東方Project ~異形の玄武が幻想入り~ 作:フジパンホンジコミ
「さとり、この書類にハンコを押してくれ。」
「はい。(ポン)押しましたよ。」
「ありがとう。」
春、4月の始めだというのに地霊殿の執務室で仕事をしている玄武とさとり。
実を言うと去年の12月から行事続きで書類が溜まってしまっていたのでそれを片付けていた。
それも朝の5時から作業を始めて、現在は10時頃・・・5時間もずっと書類整理していたのだ。
「フーッやっと終わった。」
玄武は執務室に置いてあるソファーに座り込んだ。
「ええ、かなりの量でしたからね。」
「でも今日の分まで終わらせることができたからな。」
背伸びをしながら答える玄武。
「そうですね午後はゆっくりできますね。」
さとりは椅子から立ち上がり、玄武の座っているソファーに座った。もちろん玄武の隣にだが。
「今日はどうしましょうか。」
玄武の肩に頭を乗せながら聞くさとり。
「だったらみんなでお花見にでも行くか?幽々子から聞いたんだが白玉楼の桜の木が満開なんだそうだ。」
「いいですね。去年の12月から行事と仕事続きでしたからね。」
「あの書類の数には驚いたな。押しつぶされるんじゃないかと思った。」
あかりたちとの会合のあと、玄武とさとりは書類が溜まっていることに気づき仕事をし始めたのは良かったが書類が次々と来るため休みを取る暇がなかった。
「他にもいろいろな行事があったが俺はあのことが一番驚いたな。」
「あのこととは?」
「あかりたちを正式に引き取るってさとりが言い出したことだよ。」
「そのことですか、あの時はすみません自分だけで決めてしまって・・・」
「いやいいさ俺も考えていたことだから。」
そうさとりは2月の中旬ぐらいに全員が夕食を食べている時にこのことを言ったのだ。
それを聞いて全員びっくりしていたが。
「理由はわかってるよ、仁のことだろ。」
「はい、私が初めて会った時から仁はとても不安定な状態だったので心配で仕方なかったんです。それに・・・」
「あいつに取り付いている亡霊だろ。」
「はい、取り付いている亡霊が一人二人だったら良かったのですが何千何万と言った数の亡霊が取り付いていたので手のだしようがありませんでした。しかもその中には怨霊も混じっていましたし。」
「あれを見たとき俺もびっくりした。おそらく仁も自覚しているのだろうな、だから自分のことを破壊神といったのだろう。」
「それであの子を何とかしたいと思ったので引き取ることを決心したんです。もちろん彼が安心できるようにあかりちゃんたちも含めて。」
「だが問題は仁に取り付いている亡霊たちをどうにかしないといけないことだ。」
「ですから私は幽々子さんに相談に乗ってもらっていたんです。そして対処の方法を教えてもらっていたんですがその方法というのが・・・」
「俺も幽々子からその話は聞いたよ。その方法が俺の力で少しづつ亡霊を浄化させていくこと・・・だろ。」
「はい、今のところ対処法はそれだけらしいです。下手に全部を浄化させてしまうと仁の魂まで傷つけることになってしまうそうです。それに浄化は飛鳥さん、フーさん、竜也さんでもできるそうです。」
「このことを飛鳥、フー、竜也にも伝えておくか。」
「私も玄武さんの力があるのでお手伝いしますね。」
「頼むよ。」
コンコン
誰かが執務室の部屋をノックした。
「はい。」
「さとりさん、あかりです。」
「あかりちゃんでしたか。どうぞ。」
「失礼します。」
なぜかメイド服を着たあかりが入ってきた。
「あのあかりちゃん・・・その服はどうしたのかな。」
「これですか。地上に行った時に咲夜さんって人と会ってですね紅魔館に遊びに行った時にもらった時にもらったんです。」
「そ、そうですか。」(咲夜さん、あかりちゃんに何渡してるんですか!?)
「でもこのメイド服少し胸がきついんですよね。」
「(あかりちゃんその言葉を咲夜さんの前で言わないであげてくださいね。)それで何か用があるんですか。」
「あっそうそうお客様がきたのでそれを伝えに来ました。」
「その人はどこに?」
「応接室にお連れしましたけど。」
「わかりました、私たちはこのまま向かいます。伝えてくれてありがとうあかりちゃん。」
「いいえ、それでは失礼いします。」
あかりは玄武とさとりに頭を下げ、部屋を退室した。
玄武とさとりもあかりが退室したすぐ後にソファーから立ち上がり部屋退出して応接室へと向かった。
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―――――
―――
「お久しぶりですね。玄武さんにさとりさん。」
「映姫さんもお久しぶりです。」
「珍しいな映姫が地霊殿を訪ねてくるなんて。」
「実は頼みたいことがあってきたのです。」
「「頼みたいこと?」」
「はい。60年前に博麗大結界が緩むという異変が起きたのは知っていますか?」
「いいえ、初めて聞きますね。」
「俺も。」
玄武とさとりは映姫の質問に首を横に振った。
「その時は外界の霊たちが一斉に幻想郷に流れ込んでえらい目にあいました。」
映姫はその時のことを思い出し顔を青くしていた。
「私がその霊たちを裁き終わるのに1週間かかりました。」
「相当の霊が押し寄せてきていたんですね。」
「ええ、あれはホントに異常でしたね。」
「映姫・・・まさかとはおもうが・・・」
玄武は映姫が何を言いたいのか理解した。
「ええ、その異変がまた起ころうとしているのです。」
「マジ?」
「マジです。」
「俺たちにその霊たちをどうにかしてほしいってことじゃないだろうな。」
「その通りです。あなたたちに外界の方で霊たちを抑えて欲しいのです。もちろん応援を読んでも構いません。」
「幻想郷の方はどうするのですか」
「それは博麗の巫女に動いてもらいます。たまには彼女一人だけで異変を解決させてみるのもいいでしょうから。」
「それもそうだな。」
玄武も納得するようにうなづく。
そのあと玄武たちはその作戦の内容について話し合っていた。
「では一月後よろしくお願いしますね。」
「「はい(ああ)。」」
「そろそろ戻らないといけませんのでこれで失礼します。」
そう言って映姫は応接室から退出していった。
「厄介なこと頼まれたな。」
「そうですけど、今回の異変は通常の異変とは違い自然発生の異変ですからね何が起こっても不思議ではありません。」
「そうだな、おそらくギャオスたちも亡霊たちに惹かれてやってくるかもしれないしな。」
「それが一番の問題ですね。私たち以外でギャオスに対抗できるのは・・・」
「7人だ。」
「できればもうひとり欲しいところですね。そうすれば5人編成でどうにかなるんですが・・・」
「ないものねだりしても仕方がない。とりあえずは飛鳥たちにこの事を伝えておこう。」
玄武とさとりはソファーから立ち上がり飛鳥を探しに部屋を退出した。
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――――――
―――
アトランティス内にある訓練施設に一組の男女が組手を行っていた。(男女といっても青年と少女なのではあるが)
その男女とは飛鳥とこいしだった。(もちろん二人はジャージ姿)
「それっ!?」
こいしは蹴りを男に打ち込むが、飛鳥はいとも簡単に受け止めて見せた。
「まだ蹴りの速さが足りんぞ。」
「だったらこれはどう!?無影脚!!!」
残像が見えるほどの速い蹴りを飛鳥に放つが飛鳥は瞬時にして後方へとバックステップして避けた。
「(今のはかなり速かったな、避けるのが遅かったら当たってただろう・・・まさか三ヶ月でここまで成長するとは思わなかった。)」
こいしの成長の早さに驚く飛鳥。
「(けどまだ当たってやるわけにはいかんのよねぇ、師匠のメンツとして)」
飛鳥は瞬時にこいしの後ろに移動し回し蹴りを放とうとしていた。
それに気づいたこいしは迎撃しようとこちらも回し蹴りを繰り出そうと構えたら、頭に声が響いた。
『まだ攻撃はするな。相手の回し蹴りをしゃがんで回避しろ。』
「っ!?(この声は)」
こいしは頭に声が響いたことに戸惑ったが声の主が誰なのか分かり、声に従い飛鳥の回し蹴りをしゃがんで躱した。
『次に相手の軸足に向けてミドルキック。』
「えい!!!」
「うおっ!!!」
『体勢が崩れたところに相手の顔面めがけて蹴りを放つ。』
「うりゃ!!!」
「ぶげっ!!!」
こいしの蹴りを顔面に受けて変な奇声をあげて吹き飛ぶ飛鳥。
吹き飛ばされるも空中で体を捻り姿勢を整えて地面に着地した。
「いってー今のはすごく効いたぜ。」
パチパチパチ
突然拍手が訓練場に響いたので、こいしと飛鳥は拍手のする方へ顔を向けるとそこに―――
「今のはいい蹴りだったぞこいし。」
「「玄お兄ちゃん(旦那)!?」」
「私もいますよ。」
「お姉ちゃん(あ、姐さん)!?」
訓練所の入口付近に立っている玄武とさとりの姿を見て驚く二人。
玄武とさとりはこいしたちのもとへと歩く。
「飛鳥少し油断してたんじゃないか?」
「あっ!さっきのこいしの動き旦那が指示出してたっすね!」
「気づいたか。」
「いきなりこいしの動くが良くなったからびっくりしたっすよ。」
「ああいったのにも対応できなくてどうする。」
「いや無理っすから。」
右手を高速で左右に降って無理なことを主張する飛鳥。
「ところであ姉ちゃんたちはどうしてここに来たの?」
「飛鳥さんに用があってここに来たんですよ。」
「俺に?」
玄武とさとりは先ほど映姫から伝えられたことを飛鳥とこいしに話していく。
「うへぇーまた厄介ごと引き受けたんすか。」
「それを言うな。」
「それにはお姉ちゃんも参加するの?」
「ええ私もマナを扱えますから。」
「・・・私も参加する。」
「「「!?」」」
こいしの宣言に驚きを隠せない三人。
「私もマナを扱えるようになったんだよ。」
「だがこいし、お前はまだ修行中の身だぞ。しかも戦いながらマナの力を扱う課題がまだ終わってないぞ。」
「大丈夫あと一月でものにしてみせるから。」
「おいおい無茶言うなよ。」
飛鳥は後頭部を掻きながらどうしようか考えていた。
「本気かこいし。」
玄武は真剣な顔つきでこいしを見つめていた。
こいしは玄武に一瞬だけ気圧されたが、負けじと玄武を真剣な眼で見つめた。
「はぁ本気のようだな。」
「うん。」
「きつい修行になるぞ。それでもいいのか。」
「うん。」
「わかった―――俺がこいしを鍛えてやる。言っとくが生半可な修行じゃないから覚悟しろよ。」
「うん!」
「・・・こいし。」
「お姉ちゃん。」
「無茶だけはしないでね。」
「はーい。ちょっと喉渇いたら飲み物飲んでくるね。」
こいしは早足で訓練場から退出し飲み物を飲みに行った。
「よかったんすか?あんなこと言って・・・一月でできるようにするのって無茶なんじゃないんすか」
「心配するな実例が一人ここに居るから大丈夫だ。」
玄武がさとりを見ながら言った。
「マジ?」
「マジです。」
かつて行った修行を思い出して顔を青くしながら答えるさとり。
それを見てうわぁという声を漏らしながら頬を引きつらせる飛鳥。
相当キツイ修行だったのだろうと理解し心の中で合唱していた。
「お待たせーってどうしたの?お姉ちゃんと飛鳥なんか暗い顔してるよ。」
「な、何でもありませんよ。」
「s、そうだぞ。」
「ふーんまあいいか。それよりお兄ちゃん早く始めよう。」
「いいのか?もう始めて。」
「うん、時間も惜しいし早くできるようになりたい。」
「わかった。」
玄武とこいしが訓練場の中央に行こうとしていたらこいしを飛鳥とさとりが呼び止めた。
「何?」
「こいし、頑張れよ。」
「あなただったらできますよ。」
さとりは目のハイライトを消して笑いながらそう言った。(目は笑ってはおらず)
さとりの表情を見てこいしは何かすごいことが起こるのではないのかと思わずにはいられなかった。
少々顔を青くしながら玄武のもとに行くこいし。
「さぁ、始めるぞ。構えろよこいし。」
「う、うん。」
そして地獄の修行が始まった。