この読み鉄初作品となる路線は、京王電鉄井の頭線です。渋谷~吉祥寺間を結ぶ小さな通勤通学路線ですが…意外と見所が多いものです。
JR山手線埼京線や東京メトロ銀座線、東急東横線等が集まる若者の街渋谷。駅周辺には渋谷109や渋谷ヒカリエ、センター街等がある外国人観光客に人気のある東京の大きな街である。JR渋谷駅からマークシティー方面へ続く連絡通路を通った所に京王電鉄井の頭線渋谷駅がある。京王井の頭線とは渋谷から下北沢や明大前、井の頭公園を通り吉祥寺へ抜ける全長12.7㎞の小さな路線だ。といっても、JR中央線のバイパスとして日々多くの通勤客が利用している。中央口改札からホームへ入るとビルの中の駅とは思えないほど大きな天井が広がっており、所々にある窓から道玄坂の飲み屋街が見える。ホームの吉祥寺よりは神泉駅へと続くトンネルを望むことができ、駅ビルとトンネル入口の間にほんの少しだけ外を走る区間がある。昔は屋外駅だったが渋谷マークシティー建設にともない地下駅に近い形となったがそこだけ約5メートル程空間があり雪が降るとそこだけ白い帯が出来ることがある。さて、渋谷駅の話をしているとキリがないので電車に乗ることとする。やって来た電車は井の頭線の標準型車両の1000系電車。車体はステンレス製20メートル4ドア車。この車両は水色だ。井の頭線はブルーグリーン、アイボリーホワイト、サーモンピンク、ライトグリーン、ラベンダー、オレンジベージュ、スカイブルーそして、一本だけ存在する虹色グラデーションの特別車両がいる。今回はスカイブルーの車両が来たのだが、季節によって移り変わる景色に映える井の頭線の車両は美しいものである。列車は[急行吉祥寺行]途中停車駅は 下北沢 明大前 永福町 久我山 終点吉祥寺だ。ポイントが開通し運転台の京王ATCが青になる。プルルルルル…と発車ベルが鳴りドアが閉まって大きなブレーキ緩解音がホームに鳴り響く。そして、GTO-VVVF独特の音を響かせて動き始めた。次の停車駅は小田急線との接続駅下北沢である。ポイントを渡り終えてトンネルに進入。フルノッチで一気に加速していく…。すると一瞬トンネルの外に出て踏切を渡るが直ぐに地下駅へ入る、最初の通過駅神泉駅だ。列車は加速を緩めずトンネルを疾走していく。ふと、前方に明かりが見え一気に辺りが明るくなり右カーブへ突入する。
「京王をご利用頂きましてありがとうございます。この電車は急行吉祥寺行きです。止まる駅は下北沢 明大前…。」と車掌のアナウンスが聞こえる中、駒場東大前駅を通過し京王ATCがチン!と音をたてる。池ノ上駅までは駒場野公園を左手に眺めながら緩やかなS字カーブを進み築堤の上へ差し掛かる。ここは春になると美しい菜の花が咲き誇る区間である。列車は小さな商店街が軒を連ねる池ノ上駅を通過すると前方に下北沢駅が見える。昔は小田急線が地上を走っていたが…。今は地下駅となり車窓から小田急線を望むことはできなくなってしまった。下北沢に到着した列車は小田急線からのお客を乗せて再度発車する。新代田駅までの下り坂を一気に駆け降りて急な左カーブを猛スピードで駆け抜ける。前方には東松原駅が見える。この駅は6月になると紫陽花が綺麗に咲き井の頭線沿線でも有名な区間である。東松原を通過して列車は長い右カーブへ入る。アナウンスで「次は明大前 明大前です。京王線はお乗りかえです。」と放送が流れて列車は明大前駅ホームへ滑り込んだ。この駅は京王線が地上を走り井の頭線は窪地を走っている。新宿や八王子 高尾山口へ行くならば京王の特急であっという間だ。ドアが閉まり動き始めた列車は時速40キロ程で一旦加速をやめる。この先に急な左カーブがあるからだ。南北に伸びている明大前駅から進路を変えて北西へ進路をとる。キキキィィィィィ…と、急カーブ特有の金属音を奏でながら進む。カーブが終わると永福町へ続く長い登り坂だ。フルノッチで一気に駆け登り永福町駅2番線へ入る。この駅では各駅停車と接続がある。接続した各駅停車はオレンジ色の夏らしさを感じさせる鮮やかな車体だった。永福町を出発すると右手に京王バスの永福町車庫が見える。他の路線と繋がっていない井の頭線の車両は、実はこの永福町車庫に繋がっている側線から新車の搬入や若葉台研修場での検査のため出入りをすることがある。
永福町駅を発車した列車はこれまでのカーブ続きの区間と違い武蔵野特有の直線区間を駆け抜ける。西永福 浜田山と住宅の軒先を駆け抜けた列車は高井戸駅へ続く長い登坂を時速100㌔近い速度で登る。環状八号線が真下を通る高架の高井戸駅を通過すると直ぐに急な下り坂に差し掛かる。下り坂終端の右カーブを通過すると富士見ヶ丘駅だ。この駅には井の頭線の富士見ヶ丘検車区があり、昼間は多くの車両が体を休めたり検査を受けている。車庫に停車しているカラフルな列車を眺めていると列車は久我山駅へ到着した。久我山からさらに多くの乗客が乗ってきて車内は混雑するが…。次はもう、終点吉祥寺駅だ。発車した列車はスピードを上げて三鷹台駅を通過し、神田川を左手に眺めながら進路を左に取る。すると、井の頭公園駅が見えてくる。井の頭線が開業した当初、井の頭公園駅が終着駅だった。春になると美しい桜並木が広がり自然豊かな武蔵野の風景を色濃く残す井の頭公園を左手に眺めながら終点吉祥寺駅へ続く登坂を登る。速度計に表示されている京王ATCの速度制限がピーピーと音を立てながら徐々に0へ向かう。どうやら先行の各駅停車に詰まってしまったらしい。対向の線路を虹色グラデーションの車両が渋谷へ向かって走っていく。すると、京王ATCがチン!と鳴り列車は再び動き始めた。駅手前のポイントを渡り終着駅 吉祥寺駅ホームへゆっくり進入する。ピーピーと京王ATCの音を聴きながら列車は停車位置にゆっくり止まった。目の前のホームドアが開き、列車のドアが開く…。すると吐き出されたかのように多くの人々が改札へ向かっていく。これから中央線に乗って国分寺や立川…。新宿 千葉方面へ向かう人々を見送りつつ短い休憩を取った列車は折り返し[各停 渋谷行]として今度は各駅に停まりながら元来た道を戻っていく…。