ダンボール戦機 禁忌の箱を守りし幻影   作:砂岩改(やや復活)

22 / 28
第20幻 戦慄 最強LBX月光丸

 リナたちが設計図の解析を行っている間。カイトはリュウに渡したLBXを披露していた。

 

「これが…」

 

「量産型ガンタンク。遠距離支援を前提に設計したLBXだ。能力が遠距離に全振りしているから他の機体とはかなり異質だけどリュウならこっちの方があってるだろ?」

 

「た、確かに。単独での戦闘は無理かもしれないけど、他のLBXとの連携を前提にしているならこの機体は最高だな」

 

 リュウはガンタンクの設計思想を一発で見破り、感想を述べる。流石はLBXオタクである。

 LBXというのは基本的に接近戦及び中距離戦闘寄りの機体ばかりだ。すぐ近くにハンターと言う例外はあるがあれは特殊なLBXだ、カウントに入れなくてもいいだろう。

 

「機体の走破性、射撃における安定性、狙撃ではなく砲撃という発想。どれを取ってもすごい出来だ。この前見せてくれた機体より改良してるんだな」

 

「当然、接近戦に持ち込まれたら終わりだけどな」

 

「すげぇよ。これでお前たちの役に立てるぜ」

 

 どうやらリュウは郷田捜索で役に立てなかった件を気にしていたらしい。小心者で事故保身によく走るリュウだがちゃんと義理堅い。カイトがリュウを買っている最大の理由だ。

 

「何してるの?」

 

「ミカか。俺の作ったLBXの解説をしてるんだよ、これは今日からリュウの物だからな」

 

「へぇ、私のも作ってくれたりする?」

 

「あぁ、ご希望に添える機体が浮かんだらな」

 

「郷田さんみたいなゴツい機体がいい…」

 

「得意分野だ。獲物は?」

 

「出来れば槍。でも基本的に何でも使える」

 

「なるほど」

 

 ミカのLBXは機動力重視のストライダーフレーム、アマゾネス。出来ればそれなりの機動力がある方が良いな。

 基本的には武器に拘らないとはミカは万能型のプレーヤーかもしれない。彼女はなんだかんだ言って何でも出来そうなイメージだしある意味、予想通りだった。

 

「ちょっと、ミカやリュウにはすぐ作るクセに私はまだ目処がたってないってどういうこと?」

 

 そこにやって来たアミ。彼女はカイトに近づくと彼に不満を漏らす。

 

「アミの機体はしばらく待ってくれよ」

 

「はいはい、私みたいな勝ち気の強い子より。ミカのような大人しい子がカイトの好みなのね」

 

「アミ…」

 

「ごめん、私には郷田さんがいるから」

 

「大丈夫だよミカ。アミの言ってることは気にしないで」

 

 何故かフラれたカイトは丁寧に訂正しながらアミの顔を見る。彼女は相変わらずの膨れっ面で不満タラタラであった。

 そんな様子を端から見ていたリュウは大変だなぁと心のなかで呟いていたのだった。

 

 完全に機嫌を悪くしたアミはその後の海道邸の侵入作戦の説明の時も変わらず、カイトは内心、ヒヤヒヤしていたのだった。

 海道邸侵入は明日の夜。グレースヒルズから侵入することが決まったがそれまでに機嫌を治せとカズから注文を受けてカイトは小さく溜め息をつくのだった。

 

「おい、アミ」

 

「……」

 

 いつも通りの二人の帰り道、カイトの前をアミが歩く。

 

「なんでそんなに怒ってるんだよ」

 

「他の人にはポンポン貸したり渡したりしてる癖に私にはなにもなし…」

 

「子供か!」

 

「私も結構待ってると思うんだけど!」

 

 怒り心頭といった感じて振り向いたアミは予想以上に近かったカイトの顔に驚く。するとカイトはアミの後ろにあった壁に手をつける。俗に言う壁ドンと言うやつだ。

 

「アミ、その事は本当にすまないと思ってる」

 

「そう思うんなら…」

 

「お前には俺の最高の作品を使って欲しいんだ。お前の為だけに作る、お前にしか使えないLBXを」

 

 いつにもなく真剣なカイトの表情と彼の顔がかなり至近距離にあるだけあってアミの顔が真っ赤になっていくが話はしっかり聞いている。

 

「早く渡したいけど。お前には中途半端な機体を使わせたくないんだ。待ってくれ、俺のガンダムが出来るまで」

 

「カイトのガンダム…」

 

 分かっていた筈だ。彼が自分を蔑ろにしていない事ぐらい。だがどうしても確かめたくなる。こんなワガママに付き合ってくれるカイトに感謝しながらも現在の状況が切迫しすぎで頭がついにオーバーヒート。

 

「アミ?」

 

「フシュぅー」

 

「アミ、アミぃ!」

 

 顔を真っ赤にして機能停止したアミを見てカイトは彼女の名を叫びながら慌てるのだった。

 

ーー

 

 そして次の日。二人はほんの少しだけ気まずい中、作戦は始まった。カイトはバンのチームに編成され海道邸に突入することとなった。予定通り、グレースヒルズの噴水から地下水道に侵入した一同は周囲を警戒しながら進んでいた。

 

「ん、なんだ…今の? いやぁぁぁ」

 

「どうした、リュウ?」

 

 彼の叫び声にカイトは懐にしまっていたガンダムEz8を取り出そうとする。しかしどうやら謎の物体の正体はネズミだったようでそれを驚かし、逃がしてから進むこととなった。

 

「怖かったろう、アミちゃん。俺の手、握っていいからね」

 

「ふん…」

 

 ひと安心したリュウは格好をつけようとアミにアピールするが見事に轟沈。

 

「ん…」

 

「え、あ…はい」

 

 そしてカイトが黙ってアミに手を差し出す。昨日の件もあって少し気恥ずかしい二人であったがカイトは仲直りしたいと言う思いの方が強く、それを感じ取った彼女は手を握る。

 その光景を見てリュウはさらにダメージを負うのだがそれは別の話。

 

ーー

 

「それじゃ、ここから私たちはセキュリティールームに向かうからバン君たちは居住区の入り口に向かって」

 

「「はい」」

 

 リナの指示の元。行動を開始したバンたちは敵の警戒に眼を配りつつ、セキュリティーシステムを解除し潜入に成功。

 

「ここを右だ…」

 

 設計図から作り出したルートを頼りに進んでいたカズは不幸なことに警備の人員に正面衝突。即刻、捕まってしまう。

 

「構うな、俺を置いて先に行け!…やっぱり助けてぇ!」

 

 威勢よく叫ぶカズだが警備に睨み付けられてすぐに心が折れる。バンとカイトは警備の脛に蹴りを入れると逃げ出す。

 

「全く、地図を見すぎだ!」

 

「ごめん」

 

 ワラワラと出てくる警備たちに恐怖しながらも投げた四人はなんとか追っ手を撒きひと安心する。その際に巨大な部屋に隠れることとなったがそこには

 

「待っていたよバン君」

 

 海道ジンが立ち塞がっていたのだった。

 

ーー

 

 ジンのエンペラーM2と対決することとなったバン。CPUの交換と反応速度の強化を行ったらM2はVモードのアキレスすら凌駕していた。

 

(なんて性能だ。ジンの操作テクニックも相変わらず凄いな)

 

 圧倒的不利からのバンの巻き上げ、必殺ファンクションの撃ち合いで試合が盛り上がって来たところに警備の人間に発見されまた逃げることとなる。

 

「ここは任せろ、Ez8!」

 

 逃げる際にデグー監視型が立ち塞がるがカイトはEz8で瞬殺、次々と敵を凪ぎ払っていく。そしてなんとか目的の部屋に辿り着くのだった。

 

「父さん、父さん!」

 

「ふふふっ…」

 

「誰、父さんなの?」

 

 真っ暗な部屋の中。何者かの笑い声が響き渡る、その声の主は静かにバンたちの目の前に姿を表すと同時に部屋の電気が点灯。そこにいたのは敵の首魁、海道義光の姿だった。

 

「待ちかねたぞ」

 

「海道義光!」

 

「今日は居ないんじゃなかったの?」

 

「父さんを返せ!」

 

「父親に会いたいか、良いだろう。ただし、月光丸に勝てればな」

 

 食堂のテーブルの上に降り立ったLBX、月光丸はその異様な迫力を持ちながら佇む。

 

「あのLBXはヤバイ…」

 

「月光丸…」

 

 月光丸を見た瞬間。カイトは冷や汗が止まらなくなる、あのLBXはヤバイ、本能がそう告げていた。

 

「山野バン。お前たちの得意なLBXバトルで勝てたら返してやろうと言っているのだ。異論はあるまい」

 

「バン、今度こそ罠だ」

 

「やってやるさ!アキレス!」

 

「四人一緒でも構わんぞ」

 

 余裕の態度の海道義光にカイトたちもLBXを投入。状況は4対1となった。圧倒的、有利な状況。それでもカイトは冷や汗が止まらなかった。

 

「行くぞ!」

 

 突撃するアキレスとクノイチ二人の鋭い攻撃を跳躍で避けた月光丸の着地の瞬間をハンターが狙い撃つが当然のように避けられる。その避けた先に向けてビームを撃っていたEz8のビームはムラマサによって切り払われる。

 

「化け物か!」

 

 機体性能もさることながら海道義光のLBX操縦技術が異常だ。もしや、これはジンすら遥かに凌駕しているかもしれない。

 

「それで終わりか?」

 

《アタックファンクション 月華乱舞!》

 

 三つの強力な斬激が周囲を囲んでいたバンたちに襲いかかる。防御手段を持たないクノイチとハンターはなす術もなくやられアキレスも防御が間に合わず吹き飛ばされる。なんとか防御が間に合ったEz8も多大なダメージを負った。

 

「あ、アキレス…」

 

「ほう、これを耐えるか…」

 

「くそっ…」

 

「カイト!」

 

 シールド防御と分厚い胸部装甲に助けられたカイトは月光丸を睨み付ける。

 

「アミちゃん!」

 

「大丈夫か!?」

 

 そこに駆けつけたのは郷田、リュウ、ミカの三人。三人は状況を察しすぐさまEz8の周りにLBXを展開させる。

 

「ほう、あの一撃に耐えた褒美だ。かかってくるがいい」

 

「行くぞ!」

 

「「おう!」」

 

 使い物にならなくなったシールドを捨てサーベルを抜刀。スラスターを吹かして突撃する。

 

「………」

 

 そんなEz8の様子を部屋の隅で観察していたのはザクマインレイヤー。この機体はEz8の精密なデータを入手しているとも知らずに…。

 

「おりぁぁぁぁ!」

 

 Ez8に引き続きハカイオーも突撃。その背後に隠れるようにしてアマゾネスも続く。

 最速で駆けるEz8は月光丸に肉薄、切り結ぶが吹き飛ばされる。

 

「バカな、Ez8がパワー負けした!」

 

「もらったぜ!」

 

 ハカイオーの渾身の一撃。両腕で振るった一撃を月光丸は左手で受け止め背後から姿を表したアマゾネスをムラマサで斬り飛ばす。

 

「そんな…」

 

 一瞬で頭部を破壊されたアマゾネスはブレイクオーバー。ハカイオーは月光丸から逃げられない。

 

「なんてパワーしてやがる!」

 

「二人とも下がって!」

 

 リュウの言葉と共にカイトはハカイオーを蹴り飛ばし射線を開ける。間髪入れずにリュウのガンタンク量産型の低反動砲が火を吹く。

 艦砲射撃の如く強力な砲弾が月光丸を襲うが最低限の動きで避け、ガンタンク量産型に迫る。

 

「マジかよ!?」

 

 ガンタンクの持つ全火力で応戦するも効果はなく呆気なくブレイクオーバーになる。

 

(スピード、パワー。いや、全てに置いてこちらが劣っている)

 

「この野郎!」

 

《アタックファンクション 我王砲(ガオーキャノン)!》

 

 ハカイオーの最大火力。月光丸は爆炎に包まれるが当たっていない。再び、近づかれたハカイオーはなす術もなくやられる。

 

「ここまでいて一撃すら」

 

「よく頑張ったな…これで本当の終わりだ!」

 

《アタックファンクション 明鏡止水!》

 

 無数の斬激がEz8を襲い、ブレイクオーバーになってしまうのだった。

 

 




作者の超個人的作品内 無印ダン戦のLBX性能ランキング(現在)

一位 月光丸

二位 エンペラーM2

三位 アキレス

四位 ハンター

五位 ゼフィランサス(完成時)

 プレイヤーランキング

一位 海道義光

二位 海道ジン 山茶花カイト

三位 山野バン

四位 加藤鈴鹿

五位 仙道ダイキ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。