思いっきり振り切った剣は手ごたえが一切なく、空を切る。
「なっ!?」
手元を見ると、どろどろに溶けた剣は柄だけが残っていた。
「何をした……」
「とあるやつを参考にして、炎の鎧を纏っている。一瞬ですべてを焼き尽くすことができる。その剣のように」
「そのとあるやつっていうのは、エリアルのことか?」
「……何故エリアルのことを知っている?まさか……エリアルを殺したのは……」
「そう、俺だ」
その言葉を聞いた瞬間、カムイの周囲を炎の渦が巻く。先ほどの数倍以上の熱気が漂う。
「ああ、お前はいいやつだった。俺以外に殺されないと言っていた。なのにどうして死んでしまったんだよエリアル!!」
「な、なんなんだこの熱風は!」
とてつもない熱風だ。その熱風は周囲の木に火がつくほどだ。一瞬であたりが焼野原になる。
「エリアル……お前の力で復讐を果たしてやる……」
「どういうことだ!?」
「能力授与という方法がある。血を対象の人間の体内に入れることにより能力が覚醒する。能力は絶対に授与した人間が持っていた能力を使えるようになるわけでもないらしいが。ま、俺の場合はエリアルと相性が良かったのか、エリアルの能力そのまま受け取ることができた」
「そんな話、聞いたことがないぞ!」
「極秘らしいからな。だが、秘密は漏れるものだ」
「能力授与したってことは……」
「そう、俺はブレイズとエリアルのブラスト。二つの能力を手にした。お前を殺すことはたやすい!」
ブレイズの炎とブラストの風。二つが合わさり、炎の渦を作る。それはまるで二頭の火の龍が天に昇って行くようだ。
「エリアルの能力ならば、あの方法で殺せる!」
俺はカムイに向かって走る。そんな俺に対し、炎の渦を撃ってくる。それを躱し、俊足で近づく。
「カウンターエクスプロージョンでっ!!」
火の鎧に手を触れる。能力で作られた鎧は吸収され、その力を利用し、瞬時に爆発させる。
「やったか!?」
爆風で上がる煙の向こうにカムイが立っている。
「なっ!?」
「なるほど、エリアルはこれでやられたんだなっ!」
「ガハッ!?」
俺の腕を掴み、前に倒し、腹に蹴りを入れてくる。
「ぐああああっ!!」
炎の鎧の熱で腹部に大きなやけどを負う。
「俺は熱を吸収することができる。そして爆風もエリアルのおかげで吸収することができるようになった。つまり爆発は効かない」
「冬樹!!」
ラースとスロウスが駆けつけてくる。スロウスが俺の腹部を回復させる。
「なんてやつだ。あいつ、強い!」
「ありがとうスロウス。助かった」
「ん。あいつは強すぎる。下手に戦うことはない、逃げよう」
俺たちは火の海となった森の方に逃げようとする。
「逃がすかよ!!」
その行く手を巨大な炎が阻む。
「くっ……」
「言っただろう?エリアルの復讐すると」
(どうする……どうやったら……)
カムイの後ろにいるエミリアを見る。
(ああ、そうだ。あいつをやらないとエミリアを俺のものにできない……)
ドクンと心臓が高鳴る。
(ぐっ!?この感覚はっ!?)
視界がぐらりと歪む。
(もう一人の俺か……だが、今回ばかりはお前には頼らない!!)
俺は意識をしっかり保つ。そして体の中から湧き出る力を感じた。そしてなぜかその能力がどんなものか、どんな使い方をするかが分かった。
「お前の能力を、すべて打ち消してやる!」
新能力は能力を破壊する能力。相手の能力を分解し、打ち消す。
「ラース、俺に剣を貸してくれ」
「え?あ、ああ」
俺は剣を受け取り、俊足で近づく。近づく俺に炎の渦で攻撃するカムイ。その炎の渦を吸収し、さらに接近する。
「くらえっ!」
カムイの傍らに飛び込み、手のない右腕で鎧に触る。バチンと音を立て、何かが弾け、その瞬間切る。
「ぐっ!?ぐああああ!!」
横腹を切られたカムイはよろつく。
「貴様あ!!何やった!!」
「言っただろう?お前の能力を打ち消すと」
「貴様あ!!!」
炎が集まり、炎の龍がうなりを上げる。そして俺に向かってくる。俺はその龍を打ち消し、俊足でカムイに近づく。
「なっ!」
「遅い!」
胸部に手を添え、炎の鎧を打ち消し、その瞬間爆破する。
「あ、ああ……ガハッ!!」
「カムイ!!」
口から血を吐き出し、前のめりに倒れるカムイ。そのカムイに近づき、体を揺らすエミリア。
「エミリア……すまない……」
「ダメです!!死んではダメです!!」
「エリアル……お前の仇打てなくて……すまなかった……」
「カムイ!!死なないで!!」
「先に……行くよ……お前だけでも……生きて……」
「いや、いやあああ!!」
ゆっくりと瞼を閉じ、そのまま眠りについた。俺はエミリアの首を打ち、気絶させる。気絶したエミリアを抱え、基地に帰った。