昨晩ボーデヴィッヒさんと織斑先生の蟠りを無くす手伝いをしてみた四五六です。
原作でも思っていたのだがボーデヴィッヒさんが一夏に対してあそこまで敵対していたのは織斑先生の事を母親みたいに思っていたからこそ、あんな風に敵対したんだと思う。
要は嫉妬みたいな物だ。愛する母親を独占したいからその障害となる人物、この場合は弟の一夏を排除しようとしたんだろう。手段が過激なのはまあ情操教育ができていなかったからという事で。
さて、そんなわけで転入初日でボーデヴィッヒさんの中の蟠りを無くしてしまったわけだがそうなると……どうなるんだ?
原作であった一夏へのビンタは俺と言うイレギュラーでなくなったし確かこのあとオルコットさんと鳳さんとの戦いも今のボーデヴィッヒさんの状態ならまずしないだろうし、と言うかもうすでに一夏に対する敵対心ももう無くなってるんじゃないかな?
あれ?そうなるとVTシステムはどうなるんだ?あれって確か力への欲望みたいなのが引き金になった気がするんだけど今のボーデヴィッヒさんに其処まで力への欲望はないと思うんだけどそうなるとどうなるんだ?
そんな風にボーデヴィッヒさんの今後の事を考えていたら教室にボーデヴィッヒさんが入ってきた。
「あ、ボーデヴィッヒさんその……おはよう」
「うん、おはようございます」
「……え?」
呆けるクラスの女子。それもそうだろう。自己紹介の時他者を寄せ付けないような雰囲気をかもし出していた人物が次の日に年相応の笑顔で挨拶を返してくれたら誰だってそうなるだろう。
俺もその一人だからな!!まさかあそこまで変わるとは……
「どうしたのだ?そんな顔して」
「え!?い、いやその何か雰囲気がかわったなーって」
「そう、なのか?」
コテンと首をかしげ不思議そうにするボーデヴィッヒさん。
「ブハァ!!これがドイツの力か」
「鼻血鼻血」
「何、この胸のトキメキは!?」
なにやらクラスの女子の行動が怪しく感じる。そんな中ボーデヴィッヒさんはクラスを見渡して俺を見つけると何所か緊張した趣で俺の目の前まで歩いてきた。
「その、一二三四五六よ。昨晩はその、世話になった」
頬を薄っすらと赤く染めながらそういってくるボーデヴィッヒさん。
「え、世話になったってどういう事?」
「何か有ったのかな」
その態度に周りの女子は興味津々となる。そして俺は何かとても嫌な予感がしてきた。
「いや別に、気にしなくていいよ。俺が勝手にした事だし」
「それでもだ。貴様にとっては小さなことでも私にとってはとても大きな事だったのだ。だからありがとう」
俺にお礼を言った時のボーデヴィッヒさんの顔はとても可愛い物だった。
「それでだ。その一つ頼み事が、その、あるんだが聞いてくれるか?」
お礼を言った後今度は顔を赤くしてモジモジとした表情になるボーデヴィッヒさん。
「だれか!!写真とって!!いや動画にとって!!」
「だから鼻血鼻血」
周りはなにやら煩くなってきたがそんな事よりも俺の中で嫌な予感が大きくなってきた。
「な、何かなボーデヴィッヒさん?」
「その、わ、私の私の」
決心した表情で言い放つ。
「私のお兄様になってくれませんか!!」
静まり返る教室内。そして数秒後。
「「「「「えええぇぇぇぇーーーーー!!!!」」」」」
大絶叫に包まれる教室内。そして半放心状態になる俺。嫌な予感はこれだったのか。
「ど、どういう事!?お兄様って何!?」
「なになに、何が有ったの!?」
「ヤバ、妄想が止まらないわ」
周りの女子達があれこれ話しだす。が直後
「何を騒いでいる馬鹿者共が!!!!!」
織斑先生の一喝で再び静まり返る教室内。
「何を朝から騒いでいるのだ?」
「あ、千冬母様」
「……ラウラ、朝も言っただろう、母ではなくて先生と言えと」
「あう、すみません」
「ハァ、次からは気よつけるように」
「はい!!」
落ち込むボーデヴィッヒさんの頭を優しく撫でながらそう諭す織斑先生はどう見ても母親だった。
「で、何があったんだ?」
「えっとですね……」
クラスの女子がついていけないなかボーデヴィッヒさんがさっきまでの事を話す。
「…………」
額に手をやり頭痛を抑える織斑先生。自分がした事の意味を分かっておらずオロオロするボーデヴィッヒさん。
「一二三」
「え、あ、はい!!」
「その、なんだ。迷惑じゃなかったら引き受けてもらえないか?」
「え?」
「兄と言うのではなくて一般常識を教えるという意味でだ。貴様なら任せられるからな」
「ええ~」
俺が引きつった顔でそういったら
「ダメ、でしょうか」
とても不安げな表情で此方を見てくるボーデヴィッヒさん。
「…………分かった。引き受けます」
ここでNOなどと言ったらもうね、この学園で居場所が無くなる気がしたんですよ。
「ありがとう、四五六兄様!!」
花が咲くような笑顔で抱きついてくるボーデヴィッヒさん。……簪にどうやって説明しよう。
後に「ラウラ・ボーデヴィッヒの乱」と言われる出来事があった日のお昼、俺は非常自体に直面しています。
「どうかしたのですか?四五六兄様?」
「……いやそのボーデ「ラウラと言ってください!!兄様」……ラウラ」
「はい、何ですか?」
「……何でラウラは俺の膝の上に乗ってるのかな?」
「兄妹はこうするのが普通なのではないのですか?」
そう、今現在ラウラが居るのは俺の膝の上なのだ。食堂につれて来られたと思ったら何のためらいも無く俺の膝の上に乗ってきたのだ。
「……それは誰に聞いたのかな?」
「私の部隊の副隊長のクラリッサに聞きました!」
笑顔で話してくれたラウラ。……あ・い・つ・か!!大体予想は付いていたが本当にクラリッサが吹き込んだのか!?
クラリッサ・ハルフォーフ。ラウラが部隊長をしている「シュヴァルツェ・ハーゼ」の副隊長をしている人物である。
本人は日本通を自称しているがその知識の元が日本の漫画やアニメと言った物なので所々間違った知識を日本の常識として思っている事があり、今回のラウラの一軒もたぶんクラリッサが吹き込んだことなのだろう。
……いずれ一度〆るか。
「どうしたのですか兄様、難しい顔をして」
「いや、なにそのクラリッサさんに一度挨拶をしにいかないと思ってね」
「はい、そうですね。私も兄様を紹介したいですし」
無邪気に笑うラウラ。……
「兄様、食事にしましょう。ラウラはお腹が空きました」
「ああ。そうだね。食べようか」
「はい」
ちなみに俺たちがいる場所は食堂。しかも一番人の目が付く中心部。そんな場所で見た目が幼いラウラを膝の上に乗せて食事をしている俺たちはとても目立っていた。
いい意味でも、悪い意味でもね。
そんな風にラウラに一日中懐かれた俺が精神的にヘトヘトになって部屋に戻ると其処にはとても冷めた目つきで仁王立ちしている簪の姿が。
「……」
「……」
「あの、簪さん?」
「……四五六のロリコン」
「グハァ!!」
「変態、幼女趣味、ペドフィリア」
「グフゥ、ガハァ!!」
簪の容赦の無い言葉に心が折れそうになる。
「ち、違うんだ簪、話を聞いてくれ。いや聞いてください」
即効で土下座して話を聞いてもらうように懇願する。
「……フゥ、冗談だよ四五六」
「え?」
「四五六が何の理由も無くあんなことするなんて私は思ってないから」
「か、簪……」
本気で怒っていないことに安堵した俺。
「さっきのは昨日の今日であんなことした四五六へのオシオキだよ」
ちょっと膨れっ面でそういう簪に惚れ直したのは秘密だ。
「で、どんな理由があるの?」
「それが……」
昨晩起きた事を事細かく話した。
「そっか……ボーデヴィッヒさんもいろいろあったんだね」
「ああ」
「……ハァ、じゃあしょうがない、かな」
「え?」
「そんな理由があったんじゃあ離れろ、なんて言えないじゃない」
「いいのか?」
「いいよ。だって四五六の恋人は私でしょ?」
「当たり前だろ!!俺の恋人は簪だけだ」
「ならいいの。その事を四五六が忘れないなら私は大丈夫だから」
「簪……」
お互いの気持ちを確かめ合いそのまま2人は顔を近づけ……
「四五六兄様、いらっしゃいますか?」
「「!?」」
突然の訪問者に邪魔をされる。
「ラ、ラウラか、ど、どうしたんだ?」
「えっとお話をしたいのですが今よろしいですか?」
そういってくるラウラに俺は振り向き簪に目線で聞く。
「……いいよ。入ってもらっても。私もボーデヴィッヒさんを見てみたいし」
「分かった。ラウラ入っても大丈夫だ」
「分かりました。失礼します」
ドアを開けお辞儀をしてからおずおずと入ってくるラウラ。
「あの、この女性は?」
「ああ、俺のルームメイトの更識簪だ」
「始めまして、ラウラ・ボーデヴィッヒさん。更識簪です」
「は、始めまして、ラウラ・ボーデヴィッヒといいます」
「ん、いい子ねボーデヴィッヒさんは」
「あぅあぅ」
母性本能でも刺激されたのか簪はラウラを引き寄せて頭を撫でる。それに抵抗せずにいいようにされるラウラ。
「……それでどうしたんだラウラ?」
「……ハッ」
簪に頭を撫でられて猫のようになっていたラウラだが俺が声を掛けると思い出したかのように動き出す。
「その、私は四五六兄様の事をいろいろと聞きたかったのですが……」
「聞きたかったが?」
「その、お邪魔でしたか」
「邪魔?何のだ?」
「えっと……恋人同士の時間です」
「「え?」」
簪と俺の声が重なる。
「クラリッサに聞きました。年頃の男女が2人で居るのは恋人同士だからって」
「いやいやいや、その理論は可笑しい」
「?お2人は恋人同士ではないのですか」
「いや、恋人同士だが……あ」
「やっぱりそうなのですね!!では四五六兄様の恋人なら私にとっては姉様になるのですね!!」
「あ、姉様!?」
「はい。簪姉様」
「姉様……」
ラウラに“姉様”と呼ばれた簪は満更でもない様子だった。
「今日の所は私は部屋に戻ります。次に来る時は事前に連絡しますね。ではおやすみなさい。四五六兄様、簪姉様」
俺たちが戸惑っているうちにラウラはそそくさと自分の部屋に戻っていってしまった。
「……ねえ、四五六」
「なんだい、簪?」
「……私たちに娘がいたらあんな感じになるのかなぁ」
「おい」
この時、俺たちはラウラの行動と発言に驚かされて“ある事”をしておく事を忘れてしまった。その事が後に俺と簪の環境を大きく変える事になるとは、今の俺たちには考えられなかった。
ラウラが四五六の義理の妹と化したのはちゃんとした理由があります。
決して書いているうちにこうなったのではありません。
この後の話の伏線です。
と言い訳してみる。