さて、今日遂にクラス代表決定の試合が行なわれる事になる。アリーナ内は何所からか聞きつけてきた生徒で埋め尽くされていた。
「……で、一夏。お前の専用機は?」
「……まだ、来てない」
原作通り一夏の専用機はまだ来ていないようだ。つまり
「仕方が無い。一二三、先に試合をしてもらう」
こうなる。
「……ハァ。分かりました」
「四五六、がんばれ!!」
一夏が応援してくれるが、こうなったのはお前が原因の一つって分かってるのか?ちなみに俺が使用する機体は「ラファール・リヴァイヴ」。量産機の中で最も多くの武器を使用できる事からこの機体を選んだ。
フフフ、見ているがいいセシリア・オルコット。俺が対ビット兵器用戦術を見せてやる。
「よく逃げ出さずに来ましたわね」
「……ハァ。逃げるも何も出来るわけないだろう。そんな事」
「フン!これだから男と言う生き物は〜」
「いや時間押してるからさっさと始めない?」
「っ!!……いいですわ。なら始めましょう」
開始のブザーが鳴り響く。
「そして貴方の敗北で終わりです!!」
その言葉と同時に放たれるビーム。その行動に俺は
「ほい」
放たれたビームの斜線上にスモークグレネードを投げ込んだ。
「な!!煙幕!?」
結果。アリーナ内に灰色の煙が充満する。とは言えスモークグレネード一つでアリーナ内が煙で埋め尽くされるわけも無いので俺はさらに追加で3、4個四方に投げる。
「煙幕で目を暗ましたところで私には勝てませんわ!!」
「でも攻撃も出来ないでしょ」
「ッ!!」
数メートル先も見えないほどの濃度となった煙の中では流石に不利と悟ったのか煙の外に離脱するオルコット。
「ハッハッハ、すぐに終らせるんじゃなかったのか」
「馬鹿にして!!」
だが、煙幕の外に離脱したとは言え相手は未だに煙の中。いくら射撃が得意と言っても煙の中見えない相手に闇雲に攻撃するわけにも行かず歯がゆい思いをする。
「卑怯者!!男なら正々堂々戦わないのですか!!」
「え〜。女尊男卑思考の貴方がそんなこと言ってもねぇ」
「くっ」
「それに“IS”起動回数も機動時間も三桁越すような人に起動回数、起動時間共に二桁に届かない素人に真正面から戦えとか、鬼畜過ぎるだろ」
そう。原作でも思ったがさっき言ったとおり素人が代表候補生相手に真正面から戦いを挑むとか無理がありすぎる。まあ、そんな事を言い出したらいろいろ台無しだが。
ちなみに起動回数、機動時間共に二桁に届かない〜って言うのは本当だよ。
「八卦龍」は?
いや、アレは厳密にはISじゃないからいいんだよ。だから“IS”の起動回数、機動時間に対して嘘は言ってない。嘘はね。
(全く、男と言う生き物はこれだから嫌いなのです!!でもこの煙幕も時期に薄くなります。その時が貴方の最後に……)
「ちなみに俺のスモークグレネードは108式まであるぞ(笑)」
「へ?」
その後、オルコットは煙幕の周りをうろつきながらなにやら騒いでいたが、俺は無視して煙幕が薄くなってきたら2、3個放り投げ濃度を濃くしていった。
フフフ。これこそ対ビット用戦術、「相手が見えなければビットで攻撃できなくね?」だ!!
いかにビット兵器による全方位からの攻撃といえど相手が見えなければ攻撃できまい。まあ、俺も相手が見えないから攻撃できないけど。
地味?卑怯?フハハハ!!俺の目的は時間稼ぎだ!!それに勝つ気など無いからこれでよいのだーーー!!!
20分後
アリーナ内外はなんと言うか白けた雰囲気が漂っていた。だが、それでいい。俺の試合がしょぼければしょぼいほど一夏の印象が強まり、俺に対する印象は低く薄くなっていくからな!!
「……あ。山田先生」
「ふぇ、な、なんでしょう」
「スモークグレネード無くなったんで棄権します」
「え?」
その言葉と同時に試合終了のブザーがなる。
「「「えええーーーー!!!」」」
試合終了のブザーが鳴り、その事に呆然としているオルコットを尻目にアリーナのビット内に戻ってきたら
「まともに戦わんか!!」
との声と共に振り下ろされる出席簿。甲高い音と共にシールドエネルギーが減った。俺が試合を始めて最初にシールドエネルギーを削ったのは織斑先生だった(笑)
「まともに戦ってボコボコにされて来いと?嫌ですよ俺、そんな事」
「だからと言ってもっとマシな戦い方があっただろう」
「……ハァ。次回があったらそうします」
そこで織斑先生との話を切って一夏に聞く。
「一夏、専用機は来たのか?」
「え、ああ。四五六の試合が始まってすぐに来たけど……」
「そっか。なら一次移行も済んでるか。じゃあがんばれよ」
試合は20分もあったんだ。原作みたいに戦いながらするよりも簡単に終ってるだろう。
「……あ」
一夏のその呟きを聞くまでそう思ってたんだけどなぁ。
「……おい」
「……ごめん、一次移行出来てないです」
「俺の試合、20分近くあったよな。内容も目を離せないような内容じゃ無かったよなぁ」
「はい、そうです」
「なら、何で一夏君は一次移行してないのかな?俺にわかる様に話してくれるかな」
ガクガクブルブル。そんな擬音が聞こえてくるようなほど震えながら怯える一夏。
「……ハァ。もういいや。さっさと行って来い」
「……ごめん」
「なら、カッコよく勝ってこいよ。それでチャラにしてやるよ」
「……わかった。四五六、行って来る」
「おう。行って来い」
その後の試合はほぼ原作通りに進んだ。違うとすれば、一夏が負けたのではなく僅差で勝ったというところか。一夏の残ったシールドエネルギーは4だけだったからな。
その後、クラスで一夏の代表決定記念のパーティーが行なわれたが俺は最初の乾杯だけ付き合ってそのあとこっそりと抜け出した。
人ごみ、と言うかああいうわいわいと騒ぐのは苦手なんだよね。騒ぐなら気の知れた数人で騒ぐ方がいいからな。
抜け出して向かったのは屋上。夕日が沈み暗い夜空だったが気にしない。さて、今回の試合で俺と一夏の印象は大体決まった。地味で卑怯で意気地が無い俺と、カッコよく正々堂々で意気地がある一夏。
どちらに人気が出るかなんて一目瞭然。これで今後も地味に過ごしていけば俺の事なんて気にするような人は少なくなっていくだろう。……これでいい。このまま地味に過ごしていく事が俺の平穏に
繋がるんだきっと。
そう思っていたら屋上のせいか突風が吹き目にゴミが入り涙が出た。取ろうとして目を擦るもなかなか取れない。
「クソッ!!」
そう悪態をついていたら
「……四五六君?」
簪さんが俺の名前を呼んだ。……ん?
「か、簪さん!?何で此処に!!」
「……四五六君のクラスの人に君が居なくなったから知らないかって聞かれたから探してたの」
「あ〜、黙って出てきたからなぁ。迷惑掛けちゃったな」
目を擦り軽く笑う。
「……」
「?。簪さん、どうしたの」
「四五六君」
「え、な……」
名前を呼ばれたと思ったら頭を引っ張られ、簪さんの胸に抱きしめられた。
「ちょ、何して……」
「私は何も聞かない。だから泣いてもいいんだよ」
「え?」
「私は今日の試合で四五六君がどう戦ったのは知らない。でも負けたって事は聞いてる。織斑君が勝ったって事も」
「……」
「でも悔しかったんだよね。織斑君は勝ったのに四五六君は勝てなかったことに……」
そう言いさらに強く抱きしめる。
「……私にも少しそういう気持ち、分かるから」
やさしく微笑み、頭を撫でまるで赤子をあやすようにする簪さん。
「だから、今だけは泣いてもいいんだよ」
簪さんの心臓の音が聞こえてくる。とても安らげる気持ちになれる。が!!
勘違いだから!!その思い、勘違いだからね!?