真剣で格闘士(グラップラー)に恋しなさいッッ! 作:バランスのいい山本
そして鉄 琢磨の仲間である主従コンビも登場。ようやく全員が揃いました!
さらに少しだけ風間ファミリーも顔を出しますッ
今回は決闘を入れると長くなりそうなので次回にしました
琢磨達が川神学園のB棟に入り、2-Sの教室に到着したのはスピーカーから呼鈴が鳴り響く15分前。烈先生の腕時計を見て急いできた事もあり、幾分か余裕をもって登校出来た。すでに教室には多くの生徒達が椅子に腰掛け予習復習に励んでいる。エリートクラスと呼ばれているS組だが、何だかんだでこうした努力家の優等生が多いのだ
とは言っても現在猛勉強中の生徒は、学年成績の下位グループに属する人間や少しでも上位を目指している人間であり、冬馬のように自分の学力に相当な自信がある生徒や、小雪のようなS組にさえ入っていればそれ程順位に関しては気にも留めない変わり者等は周りの邪魔しないように適度に雑談に興じている
因みに琢磨の学年成績は最高で13位
得意科目は体育と英語。修業による海外遠征のおかげであり
他にも中、仏、独の計4ヶ国語を話す事が出来る
苦手科目は日本史
「平安時代を覚えてる暇があったら腕立て伏せしてる方が為になるわッッ」
と一切、手を付けていないのが大きい理由だろう
「アイツは案の定まだ来ていないか……」
「もう暫くすればHRですし、流石に英雄が遅刻するはないですよ。ここは大人しく教室で待ちましょう」
教室を見渡し、探していた人物がいない事を確認した琢磨達は各自の机に座った
「よっ、おはようさん不死川」
「お、おはようなのじゃ鉄。高貴なる此方に進んで挨拶をするとは、お主も見る目があるのぅ」
隣の席で何かに熱中していた心に声を掛ける琢磨
机にはノートや筆記用具はなく、どうやら勉強していた訳ではないようだ
「今の手の動き………もしかして影絵か?」
「そうじゃ。 なんじゃお主、顔に似合わず影絵にでも興味があるのか?」
「いや、前にテレビでプロの人の影絵を見てさ、その完成度が凄かったんだよね。不死川もああいうのが出来るのかなって」
「当然じゃ、此方にかかればそこらの影絵師の技など造作でもない……ほれ」
そう言うと、心は複雑に手を組み合わせ形作ったものを自慢げに琢磨に見せる
「……で、これは一体何なんだ?」
「見て分からぬか!梟なのじゃ。フクロウ」
「そう言われてもな……影でしか見てないから手だけ見せられても分からないっての」
「まぁお主のような不器用者には、ちと難しかったかもしれんのぅ。それなら……これはどうじゃ?」
今度はこれ見よがしに蟹の形を作る心
完全に琢磨を馬鹿にした行動である
「これは……カニか。その様子だと他にも色々知ってそうだな。なぁ、俺にもユキを驚かせるような影絵教えてくれないか?」
「そんな簡単に学べるモノではないわ。教えて欲しければ机に頭をこすりつけよ」
「むゥ、確かに名門不死川家の人間からタダで教えてもらおうとは、俺も図々しかったな。今回は諦めるとしよう」
邪魔して悪かったな不死川―――――――――そう最後に言って琢磨は席に戻る
「あ。でも……簡単なのも、あったりして……なんならそれは、普通に教えても(小声)」
小さな声でポツリポツリと漏らす心
せっかく琢磨から声を掛けてきたのに、此方はあんな態度を・・・と内心ひどく後悔していた
「……はは、今さら……聞こえぬか。………はぁ」
「ところがドッコイ聞いてたぜ。 影絵は初心者だからよ、お手柔らかに頼むぜ先生」
「なッ!? ……全く、妙な男じゃのう……よいか、まず手を広げい。そして――――――」
こうして朝は心と親交を深めた琢磨
根は良いやつなので、同じクラスメイトとして仲良くやっていきたいものである
そして時間は過ぎていきチャイムが鳴る5分前
教室の戸が開くと、そこから相変わらずよれよれのスーツを着た担任の巨人が入ってくる
いつもはチャイムがなるギリギリの時間に来る事が多い彼にしては珍しかった
「あー、まだそのまま座ってていいぞお前達。HRは時間通りに行うからな」
「どうしたんだ? 先生にしては随分早い時間に来たじゃないですか」
「まぁな、隣のFクラスに今日転入生が来るだろ? それで小島先生がいつもより早めにHRを行うって教室に向かったもんで、オジサンもホイホイと釣られて来た訳よ」
「まるで金魚のフンじゃな。お主とあの先生の間に縁などありはせぬのに・・・往生際が悪いぞヒゲ」
「よけいなお世話だ。諦めたらそこで試合終了だって聞いた事あるだろ?何事にも負けずに粘り強くいけば、必ず最後には上手くいくんだよ。お前らも覚えとけ?」
「カッコイイ台詞っぽい気もするが、なんかストーカーの言い分みたいだなソレ」
「おまわりさーん、ここにヘンタイがいるよー」
「駄目ですよユキ、先生はまだ予備軍ですから。先生もその姿勢は評価しますが、節度ある行動の範囲でお願いしますよ?」
「あれ? おかしいな……オジサンいつの間にか教え子に説教されてね?」
そんなうなだれている巨人を余所に、クラスの一部生徒がざわつき始める
視線が窓に集まっている事から、どうやらグラウンドに誰かが来たようだ
「お、さては噂になってるドイツからの転入生かッ! むこうの国の女の子は天使って言うからな………はるばるやって来たその愛らしい顔を拝むとしようッッ」
琢磨や冬馬から転入生が女子と聞いていた準はその姿を頭の中で脳内補完すると、意気揚々と教室の窓にへばり付いた・・・・・・が、
「なん……だと?」
「どうした準? そんなRPGの最終面直前のデータが消えたような声を上げて」
「おおかた転入生が小さな女の子ではなかったのであろう。世の中、小雪のマシュマロのように甘くはないのじゃ」
「それもある……確かにッッ それもあるが、その転入生が乗り込んできてるんだよ」
半ば呆然と答える準の最後の言葉に疑問が生じた琢磨達は、身を乗り出してグラウンドを見下ろした
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「クリスティアーネ・フリードリヒ! ドイツ、リューベックより推参ッ この寺小屋で今より世話になるッッ」
透き通った声がグラウンドに響き渡る
その中央で高らかに名乗りを上げた転入生
その姿を例えるなら――――――――――――満場一致で騎士だった
凛々しい顔立ちに流れるような金髪。太陽を僅かに反射させ、一際美しく魅せる
欧州人であることを象徴させる碧眼は宝石のようでありながら鋭く、無粋な言動を一切寄せ付けない
ただそう・・・・騎士なのだ
騎士である以上、必要不可欠なものがある
そう・・・・・・・馬である
白馬に跨り颯爽とやってきた転入生に川神学園生は大いに盛り上がった
それは転入先の2-Fも当然、例外ではない
「おおおお金髪さんッ! 可愛くね? 真剣可愛くね!?」
「超ッッ、当たりなんですけどぉぉぉ!!」
福本育郎や島津岳人を始めとした思春期真っただ中のF組男子勢は美少女の転入にテンションは最高潮に
「だっはっはっはっはッ! 馬に乗って登校かよ!? 面白ェあいつ面白ェッッ」
それとは対照的に、色恋沙汰に興味がないバンダナを巻いた青年 風間翔一は馬に乗ってきた事に大爆笑している
「改めて紹介しよう。彼女が私の大切な愛娘、クリスだ。皆、どうか仲良くしてくれたまえ」
先に教室に来ていた転入生の父親フランクがクラスメイト1人1人の顔を見るように言う
自分の娘が馬で登校している事には特に気にも留めていない様子だ
「ねぇ大和、この人達ってもしかして……」
グラウンドの光景と父親の姿から、椎名 京は1つの答えを導き出す
普段はファミリー以外の人間にはそれ程興味を示さない彼女も
今回ばかりは、さすがに無視出来そうになかった
「あぁ、間違いないな。この2人………日本にとんでもない誤解をしている外国人だ」
椎名の問いかけに答えた直江大和は額を手におき、呆れ果てて溜め息も出ない様子でいた
一方、S組はF組とは対照的で、このクラスらしい反応だった
「馬だ」
「馬だな」
「馬じゃな」
「馬ですね」
「おォー、お馬さんだ!」
上から順に琢磨、準、心、冬馬、小雪である
「なんだよ、ありきたりだなオイ。もっと盛大に現れたのかと思って期待してたのに……」
「そういうリアクションすると思ったぜ。つか、どんな想像してたんだよボスは?」
「例えば・・・軍艦一隻まるごとグラウンドに突っ込んで来るとか?数年前、松笠の学校に転入生が来た時、実際にあったらしいぜ」
「スゲーなそれ。どこの学校にも、そういう生徒はいるもんだな」
「まぁどちらにせよ、あのような非常識極まりない雌猿がS組に来なくて一安心なのじゃ。ニョホホホ」
「「「(お前が言うなッッ)」」」
S組生徒一同は口には出さなかったが、胸の中ではその言葉が完全に一致した
確かに牛車で登校するような人間に言われる筋合いはない
「それもそうですが……私達のクラス委員長も負けず劣らずかと思いますよ? ホラ」
冬馬の視線を追うと、そのクラス委員長が転入生の後ろから登校してきていた
「ここが今日から自分の学び舎か。それにしても………自分以外で馬登校の者はいないのだろうか?」
キョロキョロと辺りを見渡す転入生のクリス
HRが迫っていることもあり現在グラウンドには生徒はいなかった
それもあるが、第一馬に乗りながら登校する生徒など、この学校といえど前例はない
そう、あくまで『馬登校』に限っての話だが・・・
「む? あやつはもしやドイツの転入生であるか。あずみ、人力車を止めよ!」
「了解しました英雄様! ブレーキング!」
クリスの後方から爆走してきた人力車が彼女の真横で停止し、その座席から金色に輝くスーツを身に纏った2-Sのクラス委員長にして世界三大財閥に名を連ねる九鬼家の御曹司『九鬼英雄』が立ちあがる
その人力車を引いてきたのは英雄の専属メイドである九鬼家従者部隊序列1番『忍足あずみ』だ
「フハハハハハ! 我、降臨であるッ おはよう、ドイツからの転入生よ。初日の朝から馬で登校とはやるではないかッ!」
「おはようございますッ!」
英雄とあずみから挨拶を受けたクリス
彼女は英雄が乗ってきた乗り物に目を輝かせる
「そ、それは……ジンリキシャ! さすがはサムライの国だな!」
「うむ、そして我が名は九鬼英雄ッ いずれ世界を統べるものであるッ!」
「自分はクリス! 馬上にてご免」
「構わん、我の心は寛大である! クリスよ、この栄光の印、とくとその眼に焼き付けるがよいッ」
「おォ、その姿……まるで遠山ッ」
英雄はスーツの背中に刺繍されている昇龍をクリスに見せ付ける
彼女もさらに興奮した様子で歓喜の声を上げていた
「鉄……お主ら本当にあの九鬼英雄と親友なのか?」
「やめてくれ、今だけは……今だけは他人でいたいんだッッ!」
心の問いかけに琢磨は頭痛を抑えるようにこめかみを押さえながら叫んだ
作者コメント
クリス
アホ可愛いミス・キシドー
実は全キャラ中、彼女の声が自分は1番大好きですッ
ただ、彼女の正義が格闘士達の闘い方に対し気に障るかも
でも直江とも恋仲になってたし・・・大丈夫、かな?
ヒロインになるかは現在未定。皆さんからの意見募集しますッッ
九鬼英雄
フハハハハって聞くと、三國無双の司馬懿を連想するのは
自分だけですか? 滝下さん、ご冥福をお祈りいたします
英雄とは琢磨が小6の時に出会いました
琢磨がああして強さを求める理由は英雄も実は関係しています
風間ファミリーのキャップポジション
忍足あずみ
ババァ俺だ、結婚してくグハッッッ!
・・・ヒロイン候補中最年長のお姉さんですッッ
A-1みたいに数年かかるとかはしない予定
それに伴い、琢磨との出会いが重要なポイントかと
風間ファミリー
まとめて紹介でもいいよね?
今作のメインはS組なので日常パートとか目立たないと思う
原作のF組とS組が逆になった感じと思ってくれれば・・・
武士娘がいるし、それなりには活躍させます