スピリットが遊戯王モンスターになってた件   作:ドロイデン

30 / 39
第二十二羽 天使と騎士

 褐料煉弍(かつしろ れんじ)、その名を聞いたときどこか頭の奥で何かを忘れているような……そんな感覚を覚えてしまった。

 

「蓮、どうやらこの先は楽にとはいかなさそうだ」

 

 隣にいる剱奈先輩も、どこか冷や汗のようなものをかいており、それだけ相手が強大だという裏付けでもあった。

 

「……そうですね、慢心は文字通り命取り……って考えた方が良さそうです」

 

「そうさね……次に出てくるデッキ次第だが、恐らく……」

 

 剱菜先輩がフィールドをちらりと見ると、そこにはあの天使デッキ使いが余裕の表情で立っていた。

 

「ま、天使だろうがなんだろうが、やれるだけやるだけの話さ」

 

 そう言って先輩は余裕の表情でフィールドへと向かっていった。

 

「……お見逸れしたよ、まさかあのようなデッキを使う人間が居るとはな」

 

 相手はまるで賛辞を送るように、だが軽くそう呟く。

 

「それにしては随分とこちらを軽く捉えているようだが?」

 

「なに、あのデッキは確かに強いとは思うがそれまでの話、はっきり言えば君の後輩とやらもどうしようもない雑魚としか思えなくてね」

 

「ほう?」

 

「あの程度の雑魚デッキしか使えないと見るに、私からしたら見るに耐えない、彼の本来のデッキならともかくな」

 

 ……どうやらこいつは昔の俺を知ってるような口ぶりをしていやがった。

 

「なら、試してみるか?私のデッキが、そこまでに雑魚というかを」

 

「ふ、良いでしょう、獄将中堅、三神アマツがお相手してくれます」

 

「それではデュエル開始!!」

 

剱菜 LIFE8000

アマツ LIFE8000

 

「先行は私です、私は手札からスケール1『大天使イスフィール』とスケール8『オリンピアの天使 ハギト』をペンデュラムスケールにセッティング!!」

 

『大天使イスフィール』 青P1

『オリンピアの天使 ハギト』 赤P8

 

「さらに手札から『強欲で貪欲な壺』を発動!!『イスフィール』の効果により、コストを支払わずにデッキから二枚ドローし、さらに『イスフィール』の第二のペンデュラム効果で、『強欲で貪欲な壺』の効果をもう一度適用し、さらに二枚ドロー!!」

 

「いきなりの四枚ドローか……厄介な」

 

 ホントだ。遊戯王においてハンド……つまり手札の消費が激しいというのに、それを意図も簡単に克服してくるとは……

 

「そして適用済みのPスケールを使い、ペンデュラム召喚!!現れなさい『アテナ』、『クレイオ』!!」

 

『アテナ』 ☆7 A2700 

『天使クレイオ』 ☆2 A800

 

「さらにカードを二枚伏せて、ターンエンド」

 

 

アマツ 手札二枚 LIFE8000

フィールド

『アテナ』 ☆7 A 2700

『天使クレイオ』 ☆2 A 800

伏せカード二枚

『大天使イスフィール』 青P1

『オリンピアの天使 ハギト』 赤P8

 

 

「私のターン、ドロー!!……私は『暗黒界の取引』を発動!!お互いにカードを一枚引き、その後手札を一枚捨てる。私は『ワーウルフ・コマンド』を墓地へ捨てる」

 

「紫使いですか……ならば私は手札の『オリンピアの天使 オク』を墓地へ捨てます」

 

「ならば効果終了時に『ワーウルフ・コマンド』の効果発動!!このカードが墓地へ送られたとき、デッキから一枚ドローする。そして続けて私はカードを一枚伏せ、『ミーア・バット』を通常召喚!!」

 

『ミーア・バット』 A 800

 

 ここまでで一応先輩のアド損は全くなし、ここからどう展開していくのやら……

 

「バトル!!『ミーア・バット』で『天使クレイオ』を攻撃!!」

 

「……通しましょう」

 

 蝙蝠の羽が生えたウサギと青い髪の天使がぶつかり合い、互いに小規模の爆発が引き起こる。

 

「この瞬間、墓地の『ワーウルフ・コマンド』と、伏せていた『呪の覇王 カオティック・セイメイ』の効果発動!!」

 

「ッ……紫不死ループデッキか」

 

 相手も気づいたようだが、時既に遅しだ。

 

「チェーン処理に入り、『アテナ』の攻撃力をターン終了時まで半分にし、闇属性モンスターが破壊された為、『カオティック・セイメイ』はフィールドに特殊召喚される!!」

 

『アテナ』 A 2700→1350

 

『呪の覇王 カオティック・セイメイ』 ☆8 A 2000

 

「そして闇属性・アンデット族モンスターの破壊により、『ワーウルフ・コマンド』を墓地から特殊召喚!!」

 

『ワーウルフ・コマンド』 ☆4 A1500

 

「『ワーウルフ・コマンド』で『アテナ』を攻撃!!」

 

「手札の『オネスト』の効果を発動!!このカードを墓地へ送り、攻撃力を『ワーウルフ・コマンド』の数値までアップする!!」

 

『アテナ』 A1350→2850

 

「返り討ちにしなさい!!『アテナ』!!」

 

「ぐ……」

 

剱菜 LIFE8000→6650

 

「『ワーウルフ・コマンド』の効果で一枚ドロー!!まだだ、『カオティック・セイメイ』で『アテナ』を攻撃!!」

 

「態々低い攻撃力のモンスターで攻撃……いや、効果の方ね」

 

「『カオティック・セイメイ』との戦闘で自分に発生するダメージは0となり、破壊された時、相手のライフに1000ダメージを与えて墓地から特殊召喚される!!甦れ『カオティック・セイメイ』!!」

 

アマツ LIFE8000→7000

 

「私はカードを三枚伏せて、ターンエンド」

 

 

剱菜 LIFE6650 手札二枚

フィールド

『呪の覇王 カオティック・セイメイ』 A2000

伏せカード三枚

 

 

「私のターン、ドロー!!」

 

「この瞬間、伏せカード発動『手札断札』!!互いに手札を二枚捨てて、二枚ドローする。私は手札から二枚目の『ワーウルフ・コマンド』と『仁王立ち』を墓地へ送り、さらにこの効果終了後に『ワーウルフ・コマンド』の効果によりデッキからカードを一枚ドローする」

 

「(なるほど、メイン2で敢えて撃たなかったのですか)……では私は手札の『ヴィエルジェ』と『ズラトロック』を墓地へ送ります」

 

 

剱菜 手札四枚

アマツ 手札三枚

 

 

 よし、先輩がロックカードを捨てさせたということは、相手は下手に攻撃できないぞ。

 

「私は『オリンピアの天使 ハギト』の効果発動、デッキからカードを一枚オープンし、そのカードが魔法・罠カードならば手札に、モンスターならば墓地へ送ります……カードは『堕天使スペルビア』ですので、墓地へ送ります」

 

「ち、余計なカードが落ちたか……」

 

 確かスペルビアの効果は墓地から特殊召喚されると墓地の天使を……あれ?まさか?

 

「さらに私は手札から『創造の代行者 ヴィーナス』を通常召喚し、『アテナ』の効果発動!!相手に600ポイントのダメージを与える!!」

 

「チィ……」

 

 

『創造の代行者ヴィーナス』 ☆3 A1600

 

剱菜 LIFE6650→6050

 

 

「さらにライフを1500払い、デッキから『神聖なる球体』を三体、フィールドを特殊召喚し、合計1800のダメージを与えます」

 

「ぐぅ……!!」

 

 

『神聖なる球体』 ☆2 A 500×3

 

アマツ LIFE7000→5500

剱菜 LIFE6050→4250

 

 

「さらに私は『神聖なる球体』二体でオーバーレイ!!エクシーズ召喚!!現れなさい『聖光の宣告者』!!」

 

『聖光の宣告者』 ★2 D1000

 

「アテナの効果でさらに600のダメージを与えます」

 

「ぐぅ!!」

 

剱菜 LIFE4250→3650

 

「『宣告者』の効果発動、ORUを一つ消費し、墓地の『クレイオ』を回収し、手札のカードを一枚デッキに戻します。そして『アテナ』の効果発動!!フィールドの『神聖なる球体』をリリースし、墓地の『スペルビア』、『スペルビア』の効果で『ヴィエルジェ』を特殊召喚」

 

『堕天使スペルビア』 ☆8 A2800

『戦神乙女ヴィエルジェ』 ☆6 A2000

 

「アテナの効果!!さらにヴィエルジェの効果でライフを1000回復する!!」

 

「ぬぁぁぁ!!」

 

アマツ LIFE5500→6500

剱菜 LIFE3650→2450

 

 たった1ターンで、剱菜先輩のライフをさっきまでの三分の一になってしまった。いくら『カオティック・セイメイ』の効果があるとはいえ、ここまでいくとオーバーキルも見えてきてしまう。

 

「私はこれでターン「この瞬間、罠カードを二枚発動する!!」なに?」

 

「『最終突撃命令』!!そして『竜星の極み』!!この効果で、相手フィールドのモンスターは全て攻撃表示になり表示形式を変更できず、可能ならばかならずこちらのモンスターを攻撃しなければならない!!」

 

 うまい、『カオティック・セイメイ』の効果を上手く利用できるカードの発動に、俺だけでなく観客まで少しだけざわめく。

 

「……なるほど、ならば仕方ありません、モンスター全てで攻撃します」

 

 どうやら発動できるカウンター罠カードが無かったのか、歯噛みしながら相手はダメージを受ける。

 

 『カオティック・セイメイ』のダメージ効果と、『ヴィーナス』、『聖光の宣告者』の自爆により、一気に4800のダメージが入る訳なんだが……

 

アマツ LIFE5500→1700

 

「チィ、足りなかったか」

 

「そのようです。ではメイン2に入り、私は配置済みのペンデュラムスケールを使い、ペンデュラム召喚します。現れなさい『クレイオ』!!」

 

『天使クレイオ』 A800

 

「さらに私は永続魔法『天の階』を発動し、ターンエンド」

 

 

アマツ LIFE100 手札0枚

フィールド

『アテナ』 A2700

『堕天使スペルビア』 A2800

『戦神乙女ヴィエルジェ』 A2000

『天使クレイオ』 A800

『天の階』 永続魔法

伏せカード二枚

『大天使イスフィール』 青P1

『オリンピアの天使 ハギト』 赤P8

 

 

「私のターン、ドロー!!……私は魔法カード『マジックプランター』を発動し『竜星の極み』をリリースして二枚ドロー!!さらに『手札抹殺』を発動!!互いに手札を全て捨てて、その枚数だけドローする。私は四枚だ」

 

「私には手札がありませんので、ドローはありません」

 

「さらに私は永続魔法『闇の聖剣』を発動!!そして手札より、スケール8の『闇騎士パロミデス』と、スケール2『冥総裁バーゲン』でペンデュラムスケールをセッティング!!」

 

『闇騎士 パロミデス』 青P8

『冥総裁ハーゲン』赤P2

 

「ほう、だがペンデュラム召喚で出せるのは手札の一枚だけでは?」

 

「『冥総裁ハーゲン』のペンデュラム効果で、このカードを使用したペンデュラム召喚の際、墓地の闇属性モンスターも召喚対象に加える!!」

 

「なに!?」

 

 相手も驚いてるが、はっきり言えば俺も同様だった。元々『ハーゲン』は不死デッキのキーパーツに使われることもあるカードだったが……よもや強化されるとは……。

 

「ペンデュラム召喚!!現れろ、我がモンスター達!!墓地より姿を現せ、『闇騎士ケイ』、『虚皇帝ネザード・バァラル』!!」

 

『闇騎士ケイ』 ☆4 A1800

『虚皇帝ネザード・バァラル』 ☆7 A2000

 

「さらに私は、レベル8『カオティック・セイメイ』にレベル4『闇騎士ケイ』をチューニング!!シンクロ召喚!!現れなさい『騎士の覇王 ソーディアス・アーサー』!!」

 

『騎士の覇王 ソーディアス・アーサー』 ☆12 A3500

 

「『ソーディアス・アーサー』の効果で、墓地の攻撃力2000以下の闇属性モンスターを蘇らせる!!復活しろ『カオティック・セイメイ』!!」

 

「……これはかなり厳しいわね」

 

「これだけではない!!『ネザード・バァラル』の効果で、このカードがフィールドに存在する限り、相手フィールドのモンスターの攻撃力を1000ポイントダウンし、500以下になったモンスターは除外される!!」

 

「……つまり『クレイオ』は除外されるわけね」

 

「バトルだ、『ソーディアス・アーサー』で『ヴィエルジェ』を攻撃!!」

 

 これで決まった、俺は少なくともそう思った。だが、

 

「カウンター罠『攻撃の無力化』、バトルフェイズを強制終了する」

 

 それさえも相手は防ぎきってしまった。

 

「ク、私はカードを一枚伏せ、ターンエンド」

 

 

剱菜 手札0 LIFE2450

フィールド

『ソーディアス・アーサー』 A3500

『カオティック・セイメイ』 A2000

『ネザード・バァラル』 A2000

『闇の聖剣』 永続魔法

伏せカード一枚

『闇騎士 パロミデス』青P8

『冥総裁ハーゲン』 赤P2

 

 

「私のターン、ドロー!!……私は魔法カード『アドバンスドロー』を発動!!フィールドの『スペルビア』をリリースし、デッキから二枚ドロー!!……そしてペンデュラム召喚!!現れなさい、我がエース!!『大天使アヴリエル』!!」

 

『大天使アヴリエル』 ☆6 A2500

 

「さらに罠カード『強制脱出装置』を発動し、『ネザード・バァラル』を手札に戻してもらいます」

 

「ちぃ!!余計なことを……」

 

「そしてアテナの効果でバーンダメージを与えます」

 

剱菜 LIFE2450→1850

 

「さらに『アテナ』の効果で、『ヴィエルジェ』をリリースし『スペルビア』、そして『スペルビア』の効果で『ヴィエルジェ』を復活!!そしてバーンダメージ!!」

 

アマツ LIFE1850→2850

剱菜LIFE1850→650

 

「さらに『天の階』の効果発動!!1ターンに一度、天使族のモンスターが召喚、特殊召喚に成功したとき、墓地のレベル4以下の天使族を手札に戻す。私は『オネスト』を戻し、バトル!!『アヴリエル』で『ソーディアス・アーサー』を攻撃!!」

 

「墓地の『仁王立ち』を除外し効果発動!!『カオティック・セイメイ』を選択し、このターン、『カオティック・セイメイ』以外への攻撃を不可能にする」

 

「罠カード、『盗賊の7つ道具』!!罠カードの発動をライフを1000支払い無効にします」

 

 

アマツ LIFE2850→1850

 

 

「これにより『ソーディアス・アーサー』への攻撃が可能!!よって『アヴリエル』で『ソーディアス・アーサー』を攻撃!!ダメージステップで『オネスト』を墓地へ送ることで、攻撃力を3500アップ!!」

 

 闇の騎士王が剣を振ろうと、白き翼の天使はひらりとそれを交わし続け、そして巨大な炎球を手元に召還し、闇の騎士に投げつける。

 

「テンタロス・ノウズ!!」

 

 それはまるで浄化するように、強大な炎の柱となり、爆撃のような衝撃波を発生させるのだった。

 

「ぬぁぁぁぁぁ!!」

 

 

剱菜 LIFE650→0

 

 

「先輩!!」

 

 倒れ伏す剱菜先輩に、俺と裕司先輩が大慌てで駆け寄る。見たところ火傷などの跡は見つからないが、それでもあれだけの衝撃をくらって無傷なわけがない。

 

「く……すまない、二人とも」

 

「先輩!!しっかりしてください」

 

「すぐに救護室に向かおう、かなりのダメージがあるはずだからね」

 

 裕司先輩は剱菜先輩の体を抱えると救護室に向かおうとする。

 

「蓮……勝ってくれ……」

 

 剱菜先輩の力なき呟きを残して……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。