IS 転生して貰った物は!? 旧式   作:マーシィー

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ラウラ目線のお話。


裏 その7

 私、ラウラ・ボーデヴィッヒにとって織斑千冬と言う人物は特別な人だ。

 

 私は幼き頃から軍人となるべく厳しい訓練に明け暮れていた。その結果私は軍の中でも上位に立てるほどの腕前を持つに至った。“IS”と言う物が出てくるまでは……

 ISが登場してからしばらくしてドイツ軍はヴォーダン・オージェというISとの適正を向上させる物を作り上げ私に投与した。それが私の苦難の始まりだった。

 私以外は投与されても適合したのに私だけ不適合がおきそのせいで私の左目は金色に変化してさらに能力も制御ができず以後の訓練では基準値を下回る結果しか出せないでいた。

 そのせいで私は軍の内部で「出来損ない」「役立たず」と言った評価を下され、見下され終いには軍から除隊されそうになった。軍人となるべく生み出され軍人として育てられてきた私にとってそれは何にも勝る恐怖だった。

 

 そんな時に私は織斑教官と出会ったのだ。織斑教官は出来損ないと見下されていた私に声をかけてくれた。

 

「出来損ないと見下されるのが嫌なら私が鍛えてやる」

 

 そんな風に誰かに言われたのは初めてだった。だからその時の私は藁にもすがる気持ちでその申し出を受けた。其処から教官の厳しい訓練が始った。訓練は本当に厳しかった。でも私がいい結果を出した時、新しい技に成功した時教官は私の頭を撫でてくれた。そして「よくやったな、ラウラ」と褒めてくれた。

 今まで私は褒められた事は有ってもそれは形式上なだけで何も感じられなかった。でも教官が褒めてくれた時はとても嬉しかった。だから私は教官にもっと褒めてもらいたくて厳しい訓練にも負けずにやり遂げた。

 そして訓練の最後に教官が出した最終課題を私は最高得点で終えたとき教官は私を抱きしめてくれた。そして「よく此処までがんばったな、ラウラは自慢の子だ」と今まで見たことのない笑顔でそういってくれた。

 私は不覚にもその笑顔と言葉に泣いてしまいそれを隠すために教官に抱きつき顔を隠してしまった。教官に抱きついている時はとても気持ちがよく安心ができた。

 だがそんな日々も終わりが来た。教官は一年と言う教導期間を終えて日本にあるIS学園の教師として帰国する事となった。

 それからと言う物私の心はどこか穴が開いたかのような感覚があった。何をしても満たされない日々。

 そんな中教官の弟がISを起動させたという情報が入ってきた。そして教官のクラスで教育を受けるという情報も。

 私は見当違いも甚だしいが嫉妬してしまった。私は教官と会えないのに弟と言うだけで教官の教えを受けている奴に。

 

 

 そして私は軍から男性適合者のデータを集めよ、と言う命令を受けIS学園に飛んだ。

 

 

 転入初日に教官と話した時、私は教官と言い争ってしまった。言い争うなんて事したくなかったのに。

 その事を謝ろうと教官の部屋に向かったとき私は見てしまった。教官の部屋から一二三が出てくるところを。

 私はとっさに物陰に隠れてその場で一二三が去っていくのを待った。どうして私が隠れたのかは分からなかった。だがそれよりも深夜に教官の部屋から一二三が出てきたことに何故?どうして?と言う疑問だけが大きく残っていた。

 きっとその時の私は情緒不安定だったのだろう。なれない場所に、敬愛すべき教官に拒否されたことなどで冷静な判断ができなかったのだ。

 だからあんな行動を取ってしまったのだ。

 

「答えろ一二三四五六。貴様昨晩の夜、教官の部屋で何をしていた」

 

 私は人っ気の少ない場所に一二三を呼びISを展開し兵装を突きつけて尋問をしていた。本来ならこのような事は許される事などではないのだがその時の私はそんな考えなどできなかった。

 

 ただ一二三が教官とどの様な関係なのか?ただそれだけを知りたかった。

 そしてその後一二三から教官の部屋から出てきた理由を聞いてひとまず納得をして一二三に対して手荒い事をしてしまった事に対して謝罪をして、分かれようとした時、一二三が言った言葉で私は青ざめる事になった。

 

「あまり目立つような行動は控えた方がいいと思うよ。織斑先生に迷惑が掛かるから」

 

「ど、どういう事だ!?」

 

 教官に迷惑が掛かる!?

 

「いやボーデヴィッヒさんは今織斑先生の生徒でしょう?その生徒が問題を起こしたらその担任の管理責任を問われるのは普通じゃないかな」

 

「ましてや転入初日に禁止されている勧誘を行ってもし今後もたとえば他国の代表候補生に無暗に戦闘を仕掛けて負傷させたとかISを破損させたとかしたら大問題だよね?」

 

「それでその生徒が過去に織斑先生と深い関わりを持っていたらいいスキャンダルのネタだし、最近織斑先生っていろいろと疲れてるから問題を起こすと嫌われちゃうよ……ってボーデヴィッヒさん!?」

 

 私は其処まで聞いて全身から血が抜けていくような感覚に襲われた。

 

 教官が私を嫌う?……嫌だ嫌だ嫌だ!!

 

 教官に嫌われてしまうなんて考えたくもない!!出来損ないと蔑まれ見下された私を此処まで育ててくれた教官に、他の奴らのように蔑まされ見下されたりなんか想像したくもない。

 

「わ、私が教官にき、嫌われるなんてそんなこと……」

 

「だ、大丈夫だよ。ボーデヴィッヒさんが大人しくしてればきっと」

 

「ほ、本当か?」

 

 私はそう言った一二三に抱きついて本当かどうかを聞いた。

 

「本当だよ。そう簡単に織斑先生が人を嫌いになったりなんてしないよ」

 

「……うん」

 

 一二三が落ち着くように言い聞かせてくれたおかげで何とか泣きそうな気持ちは堪える事ができた。そうしたら一二三がしゃがみ私と目線を合わせて話しかけてきた。

 

「ボーデヴィッヒさん」

 

「な、なんだ」

 

「ボーデヴィッヒさんがどうして織斑先生にあそこまで執着するのかは俺には分からない。でもねボーデヴィッヒさん。ボーデヴィッヒさんが最後に織斑先生に会った時と今では織斑先生の立場や環境、それ以外にも様々な物が違ってるんだ」

 

「……」

 

「だから今度はゆっくりと話してごらん。織斑先生もちゃんと理由を話せばちゃんと応えてくれる。それはボーデヴィッヒさんも分かるよね?」

 

「うん」

 

「よし。いい子だねボーデヴィッヒさんは」

 

 まるで幼い子供に言い聞かせるような言い方だったが一二三の雰囲気のせいだろうか、私はその言い方に対してどこか安心していた。そうしたら一二三は私の頭を撫でてきた。

 撫でられた時、最初は驚いたがそれだけで、一二三に撫でられる事はとても心地よかった。

 しばらくして一二三は私を撫でる事を止めた。……もっとして欲しいと思った私は悪い子なのだろうか。

 

「じゃあ行こうか?」

 

「ど、何所にだ」

 

 立ち上がり私の顔を見ながらそういってくる一二三.

 

「何所って織斑先生の所だよ」

 

「な!!今から行くのか!?」

 

 そんな、まだ心の準備が!?

 

「そうだよ。“思い立ったが吉日”ってね。さあ行くよ」

 

「ちょ、まって」

 

 そういって私と手を繋ぎ引っ張っていく一二三。私は振りほどこうと思えばできたのに私はしなかった。一二三の手は私の手より大きく、でもとても温かかった。

 

「織斑先生いらっしゃいますか?」

 

「……一二三か?どうした」

 

「寂しがりやな黒ウサギを一羽お届けに参りました」

 

「寂しがりやってどういう事だ!?」

 

 一二三め、何を言い出すと思えばさ、寂しがりやだと。

 

「寂しがりやな黒ウサギ?……ラウラか?」

 

「き、教官!?それで分かるんですか!?」

 

 教官もそんな風に思っていたのですか。

 

「一二三にラウラか。珍しい組み合わせだな。一体どうした?」

 

「ボーデヴィッヒさんが織斑先生と話がしたいそうで、俺はその付き添いできました」

 

「話?」

 

「ほら、ボーデヴィッヒさん」

 

「うぅ……その教官」

 

「……どうした」

 

「その、き、教官はどうしてもドイツに来てくれないのですか?」

 

「……ラウラその話は「ボーデヴィッヒさん違うんじゃない?」一二三?」

 

「違うってどういう事だ、私は……」

 

「ボーデヴィッヒさんは織斑先生が“ドイツ”に来て欲しいんじゃなくて“自分”の所に来て欲しいんじゃないのかな?」

 

「ち、ちが……」

 

「本当にそう言えるの?」

 

「わ、私は……」

 

 なにも言えなくなってしまう私。

 

「ボーデヴィッヒさん。さっきも言ったけど織斑先生はちゃんと理由を言ってくれれば応えてくれる。でもちゃんと自分の思いを伝えないと分かってくれないよ」

 

「……」

 

 教官は何も言わずただ私たちのやり取りを見ている。

 

「き、教官。わ、私は、私は……」

 

「なんだラウラ?」

 

 教官はしゃがみこみ私と目線を合わせ微笑みながら私の言葉を待ってくれた。その姿を見て私は

 

「私は教官と会いたかった!!」

 

 私の思いを言い放った。

 

「教官だけだった!!私に、出来損ないと言われた私に声を掛けてくれたのは」

 

 一度言ってしまったらもう止められなかった。

 

「教官が私を褒めてくれた時、頭を撫でてくれた時私は自分が必要とされていると実感できたんだ!!だから私は厳しい訓練にも耐えられた」

 

「ラウラ……」

 

「なのに教官は私の前から居なくなってしまった。それがどれだけ寂しくてどれだけ、恐かった、か……」

 

 私の目から涙が溢れ出す。

 

「……すまなかったなラウラ。お前が其処まで私を慕っててくれたとは……」

 

「きょう、かん」

 

 教官が私を抱きしめる。あの時のように。

 

「すまなかった、本当にすまなかった。ラウラの気持ちに気づけなくて」

 

「う、うぅ」

 

 教官の言葉に私はもう限界だった。

 

「うわああぁぁぁぁん!!寂しかった!!寂しかったよぅ!!」

 

 教官は何も言わずただ抱きしめてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

「寝ちゃったみたいですね」

 

「ああ、そうだな。なのに手は離してくれないんだ」

 

「はは。そうやってるとまるで親子ですね」

 

「ばか者めが」

 

 そう言いながらもその顔は優しい笑顔だった。

 

「う、ん……ち、ふゆ母様」

 

「な!?」

 

「お互い満更でもないようですね?千冬か・あ・さ・ん?」

 

「ば、ばか者がーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は夢を見ていた。

 厳しいけど大好きな教官と私を優しく諭してくれた一二三の2人と出かけている夢を。

 教官が私の母親で一二三が私の兄様。そして私は2人が愛してくれる母様の娘で兄様の妹。

 私が本当に欲しかった物。それは“家族”だったんだと私は理解した。

 だから恐いけど、明日一二三に聞いてみよう。

 

 「私の兄様になってくれますか?」って

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何故か夢に出てきたクラリッサも「血の繋がりがない家族?イイです!!凄くイイですよ隊長!!」って言っていたし。

 

 




ラウラが一夏に敵対していたのは一夏に嫉妬していたからじゃないかと思うんだ。



書いてるうちに思いついた事

「母様、はやくはやく」

「そうせかすな、ラウラ」
私は一人先に駆け出して後ろにいる千冬母様に早く来るように呼びかけると

「そんなにはしゃぐとこけるぞ」

苦笑しながら私に注意する四五六兄様。そんな四五六兄様に私は

「こけません!!ってきゃあ」

振り向きながら歩いたせいでこけてしまった。

「だから言っただろう。大丈夫か、ラウラ」

「うぅ〜大丈夫です」

「まったく……ほらラウラ」

駆け寄って起こしてくれた四五六兄様は私の手を握ってくれました。

「これならもうこけないな?」

「はい!!」

四五六兄様が手を握ってくれたおかげで私はこけた痛みなどもう気にもしなかった。

「お前達は仲がいいな」

そうしていると千冬母様が優しく微笑みながらそう言ってくる。

「違うよ母様」

「なに?」

私はそう言って空いている手で千冬母様と手を繋ぎ言う。

「“母様”も仲良しだよ」

「ラウラ……そうだな。皆仲良しだな」

「はい!!母様と兄様、それと私は皆仲良しの“家族”です」

そう言った私の顔はきっと一番輝いていた。






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