この辺りから、原作とは大きく変わって行きます
「ということなの、理解は出来たかしら?」
「この現状に納得出来ないことはあるが、大体は理解した」
現在の時刻は午前1時を少し過ぎた頃。ここ衛宮邸で士郎は同じ学校で、同学年の遠坂凛から聖杯戦争の説明を受けている。
セイバーと呼ばれていた金髪で碧眼の少女と鬼灯と呼ばれていた角が生えていて長身でつり目の男は、別に話があるとの事でここにはいない。
たった今遠坂から聞いたのは、聖杯戦争とは昔から行われていたもので、それは七人のマスターとそのパートナーのサーヴァントで行い、何でも願いが叶うと言われている願望器である聖杯を奪い合う、血で血を洗う殺し合いだということ。
そして、その殺し合いの最後の参加者に自分、衛宮士郎がマスターとして選ばれてしまったというのだ。
「この話が出来るということは、遠坂もこの戦いの参加者なのか?」
「うーん、そうねぇ。だったと言うのが正しいかしら」
「だった?」
「ええ、ここからがこの話の本題とも言えるわ」
そう言うと遠坂は、俺が出した緑茶で少し喉を潤した後こう語り出した。
遠坂の家は代々と受け継がれている魔術師の家系らしく、父親が前回の第四次聖杯戦争で果たせなかったのを娘である遠坂がやり遂げようとこの第五次聖杯戦争に参加したらしい。
ここの話は、何故か色々とぼかして話されたが、本当ならば遠坂は残っていたサーヴァントのクラスの中で一番能力が高いとされる、セイバーのサーヴァントを召喚しようとしたようだ。しかし、手違いがあったらしく召喚されたのは何処の英霊かも分からない赤い服を纏った白髪のアーチャーになってしまったらしい。
このアーチャーが普通の英霊だったならセイバーを呼べなかったとはいえ、何の問題も無く聖杯戦争を行えたであろう。
「私も今は協力している事なんだけど、びっくりしたわよ。アーチャーを呼んで、最初に言われたのが聖杯を封印するのに協力しろ、だもの」
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(遡ること数日前、ここは遠坂邸。そこで遠坂凛は人生で一番と言っていいほどの衝撃を受けていた)
「なんですって!?アーチャーもう一回言ってみなさい!」
時刻は深夜1時頃、普通であれば皆が寝静まり静かであるはずの時刻に、この家の主である遠坂凛は絶叫していた。
この日、遠坂はかねてより念願であった聖杯戦争に参加するために、サーヴァント召喚の儀式を行った。
しかし遠坂はそこで色々な手違いで、本来深夜2時にする予定が深夜1時にやるという、うっかりをしてしまう。
そうして呼び出されたサーヴァントは、白髪で赤い服を纏い、どこか含んだ笑みを浮かべる青年であった。
そうしてお互いがマスター、サーヴァントのアーチャーであると確認する。
遠坂は呼び出してしまったのは、狙っていたセイバーでは無かったものの、英霊によっては勝ち残る見込みは無い事はないと前向きに検討していた時。
アーチャーがとんでもない発言をしたのだ。
「ちゃんと聞こえていなかったか?マスターである君には、聖杯戦争を止めてもらって、聖杯を封印するのに手伝いをしてもらいたいのだが」
「ちゃんと聞こえてたわよ!何でサーヴァントのあんたがそのような事をする訳!?」
肩で息をしながら怒り心頭の遠坂。遠坂家の家訓に『どんな時でも余裕を持って優雅たれ』というものがあるが、さすがの遠坂もそれ所ではなかった。
「やれやれ、説明をする前からこんなに怒鳴り散らすとは。これは貧乏くじを引いたかな」
「うっさいわね!ならさっさと説明するなりなんなり、してみなさいよ!」
アーチャーは、やれやれと言葉にはしなかった物の仕草では此方を明らかに嘗めきっている態度を取っており、それがまた遠坂の気を逆撫でる。
「そうだな、どこから話したものか……。では第三次聖杯戦争の辺りから話させてもらおうか」
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「う、うそでしょう?」
そこから、アーチャーから話された今行われている聖杯戦争の真実に遠坂は驚愕を露にする。
聖杯戦争の真実とは第三次聖杯戦争で、聖杯戦争を始める切っ掛けを作った御三家の一つ(遠坂家も含まれている)のアインツベルンが勝つためにルール違反を犯し、本来呼び出される筈の無い、八つ目のクラス
しかし、アンリマユはとても弱く聖杯戦争の開始早々に脱落してしまい、通常通りに大聖杯に収められる。問題はここからで、アンリマユは周りからの身勝手な願いで「この世全ての悪であれ」と摸造された「願い」その物であったがために、敗れて「力の一端」に戻り聖杯に取り込まれた際に「願望機」としての機能がその願いを叶えてしまい聖杯は汚染され、以後聖杯戦争は狂っていくことになる。
「そうして、起こったのが十年前のあの冬木の大災害だと言うの?」
「そういうことだ」
冬木の大災害、それはここ冬木市に十年前に起こった原因不明とされていた、死者数百名を出した大災害の事である。
当時の凛はまだ幼く、父親が聖杯戦争に参加しており戦いから避難していたため直接的被害は無かったが、それでもあの惨事は未だに自分にとってはまだ新しいものである。
「そして今回もこのままだと同じ事になるの?」
「それは勝ち残った者の願いによって多少は変わるかは知れないが、どうせろくでもない事になるだろう」
アーチャーはそう説明を終えると遠坂は黙りこんでしまう。
「私としては、協力してくれると好ましいのだが……」
そこまで言うとアーチャーも口を閉じる。
……ふむ、黙り込んでしまったか。無理は無いのかもしれんな、本来魔術師とは他人などは二の次で全ては自分のために行動する生き物。根元へと至れる可能性を捨ててまで嘘か本当か分からない私の話を信じ、更には聖杯戦争を台無しにするような事は無いのだろうな。
根は優しい筈なので、駄目元で話はしてみたが、どうやら説得は無理そうだな。仕方ない、本来予定していた通りに何とかして契約を解除し行動を起こさないとな。
そうアーチャーが諦め動き出そうとした時である。
「――――
「
「なっ!?それは!?」
突然の遠坂の行動に、今まで余裕を持っていたアーチャーも流石に動揺する。
彼女が行おうとしているのは、令呪の使用。それは、マスターに三回だけ行える自分のサーヴァントに対して出来る、例えサーヴァントの自殺だとしても可能な絶対命令権の事である。
「おい馬鹿よせ!そんな事で令呪を使う奴が!」
彼女の性格を
「うるさい!そんな急に説明されて手伝えって言われたって信用出来る訳ないでしょ!それなら、自分なりに信用出来る方法を取るまでよ!!」
「っ!!」
「今の話をもう一回包み隠さず、嘘は言わず本当の事を言いなさい!!」
そう遠坂が言い放つと、右手の甲に刻まれていた三画ある令呪の内一つが消え、問題無く令呪は発動する。
そうして、限定的な命令のためにアーチャーは令呪の魔力に抗えず、今話した内容をもう一度話し出す。
「…………本当の事だったのね」
「これで信じて貰えたかね?」
「一応ね」
令呪の命令によりアーチャーから嘘偽り無く話された内容は、初めに遠坂が聞いた内容と同じで信じざるおえない状況にある。
そうして、自分のサーヴァントが嘘を言ってあるだろうと予想していた凛は、自分の宛が外れ更には大切な令呪が無駄になったことに少し顔を赤らめ恥ずかしがっている。
そんな少女の様子を見て、アーチャーは口を出さずとも関心していた。
まさか絶対服従を命令してくると思えば、真実を話せとはな……、彼女はああして恥じているが、あの場に置いてはこれ以上に無い信用出来る材料になる。令呪を使ってしまったとはいえ、恥じる使い方では無いな。
「それでマスター、協力の件なんだが?」
そうアーチャーが言い出すと、遠坂は少し顔を下げ髪を揉みくちゃにして、悩んだ後。
「あーーーっ!!わかったわよ!あんたの話に嘘はないと分かった事だし、遠坂家がこの冬木の地の管理を任されている以上、冬木の大災害の様なことは起こさせないわ!!」
「理解のあるマスターで感謝する」
そう言いながらアーチャーは笑みを浮かべながら、遠坂凛は何処か吹っ切れたような顔で握手する。
そして、二人はこの聖杯戦争を止める為に動き出す。
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「所で、最初の衝撃でうっかり忘れてたけど、あなた何処の英霊なのよ?」
「その事なのだが、その辺りの事は忘れていて分からない」
「…………なによそれ」
ここまで読んで頂きありがとうございます。
書き始めると止まらなくなり長くなってきたため、今回はこの辺りまでで一回切り、次はすぐに投稿出来るかと思います。
感想に書いて下さっていたのですが、現在芥子ちゃんは出すかどうかまだ迷っています。原作の方で強さを求め、ヘラクレスに面会を求める描写もあったので出来れば出したいのですが、これ以上キャラが増え素人の自分に扱いきれるかが不安なのが本音です。