スピリットが遊戯王モンスターになってた件   作:ドロイデン

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第九羽 嘆き飛ぶは烈神

 休日、それは学生にとっては唯一遊ぶに相応しい日取りであり、また、ショップ大会が開催される日でもある。事実駅前やらのカードショップにはテーブルデュエルの大会をどこでも開いている。

 

 普通なら俺もそこに加わってるのだろうが、今日の俺は少し違った。首には双眼鏡をかけ、背中にはバックパック、帽子といった出で立ちである。

 

「ついたぞ……野鳥公園!!」

 

 そう、今日の俺はデュエリストではなくただのバードウォッチャーだ。趣味を全開にしており、蘭や亮達が見たらまず驚くような姿をしている。

 

「お!!早速ツバメ発見!!」

 

 もう五月の中旬、居ても当然なのだがやはり生で見るツバメはとてもカッコいい。

 

 さて、と他には居ないかと探してみると今度は珍しいコアザラシを見つける。中々日本では見つかり辛い種類なので、思わずカメラを身構える。望遠レンズ付の一眼レフでピントを合わせつつ、狙いを付けてシャッターを押す。

 

 とった写真を確認すると、ピンぼけを興しておらず、しかも羽ばたくシーンが撮られていて、少しだけ気分が高揚する。

 

「…………」

 

 と、その時後ろから何かの視線を感じた。まるで監視してるような……観察してるような……そんな視線を。

 

(気配的には男……しかも20代ぐらいか?いったい何を……)

 

 少し勘ぐるが、どうやらあちらから接触するつもりは無いのか、こちらを観察するだけで近づいてくる気配は全く無い。

 

 仕方ない、そう割りきり俺は趣味モードに戻る。さて、他に珍しい野鳥は居ないかね~

 

 

 

 お昼時、とりあえず上々ときりあげて振り返ってみると、どういうわけかグラサン掛けて大量に涙を流すスーツの大男が立っていた。

 

「…………まさか二時間以上、気付かれてるのに放置されるとは思わなかったぞ」

 

「えっと…………」

 

 ……なんと言って良いのか俺には分からないが、とりあえず昼飯用に持ってきていたお握り(自作)を渡してあげる。

 

 男はそれをすぐに受け取り、涙を片手で拭きながらもしゃもしゃと食べ進める。

 

「それで、アンタいったい何者なんだ?」

 

「……名乗るほどではない。……ナゾオトナとでも呼んでくれ」

 

(バトスピ一期の不審者じゃねえか、おい)

 

 まさかそんな丸パクリしてくるとは思ってなくて、少しだけ引いてしまう。

 

「……それで、わざわざ不審者みたいな事をしてまでなにやってるんですか?ナゾオトナとかいう厨二病臭い事やってまで?」

 

「頼むから気にしてることをずかずか言わないでくれたまえ……我々の目的は素質あるデュエリストの発掘のようなものだ。故に、才能のあるデュエリストを見つけ、デュエルするのが目的」

 

「ご高説どうも、それで、俺が勝てばなんか良いことあるのか?」

 

「当然、もし勝てばデッキエースを担えるほどのエースモンスターやカードを一枚やろう。最も、簡単に負けるつもりは無いがな」

 

「は、上等だ!!」

 

 俺はバックパックを下ろし、左腕のデュエルディスクを展開する。

 

「「デュエル!!」」

 

蓮 LIFE8000

ナゾオトナ LIFE8000

 

「先行は俺だ!!……俺は永続魔法『命の果実』を発動!!さらに永続魔法『聖者の樹の実』を発動!!そして『ジョーニン・トンビ』を召喚!!」

 

『ジョーニン・トンビ』 ☆4 A 1800

 

「俺はこれでターンエンド」

 

 

蓮 LIFE8000 手札二枚

フィールド

『ジョーニン・トンビ』 A 1800

『命の果実』 永続魔法

『聖者の樹の実』 永続魔法

 

 

「ふむ、私のターン!!……私は『ドラゴンフライ』を召喚!!」

 

『ドラゴンフライ』 ☆4 A 1400

 

「さらにフィールド魔法『大樹海』を発動し、永続魔法『一族の結束』を発動!!」

 

「昆虫族……リクルートデッキか!!」

 

「その通りさ!!さらに「だが、『聖者の樹の実』の効果で、相手ターンに相手が魔法、罠カードを二回発動した時、強制的にメインフェイズ1を終了させる!!」ち、ならバトルだ!!『ドラゴンフライ』で『ジョーニン・トンビ』を攻撃!!」

 

ナゾオトナ LIFE8000→7600

 

「破壊された『ドラゴンフライ』の効果と、フィールド魔法『大樹海』の効果が発動!!デッキから破壊された『ドラゴンフライ』と同じレベル4の『スパイダー・スパイダー』を手札に加え、さらにデッキから二体目の『ドラゴンフライ』を特殊召喚!!」

 

『ドラゴンフライ』 ☆4 A1400→2200

 

「『ドラゴンフライ』で再び『ジョーニン・トンビ』を攻撃!!」

 

「ぐぅ!!」

 

蓮 LIFE8000→7600

 

「『聖者の樹の実』と『命の果実』の効果!!自分のLIFEが戦闘によってダメージを受けたとき、デッキから一枚ドローする!!俺はこれにより二枚ドロー!!さらに破壊された『ジョーニン・トンビ』の効果で、フィールドに『分身トークン』を特殊召喚!!」

 

『分身トークン』 ☆4 A 1000

 

「グヌヌ……なら私はカードを一枚伏せて、ターンエンド」

 

 

ナゾオトナ LIFE7600 手札三枚(『スパイダー・スパイダー』)

フィールド

『ドラゴンフライ』 A 2200

『大樹海』 フィールド魔法

『一族の結束』 永続魔法

伏せカード一枚

 

 

「俺のターン!!よし、俺は永続魔法『神樹の切り株都市』を発動!!さらに『チューニン・ツバメ』を召喚!!」

 

『チューニン・ツバメ』 ☆3 A 1500

 

「俺はレベル4の『分身トークン』に、レベル3の『チューニン・ツバメ』をチューニング!!穹飛ぶ巨鳥よ、今あまねく敵を凪ぎ払え!!シンクロ召喚!!現れろ!!『鳥獣烈神 ガルード』!!」

 

『鳥獣烈神 ガルード』 ☆7 A 3000

 

 現れたのは、鳥人という姿の巨大な鳥形モンスターで、俺のデッキに存在する、唯一といっていいほどの()()()()()()()()である。

 

「レベル7で攻撃力3000だと!!しかもそんなモンスター、事前の情報には無かった筈だ!!」

 

「そりゃデュエルディスク通して使ってないんだから情報も糞も無いだろ」

 

 というか、どうやって情報を手に入れたのかの方が気になるところだが、とりあえずこのバトルを続けるか。

 

「バトル!!『ガルード』で『ドラゴン・フライ』を攻撃!!この瞬間、ガルードの効果が二つ発動する!!まず相手フィールドのカードを五枚まで手札に戻す!!」

 

「な、なにぃ!!わ、私のフィールドのカードが!!」

 

 フィールドのカードが戻った事に動揺してるが、こいつの本領はここからだ。

 

「フィールドにモンスターが居なくなったことにより、この攻撃はダイレクトアタックになる!!グロウブラスター!!」

 

「グァァァァァ!!」

 

ナゾオトナ LIFE7600→4600

 

「そしてこのモンスターの攻撃によってダメージを与えた時、相手のデッキを1()2()()墓地へ送る!!烈神封覇!!」

 

「な!!私のデッキは40枚……初期手札とドローサーチを引くと残りは……20枚だと!!」

 

ナゾオトナ デッキ残り32→20

 

「俺はカードを一枚伏せて、ターンエンド!!そしてエンドフェイズに『切り株都市』の効果によって、デッキを一枚オープン……風属性モンスター『ハーピィ・レディ1』の為、フィールドに特殊召喚!!」

 

 

蓮 LIFE7600 手札四枚

フィールド

『鳥獣烈神 ガルード』 A 3000

『ハーピィ・レディ1』 A 1600

『命の果実』 永続魔法

『聖者の樹の実』 永続魔法

『神樹の切り株都市』 永続魔法

伏せカード一枚

 

 

「私のターン!!……私はフィールド魔法『大樹海』を再び発動!!さらに手札三枚をデッキに戻し、『ゾンビ・キャリア』を墓地から特殊召喚!!」

 

『ゾンビ・キャリア』 ☆2 A 500

 

「『ゾンビ・キャリア』?なんでそんなカードを……」

 

 というか、どうやったら12枚の中に三枚も同じカードが落ちるんだ?

 

「私は『ゾンビ・キャリア』二体をリリースし、『地縛神Uru』をアドバンス召喚!!」

 

『地縛神Uru』 ☆10 A 3000

 

「なるほどな、『ゾンビ・キャリア』はそのための……」

 

「さらに『Uru』の効果!!最後の『ゾンビ・キャリア』をリリースして『ガルード』のコントロールを「させない!!リバース罠『デモンズ・チェーン』!!これにより、『Uru』の効果は無効になる」なんだと!!」

 

 用心の為に何枚か容れておいた罠カードに見事に引っ掛かってくれた事に安堵しつつ、俺は相手を見る。見事に引っ掛かったナゾオトナはグヌヌと歯噛みしながら睨んできている。

 

「わ、私はこれで……ターンエンド」

 

 

ナゾオトナ LIFE4600 手札三枚

フィールド

『地縛神Uru』 A 3000

『大樹海』 フィールド魔法

 

 

「俺のターン!!……バトル!!『ガルード』で攻撃!!この瞬間、相手フィールドのカードを五枚まで手札に戻す!!」

 

「ぐ……」

 

ナゾオトナ LIFE4600→1600

 

「さらにデッキ12枚を墓地へ!!」

 

「ぬぅ……!!」

 

ナゾオトナ デッキ残り22→10

 

「そして『ハーピィ・レディ1』でダイレクトアタック!!ヒステリックネイル!!」

 

「グァァァァァ!!」

 

ナゾオトナ LIFE1600→0

 

 

 

「……」ズーン

 

 デュエルが終わった直後、ナゾオトナはまるで仲間外れにされた子供のように体育座りになって、地面にのの字を書き始めてしまった。

 

(もうやだ……無視されるし、)(デュエルでは何も出来ずに負けるし)(居る意味あるのかな……)

 

「……その、なんかすみません」

 

「あぁ、別に大丈夫、大丈夫、でもここまで何も出来ないと逆に清々しく感じるよね……アハハ」

 

 なんか色々と精神的におかしくなりそうな勢いで、俺はとりあえずバックパックから緑茶を取り出して差し出してあげることにした。

 

「その、自分が言えたことじゃないすけど……気を確り持ってくださいね?」

 

「うん……そうだね……あ、それとこれを渡すよ……」

 

 そう言ってナゾオトナが内ポケットから取り出したのは一枚のモンスターだった。

 

「これは……!!」

 

「勝てば君にあげるつもりだったカードだ。大事にしたまえ」

 

「あ、はい!!」

 

 それだけ言うと、ナゾオトナはフラフラとその場から去っていった。……とりあえずあの人がもとに戻る事を祈りながら、俺は再びバードウォッチャーへと戻るのだった。




『鳥獣烈神 ガルード』 シンクロ
☆7/水/鳥獣/A 3000/D 2000
チューナー+チューナー以外のモンスター一体以上
『鳥獣烈神ガルード』はフィールドに一体しか存在できず、エクストラデッキ以外から特殊召喚できない。
①このカードが攻撃したとき、相手フィールドのカードを五枚まで手札に戻す。
②このカードの攻撃によって相手に戦闘ダメージを与えたとき、相手のデッキからカードを12枚墓地へ送る。
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