白澤がここに来てから、ベルゼブブは決定した人員を連れてくる為にも一度EU地獄の方へ帰っていった。
「あなたはこれから現世に行ってきて聖杯戦争止めてきて下さい」
「一体何なんだよ人が来て早々、てか何それ?聖杯戦争?」
「チッ!……万物を知る神獣の癖に知らない事もあるんですね、まあいいです」
「おい、今明らかに舌打ちしただろ!」
「はい、そうですが?」
「ああ、もうお前って奴は!」
と、眉間に青筋を立てて鬼灯に対して怒鳴ってる男の名は白澤といい、漢方の権威で生薬に精通しており、天界の桃源郷で漢方薬局「極楽満月」を営んでいる。先程話に出ていた桃太郎の上司でもある。
そして、森羅万象を知る神獣でもあるのだが、大の女好きであり、漢方に手を出したのも、女の子と遊びまくってたら体がもたなくなって「元気になる薬」を作り始めたのが切っ掛けという、なんともがっかりな神獣である。
「……というわけで、今から現世に行かないと行けないんです。分かりましたか?」
「ああ、なんとなく事情は分かったさ。でもな、何で地獄側の問題に僕が行かないといけないんだよ!!」
「ったく、一々面倒な人ですね本当に」
と、深いため息を吐きながら鬼灯は呟く。
「うるさいわ!僕はそんな面倒臭そうな事絶対に行かないからな!」
「はぁ……、ではこちらを見て下さい」
と、鬼灯は懐から複数の写真を取り出して白澤に差し出す。
「こちらの写真に写っているのが、今回連れ戻さないといけない亡者達の写真です」
「はぁ?亡者が何だっていうんだよ……!!」
白澤は出された写真を文句を言いながら渋々見始めるが、いざ見始めると目の色を変えて凝視している。
「それで、どうしますか?」
「そういう事だったら仕方ないね、もちろん報酬の方は期待していいんだろう?」
「これくらいでどうですか?」
そう言って鬼灯は懐から小切手の用紙を取り出して報酬の金額を書いて白澤に見せる。
「うん、悪くないね。これなら妲己ちゃんの所のツケを返すだけでなく、もう2、3回は遊びに行けるね。仕方ない、この件了解したよ」
「それは良かったです。それでは早急に現世の方へお願いします」
「はいはい、わかったよ。僕も可愛い娘ちゃん達に早く会いたいしね」
と、白澤が言うと直ぐに部屋を出ていき、さっきまで不機嫌だったのが嘘のように上機嫌で去っていった。
「鬼灯様、いったい白澤様に何が起きたんですか?」
今の経緯を見ていた唐瓜が思わず聞いてしまう。
「簡単な事です。言うよりも見てもらった方が早いでしょう。」
唐瓜と茄子が先程白澤が見たものと同じ写真を渡される。
「うわー、きれいな人達ですね」
「本当だぁ、色っぺえ姉ちゃん達だなぁ」
二人が言うように、写真に写っていたのは一人はエルフ耳をして色っぽい大人の魅力を持った女性で、もう一人は背の高いモデルの用な美人なお姉さんであった。
「これで、お分かりになりましたよね。その二人が今の所分かっている女性の亡者達です」
「これなら白澤様が目の色を変えて行くのも頷けますね」
「これで後は、こちらの決定した人達を召集したらいいですね」
「それで一体他に誰を派遣されるんですか?」
「そうですね、獄卒は勿論の事ですが亡者にも手伝ってもらうつもりです。折角の機会ですし、ここまで来たんです。一緒に行ってみますか?」
「え?いいんですか?」
「はい、確か唐瓜さんと茄子さんは新卒でしたので阿鼻地獄の方は行ったことが無かったですよね?」
「はい、話は聞いてますが見学はまだ行ったことがないですね。確か八熱地獄の内で一番深い所ですよね?」
「その通りです。ここに落ちる亡者の特長としては、仏教に関わっている者つまりお坊さんなどを殺めた者等が落ちる所です。まあ、言ってもここに落ちるまでには約二千年かかるので、その亡者は今も落ちている途中なんですけどね」
「それでその亡者は一体誰なんですか?」
「それは見てからのお楽しみという事で」
亡者の落ちる地獄を焦熱から阿鼻に変更しました