無限戦争に終止符を   作:Firefly1122

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滅ぼされた故郷

 基地に帰り、エミリアをベッドに寝かせる。

 

「そいつは?」

「色欲に従って連れてきた女だ。こいつは俺のものにする」

「お前……」

 

 ラストは言い淀む。哀れなものを見るような目でこちらを見ている。

 

「なんだよ」

「何でもないさ。とりあえずそいつの記憶を消させてもらうよ。この場所が知られたら困るからね」

「……ああ、頼む」

 

 ギターを鳴らし、記憶操作をする。一瞬苦痛な顔をし、また穏やかな表情で眠りについたようだ。

 

「ところで冬樹、お前に一つ報告がある」

「なんだ?」

「お前の故郷、ハルト連合国が何者かに滅ぼされた」

「!?」

 

 俺は基地を飛び出す。後ろからラストが止めるが、俺の耳にはその声は届かない。俊足でハルト連合国に走る。ハルト連合国の門番はおらず、門をくぐる。

 

「なん……だよ……これ……」

 

 ハルト連合国の中心に隕石が落ちたかのように、お椀型に抉れていた。

 

「春ねええええ!!」

 

 俺は春姉の家があった方に走っていく。瓦礫をどけ、春姉を探す。数時間探したが、見つからなかった。

 

「くそっ!くそっ!くそっ!!どうしてこんな!」

「ひっ!?」

「!?」

 

 小さな悲鳴に驚き、後ろを見る。この国に来て初めて見た人間だった。俺の姿を見るなり、逃げる。

 

「ま、待て!」

「来ないで!殺さないで!」

「は!?そんなことしない!」

 

 俺はその少女を追いかける。突然、足を掴まれた。

 

「!?」

 

 驚く暇を与えられず、視界の風景が変わる。先ほどまで下にあった地面が今は目の前にある。

 

「これだけやっておいてまた戻ってくるとはな……悪魔!」

「?」

 

 視界に映る人を見上げると、ボロボロになったカルマだった。

 

「カルマ……大佐?」

「もう騙されない。お前をここで!」

 

 銃を俺に向けるカルマ。俺は時間停止を使い、その間に抜け出し、カルマの背後に回る。

 

「っ!?」

「大佐、何があったんですか?」

 

 首元に剣を当てながら言う。大佐は身を捻じり、俺の腕に触れる。その瞬間、俺の位置が変わり、持っていた剣も消えていた。

 

「なっ!?」

「俺の能力を忘れたか!悪魔!」

「ま、待ってください!あなたの能力?未来予知でしょう!?」

「……お前、本物の冬樹か?」

「本物?何の話ですか?」

「……しらばくれているわけでもないみたいだな。冬樹」

 

 そう言って剣を下す。

 

「一体何があったんですか?」

「お前にそっくりな……いや、もう一人のお前がこの国を滅ぼした。奴は一瞬でこの国をこの状態に」

「もう一人の俺……」

「何か心当たりはあるか?」

「……いえ」

 

 俺は夢の中のもう一人の俺のことを考えていた。あいつがこんなことをやったのか?いや、あいつは俺の精神だ。現実に干渉することなどできない。じゃあ、一体もう一人の俺とは誰なんだ?

 

「ところで、お前は何故帰って来た?」

「とあるやつにここが滅ぼされたと聞いて……相手はどんな能力を?」

「……」

 

 カルマは重い口を開き、言葉を発する。

 

「全能力だ……」

「なっ!?」

「俺が知っているのはブレイズ、ブラスト、エクスプロージョン、瞬間移動、マグニチュードだ。だが、あと一つこの国をこの惨状にした能力がある。それは見たことも聞いたこともない能力だった」

 

 その時の詳細な話をカルマは語った。

 

 

 

 俺は瓦礫をどけ、地上にあがる。

 

「くそっ……油断した」

 

 俺が助かったのは、未来予知で死んだ俺と立場逆転の能力で入れ替わったからだ。未来予知とは所詮あったかもしれない世界を見てるだけだ。つまりパラレルワールドだ。そこの俺と入れ替わり、再び戻る。そうすることで、俺は瓦礫の下敷きになるものの、助かったのだ。

 

「あいつは?」

 

 立ち上がり、周囲を見渡すと、国の中心。その上空に真っ黒な球体ができていた。いや、今もなお大きくなっていた。

 

「な、なんなんだあれ!」

「みなさん!避難してください!」

 

 その声に気付き、周囲を見ると、国民は国の外に逃げていた。あれが落ちたらひとたまりもないだろうとわかっていたからだろう。俺もわかっていた。だが、兵士である以上、その場所に向かわないといけない。俺は走った。

 

 中心部に行くころには、この国のすべての兵士は奴にやられていた。俺は奴と1対1で向かい合う。

 

「これは一体どういうことだ……」

「……ほぅ。まだ生きてたんですか。ゴキブリ並みの生命力ですね。まあ、この能力を食らえばあなたもひとたまりもないでしょう」

「なんなんだそれは」

「あなたに教える必要はない。ここで死ぬのですから」

 

 俺は走りだした。しかし、届かなかった。まるで向かい風に阻まれているようだった。

 

「おしまいです。この国も」

 

 その言葉を最後に手を振り下ろす。直後、ゴゴゴという音を立て、黒い球体が落ちてくる。

 

「くそっ!」

 

 俺は走った。あの球体から逃げるように。そして球体が落ちたとき、物凄い風圧に俺は意識を失った。

 

 

 

 俺はカルマの話を信じることはできなかった。そんな力を持った人間などいるわけがない。俺は考えた。そして一つの答えを出す。

 

「過去に戻ります。この国が破壊される前の世界に」

「……気を付けて行ってこいよ」

「俺は死にませんよ。この能力がある限り」

 

 俺は能力を発動させた。時のトンネルをくぐる。至る所に時計があり、丸い泡のようなものがいくつもある。その中には未来、過去、あらゆる時間が映し出されている。俺はこの国が滅ぼされる前の世界の泡に手を触れる。泡が弾け、周囲が光る。俺はそっと目を閉じた。

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