エリート警察が行くもう一つの幕末   作:ただの名のないジャンプファン

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新小説です。お楽しみください。


プロローグ

 

 

 

 

 

 

侍の国‥‥かつてこの国がそう呼ばれていたのは、今はもう昔の話‥‥。

宇宙から突如襲来した異人・天人により江戸幕府は無理やり開国され、更に刀を持つことを禁止する廃刀令により、侍は衰退の一途を辿っていった。

だが、幕府や天人達のやり方に反発をした志のある攘夷志士達は天人達に対して戦争を起こしたそれが世にいう‥‥

 

『攘夷戦争』

 

だった‥‥

 

その戦争に名を刻まれた英雄達‥‥

 

『白夜叉、坂田銀時』

 

『狂乱の貴公子、桂小太郎』

 

『鬼兵隊、高杉晋助』

 

『桂浜の龍、坂本辰馬』

 

この者達が天人達と戦い、そして敗北した歴史‥‥それがこの日本の歴史である。

そして、これは攘夷戦争の後に出来た、とある警察組織に所属する1人の少女が別の世界の日本‥幕末、明治を駆け巡り、彼女がどのような人生を送ったのかを記した物語である。

 

 

 

 

~side江戸~

 

「やっと追い詰めた‥‥観念して私に斬られて、攘夷志士、桂小太郎」

 

赤い目に黒みがかった藍色のロングの髪に全身白ずくめの制服を着た女性が刀を構えて無機質な声で言う。

彼女が所属している組織の名は見廻組‥‥。

江戸を中心とした治安を守る武装警察組織である。

見廻組は同じ警察組織である真選組とほぼ同じ職務を行っている。

その編成は名門の良家出身の中から剣術に優れた者のみで構成されたエリート集団である。

それにしても、警察組織の人間が投降を呼びかけずにいきなり斬りかかるのはどうなのだろうか?

 

「ふっ、さすがは見廻組副長、今井信女‥‥」

 

同じぐらいロングの黒髪をした桂と呼ばれた男性が不敵な笑みを零しながら、懐からあるモノを取り出す。

 

「だが甘いぞ!!これでどうだ!?最近とあるルートから手に入れた新作爆弾だ!!」

 

爆弾を取り出した時、桂はこの爆弾を買った時の事が脳裏に蘇った。

 

数日前‥‥

 

「次元爆弾‥だと?」

 

「そうきに、こげん爆弾はただの爆弾ではないぜよ!!」

 

陽気な土佐弁で桂に商品である爆弾の説明するモジャモジャ頭にサングラスをかけている何とも胡散臭い男。

彼の名は、坂本辰馬。

攘夷戦争では、『桂浜の龍』と呼ばれた男でかつての桂の盟友だ。

今は株式会社快援隊商事の社長にして快臨丸の艦長として、宇宙で星間貿易を行っている宇宙商人。

取り扱う商品は人身売買以外のモノならば、大抵揃えてくれる。

そんな桂は、先日、昔の好で彼に何か変わった新商品は無いかと坂本の船が地球に来た時に、彼の下を訪ねていた。

そこで、坂本は桂にある商品を売った。

 

「惑星クロノスのテクノロジーの結晶で爆発に巻き込まれた相手を異次元に引きずり込むそれはおっそろしい代物ぜよ。その余りの威力からクロノスでは生産中止になってそれが最後の1つなんぜよ。いや~手に入れるのは一苦労だったぜよ~」

 

「この爆弾にそんな性能があるのかどうか怪しいモノだな」

 

桂が手にした次元爆弾は坂本言う性能を秘めている割には余りにも小さいので、彼の言っている事が本当なのか怪しい。

桂は手にした爆弾を訝しむ様に見つめる。

 

「疑うのであれば、今この場で爆発させてみようかぜよ?その威力、身をもって体験するといいきに」

 

坂本が桂の手から爆弾を取ると、爆弾を炸裂させようとする。

 

「止めろ!!分かったから!!」

 

桂は慌てて坂本を止めた。

性能がどうあれ、この至近距離で爆弾なんて炸裂させられたら、自分も吹き飛んでしまう。

まだやるべきことが山ほどある桂にとってこんな所で死ぬわけにはいかない。

とりあえず、性能は兎も角として、その大きさから携帯には便利だと思った桂は坂本からその爆弾を購入した。

 

そして、現在‥‥

 

桂の取り出したその爆弾の大きさは、手のひらサイズの大きさであり、形は丸く真ん中に穴があった。

その爆弾を見た信女は、

 

「あれはっ!?ドーナツ!!」

 

するとさっきまで桂を斬ること以外興味を示さない目つきをしていた信女の目が急に子供の様に輝いた。

 

「くらえ!!」

 

桂がポイっと爆弾を放り投げる。

放り投げられた爆弾に信女はまるで犬がボールをキャッチするかのようにその爆弾に飛びついた。

何度も言う様であるが、桂が放り投げたモノは決してドーナツではなく、爆弾なのに!!

 

「はむっ!」

 

桂の放り投げた爆弾をまさに犬がボールを口でキャッチするのと同じように口でキャッチする信女。

 

すると、

 

カチッ!!

 

キュー!

 

ドーン!!

 

信女が口でキャッチした瞬間、ドーナツ(爆弾)は炸裂し、とてつもない光を放って爆発した。

 

「ぬぅぅ、なんという威力だ‥あのバカ、俺にこんな物騒なモノを渡したのか!?」

 

桂の言うバカとは彼の昔の盟友である、もじゃもじゃの声のでかい人、坂本の事を指していた。

 

「んっ、敵とは言え、女子を殺めてしまったか‥さすがに死体ぐらいは残って‥‥ん?消えている‥‥だと?」

 

爆煙がおさまると桂の目の前にいた筈の信女の姿は無く、死体はおろか肉片の一片、髪の毛1本、一滴の血の痕すら無かった。

それはまるで今井信女と言う存在が最初からその場に無かったかのようのだった‥‥

 

 

 

 

~side京都近くの某所~

 

此処では、先日人買い商人にその護衛、そして商品となった人達の一行が山賊に襲われ、1人の少年を除いて皆殺しにされた。

ペリーの黒船来航以来、幕府の力は衰え、各地で賊が出没していた。

そんな賊も1人の剣客の手によって1人残らず殲滅させられた。

剣客は生き残ったその少年に近くの村に行く様に言うとその場を去って行った。

それから暫くして、その剣客は村に行き、酒を買う序にこの前助けた少年が元気にしているかを尋ねた。

しかし、酒屋の主人の話では村に来ていないと言われ、気になった剣客は少年を助けたあの場所へと戻った。

村に来ていないと言う事はこの世に悲観してその場で自殺をしたのかもしれない。

今のこのご時世では、それはよくある事だった。

せめて、死体を葬ってやろうと思い、剣客があの場所へと来ると、そこにはおびただしい程の木で出来た墓標があった。

少年はあの日から穴を掘って、この場で殺された人達の墓を作っていたのだ。

それは、自分達に襲い掛かって来た賊も自分を商品として扱った人買いも差別なく全員だった。

そして、自分同様、人買に買われ、自分に優しくして最後まで自分の事を守ってくれた3人の女の人達には木の墓標ではなく、墓石代わりに手ごろな岩をおいた。

剣客は少年の話を聞き、3人の女性の墓石に買ってきたばかりの酒を弔いの為にかけた。

 

「小僧‥名は?」

 

「‥‥心太」

 

「剣客にはあわんな、お前はこれから剣心と名乗れ」

 

「えっ?」

 

心太‥改め剣心がどういう事なのかを剣客に尋ねようとしたその時、

 

ドサっ、

 

近くで物音がした。

 

「ん、何だ?」

 

剣客は物音がした方に視線を向けると、そこには薄紅色の下地に薄緑色の紅葉柄の着物を着た4歳ぐらいの少女が倒れていた。

 

「おい、こいつもお前といたのか?」

 

「‥‥知らない」

 

剣心は倒れていた少女は全く知らないと言う態度をとった。

 

「はぁ~これも何かの縁だ。こいつも連れていくぞ」

 

この辺りにはまだ野盗が多い。剣心だけを連れて行き、その後でこの少女が野盗に殺されては目覚めが悪い。

剣客は倒れていた少女を抱き起し、剣心と共にその場から去って行った。

 

 

~side山奥~

 

2人の子供を連れてきた剣客は未だに目を覚まさない少女を看病していた。

そして夜中になると、

 

「うっ‥‥う~‥‥此処は?」

 

少女は目を覚まして当たりを見回した。

 

「ドーナツ!?‥桂は?‥‥それにここ裏路地じゃない‥‥‥‥?」

 

そしてふと少女は自分の姿を見たら、

 

「‥‥縮んでいる‥‥」

 

いつもより短い手足、伸ばしたはずの髪は短くなり、大きく膨らんでいた胸はしぼんでおり、あの美乳の痕跡は一切ない。

 

「よう‥やっと起きたか‥‥」

 

突然、声をかけられてその場から飛び起き、素早く後に下がり腰に手を当てたが、信女の手は空を切った。

 

(刀、無いの!?)

 

普段から愛用していた長刀が無い事に気づく。

少女は相手との距離をとって、声をかけた剣客の様子を窺った。

少女の一連の動作を見て剣心は目を見開いてポカンとし、

反対にこれを見た剣客は、

 

「お前だいぶ鍛えられているな‥‥小娘、お前の名は?」

 

(コイツ、ただの小娘じゃねぇな‥‥それに、コイツからは血の匂いがしやがる‥‥)

 

年の割に似合わない動きをし、一流の剣客が嗅ぎ分ける事の出来る体中から染み渡る血の匂いを嗅ぎ分けた剣客は少女を一目見て、彼女は只の小娘でない事を見抜く。

 

「人に名を尋ねる前にまずは自分から名乗るんじゃなくて?」

 

「ふっ、助けてやったのにその態度は気に食わんが、まっ、いいだろう。俺の名は比古清十郎だ。で?お前は?」

 

剣客、比古清十郎から名を名乗ってもらった少女は、

 

「信女‥‥今井信女‥‥」

 

赤い無機質な目で比古をジッと見つめつつ自らの名を‥‥

大切な人から貰った名を比古に告げた。

 

 

 

 

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