ダンボール戦機 禁忌の箱を守りし幻影 作:砂岩改(やや復活)
「カイト、こっちは家に襲ってきたLBXを見つけたんだ」
「もしかしたらと思ったけど。やっぱりアキレス絡みでなにかあるようだな」
ガラスを貫通して狙うであろうアサシンの確保に向けてビル内部に突入したバンたちはエレベーターで伏せているデクーの姿を確認し通信を送ってきた。
「アキレスが?」
「アキレスが来てからいろんな事が起き出していた。偶然とは言い切れないだろ?」
「確かに…」
「とにかくそっちは任せた。俺は俺で行動する」
「無茶しないでね」
「分かってるよ」
心配するアミに優しく返事をしたカイトは通信を切り息を切らしながらビルの前まで来ていた。
「ここがホリデービルディング」
「そっちの方は頼む」
「分かってますよ」
宇崎の言葉に返事をしながらカイトは慎重にビルの中に入っていくのだった。
「誰もいない…」
ビルの中には人の姿がない。総理のパレードが原因で出払っているのかは知らないが不用心にも程がある。周りを警戒しながら進む彼の元にデクーが3体、立ち塞がる。
「ここが本命って事か…ジムキャノンⅡ!」
3対1、数的には圧倒的に不利だがそんなものは気にしない。というよりは彼にとって十分なハンデだった。
「いくぞ!」
ジムキャノンⅡはマシンガンを撃ち放ちながら前進する。対するデクーもシールドを掲げながらこちらに近づいてくる。
「かかった…」
カイトはすかさずビームキャノンを撃った。ビームキャノンの威力は絶大だ、先導にいたデクーのシールドを吹き飛ばし一撃で粉々に吹き飛ばした。
味方がやられ驚く他のデクー、その隙にジムキャノンⅡはスラスターを噴かし一気に距離を詰める。
「!?」
「遅い…」
シールドを投げ1機のデクーを怯ませると空いた左手で目の前に居るデクーの頭を掴みゼロ距離でマシンガンをぶち込む。
「次…」
背後から襲いかかる最後のデクー、それに対し取り出したビームサーベルで振り向きもせずにコアボックスに突き刺した。
爆散するデクー、それを黙って見つめるカイト。彼の戦い方は実に馴れたものだった。
「アミたちには見せられないよな」
アングラビシダスなどの何でもありの非合法試合ばかりしているとこういうのが得意になってくる。こんなこと友人であるバンたちには見せられなかった。
ーー
それと同じ頃、バンたちは護衛についていたデクーを倒しカズはアサシンらしき機体のライフルを狙撃していた。
「やった!」
ライフルが起こした爆発の衝撃で吹き飛ぶアサシンを見て歓喜の声を上げるカズ。そして彼は吹き飛んだアサシンの元へと向かう。
「カズ!」
「アサシンを倒したのか?」
急いで屋上に向かったバンとアミはしゃがみ込み微動だにしない彼を見て急いで駆けつける。
「こいつはただのダミーだ」
カズが放った言葉、それはカイトが予見していた通りであると言う事を証明する結果となった。
「急いで連絡しないと…」
おそらくその場に居るであろうカイトに急いで連絡を入れるアミ、数回のコールの後、電話に出た彼の声は低くかった。
ーー
「アミか?」
「カイト、こっちは偽者だったの。急いでそっちのアサシンを破壊して」
「無理だ…」
電話に出たカイトは目の前にいるLBXを睨み付けながら言葉を出す。
「どうして!?」
「手練れに阻まれて動けない。急いで来てくれ、コイツは俺が抑える」
目の前に現れたのは高機動型ザク。このザクは青を中心に所々緑で配色されている機体だった。所謂ガトーカラーのザクだ。
(さっき倒した機体に似てるが…)
アミとの通信を終えたカイトはそのLBXの奥を見る。そこの角にはそのLBXのプレイヤーらしき人物がいる。
「総理暗殺の仲間か?」
「……」
姿は見えないがそこに確かにいる。羽織のようなものの裾が角から覗くだけで出てこようとしない。
そんな彼の問いに答えるように高機動型ザクは持っていたジャイアントバズを構える。
「通すつもりはないと…」
明らかな戦闘の意思を見せ付けられた彼はジムキャノンⅡにマシンガンを構えさせる。
睨み合う2機、互いが互いの動きを見逃さないようにジリジリとゆっくり円を描くように歩を進める。
推奨BGM《星の屑作戦》
先に動いたのはザクの方だった、ザクはジャイアントバズを撃つと右に大きく飛ぶ。すかさずバズーカ弾をシールドで受けるとマシンガンを右に向ける。
「っ!?」
相手との距離は取ってある。接近戦を仕掛けるにもまだ余裕があると踏んでいた彼の目に撃ったのはヒートホークでマシンガンを真っ二つにされた光景だった。
バズーカ弾の着弾が生み出した煙から現れたのはザク。
(まさか…スラスターによる加速。俺のLBXと同じ思想か)
すかさずのシールドバッシュでザクを吹き飛ばしたカイトはビームキャノンを撃ちつつサーベルを抜刀。
ザクを狙うがヒートホークで受け止められ激しいスパークが起こる。
「くそっ…」
やはり手強い、コイツを無視するわけにもいかないが総理暗殺まで時間がない。
「カイト!」
不利な状況に冷や汗を流しつつ相手を見つめるカイト。その後ろから彼の名を呼ぶアミの声が響いてきた。
「違うルートから行け!ここは俺に任せろ!」
「いくよ、アミ!」
「えぇ」
幸い大きなビルだ。エレベーターへのルートなどいくらでもある。これで暗殺は阻止してくれるだろう、カイトは目の前の的に集中できる。
「……」
「よそ見してる場合か!」
ザクのモノアイがほんの少しアミの方に向いた瞬間。カイトは接近している状態でビームキャノンを撃ち込む。
流石に避けきれなかったのかザクは右肩のシールドを吹き飛ばされるも本体は無事だった。
「この距離で避けるか!」
「…っ!」
攻撃を避けたザクはヒートホークでジムキャノンⅡのシールドを真っ二つにすると両手で持ち掲げる。
「舐めるなぁ!」
当たれば強力な一撃を彼が許すわけがない、サーベルでザクの左腕を切り飛ばしたカイトはカメラを思いっきり殴りつけた。
カメラカバーが割れるザクだが残っていた左でヒートホークを振るいジムキャノンⅡの頭部を破壊する。
「ちぃ…」
相手プレイヤーの舌打ちが聞こえたと思うとザクが持っていたスモークグレネードを起爆させ周囲が煙幕に包まれる。
「くそっ!待て!」
視界を塞ぐ煙幕の中、カイトは叫ぶが煙幕が晴れた頃には相手の姿はなかった。
その後、カイトが屋上に到着した頃にはアサシンはバンとアミによって撃破され暗殺阻止は成功を向かえたのだった。
ーー
問題のビルから少し離れた場所、そこには損傷した高機動型ザクを手にした1人の少女が街を歩いていた。
「これほどまでにやれる相手と相まみえるとは、私もまだまだ未熟」
いかにも武人といった彼女の出で立ちは年齢以上の印象を受ける。
「名も知らぬ戦士よ。また相まみえるのを楽しみにしているぞ」
少女はそう言いながら静かに笑みを漏らし人混みの中へと消えていくのだった。
アサシン編終幕。
そして謎のライバルキャラ現る。