Rail road girl! レールロードガール!   作:けいはんぐらし!

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Railroad girl! 16駅 交流 最終回

 朝10時過ぎ、新神戸駅のホームにN700Aが滑り込む。多数のビジネスマンが降りる中に、一人の女性が降り立った。彼女は取手まき。津和野風香の友人である。

 

 さて津和野はこの日は夜勤明け、非番で休みとなっていた。久しぶりに東京の友人が彼女の地元に来るからであった。新神戸駅の改札で、彼女は友達を待ち合わせしていた。

「よ~!風香!元気だった?」と、茶髪ロングの女の子が言うと、

「あったりまえだろ!まき!じゃあ行こうか!」と、津和野は答えた。

「神戸に来るのは初めて!」と、まきが言う。

「そうなんだ!じゃあ、いい店があるから行こう!」と、津和野は言って地下鉄に乗って神戸の中心部へ出る。そして彼女の行きつけのレストランへ向かう。

「今日は張り込んでいい店に行くよ。私おごるし!」と、津和野が言うと、

「ありがとう!」と、まきは言った。

「夜勤保線の仕事をしているから、めっちゃお腹空いているからたらふく食べよう!」と、津和野が言うと、

「え~!すごいねえ!私は引いておく!」と、まきは答えた。

 

 三宮の洋食レストランに二人は入り、ハンバーグステーキセットを注文した。食事の際に、久しぶりの出会いに話が弾む。

「こっちは東京の原宿にある喫茶店でウエイトレスだよ!だからお客さんは久しぶりだよ!」と、まきが言うと、

「いいね!かっこいいよ!きついけどきれいな仕事だもん!うちなんか油と粉塵まみれになるときあるよ!」と、津和野が答えた。

「それって大変だね!まあ保線技師は、稼ぎは多いけどね。」と、まきが言ったとき、

「そうだけど、そっちもいいんだよなあ。制服かわいいし!かわいい服で仕事って、私もしてみたいよ!いっつもダサい作業着ではね!」と、津和野は答えた。

「まあそれはそれだもん。」と、まきが言う。

 

「まきちゃんって、だいぶ変っちゃったねえ。私もまだ受け入れられてないよ。」と、津和野は答えた。

「そうだもんねえ。生きたい道を選ぶのは、本当にまわりが理解できないから大変だよ。」と、まきがGID-MtFの大変さについて言う。

「高校卒業後も、しばらくはそば屋で働いていたけど、だんだんと嫌気がしてきて、女性として生きる決心をしたんだよ。それでアルバイトを新宿の居酒屋にしたんだ。自分と同じ境遇の方が経営しているね。」と、彼女が言うと、

「そうだったんだ。そこからが大変だったんだね。わかる!」と、津和野は言う。

「1年のホルモン治療をして、そして日本国内の大学の美容外科でSRS(性適合手術)をした。その後は、菅野法律事務所で正式に女性になる手続きをしたんだよ。」と、まきが言う。

「へえ!そうなんだ!」と、津和野は感心した様子で聞いていた。

「1年越しで戸籍が書き換わり、住民票と保険証が女性になったんだよなあ。あの感動は一生忘れられない。そしてあの日は、新たな誕生日になった。」と、まきは話す。

「私も最初は君のことは大変だったよ。理解に苦しんだけど、農家の叔父が解説してくれて納得した。最近はタレントさんやまきちゃんみたいな店員さんもいるし。」と、津和野は答える。

「そうそう!はるな愛さんやkabaちゃんもそうなんだ!」と、まきは言う。

「知ってるよ!特にはるな愛さんは、ロリィタファッション関係のイベントに出ていた!」と、津和野は自慢げに言う。

「そうそう!有名なあの愛国声優さんもいたし!」と、まきは答える。

「あ~同僚のオタク小郡君が言ったなあ。」と、津和野は言うのであった。

 

 今度は津和野が自分の学校について話し始める。

「私は高校、神戸桜蔭(おういん)女学院だった!」と、彼女は言う。

「そこって“お嬢様学校”だねえ!名の通った!」と、まきは答える。

「そうそう!めっちゃ“ごきげんよう”だった!」と、津和野が答えると、

「うちは千葉の叔母さんの家だった!蕎麦屋でアルバイトしながらお金を貯めたよ。君と同様に茨城捨てた。」と、まきが言う。

「そうだったんだねえ。高校は通信制?」と、津和野が尋ねると、

「そうだね!あってるよ!制服が苦痛で高校4年間通信制だったもん。私立で制服がない学校は、自分の頭が足りなかったし。」と、まきが言う。

「君は叔父さんの家から神戸のお嬢様学校だったのかあ。僕からすると裏山だよ。」と、まきが言うと、

「まあね。あそこはかわいい制服だったよ。ワンピース制服はサイコーだよ。興味があるならレプリカ買ったら?大阪なんばで売ってるところ知ってる。」と、津和野が言う。

「かわいい制服か~!いいなあ・・・まあ学校のレプリカは欲しいと思わない。学校嫌いだから!」と、まきは言う。

「そうなのか。まあロリィタは好きだったみたいけど。」と、津和野は答えると、

「そうだね!あれはサイコーだよ!僕も着ている!」と、まきは言う。

「また機会があれば、お茶会とかどう?楽しいよ!私が招待する!」と、津和野は言うと、

「そうだね!考えておくよ!」と、まきは答えた。

 そうしているうちに食事が出てくる。食べ始めてしばらくすると、まきが突然、

「こっちは高校時代に200万円稼いで、19歳で東京へ出て、そこから新宿の居酒屋で仕事していたけどねえ。」と、言う。

「まきちゃんすごいよ!」と、津和野が褒めると、

「さほどでもない。そこからが大変だった。ニューハーフの治療が大変でねえ。いろいろあった。」と、まきは答える。

「そうだね。でも職場体験で関東鉄道へ行った時も、まじめだったし。あれ泊まり込みで当直室体験だったなあ。」と、津和野がほめると、

「まあね。でも実際食い入りように真剣だったのは、君じゃないの?」と、まきが答えた。

「そうだった!私もそれぐらいから鉄道に関わる仕事にあこがれていたのかも。」と、津和野は言った。

「親父がそうならば、自然とそうなるよ。」と、まきは言う。

 しばらく食事をすると、

「ねえまきちゃんは、なんで思い切って“女の子として生きる”と決めたの?」と、津和野が質問する。

「まあ叔母さんの影響かなあ?千葉の!」と、まきは答える。

「そうだったんだ。」と、津和野が感心すると、

「そうなんだ。「現代女形だからいいんじゃない!“やりたいことをやる”この気持ち、私好きだよ。」と、叔母が言ってくれてうれしかったなあ。叔母さんは現代女形が好きだからね。」と、まきは言った。

「以外に面白いんだねえ。」と、津和野が感心する。

「変わり種の看護師している方だからなあ。」と、まきは答える。

 

 食事が終わると、

「ねえ?久しぶりだし、どこか行きたい?」と、津和野が言うと、

「神戸見物お願いしたいなあ。」と、まきが言う。

「そうそうどこ行きたいか言ってね!」と、津和野は答えた。そして二人は食事をするのであった。

デザートまで食べ終わり会計を済ませ、二人は神戸見物へ出発する。

「シティループは使わない?」と、津和野が尋ねると、

「高いからやめておく!普通のバスがいい!」と、まきは言う。

「そうだね!あれ高いからなあ!」と、津和野は言って、

ふたりは海岸通りの戦前に建てられたビルを見ることにした。神戸でも著名な商船ビルへ二人は向かう。

「ここは私の隠れたロリィタスポット!戦前のビルだからおもむきがある!!」と、津和野が自慢げに言う。

「そうなんだ!あと入場料もかからないからこっちからすると助かる!」と、まきは言う。

 

「まきちゃんの服って、原宿の服なの?」と、津和野が尋ねると、

「まあその辺って言ったほうがいい!これでも古着なの!」と、まきは答える。

「そうだもんね。中古でもいいものがあれば、それでいいんじゃない。」と、津和野は言った。

「言ってることは、正しいと思うよ。」と、まきは答える。

「私はエンジニアしているから、日当換算するとヤバい!最近高い服をよく買う。」と、津和野は言う。

「ロリィタは洗濯すると色落ちするけど、味が出てくるんだよなあ。ジーンズと一緒なのかも!」と、まきは言う。

「それは言えているねえ!でも柔軟剤でいい匂いにできるね!」と、津和野は答える。

「そうそう!」と、まきは言う。

 

 階段やエレベーターホールで、二人は写真を撮る。

「へえ!これなんだろう!」と、まきが言うと、

「これはメールシュートだよ!このビルは法律事務所が多いからね。」と、津和野は答える。そうしているうちにも、上層階から郵便が送られた様子で、郵便物が落ちてくる音がした。二人はこれが使われているのと、人の営みを考えつつ年季の入った商船ビルを後にした。

旧居留地を散策する。海岸ビルに差し掛かった時に、まきは足を止める。

「ここの外壁、部分的に穴が開いているねえセメント詰めたみたいになっている。」と、彼女が言うと、

「これねえ、神戸大空襲の時に機銃掃射の跡と聞いた。」と、津和野が答える。

「そうなんだ・・・あれも有名なんだよなあ。」と、まきが関心する。

「ちなみに阪急三宮駅には、焼夷弾が突き抜けた跡や、熱で曲がった鉄骨があるよ。」と、津和野が言うと、

「鉄道関係だからこの辺は詳しいね。僕はアニメの印象が強い。」と、まきは答えた。

「一般人はそうだよね。あのアニメは有名だよ。鬱展開だけど・・・私も阪急の方との付き合いもあるんだよ。」と、津和野は言った。

 

 旧居留地を後にして、大丸の建物が見えてくる。大きなスクランブル交差点を横目に、横断歩道を渡り商店街へ向かう。人が多いセンター街を抜け、コクミンドラッグの前にある横断歩道を渡り、三宮にあるリトルアキバと呼ばれる、センタープラザ西館へ入る。アニメのポスターを見たまきは、

「そういや風香って、案外アニメとか好き?」と、尋ねてくる。

「そうだねえ、同僚の小郡君がそうだった。」と、津和野は答える。

「やっぱり!まあ私も見ていると、あんなキャラの衣装やってみたいなあ?とか思っちゃう。」と、まきは言い出す。

「へえ!そうなんだ!でもロリィタは、最近は日本では下火なんだよなあ。アニコスはすごいけど。」と、津和野は答える。

「やっぱりね!でも難しいからこのジャンルはやらない!」と、まきは言う。

「うんうん!わかるよ!キャラには100%なれない!それが鉄則だからね!」と、津和野は言う。

「アニコスでは会場以外では着れない。だからやめている!」と、まきは答える!

「ロリィタファッションは素晴らし、ドレスコードのある店に着て行けるからね!」と、まきは答える!

「それそれ!関東って、ドレスコードのある店あるもんねえ!」と、津和野が言うと、

「そうなんだよねえ!御呼ばれ等があって、大変なんだよ!だからロリィタファッションだよ!たまに芸能人もいるよ!あの有名な愛国声優やらオネエタレントとか!」と、まきは答える。

「それすごいねえ!私も行ってみたいなあ!」と、津和野が感心する。

二人は話しながら、三宮界隈を散策した。

 

 時計は16時半を差し、そろそろまきは津和野と別れる時が来た。ホテルのある大阪へ、この後に行くそうなので、津和野は阪神神戸三宮駅へ向かう。

「久しぶりの休暇、楽しむことができた。」と、まきが言うと、

「そうだねえ!私も明日からは仕事だよ。また現場で作業。」と、津和野は言う。

「やっぱり親父同様に運転士?」と、まきは尋ねる。

「あたり!もう入社1年経ってないで運転している!保線機械だけど!」と、津和野は答える。

「そうだったんだ!」と、まきは言う。

 

「またいつか、ロリィタファッションのお茶会があるから、その時は招待状送るから必ず来てね。」と、津和野が言うと、

「そうなったら、有給と新幹線で絶対に参加するよ。」と、まきは答えた。

そう言ってまきは津和野と別れて、難波で行われるGIDの組合による会合があるため、阪神なんば線の快速急行に乗って大阪へ向かうのであった。オレンジと白の帯の入った阪神電車はゆっくりと発車すると、津和野はすぐに下り3番ホームへ行く。説くと同時に、いつもの阪神の耳につく到着放送が流れ、姫路行き直通特急の山陽5030系が滑り込む。津和野は翌日仕事があるため、急ぎ足で江井ヶ島へ帰宅する。久しぶりの旧友との交流は、時はあっという間に過ぎて、明石海峡大橋も夕焼けに染まっていた。

 

それを横目に電車は走る。

 

旅はまだまだ途中。これからが修行の身である。

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