新京阪物流のトラックドライバーで、法人向け大口集荷係の茶沢信輔は、塩沢あいりのことが好きであった。そして彼が集荷に向かう前に、出発ホームにトラックを停めロールパレットを積める状態にしてから、出発ホームに地域宛ロールパレットを置きに来た塩沢へ彼は声をかけた。
「君!塩沢さんと言うのだね!」と、茶沢が言うと
「そうです。まあ短期のゆうメイトですが。」と、塩沢が言うと茶沢はいきなり
「あの~ちょっと話をしよう?」と言って、塩沢をトラックの荷台へ招き入れ、茶沢はいきなり壁ドンをした。
「ちょっと」と、塩沢が言うと
「俺と付き合わない?」と、茶沢が言うと
「うん!いいよ!遊びに連れてってよ!」と、塩沢が言いだした。
「じゃあ後で、俺が帰局したらまた話そうね!」と、茶沢は言って出て行った。
一部始終は、実は葛城課長によって監視カメラにより見られていた。
「あの~茶沢さん!ちょっと輸送ゆうパック課の課長席に来て?」と、葛城課長は放送で呼び掛けた。
そして茶沢は、葛城課長のデスクへ呼び出し、事情を尋ねた。
「君は新京阪物流の茶沢君だねえ。ちょっと聞きたいことがあるから呼び出したのだけど?」と、葛城課長は尋ねると
「な~どもども~いや~課長!何ですか?」と、茶沢はチャらく言った。
「さっき塩沢さんに、君はちょっかいを出していたねえ。あまりほかの社員に関係のないことを出さないでほしいのだけどいいかねえ?」と、葛城課長は言い始めると
「いや~変な話、つい好みの女の子なので、声をかけなくてはいられないので。って言うか、塩沢さんは私の好みなので。」と、茶沢が言ったとき、
「ここは婚活パーティー会場ではないので、このようなマネはやめてほしいのですがいいですか?」と、葛城課長は言い出す。しかし茶沢は、
「あ!そろそろ餌の時間なので食堂へ行ってとってから、変な話この後も百貨店の集荷が入っているので、忙しいです。」と、彼は言って足早に立ち去った。葛城課長はあきれ返った。
木下が遅番で出社してきた。
「今日は夜勤だね。がんばってね!」と、葛城課長はお願いする。
「OKです。」と、木下は言って持ち場へ行った。理由はこの日より差し出す荷物は増加傾向だった。百貨店から大量のお中元を載せたトラックが毎日数台到着する。
午後の一般物の区分が落ち着いたら、一旦全国のロールパレットを移動させ、新たに管内用のものを準備する。塩沢は遠藤よりロールパレット配置について指導を受けるが、物覚えが悪く一度では理解できなかった。
「塩沢さん、そこは間違えていますよ。埼玉は川越中央と埼玉中央の二つに分けてください。」と、遠藤は言った。
ロールパレットの設置が終わるとそして管内百貨店ギフトを供給する。木下、山田、本田が供給に当たり、円、三毛猫、安原、藤堂、塩沢、井口はレーンに入った。手区分は中継レイアウトで、国際航空便の到着を待っていた。よって手区分エリアは地域宛3号便トラックの出発を待っている状況であったので、中央通路には全国宛の手区分ゆうパックが入ったロールパレットであふれ返っていた。それを見た杉江と小笠原は、入力未済のフラッグを立て荷物の少ないものをまとめて赤鉄に積載して片づけていた。
3号便は15時半定時で武蔵野中央を出発した。しかしまだ管内ばかりを差し立てをしている状況であった。一般物は遅れ気味である。供給口へ渡辺がやってきた。
「山田さん、もうそろそろ一般物に変えないと、差し立てに影響が出そうですよ。」と、彼が言うと
「そうだなあ。もうこんな時間だなあ。3号便も出発したし、そろそろ一般物を流すか?」と、山田は答えた。百貨店ギフトのロールパレットは、あと3台で残りはキャンセルとなっていた。
「久乃木と小笠原に残りの処理はあってもらおうかなあ?」と、本田は言った。
「これで、すべての百貨店ギフトは終了です。それでは、発送の準備に入ってください。ロールパレットは間の通路に放っておいて、全国を並べなおしてください。10分後に再供給します。」と、本田は放送で呼び掛ける。小笠原と久乃木は、キャンセル分の区分処理にあたった。小笠原が携帯端末で入力後、久乃木がロールパレットへ積載し、区検札のついたものは移し替え検査した。すると大量に誤送があった。
「あら、これ誰が区分したのかなあ?」と、小笠原は久乃木へ訪ねる。
「うっ!これっ!」と、久乃木は行き先札のサインを小笠原へ見せると、
「お!塩沢さんだね!後でちょっと指導してもらうね。」と、小笠原は言った。
宮森はこの日は、16時より集荷にまわった。いつも通り事務所をまわり、ギフトの営業もした。
「もしよければ、お中元は郵便局でお願いします。あとかもメールも!」と、宮森は言ってパンフレットを置いて帰っていた。そして集荷した荷物を持って、次の集荷先へ向かった。
法律事務所では、あの菅野彩がいた。
「へえ!あやちゃんは、お父さんの会社で事務員さんの仕事を学校終わってからやっているのだね!偉いね!」と、宮森は感心した様子で言っていた。
「ええ!早く仕事を覚えなくてはいけないので、私も何かと大変です。」と、彩は言った。そして集荷するゆうパックや郵便物を受け取ってから、普通郵便扱いの場合は切手で金額を1通ずつ確認してから、袋に入れて持ち帰った。
16時になり、午前締切の第1便の新東京多摩上り雑が出発していく。そしてほかの午前締め切りは追い込みとなった。遠方の九州宛や北海道は、航空便や鉄道、フェリーなどの手段を使って差し立てられる。矢野と小笠原は、トラックやコンテナの手配に追われていた。区分係は、ものすごい勢いで出てくるゆうパックを正確に区分していた。いつも通り管内レーンの社員は、応援で管外レーンに入りゆうパックを区分していた。安原も苦手な北陸の区分をマスターし、正確に区分していた。三毛猫はレーンから手区分に移り、高梨とともに区分している。そして満杯になったロールパレットやロールBoxを出発ホームや完成貯留エリアに並べて、出発を待っている状況であった。16時半にすべての午前締切が入った。これでようやく夜の差し立てへ移る。そして塩沢は上がり時間になり、安原と宮森へ挨拶してから帰宅した。
そこへ百貨店からの引き受けたゆうパックを載せたトラックが、武蔵野中央に到着した。そしてこのトラックの運転手は、まさかの茶沢であった。さらに帰り際の塩沢を見つけてすぐに声をかけた。
「やあ!塩沢さん!オレだよ!オレ!」と、茶沢が声をかけると
「あ!茶沢さん!」と、塩沢は言って彼に駆け寄った。そして茶沢は用事が終わると、塩沢とともに食堂へ向かった。食堂に着くと、茶沢が塩沢の分の飲み物を買って、二人で飲みながら話をした。
「ねえ塩沢さん?どこか行きたい所とかない?」と、茶沢が尋ねると
「そうねえ?美容院に行ってきれいにしたいなあ?今お金がないから行けないからなあ。今日、井口さんに髪の毛のことを言われたから、きれいにしたいなあ。でも親がお小遣いくれないし。」と、塩沢が答えた。
「じゃあ、僕が連れてってあげるよ。明日の勤務終わりに、僕が連れてってあげるよ。」と、茶沢が言いだした。すると
「うれしいなあ。」と、塩沢が喜んだ。そして約束をした塩沢は、この後帰宅した。茶沢はここで休憩を取ったのち、トラックを車庫へ返却に行った。
配達係の木佐光秀や京橋晴海も、配達に追われていた。毎日大量の郵便物やゆうパックを正確に配達してまわる。特に京橋は、朝の10時から夜21時まで毎日配達している。不在で持ち帰るゆうパックも時期が時期なので多い。それの対応に、配達担当の瀬川や堂本、新川の3人は追われていた。窓口係や電話対応のオペレーターからも到着したゆうパックの再配達の手配や窓口での手渡しなどに追われていた。
17時になり、今井と坂木の二人と短期アルバイトの「末永みらい」、「夢乃きずな」、「星河かなた」、「白澤千歳」、「星雲永時(せいうんえいじ)」、「船越風香」が、やってきた。顔ぶれは前日と同じであったが、相変わらず問題が起きた。船越風香は少し体調が不良で、レーンに入れないそうであった。そのため、窓口の飾りつけをやる予定であった渡辺が出てきた。
「船越さん、気にしなくていいですよ。私と高梨さんがやりますので、窓口の飾りつけをやってください。それならできるでしょ。確かお父さんがイベント関係の仕事をしているので、お願いしますね。」と、渡辺がお願いする。すると
「わかりました。ありがとうございます。」と、船越風香は言って窓口の飾り付けに行った。
区分はまず大量に到着する、ノーステップと八王子のリサイクルショップ、そして残りの百貨店ギフトを供給する。しかし星雲は、供給作業が下手であった。そして山田が
「星雲君、お酒流れているよ!だれか拾って!」と、言った。三毛猫はすぐさまお酒の箱を見つけて回収した。
「おっと!危ないよ!お酒はダメよ~!ダメダメ!」と、三毛猫は言った。
「注意します・・・」と、星雲は言って作業した。
まだロールパレットは、50台以上あった。そしてまだまだ区分するロールパレットの台数は増える傾向であった。三毛猫と山田、本田の3人は残業して、これらの区分にあたることになった。
船越風香は持ち前の抜群のセンスで、窓口を飾り付けていた。ちょうど七夕の笹飾りを出す季節だったので、輸送ゆうパック課の場所から窓口へ笹飾りを運び出した。
「こんなゆうメイトさん初めてですねえ。」と、窓口係のものが感心していた。そして彼女が風船を飾り付けていた時にこう言った。
「あ!風船!私これ好きなの!」と、船越は言っていた。そして赤いゴム風船を抱きしめながら
「こうやって、風船さんを持つとすごく落ち着くの。」と、言ったときに
「へえ!かわいいもの好きなのですね!船越さんは!確かに風船きれいですね。」と、小休憩のために正面玄関に出てきた小笠原が言っていた。
「私は風船が好きです。きれいだから・・・」と、船越が言うと
「気にしなくてもいいですよ。」と、小笠原は言った。
区分はまでピークを迎えていないものの、いつも以上に増えていた。第一供給では、戦力外が出た。理由はまた、星雲が供給禁止の酒を供給して、ついに外されたのであった。そして井口のいるレーンに入った。
「あら?星雲君は、供給じゃなかったのかなあ?」と、井口が訪ねると
「まあ訳があって、こっちへまわされた。」と、星雲は答えた。そして関西のレーンで区分作業をした。一方のベルトコンベアの終点では、渡辺がキャンセルを回収していた。ゆうパックの量が多いため、手区分を活用してキャンセル処理をすることになったためであった。しかしここでは、夢乃がキャンセルゆうパックを赤鉄ロールパレットに投げていた。それを見た渡辺は、すぐにキャンセルを回収する作業に移った。
「あの~夢乃さん、もっと丁寧に荷物を扱ってください。キャンセルを投げないでください。」と、渡辺が言うと
「あ!そうだったの!じゃあ注意します。」と、夢乃は答えてから持ち場を大阪宛の場所へ移動した。
午前第2回目の締め切りの新東京多摩上り雑が出発する頃になり、ロールBoxはトラックに積み込まれていったが、区分機は止まらず社員は総動員でゆうパック区分作業にあたっていた。ものすごい音を立てて、区分機のベルトコンベアは動いていた。ノーステップと八王子のリサイクルショップ、管内の百貨店ギフトを中心に供給する。短期学生アルバイトの方も、社員とともの区分にあたっていた。
18:45になりいったん機械を止めて、レーンで作業していたすべての社員が休憩を取った。
「安原さん、この後も荷物が多いから、これ飲んで頑張ってくださいね。」と言って、栄養ドリンクを矢野が届けた。
「あ!ありがとうございます!」と、安原は言った。
まだ供給物が多く残っていう状況で、さらに夜の百貨店ギフトを積んだトラックも到着した。そのトラックに国際郵便のロールパレットを積載する。しかし山田と三毛猫は、特殊郵便課の対応が遅いことに気が付いた。すぐに三毛猫は内線電話をすると、「エレベーターへの積み込みで、苦戦している。」との内容の回答だった。じきにエレベーターが1階に到着し、出発ホームに三毛猫は、国際郵便のロールパレットを並べるや否やトラックへドライバーとともに積載した。差し立ての時間は限られていたため、このような状況となった。
19時になり、再び区分機のベルトコンベアが稼働する。最初は一般物を供給し、余裕が出ると
しかし末永が問題を少し起こす。それは忙しいため、積載速度を上げるために雑多な積み込みをする。指定された向きの間違えや、下積み厳禁の荷物の上に重量物を積み込んでいた。それを見抜いたのは、なんと久乃木であった。すぐに安原に報告する。
「あっ!やすぅはら!あん!」と、久乃木が言うと
「ん?あ!久乃木ちゃんどうしたの?」と、安原が言うと
「これっ!まちがえぅ!」と、久乃木は末永が区分したロールパレットを指差して安原へ報告した。
「あ!これはいけないね!じゃあ指導をお願いしなきゃ!」と、言って安原は末永を指導するため、ベルトコンベアの終点へ行く。
「あの末永さん、もっと丁寧に区分してください。いくら忙しくても向きぐらい気を付けて取り扱ってください。矢印のあるゆうパックは、その向きが上になるようにしてください。」と、安原が声をかけた。
「あ!知らなかった!すみません!」と、末永は言った。すると
「失敗した荷物は、久乃木ちゃんがやってくれるので、そのまま区分してください。」と、安原は言い残して自分の持ち場の北陸レーンに戻った。
その頃、久乃木と高梨は手区分で苦戦していた。久乃木は末永が失敗したロールパレット内を整理して、発送していた。すると誤送や間違えた向きに入った荷物が多く発見された。それを正しい向きにするとともに、終了後は発送するために一時貯留場所へロールパレットを持っていく。
すべての区分が終了したのは、アルバイトの学生が帰ってからの22時であった。宮森や小笠原、矢野、久乃木は帰宅し、安原と藤堂は早朝からの出社になった。三毛猫と木下は夜勤になり、差し立ての最終確認と発送、JPレールエクスプレスの臨時対応にあたっていた。その後、深夜に交代で仮眠をとりながら管内扱いの対応にあたった。
翌日は、5時より続々と管内や午前配達のゆうパックを区分する。一部は新東京多摩で区分が済んでいるものは、経由扱いになった。メインは武蔵野中央到着となった。夜勤の木下は帰宅したが、三毛猫は2日連続勤務になり、間で仮眠をとりながら作業には当たる。
管内便や全国午前配達は4時から対応にあたるが、荷物の量は増加傾向にあり中京上り雑や東北便に追われていた。1号便が出るのは、朝の7時半。これに間に合うように作業する。
塩沢は、この日は宮森と矢野とともに8時に出社となった。簡単な連絡を受けて、作業にあたる。手区分の高梨ですらベルトコンベアの作業にあたっていた。しかし塩沢は、茶沢のことばかり気にしていて、うっかりロールパレットの準備を忘れる。それに気づいた三毛猫は空のロールパレットを持ってきて、塩沢へアドバイスする。
「あ!塩沢さん!もうその小平市と国分寺市のロールパレットは満杯なので、発送してください。すぐに新しいパレットを取りに行って、行き先の紙を貼って続けてくださいね。最近塩沢さんは、上の空なので心配です。」と、彼が言った。
三毛猫は手区分を中心に当たり、第一供給の円と10時に引継ぎし帰宅した。しかし人では慢性的に足りない状況であった。追加募集でやってきたのは、秋からの契約社員で入社予定の「安藤つばき」がいた。それを見た高梨は、早速彼女に話をかける。
「ねえ!安藤さん!午前は中継扱いですよ。言っておくけど、ここでは体力と根気が勝負だよ!顔はどうこうじゃない!」と、高梨が言うと安藤の集中力が途切れる。案の定、ベルトコンベアは箱などであふれ、警報音が響き渡った。そして高梨は、
「気が散るからやめてください!」と、安藤に言われる始末であった。
JPレールエクスプレス関係の荷物は、先に供給するものと後回しのものに分ける。昼から配達のものは、2号便で差し立てる。
そういっている間にも、トラックが続々到着する。供給の山田と円は、手際よく荷物をベルトコンベアへ流す。それを安原、安藤、井口、塩沢、高梨、渡辺の6人が各レーンに入り区分する。
新東京多摩下り雑はなくなったものの直行や武蔵野中央経由扱いのものは、ここで一旦積み替える必要がある。しかしその量は、赤鉄ロールパレット換算で150台ほど。夏休み前の7月第一週、まだ次週に控えるので、荷物はまだまだであった。
供給は区分検査なしにすれば、2号便の差し立て時間には間に合った。葛城課長は放送で手区分へ入るようにレーンの作業者へ促す。手区分のエリアでは、杉江と新川、矢野がいた。薄物のフラットソーターのオペレーターは矢野で、供給からまわってくるものを区分する。新川は完成した武蔵野中央宛のゆうパックを回収し、瀬川と堂本と共に道順差し立てにあたる。
11:45ようやくすべての荷物が到着した。しかし郵便区分台には、杉江が区分した機械処理が不可能なプールチケットの薄物ゆうパックが放置してあった。それに新川が気付いた。
「あの~郵便区分台にゆうパックが放置されています。」と、彼女が言うと
「え~!あ!これはまずい!すぐにケースを用意して、ダッシュで出発ホームに持って行け!」と、山田が言う。そして安原や塩沢にもケースを渡され、出発ホームにある完成ロールパレットへ投げ込んだ。
そしてレーンでは、全国宛のロールパレットやロールBoxを設置して、皆は昼食休憩を取った。
昼からは修羅場であった。百貨店ギフトの前に、集荷で集まったゆうパックを供給するが、その台数はいつもより多かったのであった。山田と円が供給担当をしていた。一旦、集荷物の供給が終わった頃に久乃木が出社してきた。
「久乃木ちゃん!こんにちは!」と、安原が声をかけた。
「うっ!こんっ!」と、久乃木は答えた。そして14時からは管内ギフトゆうパックの区分を行った。全国から専用の緑のロールパレットを設置し、区分を行った。すると一部に赤鉄などの通常使用するロールパレットも設置する。そこには「区検」のフラッグを立てる。
久乃木は杉江とともに手区分で、中継処理とEMSを区分していた。
「久乃木さんは、いつも丁寧に区分するね。」と、杉江は声をかけるが、久乃木は何も言わず黙々と英語で書かれたEMSを区分していた。
一方のレーンでは、塩沢が手際の悪い区分をやらかしていた。
「あの~塩沢さん!もう少し手際よく、川越、新埼玉、宇都宮に分けてください。」と、安原が声をかけた。
「あ!レーン変わったのだね!」と、塩沢は言って作業するがよそ見が多く、すぐに荷物であふれかえる。
それを見かねて、新川が塩沢を指導する。
「塩沢さん。今管内を供給しているので、できるだけ住所と区分番号の両方を見て作業してください。あとギフトのビール、タオルセット、洗剤セットに分けてから、重量物は下段に、軽量物は上段に積載してください。」と、丁寧に指導した。そして新川が塩沢をしばらく見守り手伝いながら区分した。
15時過ぎに、ようやく管内ギフトゆうパックの区分が終わった。その後、大急ぎで午前締切の全国宛の区分にあたる。同時に3号便の出発時刻を迎え、18Xの郵便局へ向けトラックが出発した。
「みんな~!ペースアップでお願いしま~す。」と、様子を見に来た丸川局長が放送で呼び掛ける。それに応えるべく、供給や区分のものは働いた。何とか皆は、17時に午前締切を終わらせるべく、区分作業にあたった。手区分では、矢野と久乃木が酒やカバン、玄米の米袋を区分している。20kg以上のものは、通りがかりの社員が指定のレーン前にロールパレットでもって行き、レーンのものに伝える。そして伝票に記載されている都道府県と仕訳番号を確認し、各方面へ向かうロールパレットへ積載する。
塩沢は夕方17時に仕事が終わった。学生アルバイトへ引き継ぎを終わらせ、通用口を出てしばらく歩いたコンビニに、茶沢の運転するトラックが止まっていた。
「あ!塩沢さん!乗って!乗って!」と、茶沢が招きトラックへ乗った。彼は自分のプライベートのために、禁止事項である「便乗」に手を染める。約束通り茶沢は塩沢を美容院へトラックで連れて行く。そして移動中に塩沢と話をした。
「ねえ~茶沢さん!夏だから海水浴に行き行きたいなあ?今度連れてって!?」と、塩沢が尋ねると
「う~ん、今は繁忙期で忙しいから今は無理だよ!でも閑散期に入れば連れて行くよ。」と、茶沢は答えた。
「三浦海岸とか行きたい・・・」と、塩沢が言うと
「じゃあ8月最初の休みにでも行こう?」と、茶沢は答えた。
「やった!水着デート!」と、塩沢は喜んで騒いでいた。
「それまでにも、プールにでも泳ぎにいかない?」とも、茶沢が言うと
「いいね!夏は泳ぐのに限る!」と、塩沢は喜んだ。
その頃、郵便局では短期のアルバイトの顔ぶれがあった。末永みらいは相変わらず手際が悪い。手区分で区分されたワインを抱きかかえるようにして、指定のロールパレットへ積み込もうとした。そこへ新川が
「末永さん、その区分はよくないです。万が一、手が滑って、ワインを落としてしまいせっかく丁寧に手区分で分けていても、努力が無駄になってしまいますよ。そこにあるケースに入れてから、できるだけまとめて持っていくようにしてください。」と、彼女は指導した。するとその通りに作業をするようになり、末永の手際がよくなった。コンベアの終点の関西、キャンセルでは、夢乃と星雲、遠藤が作業に当たり、北陸レーンでは安原と星河かなたが作業していた。
「あの~金沢宛と富山は量が多いので注意してください。あと誤送にも・・・」と、安原が星河に言っていた。星河はうなずいて黙々と作業していた。
午前締切がトラックに積載され武蔵野中央を発つ頃、区分はピークを迎えていた。機械は7時までノンストップであった。いつも通り、ノーステップやリサイクルショップの商品に加え、午後発送の百貨店のギフトゆうパックまで加わった。手際よく供給するのとともに、今どのレーンが忙しいのかをモニターで確認して、放送で行くように呼びかけた。
白澤は下柳とともに東北を担当し、夢乃は坂木とともに中京・西日本の作業にあたる。18:45まで機械はノンストップであるため、供給の木下、山田は手を止めずに作業する。高梨は手区分で機械区分できない、カバンやお酒を区分している。チルド室では小笠原がいつものAラインコート着用で、丁寧に食品の入ったゆうパックを区分し、指定の棚に区分している。そしてチルド専用の冷蔵ロールパレットへ積載し、行き先のカードを入れる。少しの休憩をはさんだ後、19時から2時間ノンストップで区分する。ギフトゆうパックが後半は中心となり、マンネリ化し始めていた。それは問題の引き金となった。案の定、星河が誤送未遂をやらかした。それに気づいたのは、なんと坂木であった。
「ちょっとこれ間違っているよ!郵便番号と行き先が一致しない!」と、坂木が気づき注意した。
「すみません。見落としです。」と、星河が言った。
「注意してくださいね。繁忙期はこの手の輸送事故が多いので、しっかりしてね!」と、坂木は笑顔で言った。星河は「はい!」と答えて、張り切って仕事をした。
宮森は集荷に向かい、すきっぷ通りの店舗から地方発送の商品を回収して持ち帰った。やっぱりお中元シーズンなだけに、ギフトが多かった。後部座席の部分まで荷物でいっぱいになり、そのまま帰局し本田にゆうパックを渡し、差し立てを行った。
キャンセルを打鍵入力し、すべて入ったのは学生アルバイトが帰ってからの21時半で、そこから全国へ発送する。かなりギリギリの状況であったが、差し立て時間に間に合った。出発ホームからトラックへ載せられ、各地へ向け発送されていった。
いよいよ山場の第二週、繁忙期差し立てに突入する。かなり危うい予感の中、最も郵便局が忙しくなる一週間が始まる。