東京都武蔵野市
吉祥寺や井の頭公園などがあるおしゃれな街。
ここにある地域・全国差仕立て、集配を行う郵便局、その名も「武蔵野中央郵便局」。
新東京多摩郵便局や新東京郵便局とはいろいろな意味で負けるが、これでも地域中継・全国差仕立てと集配を行う位置づけにある。ネット販売の増加で、増え続けるゆうパックに対応するために新設された郵便局でもある。また試験的に薄物のゆうパック対応の最新型自動区分機を設置したところでもある。
郵便番号18X武蔵野、三鷹、調布、府中、小金井、国分寺、国立、小平、西東京、東村山の全国到着郵便物の中継と全国への差し立てを行っている。全国差し立ては、基本は主要都市(札幌、仙台、名古屋、大阪、神戸、福岡など)と管内(関東内・埼玉、群馬など)へは直接ロールパレットで差し立てているが、地方へは新東京多摩郵便局へ上り雑便として一度送ってから差し立てを行っている。
新人の輸送ゆうパック課員、宮森あおいは郵便局のゆうパック課の社用車スズキアルトで、夜間の法人集荷を終えて郵便局へ戻る途中だった。信号待ちで停車中にカーラジオでは新作アニメの宣伝がしていた。ここへ佐川急便のハイエースが来ると同時に、宮森とハイエースのドライバーの目があった。このドライバーも、ゆうメールの発送代行で郵便局へ向かう予定だった。信号が青に変わり、熱き夜の青梅街道でバトルが始まる。驚異のドラテクで、競り合っていく。
郵便局に先についたのは、やはり宮森だった。局の1階にある引受郵便物用のホームについたら、真っ先に集荷した荷物を到着デスクの本田に引き渡す。
「今日も夜間の集荷お疲れ。あの会社、いいお客さんだけど集荷頼むのは夜間なんだよ。」と、本田は言った。本田は荷物の個数を確認後、普通郵便(信書)と国際郵便が入っていないかを調べてから、管外雑のプラケースに荷物を載せた。
宮森は自分のデスクに戻り、同僚の矢野とともに仕事をした。この日、大阪からの北陸経由の鉄道便(JPレールエクスプレス)が島本駅で発生した人身事故の影響で大幅に遅延していた。「急ぎの荷物が乗っているのに、なんでこんな日ばかりほっぴんジャンプするんだよなあ。困ったもんだよ。」と、矢野は言った。
「まあ気にしないでおけばいいと思う。たぶん遅れは2時間程度で済むと思う。1号便の差し立て時間をずらせばいいと思う。」と、小笠原はアドバイスする。しかし遅延は1時間以上で深刻なものだった。まあ待っていても仕方がないから、夜勤に引継ぎして帰ったほうがいいとの指示を受けた。そして企画で働いていた、宮森と矢野、小笠原は21時に帰宅した。
一方、区分する部署では、宮森が持ってきたゆうパックがちょうど最終便で処理されていた。薄物の封筒20冊を普通郵便課の社員がフラットソーターにかけて区分している。すべて管内だったので、トラックの出発は深夜になる。すべての差し立て締め切りは23時。局で夜勤の社員は結束時間に追われ忙しくなってくる。大量の普通郵便やゆうメール、ゆうパックが詰まったロールパレット、あふれんばかりに郵便が詰まったケースが大量に1階にある出発ホームへエレベーターで運ばれ並んでいく。
高梨と本田、木下の3人は、決められた向きにロールパレットを並べていく。トラックやコンテナがつくと扉が開き、ドライバーから便名と行先を改めて確認しロールパレットを積み込んでいく。
この日はトラックへの積み込みは1:00の管内便で終了した。最初の到着便が来る5:00までは仮眠時間だった。
翌日はJPレールエクスプレスの遅延により、管内便からスタートとなった。大量のロールパレットが1回の到着ホームに流れ込む。ここで高梨と本田は、普通郵便とゆうパックのロールパレットに分けていた。
普通郵便のロールパレットは、エレベーターで普通郵便課へ運ばれていく。一方ゆうパックのロールパレットは、1階のゆうパック自動区分機に投入する。この作業は、本田が行っていた。ようやく6:00になり続々社員が出社し、武蔵野中央郵便局も業務が本格的に始まる。遅延した荷物が武蔵野中央郵便局に到着は早くても7:30である。隅田川のコンテナターミナル到着は朝の6:30であった。
宮森や小笠原は7:00出社であった。出社するや否や、パソコンを立ち上げや雑務で忙しい。
ようやくコンテナが武蔵野に到着した。神戸からやってきたゆうパック専用の31フィートコンテナには、ネット通販の商品の詰まった赤鉄ロールパレットやロールBOXが大量に積まれていた。
到着エリアと呼ばれる場所へロールパレットは運ばれる。この際に、現金書留等の入ったパレットは、別の場所へ運ばれる。その後、山田が内部の現金書留等の荷物や郵便袋を回収し、第一供給にロールパレットを渡しベルトコンベアに荷物を流す。
「最初の管外便 関西便 着いたで!今から供給するぞ!」と、本田は放送で呼び掛けた。ベルトコンベアはものすごい音を立てて、大量のゆうパックを仕分けていく。7つのレーンに振り分けられた荷物が落ちていく。それを安原、藤堂、円、下柳、遠藤、佐倉が各レーンに入り、シュートから出てきた荷物を伝票の住所や仕分け番号のシールを見てから、行き先の紙の貼ったロールパレットに積み込んでいく。シュート出口が満杯にならないように手際よく、かつ誤送しないように積載するのは大変な作業である。
最大で2時間はこの作業は続く。体力と根気が勝負である。
薄物は専用区分機で作業する。この作業は、杉江が行っていた。この区分機は、1人で大量の薄物を区分できる高性能な機械である。
一方の高梨は、機械区分のできないもの(カバン、割れ物等)を手作業でさばいていた。手には昔の携帯電話のような大きな端末を持って、一つ一つゆうパックを入力し、指定の行先のロールパレットに積み込んでいく。中には30kgの米やジャガイモなどの根菜類も入っている。袋を破らないように慎重に高梨は積み替えていくが、誤って荷物をロールパレット上段に30kgの米袋を載せてします。それを見た遠藤はすぐに高梨を指導した。
「お前!上段に30kgの米袋乗せるな!何度言ったらわかるんだ!重量物を上段に積むとロールパレットが暴れることもあるし、第一安定性が失われるばかりか、到着局で積み下ろしは大変なばかりか、荷物落下の危険や破損の危険がある。絶対に下段に米袋などの重量物は乗せろ!わかったな!」
高梨は頭が悪いので、何度も遠藤らが言ったことを忘れる。本人もそのことをいまだに理解していない。
8:15に供給をいったん止め、1号便の出発準備に入る。出発ホームに各郵便局へ向かう午前~14時配達結束の荷物が詰まったロールパレットが並ぶ。それらを大急ぎでトラックに積み込みロールパレットを固定し、大急ぎで各郵便局へトラックは走って行った。
しかしまだ武蔵野中央郵便局には、午後夜間指定の荷物や北海道沖縄、九州航空便や地方都市便の到着待ちや仕分けが残っている。早勤の社員は小腹が空く頃、喫茶や自動販売機コーナーはにぎわっていた。一方宮森と矢野、小笠原は、電話の対応とトラックの対応で忙しかった。宮森は好物のドーナッツ片手に対応していた。トラックや鉄道の遅延ばかりか、一部荷物の誤送も発生していた。
「あの~新東京に武蔵野宛のゆうパックが4つ荷物残っていますが、2号便で対応できますか?」
宮森は「時間指定はいつになっていますか?」と、言った。
「それが・・・実は・・・本日の午前中になっているんです。すべて郵便番号の書き間違いにより、4つとも新東京のロールパレットに入っていたんですよ。」
「わかりました。すぐに新東京郵便局へ車で向かい回収し武蔵野中央にて入力後、仕立てのものに渡します。今なら往復でも10時には戻れるので。」と、宮森は言った。そしてアルトで、新東京多摩郵便局へ急行する。
そして休憩の後、再び供給が始まった。「新東京多摩下り雑 着いたで!」と本田は言った後、静岡・広島などの地方都市からの荷物を捌くことになる。その数はロールパレット32台分である。ひっきりなしに流れてくるゆうパックに圧倒される、安原はふらつき始める。「非常に疲れるなあ。この作業・・・なかなか慣れない・・・」と、安原は言った後、うっかり荷物をレーン下に落としてしまう。それに気づかないまま作業をする。しかしここへ教育係の杉江が、安原の落とした荷物を拾って渡しこう言った。「忙しい時こそ気を付けて作業したほうがいいよ。荷物の誤送や破損、またロールパレットによる労災事故にも合う可能性がある。ゆっくりと仕分けていくほうがいいよ。あとレーンを活用して重量物は後から載せていくといいよ。」
安原は「ありがとうございます。」と言って作業を再び始めた。機械は2時間おきに停止する。その間に残留点検や機器調整をする。その間に、捌いた荷物を載せたロールパレットを区分検査する必要がある。その最中についに安原は疲れのあまり作業をさぼり始める。この様子を見て、藤堂は安原にこう言った。
「ぼさっとしないで、ほらっ!すぐに区分検査しろ!」
すると安原は
「少し無理です。今日は荷物が多すぎます。私も疲れていますので、少し休みたいです。」と、言ったところ
「もう次の便来るまで仕方がないなあ。休んでおけ!」と、藤堂は言った。
最終の南九州航空便が武蔵野に着くのは10:40頃。トラックは今空港を出発して、武蔵野中央郵便局に向かっている。そして2号便の締め切り時間は11:30、局員は時間との戦いが始まる。
そして宮森は新東京郵便局から誤送荷物を持って戻ってきた。速やかに矢野が端末入力後、堂本に渡した。
「まあ無事荷物が配達されそうだねえ。」と、堂本は言った。
「本当に大変でしたよ。今日は、JPレールエクスプレス(鉄道便)が遅延するばかりか、誤送処理まであって宮森が車で走っていました。まさか急ぎの荷物とは、思ってなかったよ。」と、矢野は返した。
無事に南九州航空便が武蔵野に着いた。これを供給すると本日の到着便は、ほぼ終了する。
終了の合図を本田は出す。それでレーンにあるすべてのロールパレットを整理して、扉を閉めたのち各行き先の出発ホームに整列させる。そしてこれ以降の到着便は3号便として処理し、手区分になる。
5分間の休憩の後、今度はレーンを全国差し立ての準備に突入する。足元の標識を確認してロールパレットやロールBOXを指定のレーンに並べ行き先の紙を貼る。その作業が済むと、一足早いお昼の休憩に入る。
交代で遅番の木下が出社してきた。簡単に小笠原と宮森からミーティングを済ませると、武蔵野中央郵便局に到着のロールパレットの整理を始める。ここから全国へのゆうパックの発送が始まる。
管内と管外、法人と個人の4種類に仕分けていく。12:30より作業が再開される。1階での区分機はものすごい音を立てて、ゆうパックを捌いていく。
今のところ薄物は、ケースに入れて床においている。薄物区分機は停止中なので溜まってからまとめて区分を行う。区分効率向上と破損と誤送をなくすことができる。
木下はかなりの問題人物である。人以上にペースが速いが、かなり雑多に投入する癖がある。過去数回にわたって、お酒を自動区分機に投入して破損させている。また区分やロールパレット内を区分検査することが苦手としているので、作業をさせたら誤送が多い。これが色々な問題を起こしていることを、本人は自覚していないがほかの社員は察知している。だから供給を担当させられているのも事実だった。しかしこの日は、神戸などからの到着便が多く、差し出す荷物はさほどなかったと思われた。
一方、配達仕立てに部署では、配達係への荷物を渡す準備に遅れが出ているばかりか、連絡漏れが勃発し積み忘れが出ている。これを見た井口は、すぐにバイク便を出すように配達担当の配車係へ連絡する。
「このままでは定時に捌けないばかりか、翌日へもつれ込む。何とかしなくてはいけない。軽量物と薄物はバイクで配達はできますか?」と、井口は配達担当へ提案した。
「じゃあ一部を通常の書留とかといっしょに配達させれそうか。」と、配達担当は回答した。しかしここで、さらなる問題が発生する。それは再配達漏れが発生した。再配達依頼があった際に、配達する者への連絡が漏れて、持ち出しを忘れてしまった。
「もう何やっているん!このままでは、大変なことになりそうだよ。再配達の指定は、15:00となっている。あ!しまった!あの担当に連絡するのを忘れていた!」と、新川は言っていた。井口は
「もう何をやらかしたっていうの!これ急ぎの荷物なのに!まあ局からバスで15分ほどのところだから、バイクで走れば大丈夫だと思う。でもやはり軽4車でないとこの重量は厳しいなあ。」と、答えた。ちょうど遅延していた荷物は問題なく配送され始めていたが、まさかの積み忘れが発生している状況となった。しかもすでに前を通る配達車は出発した直後であった。ついていないときは、本当についていない。
「もう仕方がないなあ。宮森に走ってもらえるか聞くしかない。」と、井口は提案した。そして局の内線電話で、宮森へ連絡した。
「もしもし輸送ゆうパック課の宮森です。」
「あの宮森さん、少し問題が発生していて配達担当の代わりに配達は可能ですか?場所は吉祥寺のいつもゆうパックを使ってくれるお方の家です。処理の不手際で、本来の担当者に渡すのを忘れて、さらに再配達の指定が15:00までなので、代わりに届けてくれますか?」と、井口はお願いした。
「承知です。今から配達へ向かいます。荷物とルートを準備して1階の駐車場へ持ってあがってください。」と、宮森は言って電話を切った。宮森はあわてて配達員の上着を着て、1階駐車場で井口から荷物を受け取り、指定された吉祥寺のマンションへ向け車を走らせた。
郵便局1階では最初の三鷹、調布からの上り1号便が到着した。コンビニや特定郵便局(無集配局)や三鷹・調布市内で集荷した荷物を機械で捌いていく。到着便が落ち着いたと思うと、いったん機械を止める。そして藤堂と安原が手区分エリアへ行くと、家電量販店からの当日結束のゆうパックが到着していた。それらを藤堂が端末入力後、安原と高梨が手区分で積み込んでいる。そしてしばらくすると、東京国際からのEMS(国際スピード郵便)が到着する。これも同様に区分し、3号便として明後日到着の普通郵便とともに出すことになる。差し立ての時間は15:00、それまでは受け付ける状態にしておき、高梨が基本処理する。
たまに矢野が手伝いをする。しかし物覚えの悪い高梨は、ここでも問題行動をする。リサイクルショップへの着払いゆうパックによる通信買取のものを八王子着払いの赤鉄パレットへ積載せず、一般とEMSと混載してしまう。
「おい!高梨!また積み間違いしているよ!もう何度言ったらわかるの!八王子市のリサイクルショップの通信買取はここじゃないでしょ!法人向け着払いゆうパックは別の赤鉄パレットだよ!だからいつも区分検査したら一般物と急ぎの着払いがグチャグチャになっている。」と、矢野は言った。
高梨は「わりぃ」と言って、すぐに積み替えをする。「もう少しマシな受け答えはできないのかなあ?」と、矢野はつぶやきながらデスクに戻った。3号便は定刻通り、各郵便局へ向け走って行った。
そして16:00が近くなり、夕方からの差し立てを行うためのゆうメイト(アルバイトや契約社員)の方が出社してくる。この中に、宮森と安原、藤堂たちの高校時代からの親友である、今井と坂木が出社してきた。
3人は作業の手を止め、二人にあいさつした。
「こんにちは~!」と今井と坂木は言ってきた。するとここで、葛城課長は今井に対してこう言った。
「今井さんはこの部署じゃないですよ。いくら仲が良くても本来の業務は、国際郵便の国別の差し立てですよ。3階へ行ってください。」すると今井は、
「今は始業時間前なので、少しだけ。」と、返した。
とにかく仲のいい5人を前に、葛城課長はなすすべがなくなった。すると小笠原は、
「あのままで、いいんじゃない?」と、さりげなく葛城課長へ向け言った。
今井は大学生で、小遣いがほしいので郵便局で国際郵便の仕分けのアルバイトをしている。しかし週4日なので、あまり宮森たちと会うことができない。
坂木は声優を目指し、日々オーディションを受けている。でもなかなかオーディションに受からないので、輸送ゆうパック課で区分係のアルバイトを夜遅くまでしている。最終の管内便発送は行っていないが、大阪方面の鉄道便は差し立てをしている。
530kgのロールBoxや450kgの赤鉄はうまく取り扱えないが、皆にフォローされて仕事をしている。
遅番のミーティングが終われば、さっそく区分機のペースを上げて作業する。そして最後の午前中差出のゆうパックの供給をすべて済ませ、キャンセルと言われる荷物(区分機で分けれずに処理できなかったもの)を木下が流したのち、藤堂が打鍵して仕分けていく。この際に藤堂は、各レーンの様子を確認しながら木の下へ指示していく。
「管内の処理が追いついていない。管内便の供給を中止してくれる?基本は管外オンリー!」と、藤堂は指示を出す。キャンセルの入力区分が済めば、手区分と薄物を合わせてから検査したのちに差し立てる。機械が停止たたら、午前締め切りの荷物の発送が始まる。
安原は「今日は荷物が多いなあ。」と言っていた。坂木はすぐに安原をフォローし始める。
「まあ九州航空便と新東京多摩上り雑は、いつも大量だからね。それに安原さんは朝早くから頑張っているし、疲れると思うよ。」と、坂木は答えた。供給が終わると、ベルトコンベアの荷物投入場所にある余ったロールパレットをたたんで所定場所に片付ける。午前締切の差し立て完了後は、順次管内便を供給していく。
そして八王子のネット販売会社ノーステップの商品の供給に入る。このときの作業は、木下と藤堂が行い8台分の赤鉄を供給、打鍵する。いわば「半自動区分」といった感じで、通販商品を区分する。ブザーが鳴ると機械はキャンセルとなりすべて終点のレーンに落ちる。そのため打鍵係は、モニターでレーンの様子を確認しながら、供給に指示する。しかし木下が作業すると、モニターによるレーン確認を怠る癖があるので、問題が発生した。それは終点のレーンに落ちる荷物が多くなり、ついに荷物が詰まり緊急停止した。
「誰や~!エンドシュートいっぱいになっているのは!1回機械完全停止させて、点検作業に入る!」と、本田は言ってヘルメットをかぶり作業に入った。
17:00に入り、続々と午前締切の荷物が出発ホームに並び始める。普通郵便が満載された、アルミパレットもエレベーターで降ろされてくる。
宮森にも集荷依頼の電話が入り、車を走らせ依頼主の会社へ向かう。矢野はトラックの出発スケジュールの管理に入る。パレットやロールBoxの台数を輸送会社に報告する。九州へは航空会社へ連絡し、大阪などの関西方面の鉄道便31フィートのウイングコンテナ台数をJR貨物に連絡し手配する。
ノーステップの商品の供給が一段落すると、今度は午後締め切りのゆうパックが到着し始める。それらは自動で区分できるので、打鍵は不要だが間でキャンセル分の供給がある。この作業の打鍵は、藤堂が行うが到着便を見計らいながら行う。キャンセル供給中は、一般物は流せなくなるためであった。手区分のエリアでは、高梨が泣かされていた。応援で大量の機械区分不可のゆうパックを渡辺とともに端末入力後、所定のレーン番号のあるロールパレットに積み込む。しかしここでも高梨は誤区分をする。
「また間違っている!関西でないぞ!四日市宛は中京エリアのパレットだぞ!気をつけろ!」と、遠藤は高梨を指導した。「すみません。なかなか日本の47都道府県と主要都市が覚えられないのでつい…」と、高梨が言った途端、「お前はいつもこれだから誤送が多い!さらに破損も起こしている。米袋をすぐに上段に乗せたり、ゴルフバッグを固定せず発送したり、積み間違えまでしている。もっとしっかりしてほしいよ!」と、遠藤は言った。
一方の宮森もその頃、店舖や事務所を巡って、法人向けゆうパックを集荷していた。店舗ではマチ付袋が多く、事務所で集荷するゆうパックは薄物がほとんどであった。武蔵野中央郵便局に着いたら、薄物は杉江にプラケースに入れてから渡した。矢野は「みゃ~もり、集荷お疲れ~!」と、言って引き出しから菓子を宮森に渡した。
一方の今井は、特殊郵便課で国際郵便の仕分けをしていた。しかしなかなか国がわからないことも多く、大陸別に分けることを苦手としていた。
「今井さん、もう少し覚えてください。ニューヨークとサンフランシスコは違いますよ。アメリカでも場所と雑便を間違えています。」と、係りからいつも言われる始末だった。
もうすでに特殊郵便課で国際郵便担当は、お手上げの状態だった。だからいつも今井は、輸送ゆうパック課応援に駆り出されている。
「君はどちらかといえばゆうパック課のほうが向いていると思うよ。」と、杉江に言われていたこともある。でも輸送ゆうパック課には、高校時代から仲のいい坂木といつもペアを組み、重量物を取り扱うこともある。
「今井さんは国際郵便の区分じゃないの?」と坂木は、言ったとき
「係りの者がこちらの仕事が忙しいから、国際郵便の区分はいいと言われて来ている。」と、今井は言った。
業務はこれからがピーク、武蔵野中央郵便局に到着便が増えてくるのと、全国や国際交換局への出発便の時間も来る。出発ホームに荷物満載のロールパレットが並んでいる中、木下は放送で
「九州沖縄航空、北海道東北、新東京多摩上り雑、出発準備!」と、放送でレーンの社員に知らせる。そしてレーンにあるロールパレットで九州沖縄航空、北海道東北のものを発送差し立てに入る。今井は重要物(書留)入りのロールパレットを検査し、結束バンドで扉を締めて発送する。その後、残ったものも区分検査したのち発送していく。21:00大阪行きの鉄道便(JPレールエクスプレス)向けの発送が始まる。31フィートコンテナを積んだトラックがトラックエプロンに並び始める。行先を間違えないようにゆうパック課社員総出でロールパレットやロールBoxを積み込んでいく。出発時刻になるとコンテナの扉を閉めて、貨物駅を目指しトラックは走り去った。
そしてこの日、丸川局長は東京中央郵便局に行っていた。そこで人員確保のための会議に臨んでいた。問題だらけの国際郵便室の改善と輸送ゆうパック課の誤送低減、そして地域に親しみやすい配達員を確保するため行っていた。神戸にいる敏腕区分係がいるとの情報を聞きつけ、その方に来てもらえないかのテレビ電話会議をしていたりもした。
武蔵野中央郵便局に帰ってきたのは、遠方宛のトラック便の出る時間になっていた。宮森はすぐに正面玄関に駆けつけ、丸川局長をねぎらった。
「丸川局長、東京中央郵便局での会議お疲れ様です。」と、宮森は言うと
「ああ!ありがとう!会議の結果はよいものだった。これで業務がはかどり楽になると思う。」と、丸川局長は返した。局長室へ戻るためにエレベーターが来て丸川が乗り込むときに、
「宮森はいつも元気がいいなあ。元気がもらえるよ。」と、宮森に返した。
そして明日、東京中央郵便局での会議結果の詳細が局長から発表される。