Rail road girl! レールロードガール! 作:けいはんぐらし!
ついにこの日は、鷹取工臨の運転日であった。津和野達が準備したチキ6000が、梅小路(運転士)が運転するDD51-1193の牽引で昼に出発する。
津和野と小郡は、朝から大阪の本部に居た。
「ついにこの日が来たなあ!津和野君も工臨やるんやで!」と、小郡が言うと
「そうですねえ。」と、津和野は答えた。
「君のおやっさんも、工臨とか配給運転してたんやろ!」と、小郡が尋ねると、
「土崎配給とか、やっていました。」と、津和野が答える。
「そやったのか!すげえ!」と、小郡は言う。
「おはようさん!」と、言って会議室へ高岡と新宮が入室する。
「おはようございます!」と、二人は大きな声で挨拶すると、
「今日は工臨やなあ。」と、新宮が言うと
「ドキドキします。」と、津和野は答える。
「君が誘導員やもんなあ。」と、新宮は言う。そして彼より工臨に関する注意事項と、確認事項を説明される。それを二人は、聞き落さないようにメモを取りながら聞く。
大まかな流れは、構内入れ替え後、手歯止め(ハンドスコッチ)で、レール運搬貨車を荷卸し線に固定する。そしてJRの作業員とともに、機関車を切り離すのが今回の流れとなる。
「しっかりやってなあ。お人形の御嬢さん!」と、小郡も言う。
「はい!頑張ってまいります!」と、津和野が言って解散となった。
そして出発前に着替えと準備し、アルコール検査と身だしなみチェックを終え、当直より試問を受ける。
「今日はいよいよ、鷹取工臨やなあ。牽引機はDD51-1193(ディーゼル機関車)で、チキ2B(2ボギー・貨車2両という意味)でんなあ。君の仕事は、安全に推進運転する際の後方保安員をやってくれ!」と、当直に言われる。
「オオライです!」と、津和野が言うと、
「小郡君は先頭での誘導員をやってほしい。そして貨車の流転事故防止の作業をしてくれるか?」と、当直がいうと、
「オオライですわ!車両固定の仕方も、新入りに言いますわ。」と、小郡は言う。
「それでは事故なく、怪我なく、遅延なく行ってください。」と、当直は念押した。
「では無事故、無遅延で行ってまいります!」と、二人は敬礼し鷹取へ新快速で向かう。
その前に、大阪駅前の地下街にある小郡の行きつけの“とんかつ屋 とんはる”で、少し早目の昼食をとる。
「今回は、津和野君と二人っきりやなあ。」と、小郡は言うと、
「そうですねえ。」と、彼女は返す。
「そう言や今度、鳥飼君の実家の旅館へ行かない?プールあるらしいで?」と、小郡は質問すると、
「ほんと!いいですねえ!学生時代は王子市民プールだった!定期券で行けるし安かったからねえ。泳ぎたいし行く行く!」と、津和野は答えた。
「その時にできれば・・・服のままプール、お願いできないかなあ?彼には俺から頼んでみる?」と、小郡は言う。
「私の特技何だと思う?服を着て泳ぐことだよ!当日はお気に入りのロリ服でやるからね!」と、津和野が言うと、
「うそやん!!!!俺それ好きなんやなあ!服のままプール!めっちゃ萌える!」と、小郡は喜んで言う。
「本当ですか!まあ結構な特技ですよ!海自の方かなあ?とかと思われますよ。」と、津和野が言うと、
「そうなるわ!いや~!以外やったなあ!」と、小郡は感心した様子で話を聞く。
そうしている間にも注文したものが届き、二人は舌鼓を打ちながら食べた。
「今日はおごりですか?割り勘ですか?」と、津和野が質問すると、
「そうやなあ?ランチは俺のおごりやなあ?と言いたいけど、500円でええわ!とんかつ冷めるで!はよ食いよ!」と、小郡は答える。
「体系気にしちゃうよ。ロリ服着れなくならないか心配。でもまあいっか!」と、津和野は言っていた。
「気にすんなって!迷わずにすすめ!」と、小郡は言った。
そして12時ちょうど発の新快速で神戸へ向かう。そこから321系普通で鷹取駅へ向かう。鷹取に着くと乗ってきた電車を見送り、大阪方向へ向かう普通電車の出発を待ちつつ姫路寄りの端まで移動する。
「よっしゃ!今回は線路内を通って、保線基地ヘ行くで!最短経路を通る!」と、小郡は言うと、
「やってええの?」と、津和野が言うと、
「せやで!安全さえ確認して、貨物列車の待避線に沿って歩けばいい。」と、小郡は無線とGPSで列車がいないことを確認しながら言う。そして、
「ほんなら行こか!!!」と、彼は言って転落時にホームに上がる階段を下り線路内へ降りる。
そこから二人は線路内へ安全を確かめながら入り、保線基地を目指す。
「電車線、列車線、待避線、よし!」と、二人は各線路を指さし呼称をしつつ進む。
「待避線異常なし!列車接近なし!すすむで!」と、小郡は言うと、
「わくわくするねえ。」と、津和野は答えた。そして6本の線路を渡り、神戸貨物ターミナルへ入る。そのまま事務所棟を横目にターミナル内を西へ進み、保線基地へ着いた。
13時より鷹取保線基地で、作業確認の打ち合わせを行うことになった。そこには若宮と野瀬、その他2名のJRの保線社員、そして鳥飼の姿があった。
「こんにちは。これから工臨の引き受けを行います。JR社員の野瀬です。」と、オレンジ色の作業着の社員が言うと、
「若宮です。線路内での作業をやります。」と、彼も言うと、
「新京阪保線の方は、車両到着時に誘導をやってください。」と、野瀬は言う。
「予定変更となりますが、ターミナル内で機回し(機関車の向きを変えること)は、野瀬君と津和野君がやる予定になります。」と、鳥飼は言うと、
「そやなあ。じゃあ津和野君にも指導します。」と、野瀬は言う。
「小郡君は分岐器の操作と固定を頼んます!」と、鳥飼は言う。
「オオライ!」と、小郡は答える。そして作業員は全員配置につく。
「保線では予定変更が日常的や。だからこうなった。」と、鳥飼が津和野に対して言う。
「そうですねえ。わかります。」と、彼女が答えると、
「じゃあ誘導頼む!」と、鳥飼は答える。
「オオライ!」と、津和野は敬礼して答えた。
14:35、少し日焼けしたような朱色の車体をした、DD51-1193がレール積載をしたチキ6000を2両エスコートして神戸貨物ターミナル(鷹取駅北側)へ入線する。汽笛を高々と鳴らしながら、猛烈なエンジン音とブレーキ音を立てながら減速し停車する。
「よっしゃ!鷹取工臨到着!引き受けに入れ!」と、鳥飼は言う。
「俺について来い!」と、野瀬は旗を持って津和野に言う。
「はい!」と、彼女は返してついて彼の後をついて行く。
「ちわっす!運転お疲れさん!」と、野瀬は機関士へ話をかける。
「あざっす!お!そこの御嬢さん、前回の方やんか!」と、DD51の運転士の梅小路は話す。
「せやでぇ!」と、野瀬は答えると、
「今日は構内入れ替え、よろしくお願いします。」と、津和野が言うと、
「君も安全にやるんやで!こいや!」と、野瀬は言う。そしてDD51の先頭デッキに乗った。
「ねえ!君もやるやんか!かなり肝っ玉座ってないと、カマのお立ち台に立てんで!」と、梅小路は言う。
「そうですねえ。」と、津和野が言い命綱をデッキの手すりに付ける。
本線と繋がる分岐器は、指令より遠隔操作で切り替わるのと同時に、入れ替え信号が点灯する。
「入れ信(信号)開通!出発よし!」と、野瀬は確認呼称し「入れ替え発車」と無線を入れる。
「発車」と、運転士の梅小路が無線を返す。
そして「ぴ~っ!」と言うホイッスル(汽笛の一種)が鳴り、ディーゼルエンジンから黒煙を出しながら、ゆっくりとしたスピードで機関車は動きたした。そのまま保線基地の入り口まで誘導する。津和野の表情は、余裕のない表情であった。
「前方異常なし!制限30!進行!」と、津和野が言うと、
「そうそう!やるやんか!」と、野瀬は言う。
そのまま機関車は、レール運搬貨車をエスコートし、保線基地へ引き込まれる。小郡の位置まで来ると、彼が津和野の居たデッキに乗り込む。津和野はレール運搬貨車の側に乗り、推進運転(機関車と反対側から押すこと)をする。
「推進での入れ替え開始!」と、無線連絡を野瀬は言う。すると今度は、非常にゆっくりとした速度で、機関車が動き出し、定位置まで誘導する。
「停車位置よし!」と、野瀬は無線を入れて機関車はブレーキを掛け停車させる。機関車は一旦アイドリング状態として、貨車の手ブレーキのハンドルを回し、その後ハンドスコッチで車輪を固定する。
「津和野君、しっかりやってなあ!」と、鳥飼は言う。
「はい!流転防止措置します!」と、津和野は答えてハンドスコッチを車輪とレールの間にかませる。
「こっちも完了したで!」と、小郡も言う。
「ほんならジャンパー栓を外す作業に移るわ!」と、鳥飼は言う。そして野瀬と一緒に機関車と貨車の連結部分へ向かう。
「せやな。」と、野瀬は答えて、ホースを貨車から外し、機関車の固定フックにそれを掛ける。そして移動させる前に、出区点検作業に入る。
「作業完了!津和野君!誘導補佐やって!」と、鳥飼は指示を出す。
「オオライ!」と、彼女は返し機関車のデッキに乗る。
「単機出発!」と、野瀬が無線で指示を出すと、
「発車!」と、運転士の梅小路が無線を返し、機関車は動き始めた。来た道を進むと、貨物ターミナルへの線路と合流するところへ入る。ここでスイッチバックにて方向転換し、機関車を向日町へ帰還するため神戸貨物ターミナルへ向かう。
「方転するで!」と、野瀬は津和野へ指示を出す。
「オオライ!」と、彼女が返し大阪側のデッキへ乗り移る。
「お前、出発指示出してみる?」と、野瀬が言い出す。
「ありがとうございます。やりたいです!」と、津和野が答えると、
「責任も乗るからなあ。がんばれよ!」と、野瀬は彼女の肩を叩いた。
数分後に入れ替え信号が開通する。
「信号開通!単機発車!」と、津和野が無線で指示を出す。
「発車!」と、梅小路が無線を返し、神戸貨物ターミナルへ向け機関車は再び動き始めた。
その時、通勤電車のごとく機関車は急加速する。速度はあっという間に50kmになる。
「前方異常なし!進行!」と、津和野が呼称すると、
「その調子や!」と、野瀬は言う。
そのままあっという間に、貨物ターミナルの終点に到着する。
「どや!DD51の実力!」と、梅小路が言うと、
「すげえ!急加速やった!」と、津和野が答える。
「そりゃ積荷は大人の人間が3人だけやから!」と、梅小路が言うと、
「せやなあ。新人にはいい度胸試しになったわ!ありがとうな!」と、野瀬が答える。
そして津和野と野瀬は、運転士の梅小路とDD51-1193に別れを告げて、神戸貨物ターミナルの待避線を歩いて戻る。
一行は車両の流転がないことを再度確認後、レールの上部固定具を緩める。
「こっちの固定具をレンチで緩めるわ!津和野君はあっちね!よろしく!」と、鳥飼は手際よく作業指示をする。
「いいですよ!」と津和野も工具を持ち作業する。
レール運搬貨車の上部にある押さえ具を取り外す。しかしレール両端のワイヤーは安全上外さない。
「ボルト緩んだ?」と、小郡が様子を見に来た。
「ええ!」と、津和野が返すと、
「ほんなら、固定具を外すで!」と、小郡が言う
「いち!にー!さん!!」と、息を合わせて上部固定具を二人で持ち上げ移動させる。
次に鳥飼があるものを持ってくる。それは「ボルトカッター」であった。
「これ頼むわ!津和野君!ワイヤーカット!」と、鳥飼は言うと、
「いいのですか?大事な仕事?」と、津和野は答えると、
「君がやってほしい!」と、鳥飼は言う。
「テープカットならぬワイヤーカット、初めて工臨の君のええ仕事やで!」と、小郡も言う。
「いいですねえ!」と、津和野は答えて、貨車の両端でレールを固定しているワイヤーをボルトカッターで切断する。
切断し終わると
「やるやんか!お人形さん!」と、小郡が言う。
「てへっ!」と、津和野がはにかみ返す。
「これで業務終了やなあ。おつかれさん!」と、鳥飼も言う。
翌日、荷降ろし作業の社員に引き継ぐ形で、この日の工臨の作業は終了した。
そして津和野と小郡、鳥飼は同じ新快速で帰路につく。本部に着くとシャワーで汗と泥を流してから着替えて、この日は業務終了となった。
「明日は休みなんやなあ。ええなあ!なんかいくの?」と、居合わせた社員に言われる。
「女子会かなあ?ロリィタのね?」と、津和野が返すと、
「そやねんなあ!」と、その社員は答えた。
翌日は本部では、工事作業の打ち合わせがあった。しかしこの日は、津和野は休みでいない。休憩室では朝から小郡と鳥飼の姿があった。
「ねえ?鳥飼君?今度みんなでそっちの旅館へ行きたいんやけどええか?」と、小郡が尋ねると、
「気にせんでええって!津和野君も来るんか?」と、鳥飼は快く言う。
「もちろん!その時そっちのプールでなあ、服のまま泳いでほしいんよ?津和野君にな?」と、小郡が言うと、
「うそやん!服のままかよ!まあええけど、洗濯してからビニール袋に入れて、水が汚れんようにしたものならええよ。」と、鳥飼は驚きながら言った。
「ほんまかいな!そりゃええわ!」と、小郡が言うと、
「ただしやなあ、貸し切りの日とプールの水入れ替えの前日やで!」と、鳥飼は言う。
「よかったわ!じゃあ津和野君へ伝えておくよ。」と、小郡は言う。
「あんまり水を汚したくないけど、親戚んちの子に着衣水泳でも教えてやるか・・・」と、鳥飼はつぶやいた。
「ええんやないか!津和野君やさしいから!」と、小郡が言うと、
「まあな!それと服のまま泳げるとなるとなあ?」と、鳥飼は答えた。
「決まったわ!僕はカメラ持って参加や!」と、小郡がいうと、
「おいおい!」と、鳥飼はあきれた。
数日後、新京阪保線サービスにも、機関車運転士選抜の話題は届いていた。親会社の京阪電鉄で、優秀な運転士全員が機関車の運転訓練試験を受験したが、誰一人と言って合格することがなかったからだ。石山ともかですら、一次試験すら通過することはなかった。
そのため、保線車両の運転で慣れている津和野が呼ばれることになった。そして彼女がのちに、この試験に挑む。