無限戦争に終止符を   作:Firefly1122

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四章.時過ぎてなお終わらぬ物は無い
無人島のじいさん


 目を覚ますと草で作られた屋根が目に入った。

 

「ここは……」

 

 俺はゆっくりと体を起こす。

 

「うっ……」

 

 頭がズキズキと痛む。思わず頭を押さえる。

 

「目が覚めたか」

 

 声がする方に目を向けると、長い白髪と長い白髭の男が座って焚き木をしていた。

 

「何者だ?」

「……助けてもらった人間に言う言葉か?」

「……すまない。助けてもらって感謝する。それで、じいさんは誰だ?」

「お主の恩人だ。起きたのならさっさと出て行くといい」

 

 俺は言われた通り、出て行くことにした。手作りと思われる家の裏側に回り込み、森を抜ける。目の前に広がったのは白い浜辺と広大な海だった。海岸にはボロボロに朽ちた船があった。俺は海沿いに浜辺を伝い歩く。……何時間歩いただろう。見えてきたのは最初に見た朽ちた船だ。俺は唖然とした。ここは島だ。俺は白髪のじいさんに会いに行くことにした。

 

「じいさん。ここはどこだ?」

「……わししか住んでない無人島だよ」

「船もないのにどうやって出ろと?」

「泳げ。何のための手足だ」

「こんな場所も方角もわからない広大な海を渡れだと!?ふざけるな!」

「それならどうする?ここで生きるか?」

「それは……」

「大体お主は何者だ?島に流れてきたから仕方なく助けたが、まずはお主から自己紹介するべきじゃないのか?」

「くっ……」

 

 俺は言い返せないでいた。仕方なく俺は頭を下げる。

 

「無礼な発言をしてすみませんでした……助けていただいたことに感謝します。俺は冬樹といいます」

「冬樹か。して、何故この島に流れ着いた?」

 

 俺は今までの経緯を説明した。

 

「それからの記憶はありません。気が付いたらここに……」

「……お主、その男に負けて悔しくはないか?」

「……悔しいです。ああ悔しい。今すぐ殺してやりたいほどに!!」

 

 俺は負けた瞬間を思い出し、頭に血が上る。

 

「そう。それならこっちへ来い」

「?」

「食え」

「は?」

 

 俺はじいさんに近づく。突然今まで焼いていた魚を差し出された。

 

「いや、あの……」

「いいから食え」

「……はい」

 

 俺はしぶしぶ地面に座り、差し出された魚を食べる。

 

「うまい……」

「……」

 

 俺は一匹をペロリと食べてしまう。

 

「まだあるぞ」

「そんな……俺ばっかり食べて大丈夫なんですか?」

 

 じいさんは親指で後ろを指す。チラッと見ると、大量のツボがあった。恐らくそこにスタックがあるということだろう。昔ながらの塩漬け保存だ。

 

「それじゃあいただきます」

 

 先ほどから不機嫌そうだったじいさんの顔は、その言葉を聞いて満足気な顔になった。食べ始めて気づいた。俺は相当お腹が空いていることに。

 

「腹が減っては何も出来ぬ。腹が溜まったら行くぞ」

「どこにですか?」

 

 俺は魚を食べ終えじいさんの後を追う。山をひたすら上る。目的地に着くころには、俺はくたくたになっていた。じいさんは涼しい顔で山の頂上から空を見ていた。

 

「ここは?」

 

 山の頂上は木が一切なく、足場も狭い。高度は結構高いため、下の光景が一望できる。俺は一通り眺めた。水平線が果てしなく続くだけで他の島、大陸は一切見当たらない。地球は丸いんだなと改めてわかるほどに美しい曲線だ。

 

「ほれ」

「おっと」

 

 俺は投げ渡されたナイフを受け取る。これは恐らく魚の内臓を取り出すために使っているナイフだろう。少し血が染み付いていた。

 

「これは?」

「見ての通りナイフだ。今からここで殺し合いをする」

「は?」

 

 まるで意味が分からなかった。

 

「言っておくが全力で来い。でないとわしは殺せない」

「いや、だから殺し合いって……いったいどういうことですか?」

「お主が負けた奴が憎いのだろう?その憎しみをそのままわしにぶつけろ」

 

 俺は結局わからなかった。仕方なしにナイフを構える。

 

「それじゃあ遠慮なく行きますよ」

「おう。来い」

 

 俺は駆け出す。狭い足場だが、せいぜい闘技場程度はあるだろう。十分走り回れる。

 

「ハッ!」

 

 俺はナイフを横に振る。しかしそれはじいさんには当たらない。すかさず俺は突く。しかしそれも躱される。そして俺は足をかけられ転ぶ。

 

「どうした?その程度か?」

「くっ」

 

 俺はこのまま行っても勝ち目がないとわかり、俊足を使った。

 

「む?」

 

 俊足でそのままじいさんにナイフを突き刺す。だが、俊足でほぼ瞬間移動に近いレベルであるにも関わらず、ひらりと躱される。

 

「なっ!?」

 

 俺は振り向く。じいさんはみぞおちに手刀を入れてきた。

 

「ぐぅおおお」

 

 みぞおちに入れられた俺はそのまま地面に崩れ落ちる。

 

「なんじゃもう終わりか?」

 

 俺は上目遣いでじいさんを睨みつけ、時間停止を使う。これならば躱せまい。俺は背後に回り込み、首を切りつける。が、また外れた。刹那、腹に蹴りが入った。

 

「うあああっ」

 

 時間停止を解き、じいさんを見る。

 

「お主妙な能力を使うな。しかし、弱い」

「くっ……」

「このままやってもわしが勝つだけだ。いい訓練所がある。来い」

 

 俺はナイフをじいさんに返し、じいさんの後を着いて行った。

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