昨晩簪と恋人同士になった四五六です。
いかんな。顔のニヤケが止まらない。朝方にクラスの女子に「一二三君何かいい事あったの?」と聞かれてしまい誤魔化すのに苦労した。
簪と俺の関係は今の所は秘密にしている。俺は世界で二番目の男性適合者だ(実際は一番目と言っても問題はないが)
そんな世界中からいろんな意味で注目を集めている俺に恋人ができた、しかも日本の対暗部用暗部「更識家」の現当主の妹が相手である、なんて事が公になったらいろいろと面倒なことが起こるのは目に見えている。
それに俺が簪の事を好きになったことを「更識家」の人間だから、とか簪が俺を誑かしたなどと言われるかもしれない。
俺が好きになったのは“更識簪”と言う一人の女性であり決して「更識家」の人間だから、などと言うくだらない理由ではない。
だから昨日2人で話し合い今の所は2人の関係を隠すことにしたのだ。無論何時までも隠すわけではなく時期を考えて公表する予定だが。
……さてと現実逃避もここまでにしておくか。
「答えろ一二三四五六。貴様昨晩の夜、教官の部屋で何をしていた」
今俺は人気の無い場所でボーデヴィッヒさんに尋も……質問されています。ISの兵装を突きつけられながら。
何故こうなったかと言うといつもなら「八卦龍」のAI「MIKU」のサポートで一夏関係とは出会わないようにしていたのだが昨日、俺がこの世界で生きていくと決意した時に「八卦龍」には頼らないようにすると決め使用を控えることにしたんだがまさか使用を控えた初日からこうなるとは……
ちなみに最初は「八卦龍」は使用を控えるために使用制限を厳重にかけてからとあるIS研究所がふざけて作ったIS装甲の技術を応用して作った金庫を購入してその中に入れて部屋から出たのだが……確かに入れたのを確認してから部屋を出たのだが、気が付いたらポケットの中に入っていた。
何これ?アレか、大事な物は捨てれませんとでも言う気か。それとも呪われた装備は外せませんとでも言う気なのか!!
「聞いているのか貴様!?」
「き、聞いてるから銃口でグリグリしないで、痛い痛い!!」
「フン、なら早く話せ」
睨みながらも油断なく此方を見ているボーデヴィッヒさん。どうやら昨日俺が深夜、織斑先生の部屋から出て行くとこを見てしまったらしい。さて、どう話したものか。
「えっと、昨日は織斑先生とその……」
「何をしたんだ……まさか貴様、教官にふ、不埒な真似をしたんじゃ」
全身を小刻みに震わせてブチぎれる一歩手前の表情で此方を見ているボーデヴィッヒさん。
これ、下手な事言ったら命がなくなりそうだ。
「いやいやいや、そんな事してないからね」
「な、なら何をしていたんだ」
「あ〜、そのボーデヴィッヒさんの事を聞いていたんだけど……」
「……私の事?」
キョトンとするボーデヴィッヒさん。
「そうだよ。昨日ボーデヴィッヒさんが織斑先生と言い争っている時に俺も、その居合わしてて」
「何だと!!」
「い、いや居合わせたといっても最後の方しか聞いてなかったから」
「……」
無言で睨みつけてくるボーデヴィッヒさん。
「それでボーデヴィッヒさんが織斑先生と別れた後に俺が見つかってしまって、その後まあいろいろと話をすることになって織斑先生の部屋に呼ばれたんだけど」
「本当なのだな?」
「……この状況で嘘はつけないと思うんだけど」
現在進行中でボーデヴィッヒさんのISの兵装を突きつけられています。
「……そう、か」
ISを解除し離れるボーデヴィッヒさん。
「まあ、分かってもらえたならいいけど」
「その、す、すまなかった」
さっきまで自身がしていた事に慌てて謝ってくるボーデヴィッヒさん。その姿は普通の女の子だった。だからついつい言ってしまったんだ。
「あまり目立つような行動は控えた方がいいと思うよ。織斑先生に迷惑が掛かるから」
「ど、どういう事だ!?」
俺がつい言ってしまった事に過剰に反応するボーデヴィッヒさん。
「いやボーデヴィッヒさんは今織斑先生の生徒でしょう?その生徒が問題を起こしたらその担任の管理責任を問われるのは普通じゃないかな」
「あ、う」
「ましてや転入初日に禁止されている勧誘を行ってもし今後もたとえば他国の代表候補生に無暗に戦闘を仕掛けて負傷させたとかISを破損させたとかしたら大問題だよね?」
「……」
「それでその生徒が過去に織斑先生と深い関わりを持っていたらいいスキャンダルのネタだし、最近織斑先生っていろいろと疲れてるから問題を起こすと嫌われちゃうよ……ってボーデヴィッヒさん!?」
つい勢いに任せてこの先起こるであろう事でどういう風になるかを簡単に言っていたらボーデヴィッヒさんは瞳に涙を浮かべて泣く一歩手前の表情になっていた。
「わ、私が教官にき、嫌われるなんてそんなこと……」
「だ、大丈夫だよ。ボーデヴィッヒさんが大人しくしてればきっと」
「ほ、本当か?」
泣き顔になり俺にしがみつきながら聞いてくるボーデヴィッヒさん。
「本当だよ。そう簡単に織斑先生が人を嫌いになったりなんてしないよ」
「……うん」
そういってみたら離れてくれたのだが、どうしてか片手で俺の制服を掴んで離してくれなかった。
「あの、ボーデヴィッヒさん?」
「なんだ」
「その、離してくれませんか」
「あ、そのすまない」
あわてて手を離すボーデヴィッヒさん。でも何故かチラチラと此方を見てくる。そんなボーデヴィッヒさんと俺は頭を下げて目線を合わせながら話しかける。
「ボーデヴィッヒさん」
「な、なんだ」
「ボーデヴィッヒさんがどうして織斑先生にあそこまで執着するのかは俺には分からない。でもねボーデヴィッヒさん。ボーデヴィッヒさんが最後に織斑先生に会った時と今では織斑先生の立場や環境、それ以外にも様々な物が違ってるんだ」
「……」
「だから今度はゆっくりと話してごらん。織斑先生もちゃんと理由を話せばちゃんと応えてくれる。それはボーデヴィッヒさんも分かるよね?」
「うん」
「よし。いい子だねボーデヴィッヒさんは」
そう言って優しく頭を撫でる。
「何を!?」
「あ、ごめんね?つい手が動いちゃった。嫌だったかな」
あわてて手を離そうとしたが
「い、嫌じゃ……ない」
顔を真っ赤にして俯きながらも嫌がらなかったのでしばらくの間頭を撫で続けた。
「さて、と」
「あ……」
しばらくボーデヴィッヒさんの頭を撫でていたがそろそろいいかなと思い手を離す。なんかボーデヴィッヒさんはもっとして欲しいような顔だった。
「じゃあ行こうか?」
「ど、何所にだ」
「何所って織斑先生の所だよ」
「な!!今から行くのか!?」
「そうだよ。“思い立ったが吉日”ってね。さあ行くよ」
「ちょ、まって」
ボーデヴィッヒさんの手を持ち強制連行する俺。驚きながらも手を振りほどかないボーデヴィッヒさん。その姿はどこか年の離れた兄妹を思わせた。
「で、四五六何かいう事は?」
「すみませんでした」
その日の夜、簪に土下座をする四五六の姿が有ったとか。
ラウラは妹可愛い。異論は認める。