我が第二の人生・・それは底辺から   作:光帝

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第二話 初戦闘とレベルUP

俺は一通り、体をクネクネさせて鬱憤を晴らし終わると改めてステータスを眺めなおす。

しかし、種族がランダムと聞いていたがモンスターまでそれに含まれていたとは、お役所天国の悪意を感じる。特に補足説明が全くないあたりに。

 

「とにかく気にしても始まらない。とりあえず街に」

 

そう思考して改めてそれが無理だと気づく。

当然だ。モンスターなのだから。

 

「え、もしかして俺の基本はしばらく野宿生活ってこと。しかも、現地住民から情報を得るのも限りなく不可能というシビアな状態。」

 

完全に他の転生者とは一線を画す状態だと認識する。

他にも俺のような奴がいるかはわからないが、かなりサバイバルな事態だ。

しかも、武器等も手に入らないから完全に肉体のみが頼りだ。それ以前に。

 

「・・武器があっても体が半液体では装備もままならない。」

 

ちくしょー、と俺は再び体をクネクネ躍らせる。・・やめよう、不毛だ。

とにかく、今しなくてはならないことはこの体を少しでもましな状態にすること。

そのために。

 

「まずは戦闘。もとい、狩りだ。」

 

そう考えて、手ごろそうな獲物を探す。

あたりは薄らと光がさしてきている。どうやら朝になりつつあるのだろう。

生物が活発に動き始める。その前に、何とか獲物を見つけねば。

今の俺では勝てないモンスターは腐るほどいるはずだ。

当然だろう。俺はスライムだ。モンスターチャートでは、ゴブリンとタメを張るほどの底辺。最弱クラスなのだから。故に、眠気眼の動物かいまだに眠っているモンスターを狩って少しでも『LVを上げる』もといそのための『経験値』を稼がなくてはならないのだ。

 

暫らくそうやって獲物を探していると、ガサガサと動いてる動物を見つけた。

ネズミだ。体長は15~20㎝ほどだろうか。ただ、俺の世界のネズミと違って頭に角のようなものがある。そいつを凝視しているとうっすらとカーソルが出た。

 

名前:一角ラット

レベル:不明

 

うん。まあ、最低限の情報は手に入った。

しかし、どうやらチャンスだ。奴はまだ俺に気づいていない。

そして、俺は一角ラットの背後にゆっくりと忍び寄る。

もっとも、ただでさえ遅いから実際は全力で移動した。そして、こちらの腕(触手)が届く範囲に入ろうとした瞬間、奴の尻尾がピーンと立った。

どうやら、気づかれたようだ。俺は思い切って飛び、体全体を使って奴を押しつぶす。

 

スライムのボディープレス。

液体だから威力は低いだろうが、液体故の利点もある。

一角ラットは俺の体の中でもがき苦しんでいる。執拗に体を振って這い出ようとしているようだ。だが、俺は奴が出ようとする方向に体を伸ばして逃がさない。

現在の俺には物理的にこいつを倒す力はないだろう。だが、窒息死させることは可能だ。

 

(うーん、かなりえげつない気もするが許せ!)

 

そして、もがくこと2、3分。ついに、動かなくなった。

それを確認して俺はこいつを一度外に出す。そして、改めて『口』に放り込んだ。

スライムに口も何もないと最初は思っていたのだが、どうやらそうでもないらしい。

現に、口と認識した場所以外では死んだこいつを捕食できないようで、外に出した時には窒息以外の変化がなかった。

だが、口と認識した場所から取り込むと液体内に入ったはずなのに一角ラットの体は液体内のどこにも見えなかった。

うーん、世界の神秘だな。そう割り切ろう。

 

≪ぱらららっ、ぱっららー!!≫

 

そう考えていた時に、効果音が聞こえた。

俺はすぐにステータス画面を確認する。そして、想像通りのことが起きたと理解した。

ステータス画面上部にメッセージがあり、さらにステータスが表示されている。

 

『不動 影道はLVが上がりました。能力UP用ポイントが5P加算されます。』

『基礎能力が成長しました。』

『LV0からLV1への上昇に伴い、現状LV表示がステータスに追加されます。』

『保有ポイント数が確認できるようになりました。』

 

【名前】不動 影道

【年齢】20歳

【種族】スライム((笑))

【現状LV】LV01

【基本能力】攻撃力:5 → 7

      防御力:5 → 7

      素早さ:1 → 2

      MP:0

      SP:1 → 3

【保有ポイント】5 P

【スキル】進化(条件未発生)

【装備】なし

【所持品】一角ラットの角(小)×1

 

おい!俺の初期はLV0だったのかよ。

しかも、LVが上がったのに上がり幅がめちゃくちゃ低いな!モンスターなのに!!

さらにMPは上がってないし。それよりも、SPが今のところ役立たず状態なのだが。

・・誰か、HELPとかないか教えてくれよ。マジで。

 

 

それから、俺は一日かけて森を探索した。

正確には一日かけても森の全体は把握できなかった。LVが上がったとはいえ、現在の俺では勝てないようなモンスターがうじゃうじゃいる。

体長が1メートルにもなるハリネズミ『トゲアラシ』なる雑食獣。

RPGでお決まりの『オーク』。常に集団で行動している『小隊ゴブリン』などだ。

あ、ちなみに普通のゴブリンもいたので先ほどのラット同様のプロセスで窒息させ捕食しました。

味は、よくわからない。スライムになった弊害であると考える。

 

それと、幸運にも俺はこの森がどういう場所か知った。人間を見つけたのだ。

いやー、運が良かったと言えるだろう。もっとも、声はかけていない。

発見と同時に討伐されるなど御免だ。こっそり、木陰からそいつらの会話を聞いたのだ。

四人組の男女混成パーティーで、戦士中心だった。

どうやら、危険地帯からの脱出直後だったらしく休憩しているようだったので、バレないように俺は連中の会話を聞いていたのだ。

それによると、この森は『強者の森』と呼ばれているらしい。何でも、奥地に大型のモンスターが集団で生息しているらしく放置しておくと大量発生して近隣の村を襲うらしい。

 

(うーん、スタンピードという奴か。そして、こいつらは定期的に数減らしを行っているパーティーなのだろう。もっとも、低級モンスターの俺には関係ない。だが、有益な情報だ。)

 

つまり、俺がより強くなるためにはLVを上げて奥地のモンスターを倒す必要がある。

スキル『進化』の条件に該当するモンスターがいる可能性は高い。そのためにも、慎重に油断なく自分を強化していかなくては。

俺は、決意を新たにスライムの体をズルズルと引きずりながら獲物探しへと思考を変えた。

 

 

 

うん?誰かに見られていた気がするが、気のせいだろうか?

 

「どうしたのですか?キノ殿」

「いや、なんでもない。ところで、何度も言うが俺はキノではない。岸田 信彦(キシダ ノブヒコ)だと言ってるだろ。」

「呼び辛いんですよ。その名前。しかし、ギルドでも教えてくれなかったけど本当にどこ出身なんすか?」

「どこでもない。俺はこの世界出身だ。」

「まあ、ギルド仲間である俺たちからすれば強ければ問題ないっすけど。」

 

岸田はそう言った男を睨み付けるが、相手は首を振って笑っている。

どうやら、ふざけ半分なのだろう。だが、岸田としてはマジメに答えたつもりなので余計にイラついている。

 

岸田 信彦は不動と同様に転生者である。

同郷であるが、その性格や境遇は全く違っていた。彼はこの世界転生時、人間として転生した。

彼が選んだスキルはLV時の能力増加値を引き上げる成長拡張補正(恩恵 中)というものだった。

そして、彼はスキルをフルに活用し、半日かけて一般兵並みの力を手に入れた。

その過程で新たなスキルを覚えた時には体が高揚するほど喜んだ。

それと同時に彼はギルドに登録して現在に至っている。

彼の目標はかなり子供じみているがそれ故に勢いもあった。

 

「俺はこの世界で勇者になる!」

 

大真面目にギルドでそう話していた。大半の者は笑っていたが、彼は大真面目だった。

その手始めに彼はギルドで腕を磨きつつ今後の資金調達のために、最初の依頼をこなしている。

そんな彼が、今後どのように不動と関わるのかそれは当人たちにもわかっていなかった。

 

【名前】岸田 信彦

【年齢】18歳

【種族】人間

【現状LV】LV09

【基本能力】攻撃力:35

防御力:29

素早さ:28

      MP:10

SP:20

【保有ポイント】2 P

【スキル】成長拡張補正(恩恵 小)、身体強化(LV03)

【装備】ブロードソード、木の盾、皮の小手

【所持品】鉄クズ×3、ゴブリンの耳×5、???の皮×1

 

 

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