エリート警察が行くもう一つの幕末   作:ただの名のないジャンプファン

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「ふぅ、新年明けましておめでとうでござる。」


「モグモグ、モグモグ、おめでとう。」
剣心とは真逆で何かを食べながら適当に済ませてる。

「信女、お主何をそこまで」

「もち米で作ったドーナツ。」

「頂こう.....って今はそんなことより、新年を迎え、皆様にご挨拶を」

「おめでとう。」

「何でそんなに適当何でござるか」

「新年何て迎えても、いいことなんて何も無いもの、年も...何でもない。」

「どうしたでござるか?もしやお主、歳を気にして、やはりお主も女子、気にするのでござるな~「ゴン!」おろ~何をするでござる」

「女性に歳を言うなんてデリカシーの欠けらも無いわね、緋村、」

「いてて、急に何するでござるか?お主はまだーーー」

「飛天御剣流」

ジャキン!
鞘から取り出す。

「すまぬでござるーーーー!!」
神速の如く走り出した剣心それを見送り

「はぁ、こんな感じで始めるけど文句無いわよね」





第42幕 新月村

剣心と信女が東京を出発してから既に数日が経った。

本来ならば東海道の後半部分に差し掛かっていてもおかしくはないのだが、小田原での1件で時間を食い過ぎた。

 

「緋村ァ、信女様ァ、もうお昼だよ。そろそろご飯にしようよ。ねぇ、ねぇったらねぇ」

 

お昼御飯を強請る操に剣心と信女は黙々と歩き続け ムッとした操が苦無を投げた。

 

「シカトすんな!コラ!」

 

「おおおおお…」

 

「緋村、今ので髪の毛が5本ぐらい抜けたわよ」

 

信女は冷静に苦無がかすった部分を剣心に指摘する。

 

「アンタが無視するのが悪いんじゃない!!大体にしてなんでわざわざ森の中 通っているのさ!やっぱり まだ あたしを撒こうとしているんでしょ!」

 

剣心が髪の毛が抜けた部分を気にしながら、森の中を通る理由を話す。

 

「わざわざではござらん。ただ単に来た道を戻るより森を突っ切った方が近道になるからでござる。夕方には街道に出るが それまで拙者達は休むつもりはないでござる」

 

また歩き出した剣心の後を追いながら信女は操に、

 

「お昼ご飯なら歩きながら食べたら?」

 

と、一言入れた。

 

「成程 それじゃあ早速…あれ?緋村達は食べないの?」

 

「生憎拙者達は、あいにく弁当は持ち合わせてござらん」

 

「あっ、私はドーナツのオールドファッション持って来た。緋村も食べる?」

 

そう言って信女は剣心にオールドファッションのドーナツを見せる。

 

「頂くでござる」

 

操は乾パンを信女と剣心はオールドファッションのドーナツを食べながら歩いた。

尚、その過程で、御庭番衆の話をしながら歩く操に剣心も信女も全く関心がない様に歩く。

 

「あっ、緋村。そこにマムシが居る」

 

「本当でござる。危ない、危ない」

 

剣心はマムシを捕まえる。

すると、操がマムシに苦無を投げつけた。

 

「せっかくみんなの事話してあげてんのに ちゃんと聞け!!まったく、これからいよいよ蒼紫様の話だっていうのにさ」

 

「蒼紫…」

 

(アイツか…)

 

剣心が考え込むような表情を一瞬みせると、剣心同様、蒼紫と面識があり、戦った事のある信女は顔をほんの少し歪ませる。

しかし、それはほんの僅かな時間であり、次の瞬間には剣心は歩き出し 操は気付いてない。

信女も後に続きながら草木を掻き分けながら進む。

 

「何よ あたしの話より前に進む方がそんなに楽しい訳?草木をかきわけて歩くほうが!!」

 

そこまで言いかけて操は今までの行動を考えて 疑問に思ったらしく、

 

「ねぇ なんでわざわざ手間かけて草木を 選りわけているのさ」

 

と尋ねてきた。

 

「その方が歩きやすいでござろう」

 

「‥‥」

 

操は剣心達の人となりに少し感謝した。

 

その時、ガサッと音がして流石にハッとした信女は辺りを見渡した。

 

「緋村 今なんか音が‥‥」

 

「シッ‥操殿、出来るだけ静かに拙者達から離れるでござるよ」

 

操は今までの話を信じていなかったのか、

 

「もしかして……あんた達狙われているって本当だったの?」

 

「いいから早く‥信女」

 

「なに?」

 

「操殿を頼むでござる」

 

(今攻めて来られたら、操殿まで巻き込んでしまう‥やむをえん‥此処は此方から攻めるか‥‥)

 

剣心は操の事を信女に託し、刀を構えたまま森の中に走って行く。

 

「あっ、ちょっと!!」

 

走って行く剣士を追いかけて行く操。

 

「ちょっと、全く‥‥」

 

信女は剣心がその場に置いて行った荷物を背負って剣心と操の後を追いかける。

やがて、信女が2人に追いつくと、2人は既に虫の息となった男の前に佇んでいた。

男を見て操はハッと息を飲む。

 

「!?……この人死んでいるの‥‥?」

 

「いや、だが‥何か‥‥言い残す事はないでござるか?こうして死を見とるのも何かの縁、出来るだけの事はするでござる」

 

剣心はこの男の命がもう僅かな事を悟る。

全身からの出血が激しく、近くの診療所まではもたない。

 

「ん?」

 

信女は血まみれの男を見て、目を見開く。

 

「三島?もしかして、三島なの!?」

 

信女はこの血塗れの男が職場の同僚である事に気づき声をかける。

 

「さ‥‥佐々木‥‥警部‥‥試補‥‥」

 

「貴方、どうして此処に?確か休暇で実家に帰るって‥‥」

 

「佐々木‥‥警部‥試補‥‥た‥‥頼む‥‥弟と‥村を‥‥志々雄の連中から救って‥‥く‥‥れ‥‥」

 

そう言って男は涙を流し亡くなった。

 

「‥‥」

 

「‥知り合いでござるか?」

 

剣心が信女とこの男が知り合いの様だったので、念の為、尋ねる。

 

「ええ‥‥同僚よ‥‥」

 

「では、この者も警官でござるか?」

 

剣心の問いに信女は一度首を縦に振る。

 

「えっ?って事は、信女様は本当に警官だったの?」

 

今まで信女が警官だとは信じていなかった操は此処に来てようやく信女が警官である事を信じた。

 

「の、信女様!!これまでの数々の無礼お許しください!!」

 

操は土下座をして信女に許しを乞うた。

 

(も、もし、追剝なんて事をしていたことが京都の爺やにバレたら私、殺される)

 

土下座体制のまま、操はこれまでの所業が信女の口から京都に居る爺やにバレる事を最も恐れた。

 

「‥‥それじゃあ」

 

信女は操の耳元に口を寄せ、

 

「私の頼み、なんでも聞いてくれる?」

 

まるで悪魔が囁くように言う。

 

「は、はい!!信女様の為ならな、火の中水の中に行く所存であります!!」

 

操は勢いよくバッと顔を上げて信女に忠誠を誓うと言う。

 

(面白い)

 

「信女、悪ふざけはその辺にするでござるよ」

 

「そうね‥‥今は、三島を弔ってあげないとね‥‥」

 

信女は息絶えた同僚に視線を移し、彼を弔ってやらなければならないと言う。

そして、3人は亡くなった男の墓を作った。

 

信女から三島と言われたこの男の言った村は、東海道の沼津宿から少し離れた所にある人口二十人足らずの山間の小さな半林 半農の集落だった。

 

村の名は、新月村

 

ほんの2年前までは何の変哲もないごく普通の村だったという。

 

 

亡くなった男が懐に庇う様に抱えていた男子を木の根元に座らせ、意識を失っている少年が暫くしたら、気がついた。

 

「うっ‥‥」

 

「あっ、気がついた」

 

「お前らは‥‥?そうだ兄貴!兄貴は!?」

 

少年は目の前の3人が誰かわからず困惑気味だったが、直ぐに自分の兄の存在を思い出したのか辺りを見回す。

だが、少年の目に入ったのは刀を墓標代わりに立たばかりの兄の墓だった。

 

「っ!?」

 

「あたし達が見つけた時にはもう…」

 

操が気まずそうに言う。

 

「…ちくしょうッ!ちくしょうッ!」

 

兄を失い泣き崩れる少年の肩に剣心がそっと手を添えた。

 

「何がどうなっているのか事情を話してくれぬか」

 

「………他所者に話して何がどうなるっていうんだよ」

 

少年は不貞腐れる様に剣心に吐き捨てる。

 

「拙者達は志々雄に会うために京都へ向かっているでござる」

 

「あっ、会うって言っても決して志々雄の所で働く訳じゃないから‥‥むしろ、志々雄を殺しに行く側よ」

 

信女は少年に剣心の言う「志々雄に会う」と言う部分に補足説明を入れる。

 

 

「…2年前、志々雄って奴の部下が突然、村にやってきたんだ」

 

信女の補足説明を聞き、少年は剣心達にポツリポツリと事情を話し始めた。

それによると、志々雄一派は真っ先に駐在の警官を殺して村を占拠し、新たに派遣された警官も来る度に殺し続け、やがて2年もしたらとうとう警官がこなくなり、そして志々雄の配下の者がつぎつぎと村にやってきた。

そして新月村は政府に‥‥見捨てられた‥‥。

 

「そんな見捨てられたなんて大げさな、じっくり作戦でも練っているんじゃ‥‥」

 

やはり何処か呑気な操の言葉に対して少年はキッと操を睨みつけ、懐に手をやると、

 

「じゃあこれはなんなんだよ!?東京から帰ってきた兄貴が持っていた最新の地図!見ろ!!新月村の名前がなくなっている!!」

 

少年の懐から取り出され、広げた地図にはやはり新月村の名はなく、操はハッとして表情を引き締めた。

 

(政府の連中、志々雄を表に出さない様にこの子の村を切り捨てたようね‥‥)

 

信女は地図を見て、村は政府から見捨てられたと言う少年の言葉が間違いないと悟る。

 

「兄貴はそれを見つけて村の異変に気づき、とりあえずまず家族だけでも助け出そうとして そして殺されたんだ‥‥志々雄の直属の部下で、この村を直接統括する"尖角"の野郎に……!!」

 

少年は自分の兄が誰の手にかかって殺されたのかを剣心達に話す。

 

「戻らなきゃ…村にまだ逃げ遅れた親父とお袋がいるんだ!兄貴が死んだ今、俺が助けなきゃ!兄貴…、俺に…力を貸してくれ…」

 

まだ村に残っている両親を助けるために立ち上がり、兄の墓の前に立った少年は墓標が代わりの兄の愛刀に手を掛けた所を信女はそっと押さえた。

 

「なっ!?」

 

「‥‥貴方の兄‥三島に代わって私が力を貸してあげるわ‥貴方の兄とは同僚だったから‥‥」

 

「あ、兄貴と?」

 

「ええ」

 

「操殿、この子を頼む」

 

「えーっ!あたしも行く!」

 

「遊びじゃないの、ここで待っていなさい」

 

「は、はい」

 

スッーと周りの温度が低下し口端だけを釣り上げた信女の顔を見て背筋に寒気を感じた操は口をつぐむ。

そのまま剣心と信女は村に入っていった。

 

(ん?血の匂い‥‥)

 

信女は村に入った時から異常なまでの血臭が漂っている事に気づいた。

 

村は日中にも関わらず、外には誰もおらず、まるで廃村の様な雰囲気である。

だが、家の中からは人の気配と視線を感じるので、人は住んでいる様だ。

そして、少年の話では志々雄は半年に一度必ず村に一週間ほど逗留する。

大勢の部下を引き攣れているのだから、恐らくこの村のどこかに屋敷を構えているのだろう。

志々雄の目的はわからないが、普段この村は尖角とやらが統括しているらしい。

そして丁度 今志々雄が村に逗留しているので、その尖角は志々雄を持て成していると言う。

 

やがて、剣心と信女は村の中央広場にさらされているあるモノを見て、目元をキツくした。

 

(三島と同じく体の全身がなます斬り‥‥恐らく これも尖角とかいう奴の仕業‥‥)

 

信女が晒されているモノをジッと観察していると背後から、

 

「親父ッ!おふくろ!うああぁあああああぁああああああー!!」

 

何時の間にか着いて来ていた少年の叫び声が村に木霊する。

そして、少年の傍には操の姿もあった。

 

(全く、操ったら)

 

恐らく少年が頑なに村に行こうとして押し切られたのだろう。

すると、少年の声を聞きつけて志々雄の部下だろう者たちが何十と集まってきては剣心と信女の2人を取り囲んだ。

連中は手に槍や刀を持っている。

 

「貴様等他所者だな、他所者は生かして帰さん!」

 

部下たちの中で赤熊を被った隊長格の男が剣心と信女に言い放つ。

 

「…何故この人達を殺したの?」

 

信女がさらし物になっている少年の両親の遺体から目を逸らさずに、志々雄の部下に尋ねる。

 

「そいつらの息子達はこの村から逃亡を企てた。そいつらはその責めを負って尖角様が処刑した。もっとも吊るしたのは我々だがな」

 

「成程、つまり見せしめか」

 

他の村人に恐怖心を与えるには十分な方法である。

 

「ここは偉大なる志々雄様が政府のブタ共から勝ち取った領地!ここでの生殺与奪の権利は全て志々雄様、もしくは村の統括を担う尖角様にある!!尖角様の命により他所者には死あるのみ!!」

 

『覚悟!!』

 

志々雄の部下たちが一斉に武器を構える。

 

「「覚悟するのは お前達だ!!」」

 

ドガァッーと音を立てて今さっきまでペラペラ喋っていた隊長格の男が剣心の一撃で吹き飛んだ。

 

「あっ、私が斬りたかったのに‥‥」

 

先制攻撃を剣心がやったことに対してちょっと不満げな様子の信女。

 

「普段なら"ケガしたくない者はさがれ"というところだが 今 この場ではそうはいかん…。1人残らず叩き伏せる!!」

 

「‥‥私の場合は斬るわね‥‥貴方達、大勢の警官を斬ってきたのだから、斬られても文句は言えないわよ」

 

剣心と信女が抜刀し、志々雄の部下達に斬りかかる。

もっとも剣心は逆刃刀なので、強烈な峰打ちにして叩きのめすが、信女の場合は神速の剣術で相手の急所を一撃で仕留め息の根を止めて行く。

この場に居た志々雄の部下を全員倒した時、

 

「オイ、お前らこんな所で何道草くっているんだ!?」

 

不意に聞こえた声にそちらを見れば斎藤と操がいた。

その近くには志々雄の部下の死体が一体転がっていた。

剣心と信女相手では分が悪いと思いターゲットを操と少年の2人に絞ったら、背後から斎藤に刺殺されたのだろう。

 

「斎藤」

 

「何故 お前がここに」

 

「仕事だよ」

 

「?」

 

「ここに放った部下から今、志々雄がいると連絡が入ってな、討伐隊の京都到着までまだ 時間があるから少し足を伸ばした訳だ。もっともそいつは行方知れずになっちまったがな」

 

「貴方の部下‥三島は死んだわ‥‥」

 

あの状況で斎藤の言うこの村に放った斎藤の部下は先程、山中で息絶えた三島だと判断した信女は斎藤に三島の行方を伝える。

 

「そうか‥三島栄一郎は元々この新月村の出身。だからこそ怪しまれずに入れるだろうと送り込んだが、恐らく正体がバレたのだろう。それで せめて家族だけでも守ろうとして‥‥馬鹿な男だ。俺の到着を、待っていればいいものを」

 

斎藤の言い草にカチンときた操が吠えた。

 

「ちょっとあんた 死んだ部下に対して そんな言い草ないんじゃない!」

 

「オイなんだこの‥‥」

 

斎藤は操を指さし、操が誰なのかを尋ねる。

その際、彼の脳内では、

 

恵=狐

 

薫=狸

 

と言う方式が打ち立てられ、

操は‥‥イタチと言うイメージが沸き上がり、

 

「イタチ娘は?」

 

と剣心に尋ねる。

斎藤の言葉を聞いた操は、

 

「殺す!ブッ殺す!!」

 

両手に苦無を構えて吠える。

 

「まぁまぁ、あーゆう男なんだ、イチイチ腹を立てていたら キリがないって」

 

激怒した操を宥め それより、と剣心。

 

「フフフ‥‥」

 

イタチ娘と言われた操に対して思わず吹き出す信女。

そんな信女に対して、斎藤は、

 

「ちなみにお前は犬だ」

 

「なっ!?」

 

ガルルルとまるで噛みつく様な勢いで剣を斎藤の首筋に置く信女。

 

「勘違いするなよ、主人に従順な犬じゃない、誰にでも噛み付き主人を決めない野犬だ。」

 

「うっ‥‥」

 

齋藤からの指摘にぐぅの根も出ない信女。

 

 

 

「それよりも早く降ろして弔ってやろう」

 

剣心が三島の両親の遺体を降ろして埋葬してやろうと言う。

落ち着いた操も そうね、と頷くが何時の間に家の外に出てきたのか村人が止めに入った。

剣心達が志々雄の部下を倒したので安全だと判断して出てきたのだろう。

 

「待て!それを降ろしちゃあならん!勝手に降ろして尖角の怒りにふれてみい、儂ら 村の者はひとたまりもない。尖角の許しが出るまでそれはそのままにしておくんじゃ」

 

長老らしき男が剣心達にそう言い放ってきた。

 

 

 

・・・・続く





明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

後、良いお年をお過ごしください。
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