たね」
「四五六君の教え方がよかったからだよ」
「そう?簪さんの実力じゃないかな」
「そう、かな」
「そうだよ」
「……フフ、ありがとう」
簪さんは嬉しそうに笑ってた。その笑顔に見惚れた俺は、どじって指を怪我してしまった。
「っ、いった」
「だ、大丈夫!?」
「大丈夫だよ、軽く切っただけだから……」
「……あん」
「!?」
簪さんは俺が切った指先を口に持っていきそのまま口にくわえ、傷口を舐めはじめた。
「……ン、プハッこれで大丈夫だよ」
数十秒傷を舐め、口から離してそういう簪さん。
言えない。簪さんが俺の指を舐め回している姿がとても官能的だったなんて、言えない。絶対に言えない。
「?四五六君鼻血出てるよ」
「ハッ!!」
俺が簪さんの行動に見惚れてた頃、生徒会室では更識楯無と織斑千冬の2人が向き合い話し合っていた。
「……では貴様は、いや「更識家」は一二三に対して?」
「ええ。本家では四五六君に対して専用機の開発を検討しています」
「何故、今になって……いや、今だからこそか」
「はい。この前の襲撃事件。アレによって、男性適合者の重要性がさらに高まりましたから」
そう。この前の襲撃事件で男性適合者の重要性が以前にも増して高くなったのだ。
「あの襲撃事件の実行犯は一夏君のISコアを狙ってきました。何故一夏君のISコアを狙ったのかはいくつかは理由が考えられますが、それは置いておき、問題はこの“IS学園”に居る時に襲撃を掛けてきた事です」
IS学園とはその性質上各国からISに関わる様々な人材が集まる場所。ゆえにその警備も半端な物ではなく世界でも有数といって良いほどなのだ。
「あの日、襲撃されるまでIS学園の警備システムに一切の異常は見られず、襲撃された直後に外部からハッキングがなされ、結果あの時アリーナには一夏君と鈴音さん、そして……」
「
あの日、襲撃があった時IS学園のシステムに外部からのハッキングがなされ、一部の警備システムとアリーナの制御システムがのっとられたのだった。
「アレだけの事をしておきながら殆ど足跡を残さ無かったのは、見事、としか言いようが無かったですね」
楯無が広げた扇子には「お見事!」と書かれてあった。
「それだけでも頭が痛くなる話なのに、二機目の不審機。あれは異常だ」
「ええ。外部からえられた簡単な情報だけでもアレが異常なのは分かりますからね」
二機目の不審機。それは一機目と同じく
「完全自立行動している八つの球体の特殊兵装」
「アリーナのシールドを撃ち抜く程の強力なビーム兵器」
「一機目の最強攻撃と思われるあの竜巻のような攻撃に対して無傷でいられる防御力」
「はぁ、どれをとっても現状の技術力を超えていますね」
「そうだな……」
2人はあの時の戦闘を思い出し複雑な気持ちになる。
「……まあ、アレの事は置いておき一二三の専用機の事だが」
「四五六君に対して彼の専用機の開発を、と言う話はすでに数十件を越してます」
「アメリカ、ドイツ、中国、フランス……」
「それ以外にも、各国の研究機関や大手IS関連の会社から来てますね」
「どこもかしこも一二三狙いか……」
「まあ、四五六君は一夏君に比べると狙いやすいですからね」
織斑一夏は姉の織斑千冬と言うIS最強の身内にISの生みの親である篠ノ之束と交流があり、迂闊に手を出す事は出来なかった。
それゆえに、これと言ったコネや人脈がない一二三四五六は様々な所から狙われているのだ。
「私としては四五六君には私の家を選んで貰いたいですね」
「それは本家からの命令か?」
「それも有りますが、私個人としても四五六君には私の家を選んで欲しいですね」
「ほほう。何故だ?」
千冬がめずらしいといった表情で聞く。
「それはひ・み・つです」
扇子を広げ口元を隠し笑う楯無。扇子には「禁則事項です」と書かれていた。
「……まあいい。あまり一二三をいじめるなよ」
「ええ。分かってますわ」(いじめる前に餌付けされてるんだけどね)
「っとそれとだ、二機目の機体を追っていった捜索部隊の報告が来たのだが」
「……どうでしたか」
先ほどの表情から一転、真剣な表情になる2人。
「二機目がアリーナから飛び出した後、学園のレーダーに映っていたのはホンの数秒だけでその後の調査では一切の手がかりは無し、だ」
「そうですか……」
「高度なステルス機能が有ったのかそれとも潜水艇などの輸送機が有ったのかは分からないがな」
「……」
「ただ」
「ただ?」
言いよどむ織斑先生。
「学園から少し離れた場所の砂浜で海から学園に向かっている足跡があった」
「学園に向かって?」
「そうだ。あの場所は普段は殆ど人通りも無くたまたま誰かが其処にいたとしても海辺から真っ直ぐに学園に向かっているのは不自然だ」
「……」
「この足跡を見つけたのは本当に偶然でしかない。襲撃事件と関係が有るのか無いのかは分からない。だが気になってな」
「……もしその足跡が二機目の機体の操縦者だったとしたら、IS学園の関係者が……」
「それは分からん。全く関係が無いのかもしれないからな」
「……」
お互いに無言になる。
「……まあ、今は考えていてもしょうがないな。関係があるかは全く分からないのだからな」
「そう、ですね」
午前中を使った簪さんとの料理嬉しい?ご褒美?……トラブルもあったけど無事に終了。でこっそりと簪さんが作った料理をタッパーに詰めてその後メールで楯無さんをいつもの場所に呼びました。
「四五六君からお誘いなんて珍しいわね?何かしら」
「えっとですね、これをどうぞ」
「……タッパーに入った料理?」
「はい。簪さんの手料理ですよ」
「そう。かんちゃんの……え?」
呆けた表情になる楯無さん。
「今日、簪さんに料理を教えていたんですけどその時作ったのをこっそりと持ってきたんです。なかなかおいしいですよ」
「そ、う……ありがとう。大事に食べさせてもらうわね」
嬉しそうに微笑む楯無さん。
「これを渡したかっただけなので今日はこれで」
楯無さんに背を向け帰ろうとしたら
「……ちょっっっっと、待ってくれるかな四五六君」
肩を思いっきり捕まれた。
「な、なんですか」
「四五六君の気持ちはとっても嬉しいわ。かんちゃんの手料理なんて何時振りかしら……」
「……」
「で、も。なんで四五六君がかんちゃんに料理を教えてるのかな?お姉さんに分かるように話してくれるかな?」
「ハ、ハイ!!」
とってもいい笑顔なのに目が笑っていなかった。
会長は餌付けされている事を自覚しています。
おまけ
生徒会室で千冬と楯無の2人が話をおえた頃、楯無に電流が走る!!
「!!!」
「どうした?」
「……今、かんちゃんがいやらしい目つきで見られた気がする」
「……またか」
「……かんちゃんがかわいいのは私が世界で一番よく分かってるだからかんちゃんが異性にもてるのは分かるけど世界で一番かわいくて綺麗なかんちゃんをいやらしい目つきで見るクソ虫はどこのどいつだ!!その腐った目を抉り出して踏み潰して口を縫い付けて耳を削いで全身をゆっくりと少しづつ切り刻んで恐怖と激痛を真の其処まで叩き込んでやる……フフ、フハハハハハハハハ!!!」
「落ち着け!!」
危険な発言をして高笑いを始める楯無の後頭部に出席簿を叩き込む千冬。しかも角で。
「っいったい、何するんですか織斑先生!!」
「貴様が危険な発言をするからだ」
「危険なって普通ですよ、普通」
「どこがだ!!」