メン・タンク・マッチ:MTM(新掲載版)   作:鷲金

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メン・タンク・マッチ:初動編の第4話のAパートを掲載開始しました。
初動編は、主人公達がメン・タンク・マッチに参加するまでの話です。

*メン・タンク・マッチ:MTMはまだ未完成の作品のため、全てを一度に掲載することは出来ません。また、各話の修正などで更新が遅れる上、更新期間がランダムで投稿することになります。一応、最終話まで投稿する予定です。
MTMは20話以上の物語を予定しています。


MTM:初動編  第4話「賭退(チャンス)」Aパート

陽の光も届かない湿気のある空間。

暗い地下施設内部のある場所が明るくなっている。

そこでは、二人組の男が上を見ながら佇んでいた。

彼らの目の先には、ライトアップされた人が居た。

白衣を着た金髪で眼鏡を掛けた外国人っぽい顔立ちの男がかっこつけたポーズを決めているのだ。

「「・・・」」

天桐と加埜の二人は無言でその男と見るだけだ。

突然の出来事に頭が追いつけていないのか余りの衝撃的な展開で反応に困っているのか。

いや、怪しい家に訪れてそこで危険な目に遭った矢先に、謎の男がいきなり妙な登場の仕方をしたせいで二人は訳が分からないのは当然かも知れない。

今分かっているのは、その男が、自分はアルベルト・四十院(しじゅういん)と名乗っていること。

自分達が訪ねて行った人物と同じ名前だ。

「うん?なんだなんだ、リアクションが無い奴らだな」

男は、二人が自分に対しての反応が薄かったせいか少し不機嫌な顔をしている。

「・・・え?いや」

「だって・・・なぁ」

天桐と加埜は返事に困ったのか狼狽えてしまう。

だが、天桐は気になっていることがあった

(こいつ、さっき。自分がアルベルト・四十院だと言ったな。)

アルベルト・四十院。戦車が手に入るかもしれないと、柴田さんが場所と一緒に教えてくれた相手の名前と同じだ。

だが、本人なのか?

そう、天桐が考えていると、男が動き出し。

「まぁ、いいや。よっと」

床を蹴り、二人の前に着地した。

「なぁ、あんた」

天桐が何かを聞こうとすると。

「こっちだ」

男は天桐の言葉に割り込んだ。

「え?」

「出口はこっちだ。来なよ。それとも、ずっと地下に居る気か?」

男はそう言うと奥の方へと歩いて行く。

二人には、選択の余地はないと思い、付いて行くことになった。

 

 

男に付いて行き地下の奥へ少し歩くと階段が現れた。そこを上がって行くと空気が段々濃くなっていった。

階段を最後の段まで登った次は、鉄製のドアがあった。

男はドアを開けると少しだけ明るさがまし空気も濃くなった。

ドアをくぐると照明がついた廊下のような所に出た。

おそらく外で見た家の内部だろうと思われる。

「さぁ、こっちだ」

男は、廊下にある大きなドアを開けて入る。二人はドアのくぐった。

中は広い空間の部屋だった。窓もあり、外の光をレース越しで部屋を明るくしている。また、部屋の中には、いろんな機材やパソコンやコンピューターにモニターと思われるものがたくさんあった。

「さてと」

男は、大きいデスクの前にある大きな革製の回転椅子に座り込んだ。

「そこに掛けな」

男はソファーに指を差した。

天桐達は、言われるがまま座った。

「なぁ、あんた。アルベルトとか名乗ってたが。本当にアルベルト・四十院なのか」

天桐は先程聞きたかった質問をぶつけた。

「あぁ、俺様がアルベルト・四十院だ。それがどうした?」

「いや、その」

やはり、目の前にいる男が、会いたかった人物、アルベルトのようだ。やっと会えた相手に少し嬉しい気持ちが出て来たが、それと同時に不安も出て来た。ここに戦車を提供してくれるかもしれないと柴田に教えてもらい訪ねてきたが、いろいろなことが在った挙句に、初対面で少し失礼な態度や敬語を使っていなかったのが少し不味いと思えた。

「ア、アルベルトさん」

「うん?なんだなんだ。突然、畏まった態度になって」

「は、はぁ」

自分がさっきまで警戒した相手に対して突然、敬語を使い始めたのはやはりおかしいだろう。だが、天桐はなんとかアルベルトの機嫌を少しでもとろうと思った。

「で、お前らは俺様の城に何しに来た?」

今度は、アルベルトが質問をしてきた。

「他人の敷地に、かって入り込んだ挙句に警備システムを作動させるようなことをして地下のダンジョンコーナーまで来たんだ?」

アルベルトはそう天桐達を見つめた。

「それはですね」

「あれは、オメーの妙なトラップのせいでこうなったんだ」

天桐はどう答えたらいいか迷っている一方、加埜は文句を言った。

「おい、加埜って。え、えーと、ですね。実は、戦車を探していまして」

「戦車?・・・なんで」

天桐は、アルベルトに説明をしようと思ったが、どう話せばいいか迷った。ここに来るまでに、加埜が柴田さんに話した見たいだが、メン・タンク・マッチのことは、関係者や参加者以外に余り教えてはいけないのだ。まだ、公に出来ないこともあるため、世間に広めたくないのが運営らしい。以前に行った説明会も大々的にではなく、関係者によって参加者だけを招待したものもある。本当なら、一から正直に話したいのは山々だが、初対面の相手で信頼もまだないアルベルトには教えるのに抵抗が出る。

天桐は、少し頭を捻った。

「実はですね。男で戦車の競技をやってみようと思いまして。いや、戦車道って女性がやるものなのは承知なですけどね。僕らだけで、ちょっとやってみないかと思いまして。それで使える戦車を探しているんです。はい」

天桐はそう若干の作り話をした。

「ふーん、なるほどねぇ。なぁ、お前。えーと、天桐だっけ?」

「は、はい。そうです」

アルベルトは椅子に座ったまま、足を組み

「お前、メン・タンク・マッチに出場する気だな」

と言った。

「・・・え?」

天桐はその単語を聞いて驚いた。

「フン、なぜ知っているという顔だな」

アルベルトは、そう言いデスクの引き出しを開けて何かを取り出した。

それは、大きな封筒だ。アルベルトは、開けて中から何かの紙の束を出した。書類のように見える。

その書類を天桐に向けて投げた。

天桐は、とっさに両手で掴んだ。そして、掴んだ書類に目を向けると表紙に書かれていた文字に注目した。

[メン・タンク・マッチ]と書かれている。

これは、メン・タンク・マッチの書類だった。

「どうして、これが」

天桐は驚きながらそう言う。

「実は、メン・タンク・マッチの計画で戦車道連盟からいろいろ連絡を受けててね」

「戦車道連盟にですか?」

「なんで、あんたが?」

「それは、まぁ。家のこととかも関わってるんでね」

アルベルトは横に目を逸らした。

「?」

天桐は何か気になったが、いきなりアルベルトに

「それで、俺のところに戦車があると思って来たんだろ。わりーな」

と言われた。

「悪い?」

「あぁ」

アルベルトは、右手の人差し指を床にさしながら。

「今、ここに。俺様の城に戦車は・・・ないよ」

その言葉に二人は、

「・・・」

「マジかよ」

「マジだ」

少しだけ無言になった。

「そうですか。無いですか。いや、絶対あるとは聞いてなかったんで、それも考えていたんですよ。いや、そーか。ないのか、参ったな。ハァハァハァ。・・・・・・」

ガク

天桐は本日2度目のショックを受けた。

「まぁ、しゃねーか。ねーんだから」

加埜は仕方がないと諦めるように言った。

「だが、作ることは出来るがな」

アルベルトが妙なことを言った。

「作る?」

加埜は聞いた。

「ほら、大会のルールにもあるだろ。条件を満たしたものなら自分で設計したオリジナル戦車を作って参加出来るって」

アルベルトは書類が入っていた封筒を手に取る。

「それもあるからメン・タンク・マッチの話が来たんだがな。何しろ、戦車の設計開発製造は普通の奴にはまず無理だからな」

アルベルトは封筒をデスクに置き、

「それに政府機関や戦車道連盟からの許可がなければ無理だ」

椅子から立ち上がり、窓の方へ歩いた。

「俺は、まぁ。以前から、・・・いや、この大会でのそういう資格は貰っているけどなぁ」

アルベルトは窓の外を見上げた。

「それで、戦車道連盟から」

「あぁ。次いでに言えば、お前が来る前に、既に他の参加者から声を掛けられてね」

「それって?」

「あぁ、オファーが来たんだよ。戦車チームに入って戦車を作ってくれってね」

アルベルトは天桐に顔を向けると少しニヤけた。

「それじゃあ、もう」

「いや、まだ返事をしてないだけでね。断ることは出来るんだよな。だから、今はフリーだ」

「なら、」

「だが、断る」

天桐の言葉を最後まで聞かずにアルベルトは言った。

会話の流れからして言いたいことは大体予想が出来る。だから、アルベルトはそれを断った。

「え?・・・なぜ?もしかして、お金とかですか?」

「いや、そんなことじゃねぇよ。お前のために戦車を作る気にはなれないからな」

アルベルトはそう言いまた椅子に腰掛けた。

「それに会ったばかりの奴を信用して戦車を作って上げる奴が普通居るか?」

「それは、・・・そうですけど」

「それになんの対価も払わずにお願いするなんて失礼な話だろ」

「・・・御尤もです」

天桐はただそう頷くしかなかった。

「確かに正論だな」

加埜もそれに賛同した。

もう二人には何も言えない状況になってしまった。

ただ、黙った正論を言われることだけだった。

すると、アルベルトもそんな空気が嫌になったのか。

「お前、ゲームは好きか?」

と全く別の話題を言い出した。

「え?ゲーム?・・・好きですけど」

天桐は突然の質問にただ答える。

「だろうな。そりゃゲームが嫌いな奴なんかいねーよな」

そう妙なことを言ったアルベルトは天桐に近づき。

「お前に、チャンスをやる」

目の前で仁王立ちした。

「俺とゲームで勝負だ」

「勝負?」

「もし、お前がゲームで勝ったらお前のチームに入って戦車の開発から製造、整備をしてやる。」

「本当ですか?」

「あぁ、本当だ。けど、」

アルベルトは少し目を細め。

「お前が負けたら俺の言うこと何でも聞くよな?ん?」

「え?」

天桐は拍子抜け声を出す。

「そりゃ、そうだ。さっきも言ったろなんの対価も払わずに何かを得ようとかあるか。どうだ?」

アルベルトの言葉に何も返さず、ただ黙りこむだけだった。

「そんな勇気も度胸も覚悟もないなら、さっさと帰りな」

アルベルトはそういうとデスクに戻ろうとする。

「・・・士良、帰ろう。他なら」

加埜は天桐に諦めるように言った。

「・・・ました」

天桐は何かを言った。

「うん?」

アルベルトは振り返る。

「わかりました。勝負しましょう」

天桐はそう言いアルベルトを睨んだ。

「おい」

加埜は驚いて天桐の肩を掴む。

「フッ、そうこなくっちゃな」

そういいアルベルトは窓とは逆方向の壁に向かって歩き出し壁に掛けてある時計をいじる。

カチ

何かの音が鳴った。すると、突然壁の一部が横に動き出した。

壁の一部が無くなると、そこには何かの通路出来ていた。

「じゃあ、始めるか。ゲームを」

アルベルトは入って行くと天桐も立ち上がり後から入った。

「あぁ、クソ。どうなっても知らねーぞ」

加埜も二人を追うしかなかった。

 




第4話はABCの3パートとなっております。
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