けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~   作:TRcrant

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『原作の大幅なコピー』がどの程度で成立するのかが分かりませんが、この先もバンバンと綱渡りになりそうです。
規約違反になっていないことを願いたいです。


第4話 入部!

翌日、僕はファンレターに対する返事の手紙を射れた茶封筒を郵便ポストに投函してから、高校に向かった。

 

「おっす、浩介!」

「おはよう。朝からテンション高いな」

 

いつもの事だが、ハイテンションの佐久間に僕は呆れながらあいさつを返す。

 

「部活は決めたのか?」

「ああ。一応ね」

 

僕はそう告げて佐久間に入部届を渡す。

 

「へ~、軽音部か」

「まあ、考えた結果だけど」

 

感心したようにつぶやくと、佐久間は入部届を僕に渡す。

 

「いいな~、これでまたモテるんだろうな~」

「そんな不純な思いでやらないから」

 

こいつの頭の中にはモテることだけしかないのかと頭を抱えたくなる。

 

「これからは浩介の事を師匠、もしくは兄貴と―――ぐばはぁ!?」

「お断りだ」

 

いつものように黙らせた僕は、封筒に入部届を入れると机の中にしまう。

僕は、放課後に思いを馳せる。

何だか楽しみになってきた。

 

「だったら、親父と――」

「佐久間慶介。黙れ」

「………ハイ」

 

前言撤回、今日は色々と波乱の一日になりそうだ。

そんなこんなで、担任の先生が教室に入ってくることでHRが始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業も終わり、放課後を迎えた。

そんな中、僕は今非常に困っている。

 

(入部届は、誰に出した方がいいのだろうか?)

 

これまで部活などをやっていなかったので、入部届を誰に出せばいいのかが分からなかった。

情けないなと我ながら思う。

 

(誰かに聞くか……とは言っても、それが出来るほど親しい奴は佐久間位しかいないんだよな)

 

何だかさらに情けなく思えてきた。

僕は佐久間の方を見てみた。

 

「グガー、グガー」

 

いびきを掻いて寝ていた。

まったくあてにならない人物であることだけは理解できた。

 

(とりあえず、軽音部の部長に提出しておくか)

 

先生には部長じゃない時に出せばいいだろうと思い、僕は教室を後にする。

 

(さて、軽音部はどこだろう)

 

教室を出てから数秒で、僕は大きな壁にぶち当たった。

壁にぶち当たった僕が向かった先は、『職員室』だった。

 

「失礼します」

 

職員室に入った僕は、担任の教師を探したが見当たらなかった。

おそらく多忙なのだろう。

 

「あなた、誰先生に用事かしら?」

 

どうしたものかと考えたところに、声をかけてくる人がいた。

見れば人当たりのいい笑みを浮かべているメガネをかけた女性教師が立っていた。

普通の人が見れば、彼女はお淑やかそうに見えるだろう。

そう普通(・・)の人には。

 

「えっと、軽音部の部室がどこにあるのかを聞きたいんですけど」

「ああ、軽音部ね」

 

僕の問いかけに、目の前の女性教師はなるほどねと言わんばかりの表情で頷くと職員室の出入り口のドアまで歩み寄る。

 

「あそこの階段を上った先……校舎の最上階にある音楽室よ。頑張ってね」

「ありがとうございます」

 

教師からエールをもらい、僕は一礼すると職員室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして手すりにこんなものを」

 

階段の手すりにあるウサギや亀のレリーフに、首を傾げながら一段一段上って行く。

上るたびに樹がきしむ音がするのは、風流と見るべきなのか、うるさいと取るべきなのか。

それはともかくとして。

 

「ようやく最上階だ」

 

なんとかたどり着いた最上階で、僕は額の汗をぬぐう仕草をしながら一息つく。

 

「確か軽音部は音楽室で活動していると言ってたな」

 

僕は、念のためにと右手を音楽室のドアに触れて目を閉じる。

 

(いない。ということは……)

 

人の気配がないのを確認した僕は、左隣の『音楽準備室』のドアに同じように手を触れる。

 

(いた。人数は……3人か。しかも全員女子だし)

 

早速懸念していたことが起こった。

女子だけの部活に男が一人というのは、非常に心苦しい。

いや、居心地が悪いということではなく。

接し方が分からないだけだ。

 

(とりあえずは、話してみないと)

 

僕は一度頷いて深呼吸をすると、ドアノブをひねった。

 

「あの、すみません」

「はい、何か用?」

 

ドアを開け、恐る恐る中に入ると、栗色の髪をカチューシャのようなもので留める女子高生が、そっけない様子で近寄りながら声をかけてきた。

 

「軽音部はここで―――」

「もしかして、入部希望!?」

 

最後まで言い切る前に、栗色の髪の女子高生によって遮られた。

先ほどのそっけない態度は何だったのだろう?

今は目を輝かせている。

というより、すごい変わりようだな。

 

「え、ええ」

「~~~っ! おーい、皆! 入部希望者が来たぞ!」

 

僕の返事に栗色の髪の女子高生は嬉しそうな声で悶えると、後ろの方にいる女子高生二人に声をかける。

 

「ようこそ、軽音部へ!」

「歓迎いたします!」

 

そして立ち上がると、嬉しそうな表情で黒色の髪を後ろに結んでいる女子高生と、薄い金髪の髪をストレートに伸ばす人当たりのいい雰囲気を醸し出す女子高生の二人が歓迎の言葉を掛けてくれた。

 

「よぉしムギ、お茶の準備だ!」

「はい!」

 

そして栗色の女子高生の指示に、薄い金髪の髪の女子高生は笑顔で返事をすると素早く支度をした。

 

(な、何? この熱烈な歓迎)

 

あまりの熱烈な歓迎に、僕は少しばかり引いていた。

 

「さあさあ、座って座って」

「は、はい」

 

栗色の髪の女子高生に言われるがまま、僕は奥にあった椅子に腰かける。

 

(ま、まさか僕の正体を知っているのか!?)

 

色々な可能性が頭の中をよぎる。

 

(もしくは、試験でもするのか? 入部するための面接試験とか)

 

ありえないとは思いつつも、部活動を生れてはじめてする僕には、想像がつかなかった。

 

「はい、どうぞ」

「あ、すみません」

 

そして用意されたのは良い香りの紅茶と、僕の大好物のチーズケーキだった。

なぜ、こうも僕の好みにぴったりなチョイスなのだろうか?

 

(た、食べづらい)

 

三人に見つめられながらと言うのは、非常に食べづらい。

 

「どうぞ、召し上がって」

「い、いただきます」

 

薄い金髪の女子高生に促らされるまま、紅茶の入ったティーカップに手を伸ばす。

そして、一口すすると柔らかい味が口の中を駆け巡る。

 

「お、おいしい」

 

思わずそう呟いてしまうほどのおいしさだ。

人に入れて貰ってここまで美味しい紅茶は初めてだ。

僕はチーズケーキにも手を伸ばす。

フォークでチーズケーキの先を切ると、それを口元に運ぶ。

 

「はぁ~」

 

思わずとろけそうになる。

やはり、チーズケーキは神の産物だ!

 

「お好きなんですか? チーズケーキ」

「え、ええ」

 

(いけないいけない。しっかりしないと)

 

とろけ切っていた自分に喝を入れつつ、僕は問いかけに答える。

 

「あなたは、どんなバンドが好き?」

「え?」

「好きなギターリストとかは?」

「え゛!?」

 

栗色の髪の女子高生の早速の問いかけに、僕は固まってしまった。

まさか、そこから入るとは思ってもいなかった。

そして正直に言おう。

僕はバンドとかギターリストの名前は知らない。

いや、これでは語弊がある。

正しくは、名前は知っているが好きか否かの判別は出来ないのだ。

カバー曲をするために、曲を聴いたりはしているためバンド名は知っているが、それがそのバンドが好きだということに=にはならない。

ギターリストはなおさらだ。

 

『他は他、ここはここだ。他者を気にする暇があるのなら、まずは己を鍛えよ』

 

それが、僕が前にバンドメンバーに言っていた言葉だった。

あの時の自分を殴り飛ばしたい。

少しは興味を持てばよかった。

 

(ここで適当に言っても深く潜られたら絶対についていけない)

 

そんな時、明暗が思いついた。

 

(自分の所属するバンドを言えばいいんだ)

 

そうすればどんなに詳しいことを聞かれても話についていける。

何せ自分が所属するバンドなのだから。

とは言え、DKと言うのは気が引ける。

自分で自分を褒めるほど、僕は変人ではない。

なので、僕は相方の名前を言うことにした。

 

「えっと、MR」

「MR!?」

 

黒髪の女子高生が身を乗り出すほどの勢いで食いついてきた。

その勢いに、思わずのけぞりそうになった。

 

「あー、なるほど」

 

栗色の髪の女子高生も納得した様子で呟く。

 

「どなた?」

「八年ほど前に発足したバンドのギタリスト! 重厚で強く響く演奏をするんだ」

 

MRに聴かせてあげたら、喜ぶだろうなー。

 

「だったら澪と気が合うんじゃない? 澪もファンだしな~」

「え、澪?」

 

今、栗色の髪の女子高生の口にした名前らしき単語に、僕は汗がどっと噴き出るような感じがした。

 

「澪さんって、お名前は?」

「っ!?」

 

恐る恐る尋ねると、澪と呼ばれた女子高生は顔を赤くして顔をそむけた。

 

「あ~あ。ごめんね、うちの澪は恥ずかしがり屋だから」

 

なるほどなと納得。

細かいところには追求しないことにした。

 

「あなた、名前は?」

「あ、秋山澪」

 

その瞬間、時間が止まったような錯覚を覚えた。

 

(ふ、ファンの子だ?!)

 

何度も何度も本名でファンレターを送っていたのが、目の前の黒髪の女子高生だったのか。

 

(よ、よかったDKと言わなくて)

 

言っていたら、DK解説が始まっていたかもしれない。

自分の事を目の前で言われるのは、非常にむずがゆく感じる。

 

「私は琴吹 紬と申します。ムギと呼んでください」

「あ、私は田井中 律。よろしくね」

 

薄い金髪の女子高生……ムギさんに続いて栗色の髪の女子高生……田井中さんが自己紹介をする。

 

「すみません。僕は高月浩介と言います。よろしくお願いします」

 

僕も彼女たちに倣い、自己紹介をする。

 

「あ、敬語じゃなくても良いですよ。同じ学年ですし」

「そ、そうですか。では……これからはこんな感じで話さしてもらうよ」

 

ムギさんの提案に僕は一呼吸おいて話し方を元に戻した。

 

「秋山さんのファンって、もしかしてMRの事?」

「いや、ちがうよ。澪はねH&Pというバンドとそこに所属するDKのファンなんだよ」

 

H&Pと言うのはhyper-prominenceの省略した呼び名だ。

世間一般的にはこの愛称で呼ばれている。

 

「そのDKさんと言うのは、どなた?」

「ギター演奏で右に出る物はいない、どのような難解な速弾きでも巧みに演奏する、音楽界に革命をもたらしたギタリスト!」

 

結局解説されちゃうのね。

 

(しかも革命なんてもたらしてないし)

 

突っ込みたいのを必死に堪える。

でも、今の一通りの流れで、僕の正体に気付いていないということは分かった。

気づいているのであれば、今頃はすごい騒ぎになっているだろう。

とは言え、さらに僕は気を付けなければ行けなくなったことでもある。

 

「あ、これ入部届です」

「はい、確かに」

「楽器は何を?」

 

入届を田井中さんに渡しがてら聞かれたので、僕は少しだけ考えたのちに答える。

 

「えっと、ギターを少々」

 

一番いいのはギターを弾かないということでもあるのだが、それ以外だと演奏すらできない可能性があるので、ここはギターを取ることにした。

 

「そっかそっか~、それじゃぜひ明日持ってきて聞かせてよ」

「そうだな。どのくらい弾けるかを把握するのも必要だしな」

 

どうやら神様は僕にとことん冷たいようだ。

とうとう来てしまった。

最初の試練が。

 

「分かりました」

 

こうして僕は、その試練を受けることになるのであった。




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