東方Project ~異形の玄武が幻想入り~ 作:フジパンホンジコミ
幻想郷の外の世界にある博麗神社近くの森から大きな音が鳴り響いていた。
それを上空から確認する玄武。
「後衛チームが行動開始したようだな、しかもこれだけ派手にやっているということは誘導は無理だったって事だな。」
「どうするんすか旦那、助けに行きますか?」
「いや助けは必要ないだろう、下はさとりたちだけでなんとかなる。それよりも俺たちは上空の警戒を怠るなよ、この状況は奴らがいつ来てもおかしくはないのだからな。」
「わかってますって。」
「ならいいが・・・さて無駄話はここまでにして俺たちも行動するぞ。大介は飛鳥、仁はフーのサポートに回ってくれ。」
「「わかりました。」」
〈・・・・ろ ・・い・・ ・・・しろ 〉
「!?」
仁は不気味な声が聞こえたため辺りを見回したが何もいない。
「(なんだ今の声は・・・)」
「仁どうかしたのか?」
「いいえなんでもありません。」
「そうか・・・っ!?」
何かの気配を感じた玄武は顔つきを変え上空を見上げた。
「どうやら奴らのお出ましのようだ。」
そう言って上空を見上げると黒い点のようなものが一つ見えた。
だがその黒い点は徐々に増えていき空の一部を黒く染め上げた。
「いったい何匹いるんだ・・・」
「・・・・・・」
かなりの数のギャオスを見て驚愕している大介と仁。
だが玄武は臆することなくそのギャオスの大群へと突っ込んでいった。
玄武の姿が黒い影に消えた瞬間巨大な爆炎がギャオスの大群から起き始めた。
「何をぼさっと立っている!我等も師父のあとに続くぞ!!」
「「は、はい!?」」
「しっかりついてこいよ新米ども!!」
飛鳥とフーは大介と仁を連れてギャオスの群れへと飛んでいった。
そこで大介と仁は凄まじい光景を見た。
10m~20m程もあるギャオスたちを次々と素手で粉砕していく玄武の姿を。
大介と仁は凄いとしか言えなかった。仮に自分たちが戦ったとしてもここまでのことはできない。
それほどまでに実力の差があることを実感させられた二人であった。
「ほれボォーっとしてる暇はねぇぞ。」
「「!?」」
「来るぞ!?」
ギャオスが3体こちらに突っ込んでくるのが目に映り、一瞬硬直してしまったがすぐに迎撃の態勢をとった。
「いいか、こちらからはあまり指示はしない。自分で判断してサポートに徹してくれ。」
「最初は戸惑うかもしれんが自分が思う通りに動け・・・俺からはこれくらいしか言えんが頑張れ。」
「「はい。」」
「では・・・攻撃開始!?」
飛鳥とフーはそれぞれのパートナーを後ろに控えさせて、三体のギャオスに向けて弾幕を放った。
ギャオスが弾幕を避けようと体を捻ったところを狙って後ろの二人が弾幕を放ち命中させた。
弾幕の直撃を受けたギャオス三体は悲鳴を上げてその場で静止したあと四人を睨みつけて吠えた。
吠えたあと三体は口を開き、超音波メスを飛鳥達に向けて放つが、四人はその攻撃を躱した。
ギャオスが攻撃を終わらせようとする瞬間を狙いフーは体に風を纏わせて、ギャオスに接近し右側のギャオスに上段蹴りを顎に打ち込見吹き飛ばした。
他の二体が攻撃した体勢で止まっているフーに攻撃を仕掛けようとするが、一体は飛鳥によって顔面を焼かれたあと大介に殴り飛ばされ、もう一体のギャオスは尾の部分を仁に掴まれた跡投げ飛ばされた。
しかも仁が投げ飛ばした方には先ほどフーに蹴り飛ばされたギャオスがいた。
二体はぶつかり地上へと落下していくが、その先には既に玄武がプラズマ火球の発射体制で待ち構えていた。
そしてほぼゼロ距離でプラズマ火球をギャオスに当てた。巨大な爆発がおっこりその中から二体のギャオスらしき燃えた肉片が飛び散り爆炎の中からは無傷の玄武が姿を現した。
「なかなかのコンビネーションだったぞ。この調子で頼む。」
「「はい!」」
そこに―――
「ゲギャアアアアア!!!!」
顔面を焼かれ怒り狂ったギャオスがこちらに向かい突っ込んできた。
それを見た玄武、飛鳥、フーは三方向に飛び出し大介は火炎放射、仁は熱線をギャオスに向けて放った。
怒りに感情が支配されている為か避けようとはせず傷つきながらでも突っ込んできたが大介と仁にはたどり着くことはなかった。
「『バニシング・フィスト』!!!」「『鳳凰天舞脚』!!!」「『猛虎爆砕拳』!!!」
玄武、飛鳥、フーの攻撃を同時に受け爆散するギャオス。
「よし次行くぞ!!」
「「「「了解。」」」」
仁SIDE
〈・・いしろ ・かいしろ 破壊しろ 〉
またもや頭に声が響いてきた。
しかも先ほどよりも鮮明に声が響いてくる。声のほうも老若男女、複数入り混じった不気味なものだった。
「(一体なんなんだこの声は・・・どこから聞こえてくるんだ。)」
さらに気になる点はもうひとつあった。それは――
「(しかも聞こえているのは俺だけとはどういうことだ?テレパス関係だったら玄武さんにも聞こえているはずだ・・でも玄武さんを見る限りその様子は見受けられない。)」
チラッと右の方に視線を移すとさきほどと変わらず豪快に戦う玄武さんの姿が見える。
その為あの不気味な声は聞こえていないことがわかる。
〈破壊しろ 破壊しろ 破壊しろ〉
まただ・・いい加減にして欲しいが止めることも聞こえなくすることもできない。
しかもこの声が聞こえるたびに破壊衝動が湧いてきて我を忘れそうになる。
なんとしてもこの破壊衝動だけは抑えねば・・・じゃないと――
「取り返しのつかないことになってしまう。」
この時俺は謎の声の方に意識を集中していたため周りの状況を把握していなかった。
その為普段通りならばしないような失態を犯してしまった。
「仁、避けろ!!!」
「え・・・」
『ギギャアアアア!!!!」
ギャオスが近づいていたことに気づけなかった。
「うわっ!?」
ギャオスの突進をくらってしまい俺は地面へと叩き落とされてしまった――それも最悪の場所へと。
「くっ!今ので腕が・・・」
どうやらさっきの攻撃で左腕を痛めてしまったらしいな・・・でも戦闘には支障がないからよかった。
だがこの状況はかなりまずい・・・なんせ――
怨霊に囲まれている状況なのだから。
〈破壊しろ 破壊しろ 破壊しろ〉
っ!?この声の正体はこいつらだったのか!?これは声というより念・・怨念だ!
〈破壊しろ 破壊しろ 破壊しろ〉
〈破壊しろ 破壊しろ 破壊しろ〉
〈破壊しろ 破壊しろ 破壊しろ〉
こいつらに近い位置にいるから今までの非じゃない怨念が俺に流れ込んでくる。
だめだ意識が・・・だんだん・・・こいつらにのっと・・・られて・・・く
〈全てを破壊しろ〉
「がああああああああ!!!!」
俺の意識は闇へと落ちていった。
仁SIDE OUT
玄武SIDE
仁の落ちていった場所からドス黒い瘴気のようなものが立ち上がっていた。
これほどの瘴気は初めてだぞ!?
ギャオスたちもこの瘴気に惹かれているのか一斉に瘴気の出ている場所へと向かっていった。
だが次の瞬間巨大な青白い光がギャオスたちを飲み込んだ。
光が晴れるとあれほどいたギャオスが瞬く間に全て消滅していた。
「今のは仁の熱線・・・だがあれほどの威力はなかったはずだぞ。」
「玄武さん。」「お兄ちゃん。」「旦那。」「師父。」「先生。」「「玄武先輩。」」
みんなが俺の周りに集まってきた。
とりあえずはさとりに何が起きたのか聞いてみることにした。
「さとりは知っているか?」
「ええ見ていましたから。」
「仁の身に何があったんだ。」
「怨霊が仁君にとり憑いたんです。それもあの場にいた怨霊全部が・・・」
「かなりまずいことになったぞ。」
「どうすんだ旦那。」
「とりあえず仁を抑えるぞ。じゃなきゃ幻想郷と外界が危険にさらされることになる。」
俺は先ほど出来たクレーターの中で黒いオーラを放っている仁に視線を向けた。
仁も生気のない目でこちらを見ていた。
さあ相手はどう出るか・・・
玄武SIDE OUT
「ぁぁぁぁああああああ!!!!」
仁が獣のごとく声を張り上げながらこちらに向かってきた。
拳を振るってきたが難なく攻撃を受け止めて地面に向けて投げ飛ばした。
仁は受身を取ることができず地面に衝突するが、直ぐに立ち上がり玄武に向けて熱線を放とうとしていた。
しかし
「「フンッ!!!」」
両サイドから雷牙と大介が熱線を放つ前に殴り飛ばした。
飛ばされた先で既にさとりとこいしが攻撃の態勢をして待ち構えていた。
はじめにさとりが上に向けて掌底を仁に打ち込み上空へと上げたあとこいしが回し蹴りを打ち込み大きく弾き飛ばした。
だが今度は空中で体を捻り仁は地面に足をつけ体勢を整えようとしていた。
そこへ竜也が弾丸のごとく仁の懐に飛び込み両肘からジェット噴射のように水を放出して加速させマナを盛大込めた拳の一撃を浴びせた。
「『マキシマム・インパクト』!!」
大砲のような音と共に仁は地面を削りながら100mほど吹き飛ばされた。
今の一撃はきつかったためか顔を苦痛に歪めながら立ち上がろうとしていた。
顔だけを上げこちらを睨みつけてくる仁を上空から見下ろしている玄武はすぅっと右手を仁に向けて構えた。
仁も迎撃しようとするが突然仁の周りに鱗粉が覆い尽くした。
しかし仁は鱗粉を気にせずに熱線を放ったら鱗粉に遮られ攻撃を通すことができなかった。
「悪いが異変終了まで眠っててくれ。」
玄武は仁へとプラズマ火球を放った。
仁に直撃した瞬間巨大な爆発が起こりあたりの木々を吹き飛ばした。
爆煙が晴れたあと巨大なクレーターの中に横たわる仁の姿があった。
「これで気絶しててくれればいいんだが・・・」
玄武がそう言った瞬間ピクっと仁の手が動いた。
そのあと両手で身体を持ち上げて仁は立ち上がってみせた。
しかもあれほど攻撃したにもかかわれず玄武と竜也以外の攻撃でダメージを追っていなかった。
「旦那と竜也以外の攻撃はほとんど効いてねぇじゃねえか。」
「なんという頑丈さだ。」
仁の異常なまでの頑丈さに驚く飛鳥とフー。
「・・・」
無言のままこちらをジッと睨みつける仁。
玄武とさとりは仁の様子を見てこう先程よりもひどくなっていると感じていた。
玄武は仁の精神が無事であるか確かめようとさとりに話しかけた。
「さとり・・・仁の心を読むことはできるか?」
「・・・とり憑いている怨霊の数が多すぎて読むことができません。」
「そうか・・・」
玄武はどうしようか考え始めた途端―――
「うおおおおおぉぉぉぉ!!!!」
突如、仁は雄叫びを上げ始めた。
そしてまばゆい光が仁から発せられ全員その光を直視しないように腕で遮った。
光が収まり玄武たちが目を開いて最初に見たのは壁だった。
玄武たちはそれがただの壁ではないのを知っていた為、急いで後方へと移動していった。
かなり後方へと移動した玄武たちは改めて仁のいた方向に視線を向けると一体の巨大な生物がいた。
どっしりとした漆黒のカラダ
無数の背びれ
太く長い尻尾
鋭い牙と鉤爪
凶悪な顔
感情のこもっていな白目
仁のもうひとつの姿―――最凶にして最狂の破壊神が今降臨した。