ダンボール戦機 禁忌の箱を守りし幻影 作:砂岩改(やや復活)
用意されたバトルフィールドは地中海の古代遺跡、パルテノン神殿を沸騰させる遺跡群、そこは程よい起伏があり立ち回りやすいステージだ。
「ウォーリア、投下」
「クノイチ、出陣」
「出撃だ、アキレス」
「ジムカスタム、行きます」
「行け、ハカイオー」
純粋なプレイヤーの腕は郷田のほうが上、なら四人の連携が重要になってくる。ウォーリアマシンガンによる後方支援、クノイチは機動力を生かした攪乱、ジムカスタムは遊撃、それぞれの役割でまだ機体に慣れていないバンを支援する作戦だ。
「行くわよ!」
「ほう」
先手を打ったのはクノイチ、持ち前の機動力でハカイオーに接近すると軽い身のこなしで飛び上がる、すると郷田の視界にマシンガンを構えたウォーリアの姿が映る。飛来する銃弾をヘビーソードで防ぐハカイオー。
「今だ、突っ込めアキレス!」
その隙にアキレスが横合いからランスで突き飛ばす。細い体に見合わない強力な一撃はハカイオーを吹き飛ばした。
「吹き飛ばした、なんてパワーなの」
「早い」
カズとアミがアキレスの性能に舌を巻いている間にもハカイオーは反撃に出ている。そのヘビーソードを受け止めたのはジムカスタム、パワー勝負では分の悪いと察した彼は曲面型のシールドの特性を利用して上手く衝撃を流したのだ。
「流石、カイト。うまく流したわね」
「面白れぇ、その力。もっと見せてみろ!」
アキレスの予想を上回る性能とカイトの高い技量を見せ付けられた郷田は楽しそうに叫ぶが横合いからのウォーリアの銃撃で動きを封じられる。
「ヒットアンドアウェイ、距離を取って戦うつもりか」
「なるほど、考えたでごわすな」
「どんな小細工使っても地獄の破壊神からは逃げられないよ」
形勢が不利な郷田を見ていた三人衆は特に焦る様子を見せずに試合を見ていた。
「距離を取って正解ね」
「カズ、お前の作戦は大当たりだ」
「このまま押しきるぞ」
「……」
数の利もあって有利な状況に持ち込み喜ぶ三人、それに対してカイトは真剣な表情で黙っていた。
「四対一なんて、私たちを舐めすぎたようね」
「わかってねぇな。四対一なら4人まとめてぶっ壊せるじゃねえかよ!」
「始まるよ、リーダーの破壊のショーが」
「くらえ、
「全員、気を付けろ!」
ハカイオーの胸部から放たれた攻撃はフィールドの地面をえぐり大きな土煙を起こす。
「なんだよ、何もみえない」
「奴はどこだ」
視界が全て土煙によって塞がれ身動きが取れなくなった4人は集まり、全周囲を警戒する。土煙に紛れてハカイオーがアキレスの背後に接近していた。
「まずい、バン!離れろ!」
「バン!」
「え?」
ハカイオーの目標がアキレスだと察したカイトとカズは彼を守るために駆ける。スラスターを駆使していち早く辿り着きアキレスを助けるために吹き飛ばす。
「吹っ飛べ」
「くぅ!」
アキレスは助けられたもののジムカスタムはハカイオーの攻撃を受け吹き飛ばされる。
「泣き叫べ」
続いて強力な蹴りがジムカスタムを襲い上空に放り出された。
「カイト!」
「砕け散れ」
一気にダメージを受け身動きが取れなくなったジムカスタムにヘビーソードによる強力な一撃を喰らわされ多大なダメージを負った機体は爆発する。
「その目に刻め、これが地獄の破壊神。ハカイオーだ」
ハカイオーのパワーの前ではジムカスタムの装甲も耐えられずに悲惨な最期を迎えてしまった。機体の破片がフィールドに飛び散る。
「カイト…」
機体を破壊され黙り込む彼をアミは心配そうに話し掛けるがカイトは何も言わずにフィールドを見据える。
「まだ終わってない、戦闘を続けるんだ。アミ…」
「カイト…」
大抵、いやほとんどのLBXプレイヤーは自身の機体を壊されたらその顔に絶望の表情を浮かび上がらせるのだがカイトの表情には絶望の色は見られなった。
「やったな!」
「よくもカイトのジムカスタムを!」
「同じ手を何度もくらう俺様じゃねぇ!」
カイトの仇を取らんと接近するクノイチだが動きを完全に読まれ後方で援護射撃を加えていたウォーリアの元へと吹き飛ばされる。
「アミ、カズ!」
「なんだその甘っちょろい打ち込みは、とんだ期待外れだったぜ!」
吹き飛ばされた2人をカバーするために前に出るバンだが手慣れている郷田とまともに打ち合えずに吹き飛ばされる。
「近づけばヘビーソードで」
「離れればガオーキャノンで」
「ハカイオーに死角はないよ」
「くらいやがれぇ」
吹き飛ばされた3人に対する追い打ち、ガオーキャノンが3人に迫る。
「くっ」
その瞬間、カズはすぐ側にあったジムカスタムの楯を拾い2人の前に出る。巻き上がる粉塵が晴れ姿を現したのはかろうじて無事な3機、その代わりにシールドが砕け、酷い有様となった。
「カズ、大丈夫か?」
「あぁ、でも銃が壊れちまった」
とっさにシールドで守ったのは良かったがその際にマシンガンを投げ捨ててしまい使い物にならなくなってしまったのだ。
「俺はもう丸腰だ、後は2人で何とかして貰うしか…」
「いや、カズ。お前の出番はまだあるぞ」
「え?」
「最初から何か違和感があったんだ。ハカイオーのガオーキャノン、流石にあれは威力が高すぎると思ってた」
カイトは手にしていたCCMを操作しながら話を続ける。
「でも全エネルギーを消費してでの攻撃なら納得がいく。頭部のカメラが光を失ったのがその証拠だ」
「と言う事はその瞬間が無防備に」
「あぁ、攻撃のチャンスはこれしかない」
説明を切り上げるとともにCCMの操作を止める。
「分かった、やってみよう」
「はっ、作戦は決まったか?もう一発いくぜ!」
強力な威力を誇るガオーキャノンが再びチャージされ発射態勢に入る。
「今だ!」
「あのキャノンを撃つ、一瞬が勝負よ!」
発射態勢に入ったハカイオーに迫るバンとアミ、その様子を見て郷田は笑う。攻撃手段を持っている2機の一斉攻撃、ガオーキャノン発射中の無防備な所を狙いに来たのは想定通りだ。
これで片方を潰し、もう一機をやればあとは"丸腰"のウォーリアが残るだけ、郷田はガオーキャノンを中断するとアキレスをヘビーソードで吹き飛ばしクノイチを掴む。
「バカが、俺がそんな事に気付いてないと思ったのかよ…吹っ飛べ!」
「吹っ飛ぶのは、あんたの方よ!」
巧みにハカイオーの拘束から逃れたクノイチは大きく後退、それを不審に思った郷田が見たのは丸腰の筈のウォーリア。その手にはビームライフルが握られている。
「貰ったぞ!」
放たれるビーム、そのビームはハカイオーのキャノン砲に直撃し破壊する。
「なにぃ!」
「2人の攻撃はフェイク、本当の目的はウォーリアにジムカスタムのライフルを渡すことだったのか」
「いつの間にそんな作戦を考えたでごわすな」
3人の意図を理解したリコだったが疑問は残る、そんな念密な作戦、話し合っていたとは思えなかったからだ。
「まさか…」
リコとテツオが疑問に思う中、ギンジは察する。あの時、CCMを操作していたカイト、彼がCCMを通して指示を出していたのだと。
「くぅ、ガオーキャノンを潰されたぐらいでこの俺様が…負けるかぁ!」
ガオーキャノンが潰されたと言ってもその強力なパワーも郷田の操作技術も健在だ、油断ならない。
「舐めた真似を、許さねぇ。そのコアスケルトンもアーマーフレームも全部、ぶっ壊してやるぜ!」
「俺達は、俺のアキレスは負けない!」
加速し突っ込んでくるハカイオー、それに対しアキレスも迎え撃つ。
「うおぉぉぉ!」
「貫けぇ!」
交差する2機、倒れたのはハカイオーの方だった。
「バカな…ハカイオーがやられただと」
「やったわね、バン!」
「やった、勝ったんだ!」
強敵の撃破、それに対し歓喜の声を上げる3人、そんな中、カイトは素直に喜べなかった。
「良かったな、バン」
「あぁ…」
バラバラになったパーツを拾い集めポケットに突っ込む彼の姿を見て3人は申し訳ない気持ちになる。
「カイト!」
「ごめん、アミ。ちょっと1人にさせて」
1人だけ先に立ち去ろうとする彼を見てアミは声を上げるが彼女も去っていく背中をただ見守ることしか出来なかった。
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イノベイター研究所、その開発室にて開発された1機のLBX《エジプト》その機体がバンたちに襲いかかるのはこれからすぐの出来事だった。
と言う事で今回はここまでと言う事です。
ハカイオーの犠牲者にはカズではなくカイトがなってしまいました。近いうちに本命のガンダムが登場するでしょう。
では最後まで読んで頂きありがとうございました!