ダンボール戦機 禁忌の箱を守りし幻影   作:砂岩改(やや復活)

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今回は短めです。



第9幻 心配

 

「新しい総理大臣の就任記念パレードが明日あることは知っているか?」

 

「確か、財前宗助って言ったけ?」

 

 宇崎から話されたのは普通の人なら誰でも知っている人物の話題だ。そんな会話にバンは頭に疑問符を浮かべるとアミが信じられないような口ぶりで反応する。

 

「知らないのバン。常識でしょ」

 

 今までに比べ、若い年齢で総理に就任した人物で加速化する昨今のロボット開発事情に対しその兵器化を反対する立場を取った人だ。

 

「その財前総理の命が明日のパレードで狙われる。ある組織によって」

 

「それって大事じゃない!」

 

「俺達はそれを阻止したい。その為には君たちの協力が必要なんだ」

 

 宇崎の言葉に思わず4人は叫び声をあげるのだった。

 

「ちょっと待ってください。中学生に頼むような内容じゃないでしょ」

 

「理不尽な申し出だというのは充分に承知している。だが私たちは君たちに頼むしか出来ないんだ」

 

 真っ先に返事を返したのはカイト、彼の言い分は最もで宇崎もそれは承知の上のようだ。

 

「タクヤさんたちって警察の人?」

 

「違う」

 

「じゃあ、俺たちより警察に頼んだ方が良いんじゃ」

 

「残念ながら警察に話して安心できる状況じゃない」

 

「政府の中枢に居るって事ですか?その犯人の主犯格は」

 

「……」

 

 先程からカイトは痛いところを突いてくる。そんな事を宇崎が考えていると彼の口から思わぬ単語が出てきた。

 

「神谷重工…」

 

「っ!」

 

(やっぱり、俺たちも決して無縁じゃないって事か…)

 

 彼の微妙な変化を目にしたカイトは何も言わずに口を閉じた。

 

「すまないが。君たちでなければならないんだ」

 

「どうして俺たちなんですか?」

 

「総理暗殺にはLBXが使われる。LBXを相手にするにはLBXか最も有効だ。その為には君達のような優秀なLBXプレーヤーが必要なんだ」

 

 予想外の事態に唖然とする一同。

 

「山野バン、川村アミ、青島カズヤ、山茶花カイト。もちろん、非常に危険が伴う。断られても必要ないが是非とも君達の力を貸して欲しい」

 

 状況が状況のため黙り込む一同。そんな中、バンは静かに強く手を握りしめていた。居なくなってしまった父親と自分を繋げる唯一の物であるLBXが人を傷つけるために使われるのは我慢ならなかったからだ。

 

「俺、やる!」

 

「やってくれるのか。非常に危険な任務だぞ」

 

「俺、LBXを使って悪いことをする奴らが許せないんだ……だから」

 

「私もやります。バンだけにやらせるわけにも行かないでしょ」

 

「じゃあ、俺も」

 

「カイト…」

 

 沈黙の中、名乗りを上げるバン。それに続くアミとカイト。彼女が危険な任務を背負うのにカイトが黙っているわけにはいかない。

 

「君は?」

 

「俺はちょっと、LBXも今は壊れて持ってないし」

 

「協力してくれたらこのハンターを君にあげよう」

 

「え、本当?」

 

「なら、やってもいいかな」

 

 カズだけ物に釣られた感はあるがこれで全員が参加を決意した。宇崎も少し安心したようにホッとしている。

 

「そうか、ありがとう。明日の9時にここに集合してくれ。それからさっきも言った通りこれは誰にも話さないで欲しい。危険に巻き込まれる可能性があるからな」

 

 宇崎の言葉を聞き全員は解散するのだった。

 

ーーーー

 

 夕暮れに街が染まる中、カイトとアミは静かに歩いていた。

 

「大変な事になっちゃったわね」

 

「アミ…」

 

「なによ?」

 

 いつにもなく真剣な表情の彼を見てアミは思わず立ち止まり彼の顔を見つめる。

 

「今回の件は手を退け。宇崎さんからは俺が言っておく」

 

「なによそれ。私には無理だって言うの?」

 

「違う…」

 

「言っておくけど私だってそれなりに…」

 

「違う!」

 

 彼の怒号に口を閉ざすアミ。彼女自身もその言葉の意味を分かっている。彼は心配してくれているのだ、だからこそこんな事を言う。

 LBXが上手く扱えたって子供なのは変わらない、何が起きるか分からないからこそ恐いのだ。

 

「ごめん。でもお前には危険な目に会って欲しくないんだ」

 

「じゃあ、私は大人しく家で待ってろって言うの?」

 

「そうだ」

 

 誤魔化しなんていらない。思っていることを素直に告げているだけだ。

 

「じゃあ、私にカイトが傷ついているのを黙って見てろって言うの!」

 

「……」

 

 そう言って彼女はカイトを強く睨み付ける。睨み付けるしか無かった、少しでも気が緩めば涙が溢れてきそうだったからだ。

 

「絶対に嫌だからね。あんな事はもうたくさんなのよ!」

 

 あんな事、それはトキオブリッジ倒壊事故の事だ。瀕死の状態で運ばれた彼に真っ先に駆けつけたのが彼女だった。

 その後も両親を失った彼を見守ってきた。でも見ているだけで辛かった、決して表には出さなかったが彼の中で渦巻いていたものが見えたようで。

 

「貴方のそんな優しいところは大っ嫌い。もっと頼りなさいよ」

 

「アミ…ごめん。自分のことばかり考えてた」

 

「分かれば良いのよ。分かれば」

 

 正直、彼の言葉は本当に嬉しい。心配されているのが分かったからだ。だからといってそれに甘えてしまってはいけないとアミは思ったのだ。

 

「明日、頑張りましょうね」

 

「あぁ…2人で頑張ろう」

 

「うん」

 

 そう言って2人は不安を掻き消すように笑い合うのだった。

 

 





どうも砂岩でございます。
申し訳ないです、今回はもっと早く投稿できた予定だったんですが作製中にデータが吹っ飛んでしまって書き直す羽目に…。
次回は暗殺者《アサシン編》の最終場面に突入します。

では最後まで読んで頂きありがとうございました!

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