ダンボール戦機 禁忌の箱を守りし幻影 作:砂岩改(やや復活)
「カイト…」
ミソラ二中から一番近い川の土手を探しに来たカズは川をぼーっと眺めているカイトの姿を見つけた。
「おい、捜したぜ。どうしたんだよ」
「……」
「カイト?」
何か様子がおかしいカイトに疑問を覚えるカズだが口を開かない彼に対して何もすることが出来ない。
「お、それ新しいLBX?作ったのか?」
そんな時、カズは彼の手に握られていたLBXを見つけ喜々として話す。
「ならキタジマに行けば良いのにどうしてここに居たんだよ。俺とやろうぜ」
「バトルか?」
「もちろん」
「そうだな、やるか」
少しだけ不気味に笑うカイトの様子に気付くことなくカズは彼の用意した砂漠のステージで戦闘を開始するのだった。
ーー
「元気出してよアミ」
「うん…」
その頃、学校から帰宅していたバンはアミを慰めていた。朝からこんな調子の彼女は随分と生気が失われているように見える。
「カズが河川敷に行ってるから行ってみよう。少し気分転換した方が良いよ」
「そうね…」
「もう止めてくれ!」
そんな時に聞こえてきたのはカズの声、彼の悲鳴に近い声に反応した2人はその声の発生源に急いで向かうのだった。
ーー
「カイト!」
「カズ!」
河川敷でバトルしていたのは声の主のカズとカイト、Dキューブの中を見た2人は思わず言葉を失う。
大破したウォーリアを踏みつけ立っていたのは黄色いLBX、それを見たアミは違和感を覚える。今まで彼が作ってきたLBXとはかけ離れた姿だったからだ。
「来たか、アキレス…」
「カイト…」
何か様子がおかしいカイトを見てバンは息を飲む。どうやらカイトはカズのウォーリアに興味を失ったようで放置している。明らかにこちらが出るのを待っている。
「やってやる。行け、アキレス!」
「粉砕せよ、エジプト!」
驚いて身動きが取れないカズのウォーリアを回収したアミはカイトの事を心配げに見つめる。
向かい合うアキレスとエジプト、両者はにらみ合い一斉に動き出す。
アキレスの鋭い突きをいなしながらジワジワと近寄るエジプト、距離が近づき1時、離れようとしたバン。そんな絶好のタイミングをカイトは見逃さない。
「今だ!」
アキレスが持っていた槍を掴み引き寄せるの持っていた剣で腹部を斬りつける。
「ぐわぁ!」
続いて蹴り飛ばされ転ぶアキレスの元にエジプトが剣を構えて飛ぶ。
「くっ!」
間一髪の所を避けるバン、だがマウントを取られ動きを封じられる。
「駄目だ、完全に封じ込められてる」
「やれ、エジプト!」
完全に自由を奪われたアキレスは為す術もなくエジプトの攻撃を受け続け装甲にヒビが入る。
「アキレス!」
「やめて、カイト。これじゃアキレスが!」
カイトの異常な行動にアミが止めに入るが彼が止まる様子はない。
そんな光景を河川敷の反対側から見つめる3人の黒ずくめ。
「上手くいったすね」
「壊したらすぐにプラチナカプセルを回収するわよ!」
「「ラジャー!」」
そしてそのバトルを見ていたのは怪しい黒ずくめだけでは無かった。
「……」
ジャージー姿の男性、頭にはフードを被り眼をサングラスで隠している。そんな男性もこの戦いを見つめているのだった。
ーー
「このままじゃ、アキレス!」
アキレスのライフポイントが3分の1まで減った瞬間、アキレスは突然輝き始める。
「え?」
「なんだ?」
明らかに異常なアキレスの変化にカイトが戸惑っているとマウントを取っていたエジプトが弾き飛ばされた。明らかに先程とは違いパワーが上がっている。
「なんだ、これ…」
CCMも大きく変化し驚きを隠せないバンは操作を試みるがまったく応答しない、それどころかアキレスは勝手に行動し攻撃を開始する。
「ちっ!」
猛スピードで突進してくるアキレス、そのランスを受け流しながら回し蹴りを入れようとするエジプトだが同じく蹴りを入れたアキレスに力負けし逆に吹き飛ばされる。
「足場が万全じゃないのに力負けした?」
「止めろ、アキレス!」
吹き飛ばされたエジプトはピラミッドのすぐ側で着々し体勢を整えようとするがアキレスの盾が襲いかかりピラミッドに叩きつけられる。
「くっ!」
だがカイトも黙っていない、持っていた剣でアキレスのランスを吹き飛ばすと殴り飛ばす。
「舐めるなぁ!」
迫るエジプト、武器を失ったアキレス、圧倒的な不利な状況だったが右腕を飛ばされたのはエジプトだった。
「手刀!」
「あんなパワーが」
アキレスの変わりように驚くカズとアミ、もうそこからはエジプトの処刑時間だった。
攻撃手段を失ったエジプトは首元を手刀で突かれダメージを負うとアキレスの蹴りと殴りの応酬に対して反応できずに攻撃を受け続ける。
「ぼ、ボス…」
「な、なんなのよあれ…」
その様子を見ていた黒ずくめの3人組もあまりの光景に言葉を失う。
「あぁ…」
身動きが取れないエジプトに対しアキレスは自身の槍を持ちエジプトのコアボックスに深々と突き刺したのだった。
「うっ……」
「カイト!」
エジプトが破壊された瞬間、カイトは小さなうめきと共に倒れ込む。それをアミが何とか抱き止めるのだった。
ーー
「ん、うぅ…」
「カイト!」
「良かった、目を覚まして」
「もう、心配したんだから!」
カイトが倒れてから暫くして彼が目を覚ますと涙を浮かべたアミが抱きついてくる。
「あれ、俺はどうしてここに?」
「なにって、さっきまでLBXバトルをしてたじゃないか」
「ごめんバン、訳が分からないんだけど…」
カイトの煮え切らない態度に全員が疑問を覚え、目を合わせる。
ーー
それから暫く、カイトとバンたちと話し合ったが話がまったく噛み合わなかったのだった。
「それって催眠術にでもかかってたんじゃない、誰かにアキレスを壊すように命令された」
あまりにも特異な事態に北島模型店に向かった4人、そこで話を聞いた沙希がフッと思ったことを口にする。
「カイト、そのエジプトを持つ前のことをもう少し思い出せない?」
「確か、神谷重工産のLBXだって露天商が言ってたような」
「神谷重工ってあの大手重工メーカーのだろ?」
「たぶん、頭が痛くて回らない…」
頭を抑えて辛そうにしている彼に付き添うアミ、彼女は聞きたいことを思い出し聞いてみた。
「そう言えば今日、学校に来なかったけどそんなにショックだった?ジムカスタムのこと」
「いや、別に…。悲しかったけどそんなには」
予想外の答え、それを聞いたカイトを除く全員がキョトンと言う顔をした。
「じゃあ、どうして今日来なかったのよ」
「新しい機体を作ろうと思ってたら寝坊しちゃって…」
「「……」」
くだらない理由に全員が黙り込みアミを見る。彼女は当然の如く静かに怒っていた、それを見た全員がその場から退避。そこにはカイトとアミの2人が残った。
「このぉ、バカァァァァ!」
「ドム・トローペン!」
バッシーンと言う音と共にカイトの悲鳴が店内に響くのだった。
エジプト編終了。
次回からは総理暗殺阻止編に移行します。動き始める悪の組織、カイトたちはどう抗うのか?
最後まで読んでいただきありがとうございました!