ダンボール戦機 禁忌の箱を守りし幻影 作:砂岩改(やや復活)
開始早々ドムのビームランチャーが火を吹く。かなりの大型武装だがその分の威力は上々。カイトは物陰に隠れつつ様子を伺う。
(ホバークラフトタイプ。装甲も分厚そうだな)
高火力、高機動、重装甲。つまり痛い、速い、堅いの三拍子が揃っているという厄介な機体である。
連邦軍のパイロット リル・ソマーズ准尉もそう呟きながら悪態をついていた。地上におけるドムの戦闘能力はかなり高いのだ。
(派手に動き回っても誘われないか…)
ドムのパワーは折り紙つき、ビームランチャーを警戒され接近戦に持ち込まれても十分、というよりそっちの方が本命なのだが。出てこない。
(誘いが大胆すぎたかな)
和服の女性。鈴鹿はドムをビルの影に隠れさせて様子を伺わさせる。前回は警備に感づかれるまでという時間制限があったため強引な戦闘をしたが今回はない。楽しませて貰うとしよう。
(イノベーターであることは間違いないが。なぜこのタイミングで?それにバンではなく俺を狙ってくるとはどういうことだ?)
一連の攻撃を耐え凌ぎ、場所を移動して様子を伺うカイトは警戒しながらライフルを構える。
(あの威力ならシールドは2発ほどで破壊される。おそらく敵の狙いは接近戦)
左手にサーベルを持たせ。ライフルを構えながらゆっくりと進む。
「やはりいたか!」
「っ!」
そんなカイトの背後に既に回っていた鈴鹿はビームランチャーを構えるもカイトはサーベルを咄嗟に振るいランチャーを真っ二つに両断する。
「このタイミングで切り返されるか!」
「なに!?」
その瞬間、ドムの胸部が光輝きジム改のカメラを焼く。ヒートサーベルがジムのビームライフルを弾くとドムの強烈なタックルが炸裂しジムをビルに埋める。
「くそっ!」
カイトは素早くドムの膝を蹴り飛ばすとスラスターを使ってドムに体当たりを仕掛ける。ホバーで踏ん張りの効かないドムはそのまま飛ばされる。
(くそっ、転ばない!)
「やはりお前は面白い。私の宿敵に相応しい!」
ドムのヒートサーベルとジム改高機動型のサーベルがぶつかり合う。切り結んだ反動で大きく後退したカイトは突っ込んでくるドムを紙一重でかわして背後を取る。
「貰った!」
「うらぁ!」
ドムは急速反転。左肘でジムの右手を弾くとサーベルを胴体に向けて振るうがシールドに阻まれる。だが鈴鹿の攻撃は終わらない左手に先程、弾いたジムのビームライフルが握られていたのだ。
「なっ!」
咄嗟に避けるが頭部の半分を破壊されてしまう。大抵のLBXは頭部が破壊されるとブレイクオーバーで戦闘不能になる。LBX唯一のカメラが使えなくなるからだ。
だがカイトの作ったLBXは違う、しっかりと胴体にサブカメラが装着されており戦闘続行が可能なのだ。
「はぁ!」
「まだ動くか!」
突き刺さるビームサーベル。それはドムの胴体を綺麗に貫き破壊した。大破したドムはその場で膝を着き、ブレイクオーバーしてしまう。なんとかギリギリ、動けるジム改高機動型も停止しバトルの終了を告げた。
「勝負あり、かな」
「そのようだな…」
少しホッとしたカイトは安堵の表情を浮かべると鈴鹿が彼に近づく。警戒するカイトだがその懸念はすぐに消えた。
「むぐ!?」
「ははっ!楽しかったぞ、我が宿敵!」
正面からガッツリと抱きつかれた。抱きついた本人は満足そうに笑みを浮かべながら笑う。
(デカイ!)
何がとは言わないがデカイもののせいで顔が押し潰される。ちょっと残念だが脱出したカイトは一歩、間を取りながら話しかける。
「お前、イノベーターの仲間だろう。なぜ俺に近づいた?」
「バトルがしたかったからだ。この前の戦い、あれは実に熱い戦いだった。私ほどになると渡り合える相手が少なくてな、その相手も無表情で遣り甲斐がない。そこで貴様だ、貴様は実に面白い。だからつい探してしまったのだ!」
嬉々として話す彼女の姿を見たカイトは察する。《こいつ同類だ》…と。
「ならイノベーターなんかにいなくても」
「それはそれだ。私には義がある、そこは譲れないがLBXプレーヤーとして貴様とはバトルがしたかった。お前は私と同じでLBXの開発にもてを出しているんだろう?」
「そりゃ、分かるか。やっぱりその機体はお前の手作りか」
「加藤鈴鹿、それが私の名だ。覚えて損はない」
「山茶花カイトだ」
互いに名乗りを上げる二人。
「山茶花カイト…。その名、二度と忘れん」
肉食獣のような獰猛な笑みを浮かべた鈴鹿は表情を戻すと大破したドムを回収する。
「カイト、アングラビシダスでの健闘を祈るぞ。そこらの雑魚に負けるのは許さん。私に勝った男なのだからな」
「負けるつもりで戦う奴は少ないだろう」
「ふ…。いい男だ、敵でなければ私の男にしてやるのに…」
「それは魅力的な提案だな。それこそ敵であることが悔やまれるよ」
そんな軽口を叩き合う二人。
ーー
キュピーン!
「っ!」
「どうしたアミ?」
「いえ、カイトに悪い虫が着いた気がして」
その頃、キタジマで練習をしていたアミはなにかしら悪い感覚を得て辺りを見渡すがなにもなかった。それはそうだカイトは現在、部屋から出ていない筈なのだから。
ーー
そんなアミの地獄センサーが働いていた頃。鈴鹿はDキューブをしまい。その場を去る。
「今回は私個人で来たが今度はイノベーターの一員として会いまみえるだろう。その時は私をもっと熱く滾らせてくれ」
「期待に添えるように頑張るさ」
背を向け、悠然と歩く彼女を見てカイトは小さく頷く。
(武闘派美人も悪くない)
アミとはまた違ったタイプの美人だ。やっぱりこう言った強い女はいい。
「っ!」
なぜか寒気がしたカイトは身を震わせながら帰宅するのだった。
ついに三日後、アングラビシダスが開催。イノベーターとバンたちの戦いが幕を上げる。
キャラのセリフとかシーンとか思い出すために使っていたサイトが閉じて危機に陥っているこの頃。他の掛け持ち作品も書けなくなっているのでヤバイです(-_-;)