トラナイド国が黒だとわかった俺たちはアビリティドラッグの水槽の周辺に爆弾を仕掛けた。あとはジェラシーのブレイズで起爆させるだけだ。外から炎を流すため、外に出た。
「それじゃあいくよ。爆破した瞬間兵士が集まってくるだろう」
「ああ。準備はできている」
ジェラシーは手を前に突き出す。
「ハッ!」
掌から巨大な火の球が解き放たれる。壁に当たった瞬間破裂して、火炎流を起こし、建物内に炎が流れ込む。爆発から避けるために走り出した瞬間に建物が吹き飛ぶ。そして響き渡る爆発音と警報機の音。平和で静寂な国が一瞬にして騒ぎ出す。
「研究所だ!研究所が爆破された!」
「くそ!一体どこから入ってきた!?」
兵士たちの声が聞こえる。俺たちは家の屋根にうつ伏せで待ち伏せていた。
「これは無理だ!あの方が来てくれれば……」
俺はジェラシーに小声で聞く。
「あの方って誰だ?」
「おそらくここの英雄アクアだろうね」
「そいつをやれば後は全滅させるだけだろ?」
「うまくいけばいいけどね」
ボンッ!空気が熱されることによって発生する空気爆発が起きる。
「くそ!火の勢いが収まらない!」
必死に消化しようとする兵士たち。その人数はドンドン増えて行った。
「……そろそろだな」
「ああ。やるか」
俺たちは立ち上がった。次の瞬間、まるで津波が来たような水が押し寄せてきた。
「なんだ!?」
一気に消される火。
「……アクアが来たのか?」
「そうかもね。だけど、やられる前にやる」
ジェラシーは手を上にあげる。そして巨大な炎の球を作る。
「おい!上だ!上にいるぞ!」
「う、撃て!撃てええ!!」
銃弾が放たれる。銃がこちらに届く前に時間停止。ジェラシーの背中に手を触れる。ジェラシーの時間が動き出し、炎の球がさらに大きくなる。
「ハッ!」
掛け声とともに炎の球を放ち、俺たちはその場を離れる。そして能力を解く。
「!?なっ!?ど、どこに行きやがった!?」
「に、逃げろ!」
兵士が逃げ惑う。だが、炎の球の方が早い。地面に着地した瞬間、火炎流が発生し、周囲の兵士をすべて焼き尽くす。兵士の断末魔が響き渡り、火だるまとなった兵士が次々と倒れる。
「奴らはどこにッ!?うわっ!」
俺たちをきょろきょろと探していた兵士を後ろから切り殺す。ジェラシーは奥の方で敵を焼き殺す。
「こいつら瞬間移動してやがるぞ!」
そう思っても仕方がない。時間を止めて動いているため、他の兵士には瞬間移動しているように見えるのだ。ジェラシーは俺の能力をコピーして時間停止している。
「くそ!どうしたら……」
俺たちは問答無用で兵士を殺す。
「燃えろおおお!!」
ジェラシーが叫ぶ。炎を解き放った瞬間また水が流れ、炎を消し去る。
「なっ!?」
「全く……あなたたち本当によく暴れてくれたものね……」
「誰だ!?」
「私はアクア。ウォーターマニピュレイトの使い手よ」
青色の髪でロングヘアーの女が余裕の表情で塔の上に立っていた。
「アクア……レベル9の能力者か」
「あら。知っているのね。それなら話は早いわ。とりあえず……」
アクアは顔を伏せる。そして、冷酷な笑みを浮かべ、言い放つ
「死んでもらおうかしら」
その瞬間、巨大な水の球が現れた。
「くっ!」
ジェラシーは時間停止でその場から離れる。俺は俺に向かってくる兵士を倒しつつ、ジェラシーの様子を見る。
「燃えろ!」
火の球がアクアに向かって飛び出す。
「無駄よ!」
水の球が火の球を打ち消し、そのままジェラシーに向かって飛ぶ。
「くっ!」
横に躱した。着地した水の球が弾け、周囲が洪水となる。
「うわあ!」
波に流されるジェラシーは必死に抵抗する。
「あっははははは!!無様ね!」
アクアは手を前に突き出し、水を操る。水がジェラシーを取り込む。
「ジェラシー!」
ジェラシーは息が続かず、必死にもがく。俺は俊足でジェラシーに近づき、時間停止で水の球を切り破壊する。
「っ!?」
「大丈夫か!?ジェラシー!」
ゴホゴホとせき込むジェラシー。俺はジェラシーを起こし、アクアを睨む。
「せっかく殺せたのに……邪魔しないでよ!」
アクアの両隣に巨大な水の柱が立つ。
「とんでもない能力だな……ジェラシー、大丈夫か?」
「あ、ああ……何とか」
「あとは俺に任せろ」
俺はアクアに向き直る。
「てめぇは俺が殺す!仲間を傷つけたことをあの世で後悔しろ!」