ラウラとの模擬戦を終えて2人で部屋に行き先ほどの戦闘の反省会をすることに。現役の軍人でなおかつ特殊部隊の隊長であるラウラの指摘を受けながら反省すべき点を書き出していくことに。
「ここです。このタイミングならば先ほどのようにするよりもこうした方が……」
「なるほど……ならこうしたらどうだろう?」
「それも有りですがこの場合は……」
と言う具合に具体例を出しながら分かりやすく教えてもらった。現状俺が使えるのは量産機しかないので量産機で何所まで戦えるのかを把握しておかないと。
俺は「八卦龍」でなら十全に戦えるが、それは俺の力と言うよりもそれは搭載されているAIの補助のおかげと言った方が正しい。既存の技術を遥かに超え、オーバーテクノロジーと化しているこの「八卦龍」に乗れば余程の事がないかぎり負けることは無いだろう。
だが俺は自分自身の力でこの世界で生きていくと決めたんだ。だからこそ今現在の俺自身の力がどれほどなのかを見切らねばいけないのだ。
「……四五六兄様?どうかなさいましたか?」
「え、いや何でもないよ……ちょっと疲れちゃったから休憩しようか」
「はいです」
「今日のおやつは特製ショートケーキだ」
「ショートケーキですか!!やった!!」
先ほどまでの軍人としての表情から一転年相応の笑顔ではしゃぐラウラ。ラウラは俺が作ったおやつの中でショートケーキが一番のお気に入りのようでこれを出すととても喜んでくれる。作るかいがあるというものだ。
「ケーキ、ケーキ、四五六兄様の作ってくれたショートケーキ♪」
「ラウラは本当にショートケーキが好きなんだな」
「はい。四五六兄様が作ってくれたショートケーキは本当においしいんです!!」
「そこまで言ってくれると作るかいがあるよ」
そう言ってはしゃぐラウラの頭を優しく撫でる。
「ん~~」
目を細めて猫のようになるラウラ……娘ってこんな感じなのかな?
休憩中他愛も無い事を話しているときふと思い出す。
「そういえばラウラ、学年別トーナメント誰と組むんだ?」
「むぐむぐ、んぐ……学年別トーナメントですか?」
「ああ」
「う~ん。まだ決まってはいません。クラスの人に何度か誘われはしましたが……」
「誘われたのか?」
「はい。最近よく話をしてくれる人なのですが……」
困ったように顔を傾けるラウラ。
「誘われたのなら組めばいいじゃないか。悪い人ではないんだろう」
「はい。その人は私にとても良くしてくれているのですが……その、私は軍属かつドイツの代表候補生なのです」
「ああ、なるほど。国のメンツか」
「……はい」
ラウラが困った顔をしている理由が分かった。ラウラはドイツの特殊部隊の隊長かつ代表候補生なのである。つまりこのIS学園内でドイツと言う看板を背負っている立場なのだ。そんな立場のラウラがこういってしまうと失礼だが格下の人と組み万が一序盤で負けでもしたらいろいろと面倒な事になってしまう。
負けたからと言って即帰国、という事は無いだろうがそれでもそう簡単には負けれない。だからこそペアを組む相手は慎重に選ばなければいけないのだ。
「う~ん難しい所だね」
「はい……」
俺とラウラが学年別トーナメントの事を考えていたら部屋のドアが開き人が入ってきた。
「ただいま、四五六」
「お邪魔するわね~四五六君」
「あ、おかえり簪。それといらっしゃい楯無さん」
入ってきたのは簪と楯無さんだった。
「お邪魔してます、簪姉様」
「ラウラ来てたんだ。いらっしゃい」
先に来ていたラウラに気がつくと軽い挨拶を交わしながらごく自然にラウラの横に座る簪。
「……ちょっと妬けるわね」
「どうかしたの?楯無姉さん」
「ううん。なんでもないわよかんちゃん」
簪のごく自然な行動にちょっと嫉妬してしまった楯無。
「そうだ、2人とも。おやつが有りますけど食べますか?」
「食べる!!」「頂くわ」
2人は即答した。
「ん~~おいし♪ほんと四五六君が作ったお菓子類は絶品ね」
ニコニコと笑顔でケーキを食べる楯無さん。
「本当だね楯無姉さん」
簪もニコニコと笑顔で食べる。
「……そういえばラウラちゃんと四五六君は何かしてたの?」
楯無さんが聞いて来る。
「ええ。今日やったラウラとの模擬戦の反省会をちょっと」
「模擬戦……そういえばそんな話をしてたわね。ちょっと見てもいいかしら」
「あ、私も見てみたい」
「どうぞ」
そう言って俺は模擬戦の内容を最初から流し始めた。2人はしばし無言で試合内容を見ていた。
「……四五六君普通に戦えるじゃない」
「と言うかこれを見てる分には上位に入るよね」
「そう、ですかね」
2人は俺の戦い方を見てよく出来ていると褒めてくれる物の俺自身はいまいち実感が無かった。
「……悔しいな。開催が後1月後ならなぁ」
「本当ね。開催がほんと1月後ならねぇ」
「何か有るんですか」
「そうなのよ。かんちゃんの専用機「打鉄弐式」が後一月ぐらいで完成するの」
「簪の専用機が?」
「そう。私が考え作り上げたこの子が後一月ぐらいで完成予定なの。本当なら完成はもっと先の話だったんだけど、その楯無姉さんに手伝ってもらってここまで短縮できたの」
「何言ってるのかんちゃん。ここまで短縮できたのはかんちゃんが殆ど完成させていたからじゃない。私はホンの少しだけ手伝っただけ。だから貴方は誇っていいのよ。自分ひとりで作り上げたんだって」
「楯無姉さん……」
本当に仲良くなったよなこの2人は。いい事だね。
「要するに今回の学年別トーナメントには簪の専用機は間に合わない、と」
「そういう事だね……私は日本の代表候補生でまだ未完成とはいえ専用機持ち。量産機に乗って出場するというわけにはいかないの」
残念そうに言う簪。
「そうよね~。彼氏と一緒に出場できなくて悲しいわよね~」
「うん……って楯無姉さん!!」
簪をからかう楯無さん。でも簪は楽しそうに笑っていた。
「ところで四五六君は誰と組む気なの?」
「俺ですか?」
「そう。私としてはかんちゃんと組んで欲しかったけどさっき言ったように今回かんちゃんは出場できないから他の誰かと組むのだろうけど、誰にするの?」
「う~ん。簪と組みたかったけど事情が事情だからな~」
そう悩んでいたらラウラから声が掛かった。
「あ、あの四五六兄様。良かったら私と組みませんか」
「ラウラとか?」
「はい。今日の模擬戦で思ったのですが四五六兄様となら優勝が狙えるかと」
ラウラが自信有り気に言ってくる。
「……そうね。さっきの模擬戦の様子を見れば優勝を狙えるかしら」
「ラウラとだったら良い、かな」
簪からの許可が出た。という事で
「じゃあラウラ。俺とタッグパートナーになってくれるか」
「はい!!一緒に優勝を狙いましょう」
両手でガッツポーズをしながら意気込むラウラ。その姿を見た俺は微笑ましい気持ちになれた。
という事で学年別トーナメントはラウラと一緒に出場します。