東方Project ~異形の玄武が幻想入り~ 作:フジパンホンジコミ
人里から離れて異変の中心点と思われる竹林を目指して飛行している俺と妹紅なのだが慧音の家を出てからというもの一切会話がない。
その原因は俺の横を飛行している妹紅にある。
妹紅が今の状態になったのは竹林が異変の中心と慧音の家で言ってからだ。
そのことを聞こうにも妹紅から発せられる雰囲気で話しかけづらくてしょうがない。
まあ話しかけづらいだけだからとりあえずは黙ってついていこう。
「飛鳥一つ忠告しとくぞ。竹林に入ったら私から離れるなよ。」
「何故だ?」
「着いたらわかる。」
なんだかよくわからないがこれは素直に従っておこう。
「もうすぐ竹林だ、下に降りるぞ。」
「了解。」
俺は妹紅の指示通りに降下した。
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「いいかさっきも言ったが絶対に私から離れるなよ。」
「わかった。」
「よし、じゃあいくぞ。」
俺たちは目の前に広がる竹林に足を踏み入れた。
「中に入ると普通の竹林だな。」
「嫌ここの竹林は普通の竹林とは違う・・・ここの竹林は人を惑わすんだ。」
「惑わす?」
「理由は単調な風景と発生している霧霧、そして僅かな傾斜のせいで方向感覚が狂わされるんだ。それゆえに迷いの竹林と呼ばれている。」
確かに竹の成長の方向が全部一緒に見えるし、目印となるような草木が一本もない。
妹紅の言う通り視覚が狂わされるわけか。これは一度入ったらよほどのことがない限り抜け出せんだろうな。
しかも獣型の妖怪の気配と匂いがあたりに充満している。こりゃ相当な数が棲息してるな。
「でも安心しろあたしはここの地理を把握しているから異変の中心地点まで案内できる。」
「把握してるってことはここには結構来てるってことか?」
「ああ、筍を取りに来たりにな。あとはここの奥地にある建物に用があったりで行き来していたらいつの間にか覚えていた感じだ。」
「なるほどだからさっきはぐれるなっていったのか。」
「そういうことだ。」
「でその奥地にある建物ってのは?」
「永遠亭と言う屋敷だ。しかも住んでるのがいけ好かない姫と従者が二人あとウサギが多数。」
「永遠亭か」
「ちなみにその姫と従者達は月から来た連中だ。」
「!?」
月から来だと・・・まさかあの連中なのか?
だがあの連中はこの星からいなくなったはずだ、例えこの星に残っていた者がいたとしてもすでに死んでいるはずだ。
これは確かめねぇとな。
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「にしても結構広いなこの竹林。」
「ああ、私も初めてここに来た時は迷った挙句に10日間竹林で過ごす羽目になった。」
「飯はどうしてたんだ?」
「そこらへんに生えていた筍を焼いて食ってた。」
「・・・よく帰れたな。」
「私でもそう思う。―――ん?」
妹紅が立ち止まり、しゃがんで地面を眺めている。
「どうした妹紅。」
「これ見ろよ。」
妹紅が指を地面に向けて指していた。俺はそこに視線を向けると―――
「足跡?これってまさか・・・」
「ああ、この場所を誰かが通ったんだ。しかも一人二人って数じゃなさそうだしな。」
「もしかして・・・」
「ああ、ほかの異変解決者が既に来てる証拠だ。どうやら少し出遅れたらしいな。」
「それだけじゃないらしいぜ妹紅。」
俺たちに近づいてくる気配を2つ感じた。
「あら~?見かけない顔ねあなたたち。」
「人がなぜこのような場所に即刻立ち去りなさい。」
姿を現したのは水色の服を着た女性と緑色の服を着た少女が俺たちの前に現れた。
なるほどあれが白玉楼の主と庭師か。旦那が言うには主の方は相当な手練らしいが庭師の方は普通だとか。
どちらとも戦ってみたいなぁ、ならちょいと誘ってみますか。
「それはあんたらにも言えるぜ。白玉楼の主、西行寺 幽々子さんとその庭師、魂魄 妖夢さん。」
「あらあら私たちのことをご存じなんて。」
「・・・」
主の方は釣れなかったが従者の方はうまく釣れたか。
なかなかの殺気だな、でもまだまだ青臭い嬢ちゃんってことか。
どれ一つお相手願おうかね。
「妹紅、手ェ出すなよ。」
「ああ・・・」
妹紅は俺の後ろに下がった。
「幽々子様もお下がりください。ここは私が相手をします。」
「そう、じゃあお願いね妖夢。」
「はい。」
彼女が一歩一歩こちらに向かって歩いてくる。歩きながら腰と背に備えた刀を抜刀し―――
「掛かってきな、剣士の嬢ちゃん。」
「あなたが何者なのかは取り敢えず斬って確かめます。」
「お前さんさぁひょっとして辻斬り?」
「私は至って辻斬りなどではない!」
そう叫びながら俺に接近し長刀を振り下ろしてくる。
だが俺は体を横にし斬撃を避けた。
そのあとも刀を振り回してくる彼女の攻撃を俺はヒラリと躱していく。
「くっ!避けるな!?」
「避けなきゃ斬られちまうだろう。」
俺は率直な意見を述べた。
「流石に避けるのも飽きてきたな・・・今度は此方から行かせてもらうぜぇ。」
俺は青い翼を背中から生やし、上空に飛び上がった。
彼女も俺を追いかけるように上空に飛んできたが、俺はすかさず攻撃を仕掛けた。
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「羽根の弾丸・・・フェザーブレット!!!」
翼から射出される羽根の弾丸を見て妖夢は刀を構えた。
だがそれはいい手段ではなかった。。
羽根を弾いてみれば、鉛を弾く感触が妖夢に伝わった。
「(なんて強度の羽、弾くので精一杯です!!)」
しかし全てを弾くことが出来ずに次第に手や足に切り傷が出来てきた。
弾丸の嵐が止み、飛鳥は妖夢に視線を向けた。
満身創痍ではないが、かなりの痛手を追っていた妖夢が浮かんでいた。
「(実戦はそれなりにできているが、まだまだアマチュアの領域だな。)」
状況判断はそれなりにいいとして、戦闘に関しての駆け引きはほとんど駄目。
それが妖夢と戦って感じた飛鳥の評価だ。
「どうした、さっきまでの威勢は。」
「ハァ・・・ハァ・・・(この人強い、ここまでの強さは亀山 玄武さん以来だ。)」
「言っておくがまだまだ序の口だぞさっきのは・・・だが今度はさっきよりきつめに行くぞ!?」
飛鳥は周囲に鳥の形をした炎をいくつも出現させた。
「な、なんだこれは!?」
「フレイム・トルーパー・・・ゴー!!!」
「っ!?」
空中を縦横無尽に飛び回る多数の炎の鳥が妖夢に殺到する。
だが妖夢も負けじと剣を振るい防いではいるものの先程の飛鳥の攻撃のせいで血を流しただけでなく体力も消費したため時間が経つにつれ押され始めた。
「ふ、防ぎきれない。」
「戦う時は如何にして相手を自分のペースに巻き込むかが大事なんだよ。だから嬢ちゃんはもう少し実戦を学び直しな。」
飛鳥は周囲の炎の鳥を一箇所に集め、巨大な炎の鳥へと変貌させ、妖夢に向かって解き放った。
「ファントム・フェニックス!!!」
「うわぁぁぁぁぁーーっ!!!」
妖夢は巨大な炎に飲み込まれた。そして炎が収まりその中心部にいた妖夢は多少の火傷を負い気絶していた。
飛鳥はいそいで移動し妖夢が落下するのを防いだ。
そして妖夢を抱え妹紅と幽々子の所に降り立った。
飛鳥は幽々子に抱えていた妖夢を預けながら話しかけた。
「すんませんね、試すようなことしちまって。」
「いいのよ、あの子もいろんな人と戦って自分を研いて欲しいもの。」
「俺も戦ってみてわかったんですがこの子の将来が楽しみでたまんねぇですよ。玄武の旦那が言ってた通りだ。」
「あら、彼とは知り合いなの?」
「知り合いっというよりかは育ての親のようなもんです。俺たちを鍛えてくれたのもあの人っすから。」
「どおりで強いわけね。」
幽々子は少し呆れながら言う。
「であんたらどうすんだ、このまま歩いても迷うだけだと思うが。」
「そうなのよねぇ・・だったらこのままあなた達について行くわ。そのほうが安全だし。」
「やっぱそれしか方法がないか・・・妹紅もそれでいいか。」
「別にあたしは構わないよ。」
「あんがと。それとその子俺が背負いますよ。」
飛鳥は幽々子に預けた妖夢を背中に背負った。
「んじゃま、永遠亭に向けて妹紅案内頼むな。」
「お願いね~。」
「へいへい。」
妹紅はお気楽なのがもう一人増えて呆れながら返答した。
新しく加わった幽々子と気絶した妖夢を連れて飛鳥たちは竹林の奥地にある永遠亭を目指して歩きだした。