消灯時間が過ぎたなか、生徒会室にこっそりと向かっている四五六です。
いやはや簪と楯無さんの2人が仲直りしてくれてよかった。知り合い、と言うか彼女の肉親との仲が悪いのは見ていて嫌だからな。
さて、こっそりと移動してきて生徒会室の前まで来ました。では早速“拾った”カギを使って中に入ろうか「一二三、何をしている?」!!
「お、織斑先生!?ど、どうしてここに」
「ただの見回りだ。それより貴様はどうしてここに居る。消灯時間はとうに過ぎているのだが?」
「ええっと、そのですね……」
思わず顔を背けて言いづまる。
「……何か言いづらいことでも有るのか」
「あ~そういう事じゃないんですけど」
どうしようか。織斑先生なら信用できるから話してもいいとは思うんだけど早々話していい事でもないしなぁ。
「まあいい、一二三、ちょっと生徒指導室まで一緒に来い」
「え?」
「最近噂になっていることについて話がある」
「噂って俺と簪のことですか」
「そうだ」
そうして俺は織斑先生に連れられて生徒指導室まで連行された。
「まあ座れ」
「はい」
席に着く俺と織斑先生。
「さて、こうして呼んだのは他でもない噂についてだ」
「……俺と簪が付き合っている、ていう噂のことですね」
「そうだ……実際の所この噂は本当なのか」
「……はい。本当です。俺と簪は付き合っています」
「……そう、か」
何所か複雑な表情をする織斑先生。
「噂が本当なのは分かった。だがな一二三、その事で「簪の本家のこと、ですよね」……」
織斑先生は少し驚いた表情をしたがすぐに納得した。
「簪に聞いたのか」
「ええ」
「簪がただの一般生徒ならば、まだよかったのだが彼女は「更識家」の現当主、更識簪の実の妹だ」
「だから「更識家」の当主は実の妹を使って俺を誑かしたんじゃないか、と?」
「……そうだ」
「言っておきますけど、そんな事実は一切ないですからね。俺は一二三四五六は更識簪と言う一個人を好きになったのであってその事に「更識家」や楯無さんが関与した、という事は無いですから」
「それは分かっている。楯無が妹をそんな事に使うような奴ではない事は知っている」
そう、この事が俺が危惧していた事である。“世界で二番目の男性適合者”という立場と後ろ盾の無い俺は様々な立場からいろんな意味で狙われてしまう存在なのだ。
だから俺は簪との事を公表するのは周りの準備を整えてから公表する予定だったのだが、其処にラウラというイレギュラーが入り込んできたために準備するまもなく俺と簪の関係がばれてしまったのである。
「お前達の事がどうしてばれたのかは私の方でも確認した……すまなかった。私が安易にラウラの事を一二三に任せなければこんな事には」
そういって織斑先生は頭を下げる。
「い、いやいやいや!?頭を上げてください。悪いのは口止めをし忘れた俺に有るんですから」
「だがな……」
「ラウラがした事は俺も簪も気にしてないですから。それにこの事は遅かれ早かれ分かることなんです。それが早くなっただけなんですから」
「……すまんな」
「いえいえ」
お互いに頭を下げ謝る二人。日本人らしい行動である。
「そうだ、織斑先生。以前俺に対して専用機を~と言う話をしたの覚えていますか?」
「ああ、覚えているが、それがどうした?」
「その話ってまだ来てますかね?」
「……引き受けるのか?」
「ええ。俺一人だけだったら引き受ける気はなかったんですけど……その簪と付き合うって決めたからにはそんな事言ってられませんから」
ちょっと照れくさそうに言う俺。
「そう、か……」
どこかで納得したような顔つきで頷く織斑先生。
「なら近い内に一覧できるようにまとめて渡すとしよう」
「お願いします」
どんな専用機ができるのかはわからないがきっと使いこなしてみせる!簪を守るために、そしてこの世界と向き合っていくために。
「……さてこの話は終わりにして」
「?」
「どうしてこんな時間にあんな所にいたのか話してもあろうか」
それはそれは素晴らしい笑顔でそう言ってくる織斑先生。ただし目は笑っていないが。
「ハ、ハハハ……」
簪、それに楯無さん。俺無事に戻れるかな……